コンサルタントは激務か 近年のトレンドを徹底解説
2024年06月24日更新
コンサルファームへの転職の人気が高まり、転職市場でもコンサルタントへのキャリアを目指す方が多くなりました。コンサルタントへの転職についての面接対策だけでなく、ファームでの働き方の情報も数多くWebサイト等でも公開されており、コンサルファーム各社は採用を拡大しています。また、懸念とされることが多かった長時間労働についても、各ファームともに改善傾向にあります。
しかし、未経験からコンサルタントへ転職する場合、前職と比較して業務量が多く、労働時間が長時間になるケースも少なくありません。
本記事では、外資系コンサルタントで就業した経験もある弊社コンサルタントの監修の元、コンサルの激務の実態や、激務の理由、各ファームの産業時間について説明します。コンサル転職を目指している方は、自身が思い描いた実態とのギャップを予防するためにもぜひ参考にしてください。
監修者
菅原 真太朗
Sugawara Shintaro
台湾の大学を卒業後、商社に就職しインドネシアにおけるプロジェクトマネジメントを担当。その後、レガシーな業界をテクノロジーで変革するという点に共感してMyVisionに転職し、現在は営業バックグラウンドの方を中心とした転職支援を担う。
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コンサルは激務なのか
結論からお話すると、コンサルファームは他の事業会社と比較して、激務であると言えます。アクセンチュアの「Projcet PRIDE」など、働き方改革の推進によって、かつてほど長時間労働ではありません。ですが、それでも激務になるタイミングは存在します。
一方、忙しい時期とそうではない時期には明確な差があります。基本的に、プロジェクトの中間報告会や最終報告の前は非常に長時間労働です。また、クライアントや上司の厳しさ(=要求されるアウトプットの質の高さ)、プロジェクトに参画しているメンバーのレベル、プロジェクトの難易度なども忙しさを左右するため、一概にコンサル=激務と言い切ることはできません。
プロジェクト終了後には有給をまとめて使って2〜3週間ほど海外旅行に行く人もいますので、働き方にはかなりのオンオフがあります。
コンサルが激務になるタイミングとは
コンサルが激務になるタイミングは、「時期的な要因」と「条件的な要因」に大別されます。
「時期的な要因」では、プロジェクトの各フェーズごとに激務になるタイミングについて解説します。「条件的な要因」では、特に激務になりやすいプロジェクトの条件について整理します。
時期的な要因
プロジェクト開始フェーズ
最初に忙しくなる可能性が高いのはプロジェクトの開始時です。この時期には、業界に関する書籍や資料の読み込みや、クライアントにインタビューを行うなど、大量のインプットが必要になる時期です。
慣れてくると情報の要否が判断ができ、インプットの効率性が向上しますが、新人コンサルタントで慣れない内はかなりの時間を要します。
中間報告会前
データ収集・分析と仮説検証の後に、クライアント企業の経営層に向けて「中間報告」を行います。
中間報告のための資料作成には膨大な時間がかかることや、経営層に向けて報告することになるため、中間報告前の定例ミーティングなどよりも一層品質が求められます。品質を高めるために重視すべき観点は主に以下です。
- データの正確性(算出根拠や出典は信頼できるか)
- クライアントニーズへの適合性
- デザインやレイアウトの視認性
上記のような観点から、上位者(マネージャーやパートナー)からフィードバックをもらい、資料を磨き上げます。何度も修正指示を出されるため、時には夜中や朝方まで資料作成することもあります。
最終報告前
課題解決のためのデータ分析・検証をしたあと、クライアント企業と、議論を重ねて施策・アクションプランを作成し、その課題解決の方向性とアクションプランを提案するのが「最終報告」です。
最終報告は、クライアントの最終責任者である役員まで報告することがあるため、中間報告と同等、あるいはそれ以上の品質が求められます。そのため上位者からのフィードバックも厳しくなり、より労働時間が長くなる場合が多いです。
条件的な要因
クライアントの要求水準
クライアントからの要求水準が高い場合も激務になりがちです。コンサルタントは常にクライアントの期待以上のサービスを提供する必要があります。その中で、インプットの時間も増加するだけでなく、昨今はクライアント側もコンサルへの依頼方法にも慣れ、より要求水準も向上しています。上記のような要因から高いクオリティが求められるため、労働時間が長時間となる傾向があります。
マネージャー/パートナーのスキルとメンバーの能力
チームメンバー、特にチームをリードする立場の人間の志向性と、チームメンバーの力量も重要な要素です。コンサルタントの業務は文字やスライドの色など、やろうと思えば際限なく作業が発生します。そのため、自分たちでゴールを決める必要があります。その中で、チームをリードする立場の人間が、時間が許す限りやり切りたいという志向性だった場合、どうしても激務になります。
またマネージャーやパートナーが、たとえスコープ外であったとしても、クライアントの要求に応えるために業務を行う場合場合、業務量が増加します。またチームメンバーの中で、求められている役割に対して能力が不足しているメンバーがいる場合、当然他のメンバーでカバーする必要が出てくるため、激務の可能性が高まります。
なぜコンサルは激務になりやすいか
結論からお話しすると、コンサルティングファームが激務なのは「知識集約型産業」だからです。
質の高い提案(=商品)を提供することはコンサルタントの「知的労働」なので、必然的にコンサルタントへの負荷が大きくなります。以下3つの観点から説明します。
事業知識のインプット
コンサルタントは事業経験が豊富なクライアントに、価値を感じてもらうためのサービスを提供する必要があります。そういった中で価値を出すためには、膨大なクライアンが関連する業界・知識のインプットが必要になります。また、特に経験の少ないコンサルタントは、シニアメンバーのように経験・知見がないため、仮説を立案するための調査・分析にも大量の時間が必要になってしまいます。
プロジェクト期間の短さ
一般的にクライアントは経営上重要なテーマだからこそ、高額な金額を払ってコンサルファームに依頼します。事業環境が変化する中で、時間をかけて調査や分析を進めながら戦略を策定することは許されず、膨大な業務量を短期間で処理し、プロジェクトを推進する必要があります。プロジェクトによっては「ベンダーから〇〇という情報が出てきました」「専務から〇〇についても検討しろと言われました」といった想定外のクライアントからの相談により、追加検討も発生することもあり、その結果として激務になります。
少数精鋭でのプロジェクト体制
このような膨大な業務量を少数精鋭の体制で進める必要があり、必然的に1人1人が担う業務量は莫大になります。これはコンサルタントの成長を早める要因でもある一方、その裏返しとして激務になる要因であるとも言えます。。特に昨今はスタッフレベルの負荷が減る一方、その分マネージャーの負荷が増える場合も多いです。マネージャーになって裁量権が増えた結果、自分から担当する業務を増やしより一層ハードワークになるコンサルタントも一定数います。
激務になりにくい場合
コンサルが激務になる理由を説明しましたが、一方で激務になりにくい場合も存在します。
プロジェクトのテーマ
近年はコンサルニーズの多様化が進んでおり、戦略ファームでさえも、PMOや業務改善系のプロジェクトも増加しています。所謂戦略案件と呼ばれるものは、コンサルの中でも激務になる傾向があります。理由として、業界経験が豊富なクライアントが解ききれない課題に挑むにあたって、仮説→検証というサイクルを何十回も回す必要があります。結果的に、仕事量が膨大になります。
一方、非戦略案件と呼ばれるPMOや業務改善などのプロジェクトは、仮説→検証というサイクルが相対的に少なく、比較的ホワイトな働き方ができる傾向があります。
マネージャーのスキルとメンバーの能力
マネージャーやパートナーがクライアントとスコープを明確に握り、メンバーへのディレクションが適切である場合も、激務になりにくいです。基本的に当初のスコープで無理のない範囲で担当業務を握り、メンバーに適切に業務指示を行えば、プロジェクトは円滑に推進します。
コンサル各社の残業時間等について
これまでは、コンサルファームが激務になる理由を説明しました。次に、ファームの種類ごとに、実際にどのくらいコンサルタントが残業をしているのか、定量的なデータをまとめてみましたので紹介します。
※OpenWorkの残業時間を基に整理しております。
戦略系ファーム
- マッキンゼー:86.3時間
- ボストンコンサルティンググループ:75.1時間
- ベイン・アンド・カンパニー:71.4時間
- A.Tカーニー:76.0時間
- ローランド・ベルガー:100.0時間
総合系ファーム
- デロイト・トーマツ・コンサルティング:70.7時間
- PwCコンサルティング:55.2時間
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング:46.9時間
- KPMGコンサルティング:40.9時間
IT系ファーム
- アクセンチュア:43.3時間
- 野村総合研究所:46.4時間
- 日本IBM: 40.8時間
- アビーム・コンサルティング: 39.3時間
コンサル業界で最も激務と言われているのが戦略コンサルティングファームです。実際に戦略系ファームで勤務している方にお話を伺ったところ、忙しい時期は夜遅くまで働くものの、時折有給を使ってしっかり休むという働き方のメリハリはあるようです。
戦略コンサルと比較すると、総合コンサルは残業時間が短めな傾向が見られます。ITコンサルは、戦略コンサル、総合コンサルよりもさらに残業時間が短い傾向があります。
転職後に後悔しないために
ここまで、コンサルファームの労働時間の実態について説明しました。コンサルファームはかつてと比較して労働時間は改善されている一方、未経験からコンサルタントへ転職する場合、前職と比較して業務量が多くなるケースも少なくありません。
そのため、未経験から転職する場合は、ミスマッチを防ぐために、事前にコンサルタントの働き方の実態をしっかりとリサーチすることが必要となります。コンサル転職においてはコンサルティング業界を専門とした転職エージェントから事前に情報収集することが活用が非常に重要です。また、できればファームでの就業経験のある人や、現在働いている社員にコンタクトをとり、実情を確認することも有用です。
転職エージェントでは、ご自身のキャリア目標に合わせた転職活動のサポートをしております。業界の動向や転職市場の情報提供、応募書類の添削など、転職に必要な様々な支援を転職エージェントではサポートしていますさせていただきます。弊社MyVisionでも戦略ファーム出身のメンバーを中心に、これまで数多くの方のケース面接や選考対策を支援してきました。
もし未経験からのコンサルファームへの転職に不安を感じている方がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。ファーム毎の傾向や、最近のトレンド等含めてサポートさせていただきます。
MyVisionではコンサルファームへの転職に関する情報提供から、適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせて幅広く支援しています。
コンサルファームへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。