総合コンサルとは 魅力的なキャリアや仕事内容を徹底解説
2025年06月25日更新
近年のコンサルティング業界の中で特に勢いがあるのが、総合系コンサルティングファームです。 総合ファームはあらゆる業種・テーマに対応できるケイパビリティの広さを武器に、変化する市場に上手く対応しながら業績を拡大してきました。
特に、直近ではデジタル化の潮流にともない、IT領域のコンサルティングを上流から下流まで一気通貫で提供できる総合ファームへの引き合いは非常に強くなってきています。
本記事では、総合系コンサルティングファームの仕事内容や働き方について解説します。
弊社では総合系コンサルティングファームへの転職支援も積極的に行っておりますので、特に未経験からコンサルタントへの転職を検討されている方は是非参考にしてみてください。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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総合系コンサルティングファームとは
総合系コンサルティングファームとは、数多く存在するコンサルティングファームの中でも、特に幅広い業種のクライアントに対して、戦略立案からその実行支援、システム導入、保守運用、業務改善といった包括的なコンサルティングサービスを提供しているコンサルティングファームの総称です。
また、総合系コンサルティングファームの特徴の1つとして、会社の規模が非常に大きいことがあげられます。グローバルな総合系コンサルティングファームの社員数は、コンサルタント数が十万人を超えるファームもあります。
在籍するメンバーの職種や専門性も多種多様になっていることも特徴の1つです。コンサルタント以外にもエンジニアやデザイナー、データサイエンティスト、マーケター等、幅広いバックグラウンドをもったメンバーが在籍しており、必要に応じて適宜最適なメンバーをアサインし、クライアントへサービスを提供できるのが総合ファームの強みになっています。
人気の総合系コンサルティングファーム
人気の総合系ファームとしては、Big4と呼ばれる、デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KMPGコンサルティングをはじめ、グローバルファームのアクセンチュアなどが挙げられます。国内でもベイカレント・コンサルティングやアビームコンサルティングなどが有名です。いずれの企業も近年非常に業績を伸ばしており、コンサルタントの採用も積極的に行っています。
総合系コンサルティングファーム 企業紹介(代表例)
- デロイトトーマツコンサルティング
- PwCコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- KPMGコンサルティング
- アクセンチュア
- ベイカレント・コンサルティング
- 日本IBM
- アビームコンサルティング
- クニエ
- 日立コンサルティング
- リッジラインズ
- シグマクシス
総合系コンサルタントの仕事
業種や機能で異なる担当領域
総合系コンサルティングファームでは扱う課題が多岐に渡ります。そのためファームを「担当するクライアントの業種」と、「クライアントに提供する機能」の2軸で分けてチームを組成する事が一般的です。
クライアントの業種とは、例えば製造業や金融機関、政府系、ヘルスケアといったものです。 クライアントに提供する機能とは、戦略、組織人事、IT開発・導入支援、業務支援といったものになります。
下記の図は、総合コンサルティングファームの組織図のイメージです。
こうした組織体制によりファームが運営されているため、一口で総合ファームのコンサルタントといっても、担当する業務や得意等する領域は個々人で異なります。
例えば「金融サービス」のインダストリーに所属しているコンサルタントであれば金融系のプロジェクトに、「SCM(サプライチェーン・マネジメント)」のファンクションに所属しているコンサルタントであれば、業界を問わずSCMのプロジェクトにアサインされることが多くなります。
実行支援系の業務が中心
総合系ファームではプロジェクトの上流工程である戦略策定よりも、より下流にある実行支援系のプロジェクトを担当するケースが多いです。よく総合系ファームと比較される戦略系ファームが上流工程を担当することが多く、この点でそれぞれのファームは対照的になっています。
プロジェクトチームは数名程度で組成することが一般的ですが、システム開発などの大規模案件では数十名体制で参画する場合もあります。
チーム内でどのような業務を担当するかは、基本的にコンサルタントの職位で決まります。一般的にパートナーと呼ばれる経営陣が顧客開拓やプロジェクトの受注を担い、マネージャー以下のメンバーがプロジェクトを実際に推進していきます。
総合系コンサルタントの役職名と業務内容
一般的な総合コンサルティングファームには以下の役職があります。
役職 | 年次 | 業務内容 |
---|---|---|
パートナー | 10年目〜 | 顧客開拓やプロジェクト受注、ファームの経営 |
マネージャー | 5〜10年目 | プロジェクト全体の管理や顧客との折衝 |
コンサルタント | 3〜6年目 | プロジェクトの遂行、実作業 |
アナリスト | 1〜3年目 | 情報収集や分析、資料作成 |
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業界未経験の方が中途採用でコンサルになる場合、アナリスト〜コンサルタントとして入社するケースが多いです。総合系コンサルタントに転職を考えている方は、業務内容のイメージとして活用してください。
近年増えている総合系コンサルタントの業務
近年は、IT化やDX化といったトレンドを背景に、多くのクライアントにITが関連するコンサルティングサービスを提供しています。
例えば、全社のデジタルワークスタイル変革の推進や、デジタル人材の育成・獲得及びワークスタイル導入、間接部門の機能のBPRなど、いずれもITやDXに関連するプロジェクトになります。
下記の記事では、総合コンサルファームで最近非常に増えているプロジェクトの一例をご紹介しています。特に転職後にどういった案件に配属されるのかが想像しやすい記事になっていますので、ぜひご一読ください。
総合系コンサルタントの働き方
改善されつつあるワークライフバランス
総合系ファームはもともとはハードワークとして知られていましたが、近年では働き方改革の浸透やコンサルタント数の増加により、比較的ワークライフバランスが確保されてきています。
また、スタッフレベル(マネージャー未満)の勤務時間については、過剰に超過時間が発生しないようマネージャーによって管理が徹底されています。
総合系コンサルタントの働き方に影響を与える要素
ワークライフバランスが比較的確保されている総合系コンサルティングファームではありますが、アサインされるプロジェクトのフェーズや形態、そのプロジェクトのマネージャーやクライアントの志向次第で、実際の働き方は異なってきます。
プロジェクトのフェーズ
プロジェクト開始直後や、システムのリリース直前などの繁忙期には一時的に労働時間が長くなることが多いです。特にリリースタイミング等は、クライアントと一緒に夜間勤務となる場合もあります。
ただ、総合系ファームでは半年以上の長期プロジェクトも多く、そうした長期プロジェクトではいつ繁忙期になるのかを見据えて事前に計画を立てやすくもなっています。
プロジェクトの勤務形態
プロジェクトがクライアント先常駐か、フルリモートかによっても働き方は大きく異なります。
総合系コンサルティングファームでは実行支援系のプロジェクトが多いため、クライアント先に常駐するケースも多くあります。クライアント先に常駐する場合は、クライアントの勤務時間に合わせて出勤することになります。
プロジェクトマネージャー/メンバー
プロジェクトマネージャーがマイクロマネジメント志向である場合は、内部ミーティングやレビュー回数も増えるため、勤務時間は長くなる傾向になります。また、レビューを行う後輩がいる場合も、稼働時間は増加傾向にあります。
クライアント
週に1度程度の定例進捗での報告で良しとするクライアントもいれば、細かな報告や丁寧な進め方を好むクライアントもいます。そうしたクライアントの志向は実際の働き方に影響を与える要素の1つです。
総合系コンサルタントの年収
コンサルタントは他の業種と比べて比較的高収入であると言われています。
下記は総合系コンサルティングファームの役職別の年収になります。戦略部門を除いた総合系コンサルティングファームの一般的な年収を記載しています。
給与の内訳は、ベース給与と賞与(ボーナス)です。ベース給与は役職ごとにある程度固定で決められています。賞与はおおよそ固定給の10%〜20% ほどで、その年の個人のパフォーマンスやファームの業績によって決まります。
総合系コンサルティングファームは昇給スピードが一般的な企業と比べるとかなり早く、早い方は20代のうちに年収1,000万円を超えます。自身の能力や結果に応じて昇進スピードが決まるため、実力に応じた年収増を目指せる環境となっています。
※補足すると、マネージャー未満では残業代がつくため、プロジェクトによってはコンサルタント時の給与が一時的に多くなる場合があります。
年収の注意点
総合系ファームの場合は、戦略部門や業務・IT部門など、所属する部門によって年収が異なる場合があります。このため、同じファーム内で同じ職位のコンサルタントで年収が異なるケースは存在しており、転職活動の際には入社予定の部門をきちんと確認する必要があります。この観点は総合コンサルファーム特有の課題なので、注意が必要です。
さらに、内定獲得後に行う給与交渉次第で給与条件が変わる場合があります。業界未経験者の方にとっては見落としがちなポイントですが、ここの交渉次第で給与が百万円単位で変わることもあります。
弊社では内定獲得後の条件交渉も含めて、転職活動をサポートしておりますので、お気軽にご相談下さい。 (内定獲得後に相談に来られてもお受けできかねるため、企業への応募を始める前にお声がけください)
また、総合系コンサルティングファームへの転職を意識されている方は、ぜひこちらの記事もご参考にしてください。
総合系コンサルファームで求められるスキル
コンサルタントに求められるスキルは個々人の職位や専門性によって様々ですが、誰にでも共通して必須のスキルをあげるのであれば、論理的思考力(ロジカルシンキング)とコミュニケーション能力になります。
この2つのスキルは戦略コンサルタントであっても、業務/ITコンサルタントであっても、必要不可欠な力であり、転職時の面接でも面接官から特に見られるポイントです。
加えて、総合系コンサルティングファームの経験者ポジションでは、専門領域における知識や経験も重要になってきます。本章ではこちらの3つのスキルについて解説していきます。
論理的思考力
論理的思考力はコンサルタントにとって最も重要なスキルの1つです。複雑な課題を整理し、解決するために論理的思考力は必要不可欠となります。
また面接でも、この論理的思考力を見るためにケース面接が設けられています。
論理的思考力については時間をかければある程度習得可能で、それらに関する書籍も多く出版されています。
論理的思考力を鍛えるのに推奨している書籍について
- 「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」バーバラ ミント
- 「新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術」齋藤 嘉則
- 「ロジカル・シンキング (Best solution)」照屋 華子, 岡田 恵子
また、弊社でもコンサルティングファーム出身のエージェントを中心に、ケース面接対策を厚くサポートさせていただいておりますので、コンサルティングファームへの転職をご希望の方はお気軽にご相談下さい。
コミュニケーション能力
コミュニケーション能力はクライアントとの信頼関係を築く上で非常に重要なスキルとなります。 コンサルタントは常にクライアントとのコミュニケーションを通じて、顧客の課題やニーズを理解し、解決策を提供する必要があるためです。
総合系コンサルティングファームではクライアントを巻き込みながら実行支援していくようなプロジェクトが多いため、多くのステークホルダーと円滑にプロジェクトを進めていくためにも、コミュニケーション能力は特に重要なスキルになります。
専門領域における知識・経験
総合系コンサルティングファームでは、組織が「業種」×「機能」の2軸で分けられていることが一般的であり、自身の担当する領域はある程度決まっています。
このため、特定領域における業界のトレンド、法律、規制、固有の課題などに深い見識を持っている場合、転職の際に大きなアドバンテージとなります。
また、現代のビジネスシーンにおいては、企業の問題を解決するためにITを活用することが不可欠であるため、IT・デジタル領域の素養がある人はファームから歓迎されやすくなっています。そのため、ITのバックグラウンドを保有しているエンジニアやSIerとして働いていた方が、コンサルタントに転職して活躍されるケースも多いです。
他業種から総合系コンサルティングファームへの転職を検討されている方においては、自身の得意とする領域や経験を意識できると、未経験であってもコンサルタントとしてのキャリアが広がる可能性が上がります。
ご自身の強みやバックグラウンドを活かすことは、コンサル転職成功には重要なポイントです。 弊社では未経験からのコンサルティングファームへの転職を積極的に支援していますので、お気軽にご相談ください。
総合系コンサルファームのプロジェクト事例
コンサルティングファームのプロジェクトは公に公開されることが少ないため、具体的にどのようなプロジェクトを実施しているのか、イメージを持ちにくいかもしれません。 実は、私達にとって身近な企業が実施しているプロジェクトには、裏でコンサルティングファームが関わっていることも多く、いくつかの事例は各社のホームページに掲載されています。
今回は、その中でも総合系ファームが行っているプロジェクト事例をいくつか紹介していきます。 コンサルティングファームのイメージがより具体的になると思いますので是非ご確認下さい。
アクセンチュアのプロジェクト支援事例

アクセンチュア
資生堂:デジタル変革の加速でお客様一人ひとりに革新的なビューティー体験とウエルネス支援の提供へ
資生堂では、長期愛用者を増やすために1人ひとりに合った体験価値の提供と、デジタルを活用した情報発信・エンゲージメント強化を可能にすることを目指していました。そのためデジタル基盤のさらなる強化と活用が必要でした。
支援内容・実績
アクセンチュアは2021年5月に資生堂と戦略的パートナーシップを締結し、7月に両社の合弁会社である資生堂インタラクティブビューティー株式会社を設立、アクセンチュアの強みである AI やデータ分析、自動化、サービスデザイン、デジタルマーケティングなどのデジタル領域の知見を活かし、DXを加速させました。また、これを支えるIT基盤のさらなる整備を行うほか、デジタル人材の育成のプログラムも共同開発しました。
出典:アクセンチュア公式サイト
東京ガス: カスタマーサポートにおけるヒトとAIの協業で生産性、顧客満足度を向上
東京ガスカスタマーサポート(TGCS)では、電話応対業務における課題として、コミュニケーターが参照する情報が適切に整備されていないという問題を抱えていました。
お客さまへの最適対応を追及し、低コストで適切かつ正確な応対をすることで、将来的にはグループ利益向上における重要な戦略ポジションを担うことを目指していました。
支援内容・実績
アクセンチュアは、まず参照情報の適切な整備に着手しました。その上で参照する情報の一元管理やAIソリューションを活用した検索性の高いツールを導入することで、以下の課題を解決しました。
- 適切な情報が登録されていない
- 登録されている情報が見つけられない
- 情報は見つけたものの活用しづらい
結果として必要な情報を素早く確実に確認できるようになり、コミュニケーターの回答サポートや意思決定がスムーズに行われるようになりました。
出典:アクセンチュア公式サイト
日本通運:サプライチェーンの変革
偽造医薬品が流通してしまうことは、患者にとっては大変な脅威となります。近年では各国の政府が製薬業界に対し、予防対策を強く求めるようになっており、ヨーロッパでは製薬会社は適正流通基準 (Good Distribution Practices, GDP)に従って、サプライチェーン全体で医薬品の品質を担保するように定められています。そして、日本でも2018年にGDPのガイドラインが設けられました。この課題に対し、日本通運が包括的なインフラストラクチャを基盤とした業界横断的な新ソリューションを製薬会社に提供することを決定し、日本通運はアクセンチュアを協働パートナーに選びました。
支援内容・実績
アクセンチュアは、IoTおよびブロックチェーンの分野におけるリーダーとしての豊富な専門知識と技術を生かし、標準化されたカスタマーインターフェースと柔軟性に優れたアーキテクチャを特長とする、製薬会社に最適なプラットフォームの構築を支援しました。さらにチームは、クラウドベースのトラッキングシステムの構築に向けて、半導体最大手のインテルとも協働。アクセンチュアはインテルと共に、輸送中の医薬品にインテルの電子タグを添付するシステムを構築しました。このシステムを用いることで、日本通運とその顧客は荷物をリアルタイムに追跡し、問題発生時には迅速に対応することができるようになりました。
出典:アクセンチュア公式サイト
KPMGコンサルティングの支援事例
今治造船株式会社:世界トップの造船所を目指して、今後数十年を支える業務基盤を確立
船舶の建造量で国内トップ、世界でも8%近いシェアを握る今治造船は積極的なM&Aや建造能力の拡充によって日本を代表する造船グループとなりました。激しさを増す中国、韓国企業との受注獲得競争に勝ち抜き、「世界トップクラスの造船所」となることを目指す同社は、今後数十年の成長を支えるために、業務・システムを刷新する必要がありました。
支援内容・実績
KPMGコンサルティングは経営層に丹念なインタビューを重ね、グループとしての総合力を発揮する上で課題となっている点を洗い出しました。抽出された課題の1つが、グループ会社ごとにシステムに登録されているコード・マスタの不統一です。また、造船や管理の現場においては、部門ごと、グループ会社ごとの業務のやり方が不統一で、属人化も著しいことが明らかになりました。
今治造船による「業務・システム刷新プログラム」は、キックオフから5年後の2019年に完了しました。この間、本社およびグループ会社の各部門における業務の効率化・共通化、資材調達、生産管理、経理会計、原価管理に至る業務全体の一貫管理、グループ最適供給体制の確立などを実現し、これらを支え、ビジネス環境や構造変化に柔軟に対応できるシステム基盤も構築されました。
出典:KMPG公式サイト
アビームコンサルティングの支援事例
三菱商事株式会社:ローコードプラットフォームでリスク管理システムを再構築
総合商社大手の三菱商事株式会社はグローバルレベルで激変するビジネス環境に晒されているリスクマネーとそのヘッジ策を適時・適切に管理する必要がありました。
【リスク管理システム導入における主な課題】
- 外部環境やニーズの変化に対応しづらい老朽化したシステム・属人化からの脱却
- タイトなスケジュールかつ期限必達での既存プラットフォームからクラウドへの移行
- 現場業務の大きな実務負担を解消し本来業務への時間創出
支援内容
アビームはカントリーリスク管理システム「リスクエクスポージャーシステム(RES)」をローコードプラットフォーム(LCP)を活用し再構築しました。これにより現場業務の実務負担の軽減、正確性・迅速性の向上を実現させました。また将来の環境変化にも柔軟に適応できるようにし、IT・デジタルによる業務高度化という観点で大きな前進となりました。
総合コンサルの面白さとは?事例インタビュー
ここでは、総合コンサルティングファームで活躍されていたコンサルタントの方に「どういった仕事やプロジェクトが足元で増えているのか」、また、「働き方はどのようなものなのか」についてのインタビューをご紹介します。総合コンサルの仕事のやりがいや面白さ、具体的な業務の流れがイメージできます。
事例①人材サービス企業における全社のデジタルワークスタイル変革の推進
クライアントは、the four(旧GAFA)のようなテック系企業と今後対抗するため、より生産性を高めて行く必要がある、という危機感がありました。それらの企業の最先端の働き方や社内風土を理解し、そこから自社でも導入できるような制度やツールを検討するのが目的のプロジェクトでした。
似たプロジェクトや仕事が増えている背景
昨今米系テック系企業はテクノロジーやDX・データツールを基に新規サービスを創出する中で、人材領域にも進出しています。クライアントとなる人材サービス企業は、米系テック企業の進出に危機感を感じ、それらの企業の働き方やベーシックとなる社内風土を研究し、社内に導入しようとする動きが活発化しています。
プロジェクトの概要
- アサイン人数:4名
- シニアマネージャー1名
- シニアコンサルタント1名
- コンサルタント2名
- プロジェクト期間:2か月
- プロジェクトのスコープ(ゴール)
- プロジェクトの最終成果物として、以下の内容をクライアントと合意する
- 米系テック企業が生産性の高い事業を行えている理由及び実態の調査
- クライアント企業がthe four(旧GAFA)をモデルにした場合、今後の目指す方向性の策定
- クライアントのカウンターパート:副社長、人事・総務部門の役員・事業部長 など
プロジェクトの流れと業務内容
スケジュール設定
こちらのプロジェクトは2か月のスコープの中で、週次でクライアントと定例ミーティングがあります。加えて、それ以外でも適宜クライアントと短時間のミーティングがあります。
社内MTGは、クライアント定例ミーティング後のラップアップミーティングと、毎日の朝と夕方の日次のミーティングが2回あります。
初回にミーティングで各定例ミーティングのアジェンダを設定します。各ミーティングの成果物と、コンサルファームとクライアントの各自のタスクを決定します。
メンバーの動き方
基本的にはクライアントとの定例ミーティングをベースに、その後のラップアップミーティングで1週間毎の各メンバーのゴールや役割を設定します。毎日2回のミーティングの中で、その日の成果物の進捗や上位者に相談したい点を議論します。
インタビューにご協力いただいた方が担当した業務
各テック企業の組織風土・ワークスタイルの調査及び、クライアントとの差分の明示、目指す方向性の策定、各テック企業の目標管理制度の導入支援、デジタルネイティブ企業のワークスタイル及び人事業務分野(採用、育成、福利厚生)の事例調査
基本的にはクライアントミーティング、社内ミーティング、各自の作業の時間帯ですが、それ以外にもいくつか付随業務が発生します。今回のプロジェクトでは、クライアントに米系テック企業が導入している評価制度を一部試験的に導入する、という内容も含まれていました。そのため、その評価制度の導入支援を実施しているベンダーの選定や、試験導入における導入対象期間や対象部門、評価対象をクライアントと決定し、実際に運用する支援も実施しました。
この仕事の面白さ
全社的な変革に携わること
なんと言っても、クライアントの全社的な変革という規模の大きい内容のプロジェクトに携わることが出来る点が挙げられます。具体的には、既存の人材サービス業だけでなく、米系テックの企業の利点や強みを積極的に導入しながら、全社的な働き方をドラスティックに変革できるという、インパクトが非常に大きいプロジェクトでした。
施策検討・導入が迅速に行われること
実際にクライアントと検討した施策を迅速に導入し、その結果や効果検証を素早く行うことができました。特に評価制度の導入は、導入後週次でヒアリングを行い、都度効果や改善点を早い段階でキャッチアップし、高頻度で改善のサイクルを回すことができました。このように、コンサルとしても成果やクライアントへの影響が目に見える形で現れるので、非常にやりがいはありました。
事例②生命保険会社:デジタル人材の育成・獲得及びワークスタイル導入について
生命保険会社であるクライアントが今後DXに関連した事業を展開するにあたり、その事業を推進するデジタル人材の育成・採用に注力する必要がありました。
そのため現在のデジタル人材の定義を明確化し、採用・育成をどう実施するか、採用後、どのようにDX関連事業にアサインするか、という点を検討していくことがプロジェクトの目的でした。
増えている背景
昨今の生命保険会社では、データ利活用によって顧客ニーズに合わせて最適化した保険商品を提案するサービスを始めるなど、DXに関する事業の構築が急務でありました。その中で、DX事業を推進可能な人材の育成・採用・配置について、コンサルファームに対して支援を依頼するケースが増加しています。
プロジェクトの概要
- アサイン人数:4名
- マネージャー1名
- シニアコンサルタント1名
- コンサルタント2名
- プロジェクト期間:2か月
- プロジェクトのスコープ(ゴール)
- デジタル人材の定義
- 上記デジタル人材の今後獲得の方向性(内部育成・外部からの採用など)
- クライアントのカウンターパート:新規事業創出部 事業部長 課長 など
プロジェクトの流れと業務内容
スケジュール設定
こちらのプロジェクトは2か月のスコープの中で、週次でクライアントと定例ミーティングがあります。社内MTGは、クライアント定例ミーティング後のラップアップミーティングと、毎日の朝とお昼と夕方の日次のミーティングが3回あります。初回にミーティングで各定例ミーティングのアジェンダを設定します。各ミーティングの成果物とそれまでにコンサルファームとクライアントの各自のタスクを決定します。
メンバーの動き方
基本的にはクライアントとの定例ミーティングをベースに、その後のラップアップミーティングで1週間毎の各メンバーのゴールや役割を設定します。毎日3回のミーティングの中で、その日の成果物の進捗や上位者に相談したい点を議論します。今回は「デジタル人材の育成・採用」ということがテーマなので、「我々も試験的にデジタル人材に関連する働き方を導入しよう」ということになり、スクラムの働き方を実践しました。
インタビューにご協力いただいた方が担当した業務
IPAや各種情報ソースを基に、プロジェクトにおけるデジタル人材の定義を策定、同業他社及び類似業界よりデジタル人材の獲得・育成方法を調査、クライアントにおけるデジタル人材の獲得・育成のPoC導入の策定
この仕事の面白さ
今後のデジタル人材の定義を策定したこと
このプロジェクトの開始当初、デジタル人材の明確な定義はありませんでした。そこで各種公開情報や競合他社の採用条件などから人材要件を策定し、クライアントが求めるデジタル人材を定義していきました。
このように、正解のない問いに対し、情報を集め、クライアントとディスカッションを行うことで答えを創出することは、非常にやりがいがありました。
実際にファーム内でデジタル人材の働き方を経験できること
クライアントに導入する前に、実際にコンサルファームでデジタル人材の働き方を導入し、効果検証できた点は非常に魅力的でした。特にスクラムの働き方を取り入れることで、プロジェクトのタスクが可視化され、管理が容易になった点や、各自が自分の役割以外も把握する必要があるなど、新たな発見がありました。
その内容を基にクライアントに提案するため、非常に臨場感かつ説得力のある提案になりました。
事例③電気メーカー:間接部門の機能のBPR
電気メーカーであるクライアントが、経営計画で組織人事や間接部門の在り方や制度をより高度化すると発表し、そのために既存業務の見直しや高度化・効率化を実施する必要がありました。そのためにコンサルファームに既存業務の洗い出し、業務・制度のあるべき姿の策定、高度化・効率化の伴走支援を依頼されました。
増えている背景
近年、働き方改革やDX、DEIの影響で、組織人事や間接部門の在り方や制度、業務内容を抜本的に見直そうとする動きが活発化しています。
こちらのクライアントでも、数年後の経営計画で人事制度や間接部門の高度化・再編することを発表し、構想策定だけでなく、伴走支援もスコープとしてコンサルファームに依頼するケースが増加しています。
プロジェクトの概要
- アサイン人数:4名
- シニアマネージャー1名
- マネージャー1名
- コンサルタント2名
- プロジェクト期間:9か月(3か月ごとに都度体制の見直し)
- プロジェクトのスコープ(ゴール):プロジェクトの最終成果物として、以下の内容をクライアントと合意する
- 既存の間接部門の業務の洗い出し
- 各間接部門の業務のあるべき像の策定
- 業務の効率化・廃止の伴走支援
- クライアントのカウンターパート:各間接部門の部長・課長 など
プロジェクトの流れと業務内容
組織体制
こちらのプロジェクトの体制としては、各間接部門(人事・総務・経理・労務など)チームと、各チームを統括するPMOチームの体制でした。PMOチームにはマネージャーとコンサルタント1名、各チームにコンサルタントが2名1組で間接部門を2つ担当するという体制でした。
スケジュール
こちらのプロジェクトは9か月のスコープの中で、最初の3か月で既存の間接部門の業務の洗い出しと各間接部門の業務のあるべき像の策定、残りの6か月で業務の効率化・廃止の伴走支援を計画していました。
隔週でPMOミーティングと各間接部門とのミーティングがありました。ミーティングの流れとしては、各間接部門でのミーティングを踏まえ、PMOミーティングで全体のプロジェクトの進行を統括し、必要に応じて各間接部門と連携していました。社内MTGは、毎日のPMOミーティングと各チームのミーティングがありました。
メンバーの動き方
インタビューにご協力いただいた方はメインで人事部門を担当していました。基本的には隔週の人事部門とのミーティングで業務の洗い出しや効率化・高度化の伴走支援や対応を実施します。その結果をPMOチームに報告し、必要に応じてPMOミーティングにも参加して、人事部門とのミーティングの内容を説明します。
人事部門で発生した課題でも、他の部門に影響を与える場合や、現場の担当者が判断できない場合は、PMOチームにエスカレーションし、他チームと連携して対応する場合もあります。
最初の3か月で人事部門の業務の洗い出しと目指す姿、目標(業務の削減率など)をクライアントと合意します。その上で次の6か月は業務の効率化・高度化の目標を設定し、隔週のミーティングで進捗確認や、必要に応じてクライアントの業務の支援を行います。
インタビューにご協力いただいた方がその中で担当した業務
クライアントの各業務の担当者にヒアリングを行い、業務の全体像・業務量を把握。その上で各業務を整理し、効率化・高度化が可能な業務に分類し、目標達成の施策を立案する。立案した各施策を進捗管理し、管理表をクライアントおよびPMOチームと共有、管理する。クライアントの自走のため、既存業務の可視化及び効率化業務の特定するためのナレッジトランスフォーメーションの資料を作成。
この仕事の面白さ
現場での伴走支援による”手触り感”を得ることができる
今回のプロジェクトは常駐型であり、クライアントの担当者と日々やり取りが発生します。その中で1から業務を全て洗い出し、業務量を把握し、効率化・高度化が可能な箇所を特定します。一見目立たない作業も多いですが、クライアントの業務をより身近で見ることができ、その上でクライアントの担当者と伴走支援を行うため、非常に”手触り感”を持つことができました。
成果の数値化・可視化
今回のプロジェクトでは各間接部門の業務を洗い出し、業務量を数値化します。その上で、効率化・高度化できる箇所を特定し、各部門別に業務削減量の目標を設定します。そのため、自分たちの伴走支援の結果がより高頻度かつ数値として現れることにより、ダイレクトにクライアントに貢献できると感じることができました。
総合系コンサルタントのキャリアパス
ここまで総合系コンサルティングファームについて、働き方やプロジェクト事例、年収など説明してきましたが、総合コンサルタントとして働いた後のキャリアにはどのようなものがあるのでしょうか。
総合系コンサルティングファームは案件の幅も広く、またコンサルタントの数も多いため、コンサル後のキャリアは一括りにできませんが、おおむね下記に分類されます。
- 事業会社への転職
- ベンチャー企業への転職
- 他のコンサルティング会社に転職
- 起業/独立
事業会社への転職
大きく、業務系の案件を多く経験した場合と、IT系の案件を多く経験した場合で、下記2つに分けられます。
業務コンサルとして経験を積んだ場合
- 事業会社の営業企画、オペレーション企画など固有業務の企画部門や特定ファンクションの企画部門(サプライチェーン、組織設計など)への転職
- 事業会社の社内プロジェクト部門全般への転職
ITコンサルとして経験を積んだ場合
- 事業会社のIT企画部門、情シス系部門への転職
- ITベンダー/SIerの営業、コンサル部門への転職
ベンチャー企業への転職
急成長中のベンチャー企業への転職もメジャーなキャリアパスの一つです。
コンサルタントとしてある程度経験を積んだ後、手触り感やより大きな裁量を求めてベンチャー企業へ転職するケースも一般的です。ベンチャー企業側からしてもコンサル経験者には強いニーズがあります。
他のコンサルティング会社に転職
コンサルティング業界では他のファームへの転職も頻繁に行われています。特に総合系コンサルティングファーム間の転職は頻繁に行われています。また、総合系コンサルティングファームでは一度他社に転職した後に、再び自社へ戻ることも頻繁にあります。会社としても優秀な人材であれば、出戻りを歓迎しているためです。
起業/独立
経営者として活躍している総合系ファーム出身も多く存在します。
コンサルタントは独立してからも案件を取りやすく、また失敗した場合も再就職しやすいため、少ないリスクで起業/独立が可能であり比較的メジャーな選択肢です。
以下は総合系ファーム出身の起業家(代表例)です。
総合系ファーム出身の経営者(代表例)
- 金子英樹(シンプレクス株式会社代表取締役社長)
- 吉松徹郎(株式会社アイスタイル代表取締役社長 CEO)
- 柳橋仁機(株式会社カオナビ代表取締役社長 CEO)
- 稲垣 裕介(株式会社ユーザベース代表取締役社長)
- 宇佐美 進典(株式会社VOYAGE GROUP代表取締役社長兼CEO)
まとめ
今回は総合系コンサルティングファームに焦点を当てて紹介させていただきました。コンサルティング業界の中でも特に人気のある総合系コンサルティングファームについて、理解を深めていただけたでしょうか。
*MyVisionでは、コンサル転職に関する情報提供から、適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせて幅広く支援しています。コンサルティングファームへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
総合系コンサルティングファームへの転職を意識されている方は、ぜひこちらの記事もご参考にしてください。