フェルミ推定とは?ケース面接との違い、問題の種類や評価されるポイントを例題と合わせて解説
2025年07月03日更新
フェルミ推定とは、明確なデータがない状況でも、限られた情報や常識をもとに論理的に数値を概算する思考法のことです。不確実な状況でも、論理的に納得できる回答を導きだせます。
この記事では、フェルミ推定について、具体的な問題の種類や解き方、ケース面接との違いを解説します。
さらに実際の例題を使ったステップごとの進め方や、面接官が評価するポイント・押さえておきたいコツまで網羅的に紹介するため、ぜひ参考にしてください。
目次
全部見る
フェルミ推定とは?概要や種類を解説
フェルミ推定は、曖昧な状況下でも論理的に数値を導き出せる優れた思考法です。
一見すると答えようのない問いに対しても、仮説を立て、要素を分解しながら推論を重ねることで、現実に近い数値を概算することができます。
ここでは、フェルミ推定の基本的な考え方と、よく使われる問題のパターンについて解説します。
形式ごとの特徴を理解しておくことで、面接などの実践の場でも応用しやすくなるはずです。
フェルミ推定の概要
フェルミ推定は、ノーベル物理学賞を受賞したエンリコ・フェルミに由来しています。
フェルミは「原子爆弾の爆発時に紙切れがどれほど飛ぶか」など、即座に近似値を導く力に優れていたことで有名です。
フェルミ推定で扱われる問いは、「日本に電柱は何本あるか」「アメリカにいるピアノの調律師は何人か」といった、直感的に答えが浮かばないものが大半です。
こうした問いに対し、以下のステップで答えに近づいていくのが、基本的な流れです。
- 仮説
- 分解
- 推定
- 計算
フェルミ推定は、市場規模を把握したり売上を見積もったりといった、ビジネスシーンで多く活用されます。
また、コンサルティングファームの選考では、論理的思考力を測る目的で、ケース面接の一部として出題されることが一般的です。
そのため、これらの業界を目指す方にとって、フェルミ推定はケース面接対策として必須のスキルといえるでしょう。
フェルミ推定の種類を例題と合わせて解説
フェルミ推定は、目的や切り口に応じて3つのパターンに分けて考えると、より効率的に進められます。
- マクロ売上推定
- ミクロ売上推定
- 個数推定
特にケース面接では、質問の意図を正しく汲み取り、「どの推定パターンに該当するのか」を瞬時に判断することが大切です。
ここでは、それぞれの種類について、具体的な例題を交えながら解説していきます。
分類の違いを理解しておくことで、本番でも迷わず選択できるようになるでしょう。
マクロ売上推定
マクロ売上推定は、市場全体の売上規模や業界全体の動向を見積もるフェルミ推定です。
業界の成長性を捉えたり、新規事業や投資の妥当性を検討したりする際に役立ちます。
大枠のビジネスインパクトを把握する目的で用いられることが多く、市場全体の「おおよその規模感」をつかみたい場面に適しているものです。
【マクロ売上推定が該当する問い】
- 日本のコンビニ業界の年間売上は?
- 日本のスマートフォン市場の年間販売台数と売上は?
- 日本国内のタクシー業界の売上規模は?
- 日本におけるペット関連商品の市場規模は?
こうした問いに対しては、「店舗数×平均売上」や「世帯数×利用率×単価」など、マクロな視点で情報を分解しながら推定を進めることがポイントです。
特にコンサルティング業界では、クライアントの業界理解や市場参入判断に直結する重要な思考スキルとして、マクロ推定力が高く評価されます。
ミクロ売上推定
ミクロ売上推定は、特定の店舗やエリアにおける売上を細かく見積もるフェルミ推定です。
新規出店の収益性の評価や、既存店舗の売上改善、施策の費用対効果の判断など、現場レベルの意思決定に役立ちます。
【ミクロ売上推定が該当する問い】
- マクドナルド1店舗の1日の売上は?
- 銀座のユニクロ1店舗の月商は?
- 新宿駅構内のスターバックスの1日の売上は?
これらの問題では、「客数×客単価×営業日数」や「時間帯別の来客数×購買率」など、現場に即したデータや仮定を組み合わせて試算する力が求められます。
また面接や実務では、正確な数値よりも「どう考えたか」「どう分解したか」といった考え方のプロセスが重視されます。
現実に即した前提を置けるかどうかが、評価の分かれ目です。
個数推定
個数推定は、ある対象物の総数を論理的に導き出すフェルミ推定です。
対象を「所有物」と「非所有物」に分類し、それぞれに適したアプローチで数値を見積もります。
所有物の場合は、ユーザー数や普及率をもとに推定し、消費行動や市場分析をするのに有効です。
一方、非所有物の場合は、「どこにあるか」を基準として、インフラ整備や資源の管理などに活用されます。
【所有物の例題】
- 日本にあるテレビの台数は?
- 日本全国の自転車の台数は?
- 日本人が所有するスーツケースの数は?
【非所有物の例題】
- 日本全国の電柱の本数は?
- 東京にある信号機の数は?
- 日本にあるホテルの部屋数は?
これらの問いに対しては、「世帯数×普及率」「エリアごとの平均設置数×地域数」などを用い、数値の裏付けとなる前提をしっかり構築することが重要です。
個数推定は、特定の市場やインフラ状況を理解するうえで役立ちます。
ビジネスの意思決定に直結する実践的な思考力を問う問題として、面接でも頻出です。
フェルミ推定の活用シーン
フェルミ推定は、コンサルティングファームや投資銀行での採用試験で頻繁に使われます。
これらの業界では限られた情報から仮説を立て、市場規模や売上予測、新規事業の妥当性を迅速に判断する場面が多く存在するためです。
また、通常の業務では、難易度が高く複雑な課題について考え続ける必要があります。
自身がそうした業務に向いているかどうかを図る試金石としても、フェルミ推定は活用可能です。
コンサル業界や投資銀行を目指すのであれば、フェルミ推定を単なる選考対策ではなく、現場で求められるスキルを身につけられる絶好のトレーニングと理解しておきましょう。
ケース面接とフェルミ推定の違い
コンサルティングファームや投資銀行の面接では、「ケース面接」と呼ばれる実践的な面接がよく実施されます。
フェルミ推定とケース面接を混同する人もいますが、両者は目的も進め方も異なるものです。
フェルミ推定が「数値を推論すること」であるのに対して、ケース面接ではその数値をもとに、どう課題を解決するかという自分の考えや提案までが求められます。
ここからは、フェルミ推定とケース面接の違いを、3つのポイントに分けてわかりやすく解説します。
求められる答え
フェルミ推定とケース面接の違いを、以下にまとめました。
【フェルミ推定とケース面接の違い】
項目 | フェルミ推定 | ケース面接 |
---|---|---|
主な目的 | 限られた情報から妥当な数値を導き出す | 推定した数値をもとに課題解決策を提案する |
重視される点 | 論理の一貫性、仮定の妥当性、思考の過程 | 論理性、提案力、発想力、ビジネスセンス、説得力のある結論 |
問いの例 | 「東京ディズニーランドの1日の売上は?」 | 「東京ディズニーランドの売上を2倍にするにはどうすべきか?」 |
横にスクロールできます
フェルミ推定では、「東京ディズニーランドの1日の売上は?」のように答えがすぐに出せない問いに対して、仮定を立て、要素に分解しながら論理的に数値を導きます。
重視されるのは、数値の正確さではなく「どう考えたか」という思考の流れや仮定の妥当性です。
ケース面接では、推定した数値をもとに、課題に対する現実的で効果的な提案を行うことが求められます。
たとえば「東京ディズニーランドの売上を2倍にするには?」といった問いに対して、論理性・発想力・ビジネスセンスを駆使し、説得力ある提案ができるかが評価のポイントです。
つまり、フェルミ推定が「考えるプロセスを見る問題」なのに対し、ケース面接は「考えたうえで何が提案できるかを見る問題」だといえるでしょう。
問いに対するアプローチ方法
フェルミ推定とケース面接はどちらも論理的思考力や問題解決力を評価する試験ですが、問いへのアプローチの仕方に明確な違いがあります。
以下でアプローチの違いを分かりやすくまとめました。
【フェルミ推定とケース面接のアプローチの違い】
項目 | フェルミ推定 | ケース面接 |
---|---|---|
問いのとらえ方 | 答えが出しにくい数値を仮説と分解を通じて導き出す | 課題全体をとらえ、どう解決するかを考える |
アプローチの流れ | 1.問題を分解 2.仮定を立てて数値化 3.推定を積み上げて答える | 1.必要に応じて推定 2.課題整理 3.論点を明確にして解決策を提案する |
ゴール | 論理的な数値を出す | 数値をもとに実現可能で効果的な打ち手を提示する |
横にスクロールできます
フェルミ推定では、「答えがまったくわからないような問い」に対して、いくつかの要素に分けて仮説を立てながら数値を導き出していくのが基本です。
たとえば「東京にある電柱の数」という問いであれば、「東京の面積」や「1kmあたりの電柱の本数」などに分解し、常識や推測を使って答えに近づいていきます。
一方、ケース面接では、数値の推定はあくまで課題を解決するための手段のひとつです。
たとえば、「ある企業の売上を2倍にするにはどうすればよいか」といった問いに対しては、推定した数値をもとに、どのような策が現実的で効果的かを考え、提案していく力が求められます。
このようにフェルミ推定は「どうやって数値を出すか」が中心であり、ケース面接は「その数値をもとに何を提案するか」までが求められるという違いがあります。
面接官とのコミュニケーション
ケース面接とフェルミ推定では、面接官とのコミュニケーションの取り方にも違いがあります。
フェルミ推定では、自分の考えを面接官に対して一方的に説明する場面が多くなるため、数値の根拠や仮定を順序立てて話す「プレゼン力」が重要です。
特に「なぜそう考えたか」「どうやって計算したか」を、シンプルで論理的に伝えることが求められます。
一方のケース面接は、面接官と会話しながら思考を進めるスタイルです。
質問を受けて仮定を修正したり、提案の方向性についてディスカッションしたりと、柔軟な対応力や会話を通じて議論をリードする力が試されます。
以下に、両者の違いを表にまとめました。
比較項目 | フェルミ推定 | ケース面接 |
---|---|---|
コミュニケーションの型 | 発信型(自分から説明する) | 対話型(面接官とのやり取りを重視) |
重視される力 | 論理的な説明力、プレゼンテーション力 | 柔軟な対応力、議論の展開力、提案力 |
面接官とのやり取りの頻度 | 少ない(基本的に一方通行) | 多い(質問・フィードバックを受ける) |
横にスクロールできます
どちらの形式でも、論理的に考えを整理し、相手にわかりやすく伝える力が重要です。
形式の違いを理解したうえで、意識的に練習しておくと安心です。
ケース面接におけるフェルミ推定で見られるポイント
フェルミ推定は、数値の妥当性そのものではなく、限られた時間と情報のなかで、どのように考え、どのように答えを導き出すかというプロセスが評価されます。
特にケース面接の一部として出題される場合、コンサルタントとしての素養が備わっているかを見極めるための試験として位置づけられます。
そこで見られているのが、以下の4つの評価ポイントです。
- 論理的に構造化して考えられているか
- 発想に柔軟性があるか
- 面接官に伝える力があるか
- 正解のない問いにも前向きに取り組めるか
ここでは、それぞれの評価ポイントについて具体的に解説していきます。
論理的思考力
フェルミ推定では、問いに対して筋の通った論理で答えを導けるかが最大の評価ポイントです。
このとき必要とされるのが「論理的思考力」です。
論理的思考力とは、「なぜそう考えたのか」「どうしてこの数値を使うのか」といった「なぜ・どうして」を徹底的に考え、答えを導き出す力のことを指します。
評価されるポイントは次のとおりです。
- 仮定の一貫性:「なぜその数値を使うのか」を明確に説明できる
- 問いの分解力:複雑な問題を無理なく要素ごとに整理できている
- ロジックのつながり:考え方の流れに飛躍がなく、納得感がある
- 現実感のある推論:常識や実態に合った、非現実的でない仮定を置けている
コンサルタントは、情報が不足した中でも仮説を立てて課題を整理し、顧客に納得してもらえる提案を行わなければなりません。
フェルミ推定は、そのための実践的な論理力を評価する場ともいえるでしょう。
発想の柔軟性や視野の広さ
フェルミ推定では、1つのアプローチだけで完璧な答えにたどり着けることはほとんどありません。
むしろ重要なのは、複数の視点や切り口から問題を捉え、最も妥当性の高い手法を選び出す柔軟な思考力です。
たとえば売上を推定する場合「客数×単価」という基本的な分解だけに頼るのではなく、以下のような切り口を加えることで説得力が増します。
- 時間帯ごとの来店数
- 曜日や季節による変動
- 店舗の立地や規模
- 客層の特徴
視野が狭かったり、柔軟な発想ができなかったりすると、一見論理的に見えても現実味に欠けてしまい、面接官にマイナスの印象を与えてしまうこともあります。
最終的に提示するのは1つのアプローチでも、複数の選択肢を一度広げたうえで比較検討し、最適解を選べるかどうかがポイントです。
そのためには、普段から多様な事例に触れたり、身の回りの現象に疑問を持つ癖をつけたりして、思考の引き出しを増やすようにしましょう。
プレゼンテーション力
フェルミ推定では、正しい答えを出すこと以上に、その答えを「どう伝えるか」が評価の分かれ目になります。
実際のコンサルティング業務でも、どれだけ優れた分析をしても、クライアントにわかりやすく伝え、納得してもらえなければ価値がないからです。
そのため、面接でも同様に自身の考えを論理的かつ簡潔に説明するプレゼンテーション力が試されています。
重要なのは、思考の流れを整理し、根拠と結論を一貫して伝えることです。
数値を導き出す過程や仮定の前提条件を、聞き手の理解を促す形で説明することで、回答の説得力が大きく高まります。
面接でも「出した答えを相手が納得できる形で説明すること」がゴールであるという意識を持つようにしてください。
明確な答えのない問いへの姿勢
フェルミ推定では、「正解がない問いにどう向き合うか」という姿勢自体が評価の対象になります。
実際のコンサルティング業務でも、確実な正解が存在しない問題に対して、限られた時間と情報の中で仮説を立て、方向性を示すことが大切なためです。
そのため面接でも、不確実な状況でも諦めずに答えを出し切る姿勢が重視されます。
途中で思考が止まったり、「時間が足りなかった」と言い訳するのではなく、自分なりの根拠を持って最後まで考え抜けるかが合否を分けるポイントです。
この姿勢を鍛えるためには、多くの練習問題をこなして、自分の思考を制限時間内に出し切る経験を積みましょう。
慣れてくれば、問いに対する構造化や仮定の置き方も自然と身についていきます。
フェルミ推定のやり方
フェルミ推定で出題される問題は一見突飛な問いにも見えますが、手順を押さえて考えれば、誰でも一定の精度で推定を行えます。
重要なのは、思いつきではなく、論理的な筋道を立てて計算することです。
ここでは、「日本にカバンはどれぐらいあるか?」という例題を用いながら、フェルミ推定の基本的な5ステップをわかりやすく解説していきます。
- 前提確認
- 方針決定
- 構造化
- 数値代入と計算
- 現実性検証
この流れを理解しておくことで、実際のケース面接でも落ち着いて回答を組み立てられるようになるでしょう。
1.前提確認
フェルミ推定では、いきなり数値を出そうとするのではなく、まず問いの意味をしっかり整理することが大切です。
対象が何を指しているのか、どこまでを含めるのかを明確にしないと、後の推論がすべてズレてしまいます。
たとえば、「日本にカバンはどれぐらいあるか?」という問いを考えるときは、次のような前提の確認が必要です。
確認事項 | 前提 |
---|---|
「カバン」とは何を指すのか? | 小さなポーチやショルダーバッグは除き、「両肩に背負うリュックサック型のカバン」と定義する |
誰が持っているカバンを数えるのか? | 企業が販売目的で保有している在庫は除外し、「個人が所有しているもの」に絞って考える |
横にスクロールできます
このように、推定対象の「定義」と「範囲」をはっきりさせることが、ロジックのブレを防ぎ、説得力ある答えにつなげる第一歩になります。
どんな問いであっても、最初の前提確認を丁寧に行う習慣をつけましょう。
2.方針決定
前提を確認したら、次は「どのように推定するか」という全体の方針を決めます。
この時点では、まだ細かく数値を分解する必要はありません。
まずは、大枠のアプローチを設計することが重要です。
この段階で選ぶ方針がずれていると、あとでどれだけ正確な数値を当てはめても、最終的な答えが現実離れしてしまいます。
そのため、まずはいくつかの方法を考えてみた上で、最もシンプルで妥当性の高いものを選ぶようにしましょう。
たとえば「日本にカバンはどれぐらいあるか?」という問いに対しては、次のような方針が考えられます。
【方針の例】 日本の人口×1人当たりのカバンの平均所有数
このように、全体の骨組みを先に決めておくことで、後の因数分解や数値代入もスムーズに進みます。
フェルミ推定では、この「方針決定」が推定全体の土台となるので、丁寧に設計することが大切です。
3.構造化
全体の方針が決まったら、次はその計算式をより細かく分解(=構造化)していきます。
このステップでは、仮定を立てやすくするために、対象を論理的に分類していくことがポイントです。
今回の例題「日本にカバンはどれぐらいあるか?」では、「日本の人口×平均所有数」という方針を打ち出しています。
しかし、日本の人口約1.2億人をそのまま扱っても、平均所有数の想定があいまいになりやすいため、性別×年代で以下のように分類します。
- 男性:10代・20代・30代・40代・50代以上
- 女性:10代・20代・30代・40代・50代以上
このように分けることで、「女性の方がファッションへの関心が高く、所有数が多いのでは」「社会人のほうが学生よりも収入があり、カバンを複数持っていそう」といった、現実に即した推論が立てやすくなります。
【所有数の仮定の立て方(例)】
- 10代:収入が少ないのでカバンの所有数は少なめ
- 30代女性:通勤用・休日用・子育て用など複数持っていそう
このように、構造化の工程では「誰が、どれくらい持っているか」を細かく分けて考えることで、推定に説得力を持たせることができます。
無理のない粒度で、現実に沿ったモデルに仕上げる意識を持つことが大切です。
4.数値代入と計算実行
構造化まで完了したら、次は実際に数値を代入して計算を進めるステップに移ります。
これまでの仮定を具体的な数字に置き換えて、最終的な推定値を出す工程です。
数値代入の進め方は、以下の通りです。
- 各セグメントごとに「人口 × 所有数」を計算する(例:「20代女性が平均3個のカバンを持っていて、人口が600万人」であれば、600万人×3個=1,800万個)
- 同様に、他の性別や年代についても計算を行い、最後に合算して全体の数を出す
このフェーズで大切なのは、スピード感です。
これまでのステップで仮定や構造を丁寧に組み立ててきたからこそ、数値代入と計算はテンポよく進める必要があります。
限られた面接時間内では、すべてを正確に計算するよりも、おおよその数を一貫性をもって導き出せているかが評価のポイントになります。
たとえば端数の処理などで悩みすぎず、概算で進めて問題ありません。
重要なのは、これまで立てた仮定に基づいて、筋道立てて数値を積み上げていけているかどうかです。
正確な計算結果ではなく、思考の妥当性が数値として表れているかを意識しましょう。
5.現実性検証
フェルミ推定は、数値を出して終わりではありません。
その答えが現実的かどうかを確認することまでが、フェルミ推定の一部です。
いくらロジックが通っていても、最終的な数値があまりに常識から外れていれば、仮定や分解に無理があった可能性が高くなります。
たとえば、「日本のカバンの数」が 3億5,000万個 という結果になった場合、日本の人口約1億2,000万人と照らし合わせると 1人あたり約3個 のカバンを持っていることになります。
これは実際の生活感覚から見ても、大きなズレはなく、妥当な結果と判断できます。
このように、最終的な答えが現実と大きく乖離していないかを確認するためには、以下のような視点が有効です。
- その数値は自分や身の回りの人の感覚と照らして違和感がないか
- 一般常識や統計データと比べて極端すぎないか
- 仮定のどこかに無理がなかったか逆算的に振り返ることができるか
この現実性の検証までを丁寧に行うことで、論理的思考の完成度がさらに高まり、面接でも説得力を持って説明することが可能になります。
数値だけに目を奪われず、その背景や意味を「最後まで見る」ことを意識しましょう。
フェルミ推定を解く上でのポイント
フェルミ推定は、明確な正解がない問いに対して、限られた時間と情報の中でどれだけ合理的な答えを導けるかを試す問題です。
そのため、ただ流れに沿って解けば良いというものではなく、思考の質を高めるためのコツや工夫が重要になります。
特に面接では、限られた時間内でロジックを組み立て、説得力のある結論にたどり着けるかが重要です。
ここでは、フェルミ推定を解くうえで意識すべき3つのポイントについて、具体的に解説していきます。
根拠のある数値を使う
フェルミ推定では「プロセス重視」が基本とはいえ、数値に根拠がなければ、論理全体の説得力も弱くなってしまいます。
そのため、次の2つの観点を意識して、できるだけ納得感のある数値を選びましょう。
【2つの観点】
観点 | 例 |
---|---|
常識や基礎知識に基づく数値を使う | 「日本の人口は約1.2億人」「1日は24時間」「1人あたりの食事回数は3回」など一般的に知られている情報はそのまま信頼できる数値として使用可能 |
誰もが納得しやすい感覚的な根拠を示す | 明確に知らなくても「男性より女性のほうがファッションに敏感だからカバンの所有数も多い」など直感的に理解できる理由付けは有効 |
横にスクロールできます
このように、「根拠のある数値」を使うことで、仮定の妥当性が増し、結果として導かれる答えにも現実味が生まれます。
面接では細かい正確さよりも、納得感のあるロジックと数値の積み上げが重要です。
時間配分に気をつける
フェルミ推定は、限られた時間の中で結論まで導き出すことが求められるため、時間配分を意識した回答が不可欠です。
本番のケース面接では、フェルミ推定に使える時間は およそ5〜10分程度が一般的です。
そのため、次のような点を意識しましょう。
- ロジックや数値にこだわりすぎると時間切れになる
- ある程度は“決め”の問題と割り切る
- 練習によって感覚を養う
完璧な答えを求めて深掘りしすぎると、結論までたどり着けないことがあるため、重要なのは「結論まで出せる一貫した思考」を見せることです。
いくつかのアプローチを検討したら、最も妥当性が高そうな方法を選び、覚悟を持って推論を進めましょう。
この判断力とスピード感は、実際に何問も解いて感覚を養うことでしか身につきません。
時間制限のある模擬練習を繰り返し行い、自分なりの時間配分の基準を確立してください。
因数分解のパターンをしっかり覚えておく
フェルミ推定には、これさえ覚えれば絶対に解けるという公式は存在しません。
しかし、よく使われる因数分解のパターンやアプローチ方法にはある程度の「型」が存在します。
代表的なパターンは以下の通りです。
- 売上の推定:客数×単価
- 所有数の推定:対象者数×平均所有数
- 市場規模の推定:人口×利用率×単価
こうしたパターンをあらかじめ知っておくことで、本番で初めて見る問いに対しても、どのアプローチが使えそうかをすぐに思い描けるようになります。
特に面接本番は、時間との戦いです。ゼロからロジックを考え始めるのではなく、使える型からすばやく選ぶという思考プロセスが、大きな武器になります。
そのためにも、普段から多くの問題に触れながら、「どんなときにどのパターンを使うか」を意識して練習することが大切です。
コンサル業界に転職するならMyVision
コンサル業界への転職を目指すなら、実績・体制・サポートすべてにおいて専門性の高いエージェント「MyVision」の活用がおすすめです。
MyVisionは、元コンサルタントで構成された転職支援のプロ集団です。
戦略系・総合系・IT系など、国内に展開するほぼすべてのコンサルファームと強いコネクションを持ち、志向に合った求人紹介を受けられます。
特に魅力的なのは、実戦さながらの模擬面接サポートです。
フェルミ推定やケース面接についても、以下のようなサポートが受けられます。
- 元コンサルが面接官役として模擬面接を実施
- 本番を想定した実践的な練習が可能
- 回答内容に対する具体的なフィードバックがもらえる
このようなサポートがあることで、「ケース面接に自信がない」という方でも安心して対策を進めることができます。
コンサル選考は、短時間でロジカルかつ説得力のある回答を求められる高難度の試験であり、独学だけでは対策が不十分になりがちです。
だからこそ、実績豊富なエージェントの力を借りて、効率的に準備することが選考突破への近道となります。
本気でコンサル転職を成功させたいなら、MyVisionを活用して、準備段階から差をつけましょう。
まとめ
フェルミ推定は、コンサル転職で避けて通れない重要な選考項目です。
限られた情報から論理的に数値を導く力は、現場での課題解決力にも直結します。
成功のポイントは、知識だけでなく実践を重ねることです。
MyVisionのような専門エージェントを活用し、模擬面接やフィードバックを通じて実力を高めることで、選考突破に近づけます。
しっかり準備し、自信を持って面接に臨みましょう。
あなたもコンサルタントとして
働きませんか?
コンサルタントへの転職をお考えの方は、
是非MyVisionにご相談ください。
ファームとのコネクションを活かし、
あなたの理想の転職が実現するよう転職先の紹介から面接対策に至るまで、
徹底的にサポートいたします。