女性のコンサルタントを取り巻く環境の変化とは
2024年06月24日更新
近年、ハイクラス人材にとってコンサルタントという職種は非常に人気なキャリアの一つです。ハードワークなイメージが強い業界ですが、働き方改革や積極的な女性の積極的な登用といった背景もあり、コンサルティング業界は働く女性にとって非常に人気な業界へ変化しています。
コンサルティングファームに転職する女性は年々増加傾向にあり、こういった背景から弊社MyVisionにも、女性の候補者の方からコンサルキャリアについてご相談を多く寄せられています。
そこで、今回は女性のコンサルタントキャリアについて、各ファームの取り組みや、コンサルとして働くことのメリット、実際に働く方の声などについて詳しくご紹介していきます。
監修者
松代 良子
Matsushiro Ryoko
中学校までを米国で過ごした後、国際基督教大学を卒業。IBMでアナリティクス領域を中心としたITコンサルティングに従事した後、外資オフィス用品メーカー等を経てMyVisionに参画。ITコンサルや英語を生かした転職支援を強みとする。
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女性コンサルタントを取り巻く環境の変化
近年、多くのコンサルティングファームでは、女性コンサルタントのキャリアを支援するためのプログラムや女性コンサルタントの働きやすいような柔軟な働き方改革を積極的に進めています。こういった取り組みだけでなく、全社目標として女性コンサルタントを支援する取り組みを行っているファームも多いです。例えば、「全社員数に占める女性比率」や「全管理職に占める女性比率」などの女性活躍推進に関する指標がKPIとして設定されることもあります。
このような背景もあり、多くのコンサルティングファームで女性コンサルタントを積極的に採用する動きがあります。コンサルティング業界を志望する女性にとって、非常にチャンスが大きいといえます。
下記では各ファームの女性活躍推進に対してどのような取り組みを行っているのか、またそのポリシーについてご紹介します。
マッキンゼーの女性コンサルへのキャリア支援
マッキンゼーでは女性活躍の推進に非常に力を入れており、「女性にとって働きやすい環境を整備すること」や「ジェンダー間の平等を担保すること」といった思想が、社内の隅々まで浸透しています。
多様なバックグラウンドを持つリーダーの育成や、アンコンシャスバイアス(無意識な偏見)を排除するためのトレーニングの実施、グローバルで取り組んでいる女性に対するスポンサー制度の拡充など、様々な取り組みがあります。 マッキンゼーで働く全ての女性が、素晴らしいキャリアの実現ができるような支援体制を構築しているのが大きな特徴です。
詳細な取り組みについては、公式HPで紹介されています。
出典:マッキンゼー公式サイト
アクセンチュアの女性コンサルへのキャリア支援
アクセンチュアでは、女性社員が最大限能力を発揮できるよう制度を整備するだけでなく、経営・人事・現場が一体になってさまざまな女性活躍推進に関する活動を展開しています。
2006年に社内で発足したJapan Women’s Initiatives(現:Gender Diversity Committee)は、女性の採用強化、継続意欲の維持・向上だけではなく、女性リーダーを継続的に輩出していくことを目指しています。
また、アクセンチュアには業務上の上司とは別の立場からアドバイスを行うキャリアアドバイザーがすべての社員についている他、管理職候補の女性社員にはスポンサーという指導役の先輩社員がつき、成長をサポートしています。
実際にアクセンチュアでは、全社員に占める女性社員の比率や管理職比率などを公表しており、女性コンサルタントの働き方支援や採用活動において先進的なファームであることが分かります。
出典:アクセンチュア公式サイト
PwCでの女性コンサルへのキャリア支援
PwC Japanグループでは、経営に女性の視点を取り入れることが組織の成長に不可欠であると考え、女性リーダーの輩出に力を入れています。育成、採用、定着の観点から分析した現状をもとにKPIを設定、モニタリングし、女性リーダーを生み出すプロセス強化のための施策としてスポンサーシップ制度、女性リーダー向けコーチング、若手女性職員向けリーダーシップ研修、復職準備セミナーなど様々な施策を進めています。
出典:PwC公式サイト
ここに紹介したファーム以外にも、数多くのコンサルティングファームで女性の活躍推進を目的としたプロジェクトが実施されています。また、こういった取り組みは女性コンサルタントの方からも非常に支持されており、次の章で実際に働く女性コンサルタントの声について紹介します。
実際に働く女性コンサルタントの声
各ファームでは女性活躍推進に積極的に取り組んでおり、活躍されている女性コンサルタントへのインタビュー記事も多く掲載されています。女性の働き方について気になる方は是非参考にしてみてください。以下ではその中の一部をご紹介させていただきます。
アクセンチュアで働く女性コンサルタントの声
以下はアクセンチュアで活躍する女性コンサルタントが女性にとってアクセンチュアが働きやすい環境である理由について説明しているものの抜粋になります。
こちらのインタビューでは、その他にも前職で働いていたプラントエンジニアリング会社とアクセンチュアのカルチャーの違いなどについて解説されています。
出典:アクセンチュア公式
アクセンチュアに長くいる理由(一部抜粋)
- 性別でやりたいことを制限されない、むしろ女性であることも大事にしてくれる(多様性を尊重する社風)
- グローバルCEOが女性であり、更にインクルージョン&ダイバーシティへの取り組みが深まったと感じる(世間では数値目標に対する批判もあるかもしれませんが、結局女性が一定数いないと女性社員は働きにくい・・・)
- 妊活・育児休業・時短勤務への理解・配慮があり、子供を産んだ後も働きやすい(男性の上司も育児している人が多く理解がある)
- IT企業でリモートワークや在宅勤務の先進的な職場環境がもともとあり、育児と両立しやすい
KPMGで働く女性コンサルタントの声
続いて、KPMGで活躍する女性コンサルタントのインタビューを紹介します。
こちらの記事は、KPMGにおける女性社員の自分らしいキャリアに関してインタビューしたものになります。私生活とのバランスを取りながらキャリアを着実に築くことができる環境について解説されています。
出典:KPMG公式
KMPGでの働き方について
娘の出産にともない、産休・育休あわせて一年ほど休職し、復職後の現在も、時短勤務制度を利用しています。
時短勤務や急なお休みで、迷惑をかけるのではないかと不安もありましたが、メンバーの理解と協力も得ながら、無理なく復帰できました。さらに、時短勤務下で、パフォーマンスを上げていけるようオンオフの切り替えをした結果、マネジャーにも昇格できました。私生活とのバランスを取りながらステップアップできていると実感しています。
(中略)
当社の時短勤務制度は、子供の小学校卒業まで継続利用ができることに加え、30分単位の設定や1ヵ月単位でも申請することができます。娘がまだ小さく、家庭の状況に応じて柔軟に利用することができるので、大変助かっています。
この他にも女性コンサルタントがコンサルティングファームで働くことに対する率直なインタビューが掲載されていますので、実際の働き方やプライベートとの両立の仕方等、気になる方は各ファームのHPを参考にしてみてください。
女性がコンサル業界に転職するメリット
上記で解説したように、各ファームの女性活躍推進に向けた様々な取り組みによる効果もあり、近年ではコンサルティングファームへの転職を希望する女性の数が大幅に増加しています。
以下では、女性がコンサルタントとして働くことで感じる大きなメリットを3つご紹介します。
柔軟な働き方
一般的な企業と比べるとかなり柔軟な働き方が可能であるということは、コンサルティングファームで働くメリットです。出産や子育てなどの重要なライフイベントとキャリアを両立したい女性にとって、キャリアを柔軟にコントロールできることで、ライフイベント上の意思決定に関するストレスを大きく減らすことができます。
柔軟な働き方が可能な背景には、いくつか理由があります。まず多くのコンサルティングファームで重要視されていることは結果を出すことです。結果が出ていれば、それに至る過程はある程度自由に設定することができます。例えば、クライアントとのコミュニケーションで適切に調整できていれば、子供の保育園への送迎をしてから出社するなどの、個々のライフスタイルに合わせた働き方が可能になります。
また、トップダウンで仕事が指示されるのではなく、コンサルタントと上長の擦り合わせを経て配属されるプロジェクトが決まることも柔軟な働き方を実現する重要な要素です。例えば、海外拠点とのクロスボーダー案件など時差の関係で柔軟に働くことが難しい案件に配属されないように、事前にコミュニケーションを取ることができます。
評価制度
コンサルティングファームでは一般的に、年功序列ではなく成果主義の評価制度が採用されています。これは仮に出産や育児などのライフイベントにより一時的にキャリアから離れた場合も、復職後に成果を上げることができれば、キャリアを途中で断念する必要がないということを意味します。
コンサルティングファームでは、プロジェクトごとに評価がきちんと明示されたり、プロジェクト経験やポジションが明確なため、休職期間明けであってもご自身のできることを具体的にアピールしやすい環境があります。結果的に、他業種に比べるとコンサルタントはライフイベントによりキャリアを諦める必要性が低くなるというメリットがあります。
キャリアの自由度
コンサルティングファームで働くことのメリットの一つに、自身の市場価値を大幅に向上させることができるという点が挙げられます。コンサルタントとして得られる経験やスキルは、あらゆる業界や職種においても活かすことができ、個人の市場価値を高めることにつながります。その結果、キャリアの選択肢が大きく増え、ライフイベント等で一時的に離職する場合でも、コンサルティングファームでの経験があることで、復職や再就職がしやすくなります。
特に出産や育児で一時的にキャリアから離れる可能性のある女性にとっては、この点は非常に重要で、再び働き始めたいと思った時に、より広い選択肢からキャリアを選ぶことが可能になります。例えば、給料はそのままで、よりワークライフバランスの取りやすい事業会社に転職するといった選択肢などがあります。
各界で活躍するコンサル出身の女性
コンサルタントとして活躍した後に別のフィールドで活躍されている方も多くいます。以下では、元コンサルタントでありながら、現在も各分野で活躍している女性をご紹介いたします。
南場智子 氏
元マッキンゼー パートナー。式会社ディー・エヌ・エー創業者、代表取締役会長。NPB・横浜DeNAベイスターズオーナー。 女性初の日本プロ野球オーナー会議議長。女性初の日本経済団体連合会副会長。
津坂美樹 氏
元BCG チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)。日本マイクロソフト株式会社 代表取締役 社長。BCGではエグゼクティブ・コミッティ(経営会議)メンバーおよびチーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)を務める。
勝間和代 氏
アーサー・アンダーセン、マッキンゼー等を経て独立。現在は独立開業して株式会社監査と分析取締役、国土交通省社会資本整備審議会委員、中央大学ビジネススクール客員教授などとして活躍。
伊賀泰代 氏
マッキンゼーに17年間在籍した後、キャリア形成コンサルタントとして独立。2012年11月に『採用基準』を発刊。現在は講演や対談、取材やイベントなど積極的に活躍中。
業界未経験からコンサルに転職するには
ここまで女性コンサルタントの働き方や、各ファームの女性活躍に対する取り組みについて説明しました。コンサル業界では女性コンサルタントの採用に非常に積極的な姿勢を示しており、コンサル未経験からコンサルタントキャリアを考えている方にとっては今がベストなタイミングであると言えます。
しかし業界未経験からコンサルティングファームに転職するには、事前の対策や計画など様々な準備が必要となります。そのため未経験からの転職は難易度が高く、転職においてはコンサルティング業界を専門とした転職エージェントの活用が非常に効果的です。
弊社MyVisionでは、ご自身のキャリア目標に合わせた転職活動のサポートを提供しています。業界の動向や転職市場の情報提供、応募書類の添削、ケース面接対策など、転職に必要な様々な支援をサポートさせていただきます。弊社でも戦略ファーム出身のメンバーを中心に、これまで数多くの方のケース面接や選考対策を支援してきました。
もし未経験からのコンサル転職に不安を感じている方がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。ファーム毎の傾向や、最近のトレンド等含めてサポートさせていただきます。
まとめ
本記事では、女性のコンサルティングファームでの働き方について解説しました。
近年、女性コンサルタントは様々なフィールドで活躍しており、多くのコンサルティングファームからも強いニーズがあります。
未経験からのコンサルティング転職は事前準備など大変なこともある反面、自身のキャリアを飛躍させる大きなチャンスでもあります。
MyVisionでは、コンサル転職に関する情報提供から、適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせて幅広く支援しています。
コンサルティングファームへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
参考:子育て中の転職ノウハウ / QOOL Career 参考:ワーママのリアルなタイムスケジュール!仕事と子育てを両立させるコツも紹介 / おけいこタウン 参考:【多種多様な考え方と視点】これからの時代、“女性活躍”で何を目指す?|ママの求人