人気の総合コンサルファーム一覧
2024年08月28日更新
総合系コンサルティングファームとは、幅広い業種のクライアントに対して、戦略立案からその実行支援、システム導入、保守運用、業務改善といった包括的なコンサルティングサービスを提供するファームを指します。総合系ファームの中でも規模感の違いや、社風、得意とする案件には違いがあります。 この記事では人気の総合ファームについて、それぞれの特徴について解説します。
監修者
安部 拓朗
Abe Takuro
上智大学卒業後、ジェイエイシーリクルートメントに入社し、大手~ベンチャー企業まで幅広い業界を対象に延べ2,000名以上の転職を支援。大手総合エージェントで培った業界横断的な提案力や面接支援に強みを持つ。
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人気の総合ファームについて違いを紹介
人気の総合系ファームとしては、グローバルでも最大手のアクセンチュアや、Big4と呼ばれる、デロイトトーマツコンサルティング、PwCコンサルティング、EYストラテジー・アンド・コンサルティング、KMPGコンサルティングが挙げられます。 また、国内でもベイカレント・コンサルティングやアビームコンサルティングなど急速に規模を拡大しているファームや、NTTや日立等の大企業を母体としたクニエ、日立コンサルティングなどのファームが挙げられます。
いずれの企業も近年非常に業績を伸ばしており、コンサルタントの採用も積極的に行っています。 今回は、それらの総合系ファームについて、変遷、規模感、社風、案件の特徴といった観点で違いを紹介します。
アクセンチュア
変遷
アクセンチュアは、米国の監査法人アーサー・アンダーセンのコンサルティング部門が1989年に分社化されて、アンダーセン・コンサルティングとして誕生したことが起源です。2000年に完全独立を果たし、2001年1月1日より社名を現在のアクセンチュアに改め、現在に至ります。
規模感
拠点数は世界49カ国200都市以上、従業員数は世界全体で73万8千人ほどで、世界最大級のコンサルティングファームです。 日本の従業員数は約19,000人で、国内でも最大の規模を誇っています。
社風
アクセンチュアは、「Think straight, talk straight」を行動指針に掲げており、自分の正しいと思った考えを相手の立場に関わらず、摩擦を恐れずにしっかり語り、伝えていく姿勢を表しています。そのため、率直な発言が歓迎されており、社員同士がフラットな関係であるのが社風でもあるようです。 また、実際に社員の方にお話を伺うと、世界最大規模のファームならではの特徴として、グローバルレベルでのナレッジシェアが活発であるということをよく伺います。自分の経験やナレッジを出し惜しみすることがないため、お互いの社員の強み・スキルで助け合う文化も強いようです。
案件(得意な領域)
アクセンチュアは業界・ファンクションでほとんどの領域をカバーしているだけでなく、経営・事業戦略からシステム・業務運用、デザイン領域までエンドツーエンドで支援していることから案件は非常に幅広いです。 その中でも、IT・デジタル分野に大きな強みを持っています。ITコンサルタントのみならず、エンジニア、プロジェクトマネジャー、デザイナーなど実際に事業を形にする多様な人材を抱えており実装まで手掛ける案件が多いです。
Deloitte
変遷
Deloitteの歴史は1968年に、等松・青木・津田・塚田・青木・宇野・月下部会計事務所が設立されたことからスタートしました。 1975年にはトウシュ・ロス・インターナショナルへ加盟。そしてトウシュ・ロス・インターナショナルはデロイト トウシュ トーマツと、等松の名を冠した名称となりました。 その後、デロイトの一員として日本のコンサルティングサービスを担い、提言と戦略立案から実行まで一貫して支援するファームとしてトーマツ コンサルティング(現:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社)が設立され現在に至ります。
規模感
デロイト トーマツ コンサルティングはデロイト・トウシュ・トーマツのメンバーファームです。世界150カ国以上で約34万5千人のエキスパートが連携しながらクライアントのサポートを行っています。 国内では4290人(2022年5月時点)が在籍しており、BIG4の中では最大の規模です。
社風
デロイトの特徴は、会社の同僚や上司との距離が近く手厚い研修がある日系企業的な側面と、実力主義で幅広い仕事を任せていくという外資系企業的な側面の両面がある社風です。 また、案件アサインの特徴としては、新人コンサルタントはプールと呼ばれる組織に所属し、特定の領域に限らず広い分野のプロジェクトにアサインされることが挙げられます。 そのため、若手のうちは幅広い経験を積んで自分の専門領域をじっくりと探しつつ、あるタイミングでは実力主義でチャレンジングな経験を積んでいくことができます。
案件(得意な領域)
純粋な戦略立案のみならず、実行支援まで含めたプロジェクトが多く、昔から業務改革コンサルを得意としています。特に、自動車部門が業界最大級であり、同社の代表も同部門から輩出されるケースが多いのが特徴です。 また、世界各国のデロイトグループが有する監査・税務・法務・コンサルティング・ファイナンシャルアドバイザリーなどの強みを生かしてグローバル、かつ、クロスボーダーの案件があるのも特徴です。
デロイトの特徴や年収、働きやすさなどについてはこちらの記事で解説しています。
EY
変遷
1903年にアーンスト・アンド・アーンスト会計事務所が設立されたことからEYの歴史はスタートしました。 その後、複数の会計事務所との合併・提携等の後、2000年に監査クライアントに対する独立性保持のため、コンサルティング部門を売却・分離しました。 2010年にEYアドバイザリーが日本で設立され、現在に至ります。
規模感
EYは世界150以上の国と地域で約30万人が、アシュアランス、コンサルティング、税務、ストラテジー・アンド・トランザクションの分野でグローバルに活躍するプロフェッショナル・ファームです。 EYグループのメンバーファームである、国内のEYストラテジー・アンド・コンサルティング(株)の従業員数は3,534人(2023年2月時点)でBIG4の中ではデロイト、PwCに次いで3番目の規模です。
社風
実際に社員の方にお話を伺うと、EYグループ全体の社風としてもチームに貢献する姿勢が重視され、非常に協力的、かつフレンドリーな人が集まっているようです。 そのため、例えばプロジェクトで行き詰まった時でも、世界中にいる31万人というメンバーが膨大なプロジェクトを通して得た知見を活用していくことが可能です。これによりコミュニケーション、コラボレーションが実現しやすくなります。
案件(得意な領域)
世界150以上の国で展開しているEYならではのグローバルで培われた様々な知見を活かすことができるため、海外展開を考える日本企業や日本市場に参入する海外企業のプロジェクトなどクロスボーダー案件が得意な領域です。 また、財務プロセス改革、全社的コスト削減支援、サプライチェーン最適化といった財務・業務改革の分野も強いことが特徴です。
KPMG
変遷
KPMGは、1987年にPeat Marwick International(PMI)、Klynveld Main Goerdeler (KMG)、およびそれらのメンバーファームの合併により生まれました。 日本国内での歴史は、戦後間もない1949年、KPMGの前身の1つであるPMM(ピート・マーウィック・ミッチェル)が日本事務所を開設したことから始まり合併等を経て、2004年にKPMG税理士法人が設立されました。 KPMGコンサルティングは2014年にKPMGマネジメントコンサルティング株式会社とKPMGビジネスアドバイザリーを統合して設立され、BIG4の中でも歴史はまだ浅いです。
規模感
KPMGは、監査・税務・アドバイザリーサービスを提供するプロフェッショナルファームのグローバルネットワークであり、現在では、世界146の国と地域のメンバーファームに約26万5千人のスタッフを擁しています。 KPMGコンサルティングの日本国内の従業員数は1,420名(2023年1月時点)で、国内のBIG4の中では最も規模が小さいです。
社風
KPMGコンサルティングは、2014年の設立当初の社員数が200名程度、現在は1,400名ほどの社員が在籍しており、約6年間で中途採用を中心に1,000人以上の多様な社員が入社していることになります。 そのため、異なるコンサルティングファーム、事業会社等から集ったバックグラウンドが多彩な出身者で構成される非常に多様性に富んだ組織であるからこそ、社員同士がリスペクトし合い、オープンでフラットなコミュニケーションを促進することを組織としても非常に重視しています。
案件(得意な領域)
総合コンサルティングファームはIT系の領域に強みを持つことが多いですが、KPMGはアウトソーシングビジネスやシステム開発は直接自社では手掛けていません。 コンサルタント集団として、マネジメントコンサルティング(成長やコスト最適化戦略)とリスクマネジメント(法令等に準拠し、リスクをマネージする攻めの戦略)に注力しているのが特徴となっています。
PwC
変遷
PwCグループの歴史は古く、約170年前まで遡ります。1849年にサミュエル L. プライスがロンドンで事業をはじめたのがPwCグループの歴史のはじまりです。 そこから約170年の間に統合を繰り返し、1998年に全世界のプライス・ウオーターハウスとクーパース&ライブランドが合併し、現在のPwCになりました。 1949年には日本で事務所を立ち上げられており、2014年にはブーズ・アンド・カンパニーが加わり、現在では経営戦略の策定から実行までの総合的なコンサルティングサービスを提供できる体制になっています。
規模感
PwCコンサルティング/PwCアドバイザリーは世界152カ国に約32万8千人の社員を有する、PwCグローバルネットワークのメンバーファームです。 PwCジャパンは複数の法人で構成され、コンサルティングだけでなく、監査(アシュアランス含む)、法務、シンクタンク、税務、アドバイザリーの主に6つの領域でサービスを展開しています。 PwCコンサルティングは2022年時点で約3,850名の従業員を抱えており、国内のBIG4ではデロイトに次ぐ規模となっています。
社風
PwCは”やさしさが生む、強さがある”という採用のキャッチコピーにもある通り、フラットで人を大切にする「やさしさ」のあるカルチャーが特徴です。 勿論、ただやさしいだけではなく、イノベーティブでグローバルな案件に前向きに挑戦できるのは、つまずいても上司や同僚からのサポートを受けて立ち上がれる社風となっています。 また、実際の社員の方にお話を伺ったところ、PwCは戦略部門としてのStrategy&や、監査法人も保有しており、各領域のプロフェッショナルがそろっているので、案件によってはお互いがサポート・助け合いながら仕事をする場合もあり、課題解決に対して常に最適なソリューションを提供しやすい環境にあるようです。
案件(得意な領域)
PwCコンサルティングは戦略部隊として「Strategy&」を保有しています。大手総合系ファームの戦略チームと異なる特徴は、自社内から戦略部隊が出来たのではなく、元々戦略系ファームのブーズ・アンド・カンパニーがPwCグループに統合されることによって出来たため、総合コンサルの中では戦略コンサルティングの領域に強みを持っています。 また、PwC Japanの総合力を生かし、戦略、財務、M&A・事業再生、業務・ITコンサルティングの掛け算で支援できるためクロスボーター案件が多いことも特徴となっています。
PwCの特徴や年収、働きやすさなどについてはこちらの記事で解説しています。
ベイカレント
変遷
ベイカレントは1998年に誕生した経営・ITコンサルティングファームです。設立時はシステム構築、ITアウトソーシング事業を中心としたSIerとして創業しましたが、2004年よりコンサルティング領域へ進出しました。 2007年1月よりベイカレントコンサルティングに社名変更し、現在に至ります。
規模感
2015年に919人だった従業員数は、翌年に1000人を突破。2023年4月時点では3,692名と、コンサルタントを中心とした人員体制は急速に拡大しています。 東証一部上場も果たしており、今後も企業規模のさらなる拡大を見据えています。
社風
成長途上の総合系コンサルティング会社であるため、社内ポジションの増加や、出世がしやすい環境が整っています。そのため、若くして成果を挙げる方が多いのがベイカレントの特徴です。 そのため、プロモーションも早く、実力次第では30歳前後でパートナーとして 部門運営にも関わることが可能です。そういった環境から、積極的に裁量を与える社風があり、若手でも成長意欲の高い方が多いです。
案件(得意な領域)
ベイカレントは元々ITアウトソーシング事業を中心としたSIerとして創業したため、システム開発やPMO案件が得意な領域となっております。 また、日本で「DX」という言葉が浸透する以前から「デジタル・イノベーション・ラボ」という専門の組織を立ち上げ、独自のDX方法論を確立するなど、DXコンサルティングの基盤固めを推進し知見をナレッジ化しています。その知見をもとにコンサルタントが提案活動を実施し、各業界のリーディングカンパニーの経営層に対し、DXを構想段階から支援しています。
クニエ
変遷
クニエは、製造業に強みを持ち上流コンサルティングを得意とするNTTデータビジネスコンサルティングと、仏系ITサービス会社キャップジェミニを母体とするザカティーコンサルティングが統合し、NTTデータの戦略コンサルティング会社として2009年に設立されました。
規模感
本社は東京都千代田区。その他日本国内では名古屋、大阪、福岡に、海外ではタイ、インドネシア、マレーシア、ベトナム、中国に拠点を置いており、従業員は約900名です。 総合系コンサルティングファームの中では規模がそこまで大きくないのが特徴です。
社風
クニエは採用数は比較的少ないですが、日系の企業らしく、人を育てることに力を入れている企業です。求職者の人間性が自社に適正かどうかを慎重に見極めた上で採用し、しっかりとコンサルタントとして育成する方針をとっています。 また、長く働いてくれる可能性を持った人材を採用する傾向があり、離職率が低いのも特徴です。
案件(得意な領域)
クニエは生産ライン効率化、生産管理、原価計算など、製造業固有の課題解決が得意な領域です。また、日本企業の海外進出支援、新興国の成長に貢献しており、グローバル案件が多いのも特徴となっています。
日立コンサル
変遷
2003年、日立製作所の子会社でビジネス戦略とIT戦略を統合したソリューションの提供のため株式会社エクスペリオ・ソリューションズ・ジャパンとして設立されました。 その後、事業を拡大しながら社名の変更やオフィスの移転を何度か行いつつ着実に規模を拡大し、2006年に日立コンサルティングと社名変更を行って現在に至ります。
規模感
日立コンサルティングの社員数は2023年2月末時点で460名と、今回ご紹介する総合系コンサルティングファームの中では最も小規模になっています。 その背景には、ITソリューションなどについては親会社である日立製作所が担当するといった協力関係をグループ内で構築しているため、コンサルティング部門内にはIT系人材を抱えていないことも理由として挙げられます。
社風
日立グループのコンサルティング子会社ということもあり、外資系コンサルティングファームと比較すると落ち着いた社風であることが特徴です。 そのため、自身のプライベートも大切にしながら、キャリア選択していくことも可能です。そういった環境から、中長期視点でキャリア構築ができ、長くコンサルタントとして活躍している方が多いです。
案件(得意な領域)
社員数32万人の社会インフラともいえる存在である日立グループの経験知を生かした、大企業やグローバル企業などへの事業戦略・事業企画・業務改革(BPR)などビジネスの上流工程のコンサルティングが中心になります。 中でも、日立製作所が強みを持つ公共領域の案件が日立コンサルティングとしても多いことが特徴となっています。
アビーム
変遷
アビームコンサルティングは、元々、トウシュロスコンサルティングとして、等松・青木監査法人(現有限責任監査法人トーマツ)マネジメントサービス部門より独立する形で設立されました。 2003年にデロイトトゥシュトーマツから脱退し、現在の社名に変更。2004年にNECと資本提携後、成長を続け現在に至っています。
規模感
従業員数7,523名 (2023年4月1日現在)と日系コンサルティングファームとして国内最大級の規模を誇っています。 また、日本発のファームでありながら、グローバルの拠点をかまえており、アジア発のグローバルファームとしても規模を拡大しています。
社風
アビームコンサルティングは日系企業のため外資系コンサルと比べると日本企業としての一面もあり、従業員の多くは人柄もおおらかでマイルド、優しい人が多いのが特徴です。 また、中長期的な視点から能力開発・キャリア構築をサポートする研修・各種制度が整っていることから、 「働きがいのある企業ランキング2022」で6位入賞にもランクインしています。
案件(得意な領域)
日本発のコンサルティングファームでありながら世界各国に拠点を構えており、実際に海外駐在を含めたグローバル案件も多いです。 また、ERP分野の中で特にSAPの導入支援・実装が強く、国内で最多のSAP認定コンサルタントが在籍しています。
まとめ
今回は総合系コンサルティングファームに焦点を当てて紹介させていただきました。 様々ある総合系コンサルティングファームでも、その出自や規模感、社風、得意な領域の違いについて理解を深めていただけたでしょうか。
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