問題解決フレームワークとは?問題と課題の違い、ケース面接でメリットまで解説
2025年05月01日更新
ビジネスの現場では、売上減少、業務の非効率、人材不足など、さまざまな問題に直面します。その問題の本質を見極め、的確な解決策を講じるには「型」や「考え方」が重要です。
本記事では、コンサル転職を目指している方に向けて、問題解決に必要な思考法「問題解決フレームワーク」について解説します。
「そもそも問題とは何か?」 「課題との違いは?」 「ケース面接でどう活かせばいいの?」
このような疑問に答えながら、実際の面接でも使える実践的なフレームワークを紹介します。
目次
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そもそも問題解決とは?問題と課題の違いなどを解説
問題解決フレームワークの活用に入る前に、まずは「問題解決とは何か?」という土台をしっかり押さえておきましょう。
ビジネスにおいて問題とは何を指すのか、課題との違いはどこにあるのかを整理することで、その後のフレームワーク理解がスムーズになります。
ビジネスにおける問題解決の意味
ビジネスの文脈で「問題解決」とは、目標(あるべき姿)と現実(現状)とのギャップを特定し、それを埋めるための一連のプロセスを指します。
たとえば、年商100億円を目指している企業が、現時点で50億円しか売上を達成していなければ、その差分である50億円が「問題」となります。
ここでのポイントは、「不満」や「違和感」ではなく、明確な目標との比較によって問題を定義するのが一般的です。
「なんとなくうまくいっていない」と感じる状態では、問題はあいまいなままです。改善の手を打つことができません。
まずは理想の状態を明確に定義し、現状とのギャップを可視化することが出発点になります。
その上で、「なぜこのギャップが生じているのか(原因)」「どこをどうすればギャップが埋まるのか(打ち手)」を論理的に分析し、施策を立てて実行、検証し、さらに改善していくという一連の行動すべてが問題解決にあたります。
ビジネスにおける問題解決力とは、このようなギャップを捉える感度と、それを構造的に捉えて行動に落とし込む力です。職種や業界を問わずあらゆる場面で必要とされるスキルになります。
問題と課題の違い
「問題」と「課題」は似ていますが、意味が違います。混同しやすい言葉なので誤った使い方をしている方も多くいます。
両者の役割と位置づけを理解することは、問題解決を考えるうえで非常に重要です。
下記が「問題」と「課題」の正しい定義になります。
用語 | 定義 | 例 |
---|---|---|
問題 | 理想(目標)と現状のギャップそのもの | 「売上が100億円の目標に対して50億円しかない」 |
課題 | 問題を解消するために取り組むべき具体的アクション | 「新規顧客を増やすための施策を実行する」 |
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「問題」は何が起きているのかを示す事実であり、「課題」はそれにどう対応するかの選択肢や行動計画です。
この違いを理解することで、自分の行動が何を目的としているのかを意識した問題解決につながります。
問題の3分類(発生型・潜在型・設定型)
問題はその性質によって、大きく以下の3つに分類されます。
種類 | 特徴 | 具体例 |
---|---|---|
発生型問題 | すでに表面化し、顕在化している | クレームの急増、納期遅延 |
潜在型問題 | 今は目に見えないが、将来表面化しそうなリスク | 業界変化による需要低下、内部統制の形骸化 |
設定型問題 | 目標達成のために見つけ出すべき課題 | 新市場参入に必要な組織体制の再構築 |
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- 発生型は「今、起きていること」
- 潜在型は「今後、起こりそうなこと」
- 設定型は「目標達成に必要な未発見の壁」
このように問題の種類を整理すると、「どのタイミングで」「何に」「どう対応すべきか」の優先順位が明確になります。
特にコンサルタントやプロジェクトマネージャーといった課題設定を担うことが多い立場では、発生型の対処に加えて、潜在型の発見力や設定型の構想力も問われます。
問題解決における本質的な価値は、目の前の課題への対応だけでなく、将来のリスクを先読みして備える力にもあります。
この3分類を意識し優先順位をつけることで、表層にとどまらない本質的な課題発見の力を鍛えることができるでしょう。
問題解決のプロセス
問題解決を効果的に進めるためには、やみくもに動くとうまくいきません。一定のプロセスを踏んで対応することが重要です。
ここでは、一般的なビジネスにおける問題解決プロセスを6つのステップに分けて解説します。
- 問題の認識・定義:まずは「何が問題なのか」を明確にします。現場からの情報や定量データを収集し、理想の状態と現状の差を把握することで、本当に解決すべき問題を特定します。
- 現状分析と原因の特定:問題が起きている背景や根本原因を探るステップです。仮説を立ててデータを検証したり、関係者へのヒアリングを通じて、なぜ問題が発生しているのかを明らかにしていきます。
- 解決策の立案:原因に対してどのようなアプローチが可能かを検討し、現実的で効果的な施策を洗い出します。複数案を出し、コストやリスク、実現性などを踏まえて最適な打ち手を選定します。
- 実行計画の策定と課題の優先順位づけ:具体的に「誰が」「いつまでに」「どのように」実施するのかを明確にし、行動計画に落とし込みます。複数の課題がある場合は、重要度や緊急度で優先順位を決めて対応します。
- 計画の実行:策定したアクションプランに沿って、関係者と連携しながら実施に移します。進捗管理や想定外の事態への対応も含めて、着実な運用が求められます。
- 結果の振り返りと改善:実行の結果を検証し、得られた成果や課題を振り返ります。効果が出た要因や改善点を洗い出し、必要に応じて次のアクションにつなげることで、継続的な改善につながります。
この一連のプロセスは、図解で表すとPDCAサイクルやフローチャートとしてもよく用いられます。
段階的に進めることで、問題の本質を見誤ることなく、再現性のある解決アプローチが実現できます。
問題解決フレームワークとは
問題解決フレームワークとは、問題を発見し、原因を特定して解決策を導き出すまでの思考を支える型や道筋のことです。
言い換えれば、複雑な課題を整理し、抜け漏れなく論理的に対処するためのテンプレートのようなものです。
フレームワークを活用する最大のメリットは「思考の整理」と「スピードアップ」が図れる点です。
ビジネスの現場では、複雑な要素を短時間で分解・分析する力が求められます。誰もが一定の質で問題に向き合えるフレームワークは、仕組みとして重宝されるのです。
たとえば、フレームワークは、次のような場面で活用されます。
- 問題を発見するフェーズ(例:現状と理想のギャップを把握する)
- 原因を分析するフェーズ(例:ロジックツリーで要因を深掘りする)
- 解決策を検討・実行するフェーズ(例:SMARTで目標を設定する)
- 実行後の振り返りフェーズ(例:KPTで改善ポイントを整理する)
フレームワークは問題解決の各プロセスに応じて使い分けることができ、的確な対応や判断の精度を高めてくれます。
特にコンサルティングの現場では、限られた時間で高品質なアウトプットを求められるため、フレームワークの習熟は必須ともいえるスキルです。
問題発見をするときに使えるフレームワーク
ここからは問題発見をスムーズに行うためのフレームワークをご紹介します。
As-Is/To-Be
「As-Is/To-Be」分析は、現状(As-Is)と理想の状態(To-Be)を明確にし、その差から課題や問題を洗い出すフレームワークです。
たとえば、「レポート作成に現在5日かかっているが、本来は1日で完了させたい」といったケースで考えてみましょう。
- 現状(As-Is)=5日
- 理想の状態(To-Be)=1日
このようなギャップが問題と認識されます。
分析を行うことで、目標に対してどこに遅れやボトルネックがあるのか、業務プロセスのどこを見直すべきかが明確になります。業務改善、新規プロジェクトの立ち上げ、組織変革の初期フェーズにおいて効果的です。
注意点としては、理想の状態(To-Be)の定義が曖昧だと、ギャップが適切に測定できず、誤った課題設定につながってしまう恐れがあります。
そのため、理想の状態(To-Be)は「具体的かつ数値で表せる形」にしておくことが望ましいです。
原因分析・課題設定に使えるフレームワーク
続いては、原因分析と課題設定に活用できるフレームワークを4つご紹介します。
MECE
MECE(Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive)とは、「漏れなく、ダブりなく」情報を分類・整理するための原則です。
問題の原因や要因を網羅的にかつ重複せずに把握したいときに非常に有効です。
たとえば、売上低下の原因を考える際に「顧客数」と「客単価」という2軸で要素を分けると、重複なく全体像を捉えることができます。
さらに、「顧客数」を「新規顧客」と「既存顧客」に分解することで、より深い分析が可能になります。
MECEはロジックツリーや3C分析、SWOT分析など、他のフレームワークの土台にもなる考え方でコンサル業界でも重視されています。
課題設定の初期段階では、思考の整理整頓のツールとしてぜひ使いたいフレームワークです。
ロジックツリー
ロジックツリーは、あるテーマや問題に対して「なぜそうなったか」「どのように解決するか」といった観点で、階層的に情報を分解するフレームワークです。
情報をツリー状に展開することで、問題の全体像と細部の構成が一目でわかるようになります。
たとえば「売上が下がっている」という課題をトップに置いた場合、次に「顧客数の減少」「客単価の低下」といった第2層の要因に分けられます。
さらに、その下に「競合流出」「商品魅力の低下」などと細かく要素分解することで問題点や解決策を見つけやすくなります。
ロジックツリーの最大の強みは、思考を構造化できることです。チームで議論を進める際には、共通認識を持ちやすくなるため、問題解決における合意形成をスムーズに進める助けにもなります。
なぜなぜ分析(5Whys)
なぜなぜ分析は、問題の根本原因を探るために「なぜ?」を繰り返し問いかけていくシンプルな手法です。トヨタ自動車の生産現場から広まったこの手法は、品質管理や業務改善、事故・クレームの再発防止など、さまざまな現場で活用されています。
たとえば、「納品ミスが発生した」という問題に対して、「なぜ納品ミスが起きたのか?」→「チェックが漏れていた」→「なぜチェックが漏れたのか?」→「チェックリストが使われていなかった」→「なぜ使われなかったのか?」…というように、5回程度繰り返して真因に迫っていきます。
この分析によって、表面的な原因にとどまらず、構造的な課題や組織の根本的な問題を明らかにできます。
ただし、「なぜ」を繰り返す過程で、仮説が飛躍しすぎないよう、事実ベースで丁寧に深掘りすることが大切です。
6W2H分析
6W2Hは下記の8つの視点から情報を整理するフレームワークです。
- When(いつ)
- Where(どこで)
- Who(誰が)
- Whom(誰に)
- What(何を)
- Why(なぜ)
- How(どのように)
- Howmuch(いくらで)
問題や課題をあらゆる角度から分析できるため、ヒアリングや状況整理のフェーズで特に有効です。
たとえば、顧客クレームが発生した場合、「それはいつ・どこで・誰が関わって・なぜ起きたのか」をこの8項目で掘り下げていくことで、原因や背景、影響範囲がクリアになります。
このフレームワークは、MECEやロジックツリーと併用することでさらに効果を発揮します。
思考の「漏れ」を防ぎたい場面では、6W2Hが非常に強力なフレームワークです。
課題に対する打ち手・施策を実施するときに使えるフレームワーク
今抱えている「課題」に対して、打ち手や施策を実施するときに使用可能なフレームワークもあります。
SMART
SMARTは、実行可能で効果的な目標を設定するためのフレームワークです。以下の5つの要素で構成されています。
- Specific(具体的)
- Measurable(測定可能)
- Achievable(達成可能)
- Relevant(関連性がある)
- Time-bound(期限がある)
たとえば「売上を上げる」という曖昧な目標ではなく、「今期末までに新規契約を10件獲得し、売上を○○万円増加させる」と「SMART」な目標に落とし込むことで、行動の方向性が明確になります。
SMARTは、目標が抽象的・情緒的になりがちな場面で「本当に実行できるのか?」を見直すチェックリストとしても使えます。
コンサルティングファームの提案資料やプロジェクトマネジメントでも定番の指標です。
QCD
QCDは、Quality(品質)、Cost(コスト)、Delivery(納期)という3つの視点から、施策の実行計画や業務の優先順位を考えるフレームワークです。
製造業をはじめとした現場系業務でよく使われますが、サービス業やシステム開発など、あらゆる分野で応用可能です。
たとえば新商品を開発する際、「高品質を追求するとコストが上がる」「短納期で対応するには品質を妥協する必要がある」といったように、QCDの3要素はトレードオフの関係になりがちです。
このバランスをどこでとるのかを意思決定することが、QCDフレームワークの活用です。
複数の選択肢がある場面で「何を最優先するか」を判断するための基準として有効です。
PDCA
PDCAは、Plan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)という4つのステップを回す、継続的改善のための基本フレームワークです。施策を一度きりで終わらせず、改善サイクルとして定着させることが目的です。
たとえば営業部門で新しいトークスクリプトを導入した場合、まず試験導入(Plan→Do)を行い、成果やフィードバックを収集して評価(Check)し、内容を修正して再実行(Action)する…という流れになります。
このようにPDCAを繰り返すことで、施策が実際に効果を上げているかを確認しながら、改善と最適化を進めることができます。
業務改善や品質管理だけでなく、マーケティング施策、チーム運営など、幅広い場面で使える基礎的で汎用的なフレームワークです。
施策・打ち手の振り返りをするときに使えるフレームワーク
最後に実施した施策や打ち手を振り返り、次のアクションに繋げるためのフレームワークもご紹介します。
KPT
KPT(Keep/Problem/Try)は、実施した施策や取り組みの振り返りに使われるシンプルかつ効果的なフレームワークです。
- Keep:うまくいったこと、継続したいこと
- Problem:うまくいかなかったこと、課題
- Try:次回に向けて改善したいこと、試したいこと
たとえば新しい広告施策を実行した後、「広告のCTRが高かった(Keep)」「LPのCVRが低かった(Problem)」「次回はLPの導線を改善する(Try)」というように、実施結果を簡潔に整理できます。
KPTはアジャイル開発のレトロスペクティブや日報の振り返りなど、短いサイクルで振り返りを行う際に適しています。評価と反省に終わらず、前向きな行動改善につなげられる点も大きな利点です。
ケース面接で問題解決フレームワークを利用するメリット
ケース面接では、短時間でビジネス課題を整理し、論理的に解決策を導く力が求められます。そこで有効なのが、問題解決フレームワークの活用です。
フレームワークを使うことで、複雑な情報を素早く構造化し、漏れや重複のない分析が可能になります。
MECEやロジックツリーを用いれば、論点が明確になり、思考の道筋を論理的に説明しやすくなるでしょう。SMARTやQCDを使って打ち手・施策も整理できます。
また、フレームワークは面接官との共通言語にもなります。思考の透明性や説得力が高まり、評価されやすくなる点も大きなメリットです。
ただし、使い方に依存しすぎるのは禁物です。
あくまで状況に応じた適切な活用と、自分なりの視点を組み合わせる柔軟性が重要になります。問題解決フレームワークをうまく使いこなせれば、論理性・構造化する力・柔軟性を同時にアピールでき、面接時の非常に強力な武器となるでしょう。
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まとめ
問題解決は、あらゆるビジネスシーンで求められる基本スキルです。
まずは「問題」と「課題」の違いを正しく理解し、発生型・潜在型・設定型といった問題の種類を見極めることが出発点となります。
その上で、As-Is/To-Beやロジックツリー、なぜなぜ分析などのフレームワークを使えば、問題の発見から原因の特定、解決策の立案、実行、振り返りまでを体系的に進めることができます。
コンサル業界のケース面接では、限られた時間内に論理的な思考を求められるため、フレームワークを使いこなす力が大きな武器になります。フレームに頼るのではなく、目的や状況に応じて柔軟に活用できるかどうかがカギです。
今回紹介した内容を参考に、ぜひ実際の課題や選考対策で問題解決フレームワークを活用し、自信を持ってステップアップしていってください。
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