戦略コンサルと総合コンサルの違い インタビューを元に徹底比較
2024年05月30日更新
コンサルティング業界には戦略系ファームや総合系ファーム、IT系ファーム、シンクタンクなど様々な系統のコンサルティングファームが存在しています。本記事ではその中でも、戦略系コンサルティングファームと、総合系コンサルティングファームの違いについて取り上げます。
また、総合系コンサルティングファームから戦略系コンサルティングファームへ活発に転職活動が行われていており、本記事では総合系ファームから戦略系ファームへの転職について、そのメリット、転職経験談などについて紹介していきます。
現在総合系ファームに在籍していて、戦略系ファームへの転職を検討している方は是非参考にしてみてください。
監修者
岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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総合コンサルと戦略コンサルの違い
まずは総合系ファームと戦略系ファームの違いについて解説いたします。主に働き方や業務内容、年収や得られる経験、その後のキャリアパスに大きな違いがあります。
総合系コンサルファームと戦略系コンサルファームの業務や働き方の違い 戦略系ファームは、総合系ファームと比較して業務や働き方に影響を与える要素として下記が挙げられます。
- 案件の期間:総合系は1年以上継続する案件も多いが、戦略系は案件の期間が2-3か月と短いことが多い。
- カウンターパート:総合系は現場のリーダークラスと対峙する事も多いが、戦略系は経営層と対峙することが多い。
上記の背景から、戦略系ファームでの働き方は総合系ファームよりも案件の機関が短く、経営層が期待する高品質のアウトプットを出す必要があるため、ハードワークとなることが多いです。
近年では働き方改革の浸透により、比較的ワークライフバランスが重視される傾向にはありますが、それでも戦略コンサルタントはハードワーク傾向にあるため、心身ともに体力は活躍するために重要になります。
総合コンサルと戦略コンサルの年収の違い
戦略系ファームの案件は、総合系ファームの案件に比べてクライアント側からの要求水準も高い分、単価も相応に高く、一般的に戦略系ファームの単価は総合系ファームの単価と比べると約2倍近くと非常に高額になります。
総合系ファームから戦略系ファームに転職する場合、求められるスキルやアウトプットの水準が高くなることから、一時的に職位を落として転職する場合も少なくありません。しかし、それでも年収自体は同水準、もしくは上がることが期待できます。
総合コンサルと戦略コンサルの経験の違い
総合系ファームでは早いタイミングで特定の業界や機能軸の組織に配置され専門性の色がつくことが多いです。一方、戦略系は新卒・中途問わずマネージャークラス以上になるまでは、担当する業界・機能が限定されず、幅広い経験を得られることが多いです。例えば、仮に1つの案件の期間を3カ月程度とすると、1年あれば4テーマを経験できる計算となります。
そのため、特に若い内は様々な業界に対して多様な機能を通じてクライアントを支援したいと思っている方にとっては戦略系ファームへの転職は魅力的な選択肢となります。
総合コンサルと戦略コンサルの獲得スキルの違い
コンサルタントに求められる基本的なスキルセットについては、戦略系ファームの方が高い水準を求められるものの、戦略系ファームと総合系ファームの間で大きな違いはありません。
しかし、具体的に身に付くスキルといった観点では、戦略コンサルティングファームでは戦略策定やビジネスデューデリジェンスなど総合系ファームでは関われない案件が多い事から、下記のスキルは高い水準で身に付けることができます。
- 市場・競合環境分析
- 事業構造・ビジネスモデル分析
- 業界エキスパートへのインタビュー
- 事業計画策定スキル
- M&Aの一連プロセスに関連する知見
総合コンサルと戦略コンサルのキャリアの違い
ポストコンサルタントには主に下記のキャリアパスがあります。
- 事業会社/スタートアップ
- PEファンド/VC
- 他コンサルティングファーム
- 起業・独立
その中でも事業会社/スタートアップのCXOクラス、PEファンド・VCへの転職は戦略コンサルティングファーム出身者の方が有利になるケースが多いです。
そのため、将来のキャリアの可能性を広げるために、戦略コンサルティングファームに転職したいと考える方も多いです。
総合コンサルから戦略コンサルへの転職
次に活発に行われている総合系コンサルファームから戦略コンサルファームへの転職について紹介します。
総合コンサルから戦略コンサルへ転職のトレンド
現在、総合系ファームから戦略系ファームに転職する方が増加してきています。
その背景として、従来の戦略系ファームはクライアントの上流の意思決定に関わる戦略策定等の支援が中心だったものの、昨今は戦略策定だけに留まらず、実行支援の領域までその提供サービスの幅を広げてきておりコンサルタントの人数規模を拡大している点が挙げられます。
総合コンサル出身者が即戦略として期待できるコンサル経験者であること、また、強化したいデジタル・実行支援分野における知見があるという理由から、戦略系ファームはBIG4やアクセンチュアなどの総合系ファームからの採用を拡大しています。
また、総合コンサルティングファーム自身が戦略チームを保有していることも多く、総合コンサルティングファームの戦略チームに転職、同一ファーム内で戦略チームに異動するといったケースも見られます。
戦略チームを内製している総合系ファーム例
- アクセンチュア(アクセンチュア ストラテジー)
- PwCコンサルティング(Strategy&)
- デロイトトーマツコンサルティング(モニターデロイト)
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYパルテノン)
総合コンサルから戦略コンサルへ転職のメリット
総合コンサルから戦略コンサルへの転職のメリットとしては主に下記が挙げられます。
- クライアントの上流の意思決定に携われる
- 得られるスキルの水準/質が上がる
- 年収が上がる
- 市場価値が高まる
クライアントの上流の意思決定に携わりたい、より高水準・高品質のスキルが求められ成長できる環境に身を置きたい、年収・市場価値を上げたいなどの思いがある方は、戦略系ファームに転職することによって、メリットを享受することが可能です。
総合コンサルから戦略コンサルに転職した方の体験談
総合系ファームから戦略系ファームに転職した方の経験談を紹介いたします。
今回の経験談をお聞きした方は新卒で総合系ファームに入社し、5年間経験した後、よりクライアントの上流の意思決定に関わりたいという思いを持ち戦略系ファームに転職されました。現在、総合系ファームに在籍している方は共感できる部分もあるかと思いますので、是非参考にしてみてください。
転職をしたきっかけ
新卒で総合系のコンサルティングファームに入社し、ITコンサルタントとして働いていました。最初の2年間は実際に自分でシステムのプログラミングやテスト等も行い、徐々に業務要件定義やプロジェクトマネジメント業務も行うようになっていきました。
ITコンサルタントとして経験を重ねる中で、システム導入の支援だけでなく、より上流のクライアントの戦略策定支援に関わりたいと思うようになりました。しかし、総合系ファーム内では期間の長い実行支援・ITシステム導入のPJにアサインされることがほとんどで、もどかしさを感じておりました。
20代後半でマネージャー手前まで順調に評価されプロモーションできていたものの、このままマネージャーになってしまうと、これまでの経験の延長線上でしかキャリアを積めないと思い転職活動をすることに決めました。
転職して得られたメリット
戦略コンサルティングファームへは、総合ファーム時代と同じコンサルタントという職位で転職しました。しかし、戦略系ファームに転職しただけで年収が900万円から1,400万円へと増加し、500万円もアップしたことはメリットでした。
また、転職を考え始めたきっかけとなった、クライアントの戦略策定支援に直に関われるようになったことも大きなメリットです。私が転職して初めて担当した案件も、大手企業の副社長がプロジェクトのカウンターパートとなり、全社戦略立案の支援を行う経験を積むことができました。クライアントの将来の命運を握る仕事に携わることは大きなプレッシャー・緊張感を感じ苦労もありましたが、その分チャレンジングで刺激を得ることができました。
戦略コンサルを経験して感じたこと
やはり、日々の業務で求められるスピード感については最初は苦労しました。総合コンサル時代は1年以上同じクライアントを継続的に支援する案件も多かったですが、戦略コンサルでは2-3ヶ月で仮説立案・検証、最終的な提案まで行うことも多いです。
そのため、日々の仮説設計、リサーチ、示唆出し、構造化など、どの業務も高いクオリティを保ちつつ圧倒的なスピード感で実施することが求められました。
しかし、その分自身の成長につながっていると実感できたため、非常に有意義だったと感じています。
まとめ
総合系ファームと戦略系ファームでは、どちらもコンサルティングファームであるにも関わらず、得られる経験・スキルの水準や質が異なります。
特に、よりクライアントの上流の意思決定に携わりたい、年収・市場価値をあげたいなどの思いがある方にとっては、戦略系ファームの採用も拡大している現在はチャンスとなります。
MyVisionでは、コンサル転職に関する情報提供から、適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせて幅広く支援しています。
戦略系ファームへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。