コンサルタントの年収を徹底解説 ファームごとの給与体系や昇給の仕組み
2024年06月24日更新
近年、ハイクラス人材のキャリアパスとして非常に人気のあるコンサルティングファームですが、人気の理由の一つに高い報酬が挙げられます。まだ転職を考えていない方にとっても、コンサルタントというとまず初めに高い年収をイメージする方も多いのではないでしょうか。
コンサルティングファームへの転職に興味があり、「実際の年収はどれくらいなのか」、「自分が転職した場合にはどのくらいの報酬がもらえるのか」という疑問を持つ方は非常に多いのではないでしょうか。
そこで本記事ではコンサルタントの中でも特に人気の高い、戦略コンサルティングファーム、総合コンサルティングファーム、ITコンサルティングファームの年収について解説していきます。
コンサルティング業界への転職に興味のある方は是非参考にしてみてください。
監修者
山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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コンサルタントの年収の決まり方
コンサルティングファームの年収は、業界と役職により大きく異なります。このため、業界の観点とポジションの観点で調べることが重要です。
そこでまずはどのコンサルティングファームにも共通する年収の決まり方についてご紹介します。
役職ごとに年収が異なる
戦略系ファーム、総合系ファーム、IT系ファームのどのファームでも、年収の決まり方は基本的には同じです。
以下の表は、コンサルティングファームにおける職位別の役割と年収をまとめたものです。
コンサルティングファームにおける年収は、各ファームによって決められた役職ごとに、それぞれ年収レンジが決められており、その範囲内で評価に応じて変動します。
従って、コンサルティングファームに転職する方は、ご自身が「どの役職のポジションに転職するか」ということが転職後の年収を決める最も大きな要素になります。
ベース給与とボーナスについて
また、一般的にコンサルティングファームの給与は「ベース給与」+「賞与(ボーナス)」で構成されています。 ベース給与は役職ごとにレンジが決められており、その範囲内で評価に応じて変動します。また賞与については、おおよそ固定給の10%〜30%ほどとなり、その年の個人やファームの業績によって変動します。
昇給と昇進仕組みについて
コンサルティングファームでの昇進は、大前提として成果主義です。 年齢や在籍年数に関係なく、どのような成果を残したかが評価に大きく影響します。
マネージャー以下のよくある昇進の流れとしては、各部署ごとに、その年のプロモーション人数が決められており、その上で部署で昇進するメンバーが決定されます。
例:金融ユニットの「アナリスト」→「コンサルタント」のプロモーション枠は5人 など
各メンバーの上司がまず一次評価を決定した上で、該当部署のマネージャー陣が、メンバー1人1人のパフォーマンス評価について議論を行い、プロモーション枠に入るメンバーを最終的に決定します。
戦略コンサルティングファームの年収
戦略コンサルティングファームは、経営戦略に特化したコンサルティングファームです。 主に下記のような会社全体の経営に関わる領域でコンサルティングサービスを提供しています。
- 中期経営計画の策定
- 新規事業立案
- 全社組織再編
- M&A
この分野では、世界的に有名なマッキンゼーや、BCG、ベインなどのファームが存在し、その高い専門性と豊富な実績から、多くの世界的企業をクライアントとして抱えています。
戦略コンサルティングファームの年収の概要
一般的に戦略系コンサルタントは他の業種と比べて高収入であると言われています。総合系ファームやITコンサルティングファームと比較しても、戦略系ファームの年収は約2倍近くあり、非常に高額といえます。
戦略系ファームの年収は、役職によってレンジが決まっており、その範囲内で年収が設定されます。 一般的な戦略系ファームの職位は、上から順に以下の5つがあります。
- パートナー
- プリンシパル
- マネージャー
- コンサルタント
- アソシエイト/アナリスト
下記の画像は、戦略系ファームの職位別の役割と年収をまとめたものです。 パートナーの年収は、5,000万円以上と非常に高額であり、一番職位の低いアナリストでも600~1,000万円と非常に年収が高いことがわかります。
戦略系ファームの年収がここまで高額である理由としては、他ファームと比較しても戦略系はよりハードワークであり、かつ企業の経営に直結するような非常に影響範囲の大きい領域でコンサルティングサービスを提供している、ということが挙げられます。
戦略コンサルについてより詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
著名な戦略コンサルティングファームの年収事例
続いて主要な戦略コンサルティングファームの年収事例についてご紹介します。
こちらはOpenWorkの回答者の平均年収となるため実際の平均年収とは多少異なる場合がありますが、一つの基準にはなるためご紹介させていただきます。
ファーム名 | 平均年収 |
---|---|
マッキンゼー | 1,259万円 |
BCG | 1,470万円 |
ベイン | 1,207万円 |
ATカーニー | 1,347万円 |
ローランドベルガー | 1,289万円 |
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戦略系ファーム転職で年収アップした事例
弊社MyVisionが支援した方の中には、戦略系ファームに転職し、年収を大幅にアップさせたケースも多くございます。
下記の表は、実際に年収アップを実現させた方の事例を一部まとめたものです。
転職前の職種 | 転職前年収 | 転職後年収 |
---|---|---|
研究開発 | 1000万円 | 1100万円 |
企画 | 900万円 | 1050万円 |
プロジェクトマネージャー | 1000万円 | 1100万円 |
研究開発 | 500万円 | 650万円 |
情報システム | 600万円 | 750万円 |
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また、より詳しい体験談も以下のリンクからご覧いただけます。
総合コンサルティングファームの年収
総合系コンサルティングファームでは、あらゆる業界のクライアントに対して、包括的なコンサルティングサービスを提供しています。 コンサルティング領域は、以下のような幅広い領域にわたります。
- 経営戦略
- 業務/IT領域
- 人事・組織開発
- 財務
- マーケティング
主な総合系コンサルティングファームとしては、下記のような企業があります。
- アクセンチュア
- デロイトトーマツコンサルティング
- PwCコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- KPMGコンサルティング
- アビームコンサルティング
- ベイカレント・コンサルティング
総合コンサルティングファームの年収の概要
総合系コンサルティングファームは他の業種と比べると比較的高収入になりますが、戦略系ファームと比べるとその額は下がります。
総合系ファームの年収は、役職によってレンジが決まっており、その範囲内で年収が設定されます。 一般的な総合系ファームの職位は、上から順に以下の5つがあります。
- パートナー
- プリンシパル
- マネージャー
- コンサルタント
- アソシエイト/アナリスト
下記は総合系コンサルティングファームの役職別の年収になります。戦略部門を除いた総合系コンサルティングファームの一般的な年収を記載しています。
パートナーの年収は、2,500万円以上と非常に高額であり、一番職位の低いアナリストでも400~800万円です。 戦略系ファームと比較すると、1段階の職位分の年収は下がりますが、それでも一般的な企業と比較すると高い水準であることがわかります。
総合系コンサルティングファームでは、早い方は20代のうちに年収1,000万円を超えます。 自身の能力や結果に応じて昇進スピードが決まるため、実力に応じた年収増を目指せる環境となっています。
また、マネージャー未満では残業代がつくため、プロジェクトによってはコンサルタントの給与が一時的にマネージャーよりも多くなる場合があります。
総合コンサルについてより詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
著名な総合コンサルティングファームの年収事例
続いて著名な総合コンサルティングファームの年収事例についてご紹介します。
こちらはOpenWorkの回答者の平均年収となるため実際の平均年収とは多少異なる場合がありますが、一つの基準にはなるためご紹介させていただきます。
ファーム名 | 平均年収 |
---|---|
アクセンチュア | 872万円 |
PwC | 956万円 |
デロイト | 938万円 |
KPMG | 880万円 |
EY | 885万円 |
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総合系ファーム転職で年収アップした事例
弊社MyVisionが支援した方の中には、総合系ファームに転職し、年収を大幅にアップさせたケースも多くございます。 下記の表は、実際に年収アップを実現させた方の事例を一部まとめたものです。
転職前の職種 | 転職前年収 | 転職後年収 |
---|---|---|
事業開発 | 900万円 | 1000万円 |
マーケティング | 600万円 | 900万円 |
海外営業 | 600万円 | 750万円 |
SCM | 800万円 | 900万円 |
自衛官 | 750万円 | 900万円 |
SE | 600万円 | 800万円 |
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また、より詳しい体験談も以下のリンクからご覧いただけます。
ITコンサルティングファームの年収
IT系コンサルティングファームは、ITに関する高度な専門性を武器に、企業の経営課題を上流フェーズからシステム導入支援まで実施するコンサルティングファームです。
専門領域としては、以下のようなものがあります。
- IT戦略策定
- ERP・CRMシステムの導入
- ビックデータ活用
近年はDXニーズと共に、IT戦略の策定から実行支援まで行えるITコンサルティングファームの需要が高まってきており、急速に成長している領域です。
主なIT系コンサルティングファームとしては、以下のような企業が挙げられます。
- ガートナージャパン
- アバナード
- フューチャーアーキテクト
- ウルシステムズ
- CDIソリューションズ
- ケンブリッジテクノロジーパートナーズ
- 電通国際情報サービス (ISID)
ITコンサルティングファームの年収の概要
IT系ファームの年収は、役職によってレンジが決まっており、この範囲の中で年収が決まります。 一般的なIT系ファームの職位は、上から順に以下の5つがあります。
- パートナー
- プリンシパル
- マネージャー
- コンサルタント
- アソシエイト/アナリスト
下記の画像は、IT系ファームの職位別の役割と年収をまとめたものです。一般的にIT系ファームと総合系ファームと近い年収レンジであることが多いです。
パートナーの年収は、2,500万円以上と非常に高額であり、一番職位の低いアナリストでも400~800万円です。 戦略系ファームと比較すると、1段階年収は下がりますが、それでも高い水準であることがわかります。
ITコンサルについてより詳しい情報は、こちらの記事をご覧ください。
著名なITコンサルティングファームの年収事例
続いて著名なITコンサルティングファームの年収事例についてご紹介します。
こちらはOpenWorkの回答者の平均年収となるため実際の平均年収とは多少異なる場合がありますが、一つの基準にはなるためご紹介させていただきます。
ファーム名 | 平均年収 |
---|---|
ガートナージャパン | 1,348万円 |
アバナード | 742万円 |
フューチャーアーキテクト | 655万円 |
ウルシステムズ | 798万円 |
電通国際情報サービス (ISID) | 863万円 |
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IT系ファーム転職で年収アップした事例
弊社MyVisionが支援した方の中には、IT系ファームに転職し、年収を大幅にアップさせたケースも多くございます。 下記の表は、実際に年収アップを実現させた方の事例を一部まとめたものです。
転職前の職種 | 転職前年収 | 転職後年収 |
---|---|---|
PM | 900万円 | 1,150万円 |
情シス | 800万円 | 850万円 |
SE | 450万円 | 700万円 |
社内SE | 700万円 | 800万円 |
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また、より詳しい体験談も以下のリンクからご覧いただけます。
コンサルタントの年収が高い理由
一般的にコンサルタントの年収は他の業種と比較して高くなる傾向にありますが、その理由としては、主に以下のような要因によるものが大きいです。
専門知識とスキル
コンサルタントは、企業の経営課題に対する深い知識と専門性を持ち、これらをクライアントの問題解決や成長戦略の策定に活用します。 コンサルタントが対象とする問題は経営課題と直結しており、その影響範囲は非常に大きいです。
このため、コンサルティングサービスに対する報酬(フィー)は高額に設定されることが多く、それが結果的にコンサルタントの年収が高くなる一因となります。
働き方
またコンサルタントは往々にして厳しいスケジュールとクライアントからの高い要望にハードワークで対応します。 そのため長時間労働や、ハードワークを補うために高い報酬が支払われます。
報酬が高い分、クライアントから非常に高い要望を課され、チーム全体から成果を出すことに対するプレッシャーも高いです。 コンサルタントの働き方に関してより詳しい情報は、下記の記事で解説しております。
ビジネスモデル
また、コンサルティングというビジネスモデルが、コンサルタントの高い報酬を支えているという見方もできます。
コンサルタントは自らの思考・スキルや高い専門性を提供することで、クライアントから高い報酬を得ています。 一方で、発生する費用は基本的には人件費のみであり、粗利率及び、利益率が非常に高いビジネスモデルです。
そのため、コンサルティングファームにとって商品・資産であるコンサルタントは高い報酬を得ることが可能です。
結果主義
多くのコンサルティングファームでは、結果に基づく報酬体系(パフォーマンスベースの報酬)に従っています。
一般的な日系企業に多い年功序列型の報酬制度は、将来の報酬を上げる終身雇用を前提とした人事制度です。そのため、たとえ若い内から結果を出したとしても報酬は上がり辛い傾向にあります。
一方、コンサルティングファームでは年齢に関係なく、結果や実力に応じて適切な報酬やポジションを得ることができるため、成果を残したコンサルタントは高い報酬を得ることができます。
戦略コンサルタントの年収が高い理由
一般的に、戦略コンサルタントの年収は総合・ITコンサルタントよりも高い傾向にあります。その理由としては、主に以下のような要素に起因します。
専門性と付加価値
戦略コンサルタントは、企業全体の戦略立案や事業再構築、新規市場への参入戦略など、高度な分析と経営判断を必要とするプロジェクトを担当します。 一方、総合・ITコンサルタントは、特定の業務プロセスやITシステムの導入・改善を担当することが多いです。 そのため、戦略コンサルタントの提供する付加価値は、しばしば企業経営の根本的な方向性を左右するため、報酬が高くなる傾向があります。
需要と供給のバランス
戦略コンサルタントの数は多くはありません。採用においては、高い採用基準が設けられており、MBAや特定の経験を有している方など、ごく一部に限られています。一方、ITコンサルタントや総合コンサルタントは比較的多く存在しています。 この需要と供給のバランスの違いが、報酬に差を生む要因となっています。
クライアントとの関係性
戦略コンサルタントは、しばしば企業の経営層や経営幹部とやりとりし、企業の重要な意思決定を支援します。 一方、総合・ITコンサルタントは、多くの場合、特定の部門やチームとやりとりします。このカウンターパートの違いも報酬に影響を与える要素となっています。
以上の理由で、戦略系コンサルティングファームの年収は、総合系・IT系ファームと比較すると、高い傾向にあります。 これらは一般的な傾向であり、実際の年収はコンサルタントのスキル、経験、業績、ポジションなどによって変動します。
日系ファームと外資系ファームで年収が違う理由
日系のコンサルティングファームと外資系コンサルティングファームの間でも年収に違いがあります。 このように年収が異なる主な理由は以下の通りです。
企業文化と報酬体系の違い
外資系ファームは結果主義を重視する傾向があり、個々のパフォーマンスによって報酬が大きく変動することが一般的です。 一方、日系ファームでは年功序列や経験年数による報酬の比重が大きく、個々のパフォーマンスによる報酬の変動は外資系ファームと比べると小さい傾向にあります。
クライアントの規模と業界
外資系ファームは大手グローバル企業をクライアントに持つことが多く、高額なフィーを設定することができます。 これに対して、日系ファームは中小企業を含む幅広い規模のクライアントを持つことが多いため、フィーが外資系ファームと比べると、低めに設定されることがあります。
そのため、このフィーの違いが報酬に反映されることにより、日系ファームは、外資系ファームと比べて報酬が低くなる傾向にあります。
未経験からコンサルに転職後の年収
続いて、未経験からコンサルティングファームに転職した場合の年収について詳しくご紹介します。
まず最初に、未経験からコンサルタントへ転職した場合でも、基本的には年収が下がることは稀です。 通常、前職の給与を参考にしてコンサルティングファームでの初年度の給与が決定されます。この際、前職の給与と同等か、あるいはそれより高いレベルで設定されることが一般的で、前職よりも低い給与を提示されることは少ないです。
また、仮にコンサルタントとしての初年度の年収が、大幅に上昇しなかったとしても、2年目以降は明確に年収の上昇が見られる傾向にあります。コンサルタントとしての基礎を身に付けた後であれば、通常のコンサルタントの報酬体系にならって給与が支払われるため、前職より給与をアップさせることが可能となります。
未経験からコンサルタントへの転職は簡単ではありませんが、コンサルタントに転職することで、年収の向上だけでなく、キャリアの成長、専門知識の獲得など、様々なメリットを得ることができます。
まとめ
今回は、コンサルティングファームの年収に焦点を当ててご紹介しました。
近年転職先として非常に人気の高いコンサルティングファーム。日本ではコンサルタントの需要が年々高まっており、コンサルティングファームでは積極的に中途採用を行っています。
コンサルティングファームに転職する方の中には、コンサルタントの高い報酬に魅力を感じて転職を決意される方も多くいます。
MyVisionでは、コンサル転職に関する情報提供から、適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせて幅広く支援しています。
コンサルティングファームへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。