本質的な価値創出をコンサルティング事業と自社事業の両輪で見出す【株式会社オーセント 取締役片渕氏、人事柏木氏インタビュー】
2024年09月04日更新
企業紹介
株式会社オーセントは、「1人1人が輝ける未来づくりに貢献すること」を目指し、コンサルティング事業や、アートを暮らしの中で楽しめる商品を取り扱うマーケットプレイス『FAVORRIC(フェイバリック)』の運営(プラットフォーム事業)を行う企業です。コンサルティング事業では顧客企業の業務・システム・組織改革実行支援にフォーカスをしてサービス提供を行っています。
インタビュイー経歴
話し手
片渕裕介氏
株式会社オーセント
取締役
大学卒業後、モバイルインターネット事業・eコマース事業を傘下に持つホールディングカンパニーにおいて経理・財務・経営企画業務に従事。その後、KPMGコンサルティング、EYアドバイザリー・アンド・コンサルティング(現 EYストラテジー・アンド・コンサルティング)にて、経営管理業務の設計・改善支援や財務分析支援、大規模システム導入プロジェクトのPMO等に従事。EYでは、CFO部門向けアドバイザリーチームのシニアマネージャーとして、決算早期化・グループ経営管理高度化支援サービスを主導。2020年、オーセントに参画。
話し手
柏木紗由子氏
株式会社オーセント
コーポレート マネージャー 人事担当
大学卒業後、新卒で大手旅行代理店に入社し、店頭営業に従事。その後、スタートアップ企業のインターネット総合旅行代理店で主に採用を中心とした人事業務を経験し、前職の自社事業でECサイトを運営するスタートアップ企業では、IPOを目指しながらバイヤー・事業提携・広報PR・人事・総務など、フロントオフィスを経験しながらバックオフィスも幅広く従事。2021年、オーセントに参画。
事業を通じて関わる人一人ひとりの豊かさを追求する
──はじめに、自己紹介からお願いします
片渕氏取締役の片渕と申します。ファーストキャリアではインターネットコンテンツのプロバイダ事業やEコマース事業など複数の事業を展開するグループのホールディングスカンパニーで財務経理や経営企画を担当しておりました。3年半後にコンサルティング業界へ転職し、EYやKPMGで10年以上コンサルタントとして勤務していました。経験した案件テーマで多いものはCFO領域の課題解決で、決算早期化、経営管理の再構築、ERPの導入のPMなどです。その後2020年にオーセントに入社しました。 オーセントは、私の新卒時代の上司だった福原が2017年にひとりで立ち上げて、極少人数で3年ほど営んでいました。そうした中、本格的な事業拡大を目指す福原から「一緒にやっていかないか」と声をかけていただき、私としても当時、大手ファームではなかなか実現しづらいコンサルティングにチャレンジしていきたいという思いが強くあり、ジョインすることを決意しました。 今後はコンサルティング事業をさらに成長させていき、品質の高い実力派のコンサルティングチームとしての認知を拡大させていきたいと考えています。
柏木氏人事の柏木です。ファーストキャリアでは大手旅行会社で国内営業を担当していましたが、その後旅行ITアプリのスタートアップに人事としてジョインしました。その企業では、100名から150名に拡大するフェーズで、採用応募数が月に数百もある勢いのある会社でした。その後その会社の執行役員が、数名規模の別のスタートアップで取締役となる際に声をかけていただき、フロント側でバイヤー・事業開発・広報PRなどで事業を深く理解しつつ、人事・総務のバックオフィス業務を担うことになりました。そこでは10人から50人に増やすフェーズでIPOを目指していましたが、評価育成や従業員の働きやすさなどを自身が考えることができるような環境で人事労務のキャリアを伸ばしていきたいと考え、2020年に片渕と知り合い、1年後に入社オーセント社に入社しました。オーセントでは、代表直下で人事を軸にしながら、コーポレート全般を担っています。
──オーセント社のミッションや事業内容を教えてください。
片渕氏オーセントは事業を通じて顧客・取引先・自社の一人一人が豊かになっていくことを目指し、事業運営を行っています。現在、弊社はコンサルティング事業とプラットフォーム事業の2つの事業を展開しておりますが、コンサルティング事業では業務・システム・組織改革によってクライアントの社員一人一人に豊かになっていただきたいと考えています。具体的にはクライアントの生産性や業務付加価値を向上させるために、業務システム刷新やそれに伴う組織変革を行います。世の中には非効率的であったり目的が不明瞭な業務をされている方も多く、そういった業務が原因で労働時間が長くなってしまったり精神的に不調になってしまったりする方が多くいるなと感じています。そのような方が減り、目的や価値が明瞭な業務を短時間でできるようになり、対価も余暇も増えて豊かになってほしいと考えています。 プラットフォーム事業(PF事業)では、アーティストの作品をインテリア雑貨にデザインとして落とし込みオリジナル製品を販売しています。ものづくりを行う生産者はデザインに多くのバリュエーションを持てないことに悩んでいるケースが多いです。そういった生産者と、活動の場を広げたい世の中のファインアーティストをつなげることで、豊富なデザインバリュエーションを持った良質なインテリア製品を生み出します。生産者・アーティスト、そして豊富なデザインバリュエーションから自分の好きなものを選びたい買い手の「三方良し」の事業を目指しています。 今後はコンサル事業・PF事業の2つを両輪に会社として成長していきたいと考えていますし、その先にはまた別の課題解決型の新しい事業を生んでいきたいとも考えています。
──コンサルティング事業のサービス内容を詳しく教えてください。
片渕氏まず、業界問わず様々なクライアントがいらっしゃいます。傾向としては比較的非金融業のお客様が多く、業種は様々です。クライアントの規模感としては、年少数十億から数百億規模のいわゆるSMBマーケットがボリュームゾーンとなっています。そして、サービスラインは①業務・システム改革支援、②IT組織強化支援の2つがあり、今は①の案件が大半を占めています。①業務・システム改革支援では、クライアントが全社的に業務プロセスを改革していく際に、手段としてシステムを刷新したり新しく導入したりする支援をさせていただきます。基本的に最上流の検討から、最後、新システムによる新業務が稼働して安定するところまでワンストップでご支援します。解消すべき課題を特定し、課題を解消するための新業務プロセスや新システムの構成を整理し、業務要求に基づいてRFPを作成します。RFPによってシステム製品・開発ベンダー様を選定し、システム要件定義以降の導入工程においてもプロジェクト全体の旗振りはもちろん、業務ユーザー側が担うべき導入実務の支援も行います。 ②IT組織強化支援は大手企業を対象に行うケースが多いです。IT組織、つまり情報システム部やDX推進部は本来、戦略に基づいてIT企画や業務改善提案を行っていくのが主な役割ですが、実態としては事務処理やヘルプデスク業務に追われて、高付加価値をなかなか出すことができていないという課題を抱えていらっしゃる会社様が多いです。そのため、IT戦略やIT企画の立案の仕方や、実務への落とし込み方などを、トレーニングやワークショップ、また実際に案件に入ってサポートやフィードバックすることで情報システム部門を強化していきます。
──実際のプロジェクト事例や取り組みイメージを教えてください
片渕氏①業務・システム刷新支援だと、よくある事例ですが、従来会社が事業成長させていく中で営業担当者たちが思うままに属人的に案件を進めてきて、統制が効いていない状況になってしまっていたのに対して、案件管理・受発注・債権債務管理・財務会計に至るまでの業務標準化を行って新システムに乗せたというケースがあります。また、会社内の各業務のシステムが分散していて、それぞれのシステムには多くのデータが入力されているのにそれらを集めて経営分析や意思決定に利用することができない状況に対し、一連の業務のプロセスを整備してデータ流を清流化し意思決定に資するための経営管理データベースを構築した、等の事例もあります。 クライアントは、初めてコンサルタントに依頼するというケースも多く、コミュニケーションをする中で意見が食い違ったり衝突したりすることもあります。しかし会社を良くしたい、業務を楽にしてもっと付加価値を生みたいという目的は同じです。熱く議論しながらも密なコミュニケーションを通じて同じページに乗り、プロジェクトを前に進めていくことで信頼し合える関係になっていきます。
──体制や支援期間を教えてください
片渕氏2-4人で支援に入ることが多いです。マネージャーアップのメンバー+若手メンバーが2-3人というイメージです。全社的な業務改革やシステム刷新のPJTでも2-3人で支援に入り、最上流から下流の工程までを筋肉質に行っています。その点では大手ファームなどが各領域にそれぞれメンバーが入って10人も20人もで支援するという体制とは大きく異なると思います。支援期間は、システムを導入していく場合は年単位となります。もっとも長い案件のケースで4年以上になっているものもあります。平均的には1~2年程度でしょう。
貢献意欲・成長意欲を持ち実直に業務やクライアントに向き合う人物を求める
──オーセント社のメンバーの特徴を教えてください
片渕氏第一に貢献意欲・成長意欲があり、そして、実直にクライアントに向き合い真面目に仕事をしているメンバーがほとんどです。新入社員のほとんどがコンサル未経験ですが未経験の中でもコンサルスキルを真面目に学び、積み上げていくことができる環境に魅力を感じてきてくれるメンバーが多いです。 柏木氏常日頃からよく考えて行動し、問題意識を強く感じてコンサルタントになる方が多いと感じています。選考過程にケーススタディがあるのですが、候補者にコンサルタントの業務を体験してもらい通常の業務のように面接官からフィードバックをさせていただくのですが、その中でフィードバック内容を受け入れて素直に考えて次に生かそうとする人が入社する傾向があります。
──ケーススタディはどのようなものでしょうか、内容を詳しく教えてください
片渕氏ある企業を題材にして、その会社の業務・組織課題を抱える役員に対して初回ディスカッションを行いにいくというシチュエーションのお題を出します。面接日より前に課題を提示し、事前に準備してもらうというケーススタディです。どこまで準備してくるか明確に指示を出すことはなく、人によって準備度合が変わってくるのですが、その様子を見て普段の業務に対する取り組み姿勢などを図ることができます。
──事前準備に対する受け止め方を見ているのですか
片渕氏はい。限られた時間の中でどのような準備をどこまで考えて行うかという取り組み姿勢と思考の深さを見ています。コンサルタントの仕事は決して楽な仕事ではないし、クライアントの期待値を超えて高品質なサービスをし続けていく必要があるため、それを達していくためには成長意欲と貢献意欲をベースに持ち続けることが重要だと考えています。候補者様のケーススタディの準備にもそれらが表れてきます。面接の中でも、これまでのキャリアにおいて自分にできることが増えているか、わからないことがわかるようになっているかを意識し、できることを増やすためにいかにチャレンジしていくかをどれだけ考えていらっしゃるかという視点で成長意欲を見ています。貢献意欲は、仕事仲間やクライアントをどうやったらハッピーにできるか、どうしたら喜んでもらえるかを真剣に考えているか、を重視しています。この成長意欲と貢献意欲の2つをしっかり持っていらっしゃる方を選んでいます。
──メンバーのバックグラウンドにはどのような傾向がありますか
片渕氏マネージャー以上は、メーカー経験が長い一方でコンサルティングファームにも所属したことのあるメンバーがたまたま多くなっています。スタッフレベルは様々ですが、事業会社経験者が多く、比較的BPOベンダーの経験者が多いです。マネージャー・スタッフ共に共通しているのは、自社やクライアントの業務改善に取り組んだことがある方が多いことです。会社全体では20名強のメンバーがおり、コンサルティング事業部はそのうち15名です。マネージャー以上は4名、スタッフが11名という構成となります。 コンサルティング経験者も未経験者も、一人一人個別にしっかり育成することを意識しています。
──今後はどのような方に入社していただきたいですか
片渕氏やはり既存メンバーと同じく、成長意欲、貢献意欲があることは全クラス共通でマストです。加えてマネージャーアップには「責任ある局面で逃げなかった経験」が必要だと考えています。プレッシャーがある中で最善を尽くした経験があること、自分でメンバーを率いてクライアントと向き合った経験、逃げなかった経験を重視しています。
柏木氏ベンチャーマインドを持っている方です。プロジェクトでのクライアントワークに集中していただくことは大前提ですが、オーセントはまだまだ小規模な会社なので、メンバーには社内外の様々なことに興味を持ち、意見し、社内の取組みを一緒に実施いただけるような積極的な方が入っていただけるとうれしいです。また、代表や取締役との距離も近いため、どんどんコミュニケーションをとっていただくことでチャレンジしたいことを叶えていきやすい環境でもあるため、そういった環境をぜひ活かしていただきたいと思います。
本質追及よって濃密に思考する環境と、社員一人一人と向きあう育成環境がオーセントの魅力
──社員は貴社のどこに魅力を感じて入社しているとお考えになりますか
片渕氏面接での面接官の人柄やコンサルティング事業以外に自社事業を持っていることに魅力を感じていただいていることが多いです。
柏木氏面接の雰囲気が他社と異なると言っていただけますね。圧迫や淡々としたものではなく、カジュアルな雰囲気で会話をし、選考を通して自身のキャリアを一緒に考えられる面接であると言われることも多くあります。
──では、実際に入社した社員が入社後に評価することはどのようなポイントでしょうか
柏木氏コンサルティング事業部メンバーからは実務上のフィードバックの量が、以前に所属してきた会社よりも多いと言われることが多いです。また、社内メンバーの雰囲気や仲が良く、協力しあう雰囲気があります。先日も業務以外でのエピソードですがオフィスの床が汚れているね、となったときに代表含めて全員が掃除をしてくれた、などがあります。風通しの良い会社であることも強みです。全メンバーとフォロー面談を行い、前職の会社で良かった制度や、どんな会社にしていきたいかをヒアリングして、一緒に考えた上で活かしていきます。私自身も、今まで経験してきた会社と比べても、自身の意見を言いやすい環境にいると思います。
片渕氏加えて残業時間の短さも一つでしょう。月の平均残業時間は10-20時間ほどで人によっては一桁台です。残業時間が短い理由は、全社的に無駄なことをしないように意識していることが大きいと思います。クライアントにとっても意味のあることだけを提供していきたいと考えており、自分が作成中の資料や実施中の作業に本当に意味があるかを問いながら徹底的に無駄を省き業務を行うようにしています。そのため、勤務後に、定時に帰っているけど頭は疲れきっている、ということをメンバーはよく言います。 無駄な作業を減らす取り組みの一環として今我々はConsulTechに取り組んでいます。コンサルタントはクライアントにはDXを進めますが、自分たちをDXすることは苦手なんですよね。コンサルティング業界が、労働集約ビジネスから抜けられていないことに課題感を抱いています。コンサルティング業務の中でも付加価値に繋がりにくい労働集約部分はテクノロジーに積極的に頼り、知的生産に集中できる環境づくりを目指しています。具体的には、Tech系のスタートアップと協業し、我々コンサルタントのアウトプット生成の一部を自動化し、レバレッジ型のコンサルティングを実現することに取り組んでいます。
──コンサルタントにとってどのような成長環境がありますか
片渕氏中途入社をした方には、コンサルタントとしての基礎スキルを2-3週間にわたってトレーニングします。OFF‐JT形式(プロジェクトに参加しない研修形式)でタスクマネジメント、ロジカルシンキング、クライアントコミュニケーション、問題解決アプローチ、プロジェクトマネジメントや会計・ITなどを学びます。その後はOJT形式(プロジェクトに参加する研修形式)で学んでいただきます。トレーニングでは、「OFF-JTのインプットをいきなりで実践することはできない」ということを前提にしており、机上の学びと実践の紐づけの繰り返しが必須と考えているため、OJTでのフィードバックでは「トレーニングのこの内容が今のPJTのこのケースで活かせるよね」と説明をすることで概念と具象を紐づけて理解を促します。一定程度案件で業務をこなしたメンバーにもう一度OFF‐JTのトレーニングを受けてもらうこともあります。自分が業務で実践したことを座学で再度インプットするため、トレーニングで分からなかった概念を、業務中の事象と紐づけて理解することができるようになります。それを繰り返していくことでスキルを向上させるのです。 このような取り組みを通して、課題解決の考え方やITの知見を実務経験から学ぶことや、複数の業界のクライアントと対峙していく中で幅広い業界・業務知見を構築していっていただけます。
数年内の上場を目指す急成長中の組織の当事者として働けることが魅力
──オーセント社の今後の展望を教えてください
片渕氏会社としては数年内の上場を意識しており、メンバーにも伝えています。コンサルティング事業としては5年内に50名規模にしたいと考えています。設立後数年で1,000人規模を超すような新興コンサルティング企業と比較するとまったく早くはありませんが、弊社はその成長スピードは考えていません。 私は、コンサルタントは世の中に少ないほど良いと思っています。かなり自虐的ですが、コンサルタントではなく、サービスや製品を生む人たちがどんどん増え続けるほうが経済成長していくと思っています。ただし、そうした中でもクライアントが求めるのであれば品質の高い期待値を超えるサービスを提供していきたい。そのため、しっかり支援していくことができるメンバーを集め、筋肉質に組織を積み上げていく必要があるため、年間5-10名の採用スピードを想定しています。
──最後にメッセージをお願いいたします
片渕氏スタートアップとしての成長環境や、その過程で上場を目指す企業環境を経験するというメリットやスリルは得られると思います。また、15名規模から50名規模へ品質を高めながらの拡大を目指しており、常に挑戦・提案していく環境であるため、スキルをつけて成長していくには抜群に適した環境だと思います。
柏木氏私が実際に入社する時に魅力を感じたことは、役員2名がいろんな経験をしてきているにも関わらず、絶対にこうすべき、というよりは「これでよいのか」「うちの会社に合うのか」などを問いかけながら、一緒に物事を考えて進めていくタイプだということです。スタートアップは代表から強い意志や正解を示されてメンバーが従うという形で事業運営を行うケースが多いですが、そうではないので、今のタイミングでジョインすれば彼らと意見を交わすことができるという良い経験を得られると思います。
──ありがとうございました