SWOT分析の使い方・目的・事例をまるごと解説!コンサル業界への転職活動前に確認しよう
2025年02月27日更新
SWOT分析は、企業の経営戦略や個人のキャリア設計に広く活用されるフレームワークです。
「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4要素を整理することで、現状を把握し、最適な戦略を導き出せます。
しかし、適切に分析を行わなければ、ただの表面的な整理に終わってしまい、実際の戦略には活かせません。
本記事では、SWOT分析の基本的なやり方から、より高度な分析手法であるクロスSWOT分析、マーケティング戦略に役立つ関連フレームワークまでを詳しく解説します。
さらに、トヨタ自動車やソニーの実際の企業事例を交えながら、SWOT分析の実践的な活用法を紹介します。SWOT分析を効果的に活用し、ビジネスの成長やキャリアアップにつなげたい方は、ぜひご一読ください。
監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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SWOT分析とは?
SWOT分析とは、組織やプロジェクトの現状を「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」の4つの要素で整理・分析する手法です。 内部環境と外部環境を客観的に評価し、事業の戦略立案や意思決定に役立てられます。 SWOT分析は、以下のマトリックス図を用いて視覚的に整理することが一般的です。
この図は、縦軸に「内部環境(強み・弱み)」、横軸に「外部環境(機会・脅威)」を配置し、4象限に分類します。
このマトリックス図を活用することで、各要素を一目で把握でき、戦略策定の際に役立ちます。次に、各要素について詳しく説明します。
Strength(強み)
SWOT分析における「強み」とは、組織やプロジェクトが持つ内部的な優位性や資源を指し、独自の技術力、高いブランド力、優れた人材、強固な顧客基盤などが挙げられます。
企業が持つ強みを活かすことで、競合他社に対して優位に立つことが可能です。具体的な強みの例として、以下のようなものがあります。
- 高度な技術力:競合他社と比較して独自の技術を持ち、市場での競争優位性を確保している場合
- 高い市場シェア:特定の市場において圧倒的なシェアを誇り、業界のリーダー的存在である場合
- 優れた顧客サービス:迅速な対応や高い顧客満足度を実現し、リピーターや口コミの獲得につながっている場合
- 強力なブランド認知度:市場での知名度が高く、顧客からの信頼を得ている場合
- 安定した財務基盤:資金調達力が高く、新規投資や研究開発を積極的に行える場合
- 強力なパートナーシップ:大手企業や業界内の有力プレイヤーとの提携により、事業拡大がしやすい場合
上記の強みを明確にすることで、組織の競争力をさらに高める戦略を策定できます。
Weakness(弱み)
次に、内部環境の「弱み」について説明します。「弱み」とは、組織やプロジェクトが持つ内部的な課題や劣位性を指します。一般的に目標達成の障害となり得る要素であり、早期の特定と対策が重要です。
具体的な弱みの例は以下の通り。
- 技術力の不足:競合他社と比較して技術的な優位性がない場合
- ブランド認知度の低さ:市場での知名度が低く、顧客からの信頼が十分に得られていない場合
- 資金力の不足:新規投資や研究開発に充てる資金が限られている場合
- 人材の不足:必要なスキルや経験を持つ人材が社内に不足している場合
- 生産能力の制約:需要に対して供給能力が追いつかない場合
上記の弱みを正確に把握し、適切な対策を講じることで、組織の競争力を向上させることが可能です。
Opportunity(機会)
「機会」とは、組織やプロジェクトにとって有利に働く外部環境の要因や状況です。要素を活かすことで、成長や発展のチャンスを得られます。
具体的な機会の例は以下の通りです。
- 市場の成長:業界全体の市場規模が拡大している場合
- 競合他社の撤退:主要な競合が市場から撤退し、シェア拡大のチャンスが生まれる場合
- 技術革新:新しい技術の登場により、製品やサービスの改善が可能となる場合
- 法規制の緩和:業界に関連する規制が緩和され、ビジネス展開が容易になる場合
- 消費者ニーズの変化:新しいトレンドや嗜好の変化により、新製品やサービスの需要が高まる場合
上記の機会を的確に捉え、戦略に組み込むことで、組織の成長を促進できます。
Threat(脅威)
「脅威」とは、組織やプロジェクトにとって不利に働く外部環境の要因や状況を指します。脅威の要素を認識し、適切に対処することで、リスクを最小限に抑えることが重要です。
具体的な脅威の例は以下の通り。
- 新規参入者の増加:新たな競合が市場に参入し、競争が激化する場合 -経済不況:景気の低迷により、消費者の購買意欲が減退する場合
- 法規制の強化:業界に関連する規制が強化され、事業運営が困難になる場合
- 代替品の出現:新しい製品やサービスが登場し、自社の提供する価値が低下する場合
- 為替レートの変動:国際取引において、為替の変動が収益に影響を及ぼす場合
これらの脅威を事前に把握し、リスクマネジメントを行うことで、組織の安定性を維持することが可能です。
脅威の要素を総合的に分析し、戦略立案に活用することで、組織の持続的な成長と競争力の強化を図れます。
SWOT分析を行う目的
SWOT分析の主な目的は、組織やプロジェクトの現状を多角的に評価し、効果的な経営戦略やマーケティング戦略を策定することです。
具体的には、内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)を整理・分析することで、以下のような利点があります。
- 現状の客観的把握:自社の強みや弱みを明確にし、競合他社との比較や市場でのポジションを理解する
- 戦略立案の基盤構築:強みを活かし、弱みを補う戦略を策定することで、競争優位性を高める
- リスク管理と機会の特定:外部環境の変化を捉え、潜在的なリスクや新たなビジネスチャンスを特定する
SWOT分析は、経営戦略の策定だけでなく、マーケティング戦略の立案にも広く活用されています。
例えば、新製品の市場投入時に自社の強みを活かし、競合他社との差別化を図る戦略を検討する際に有効です。また、マーケティング活動の効果を最大化するために、外部環境の機会を捉え、脅威に対処する計画を立てることができます。
さらに、SWOT分析は個人のキャリア形成や転職活動における自己分析ツールとしても有効です。自身の強みや弱み、外部環境の機会や脅威を整理することで、適切なキャリアプランを策定し、効果的な自己PRや志望動機の作成に役立てることができます。
このように、SWOT分析は企業戦略から個人のキャリア設計まで幅広く活用でき、現状を正確に把握し、適切な戦略を立案するための強力なツールです。
SWOT分析を転職活動時の自己分析としても活用する方法
SWOT分析は、転職活動における自己分析ツールとして非常に有効です。自身の強み(Strength)、弱み(Weakness)、機会(Opportunity)、脅威(Threat)を整理することで、キャリアの方向性を明確にし、適切な戦略を立てることができます。
SWOT分析を自己分析に活用する手順は以下の通りです。
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
強み(Strength) | 自分の得意分野やスキル、経験を洗い出す | コミュニケーション能力が高い・プログラミングスキルがある・営業経験が豊富・専門的な資格を保有 |
弱み(Weakness) | 自分の苦手なことや改善が必要な点を挙げる | プレゼンテーションが苦手・特定のスキルが不足している・業界経験が浅い・時間管理が不得意 |
機会(Opportunity) | 外部環境で自分にとって有利な状況やチャンスを考える | 業界が成長中である・新しい技術が普及している・オンライン学習が充実している・政府の支援制度がある |
脅威(Threat) | 外部環境で自分にとって不利な状況やリスクを特定する | 競争が激化している・業界の縮小が進んでいる・AIの発展で業務の自動化が進んでいる・求められるスキルが変化している |
横にスクロールできます
SWOT分析を行うことで、自分の現状を客観的に把握し、転職活動における戦略を効果的に立てることができます。
特に、コンサルティング業界への転職を目指す場合、専門的なサポートが求められます。
その際、コンサル業界に特化した転職エージェントであるMyVisionの利用を検討してみてはいかがでしょうか。MyVisionは、業界出身のキャリアアドバイザーによる手厚いサポートや、豊富な求人情報を提供しています。
理想のキャリアアップを目指す方々にとって心強いパートナーとなるでしょう。
SWOT分析のやり方
SWOT分析は、組織や個人の現状を把握し、戦略を策定するための手法です。
基本的な流れとして、まず外部環境(機会・脅威)を分析し、その後に内部環境(強み・弱み)を整理することで、適切な戦略立案が可能になります。
SWOT分析の手順は以下の通りです。
- 外部環境(機会・脅威)の分析
- 内部環境(強み・弱み)の整理
- 書き出したものをグルーピングし整理する
- 分析結果から戦略を立てる
SWOT分析を効果的に活用するためには、定期的な見直しと具体的なアクションプランの設定が重要です。
外部環境(機会・脅威)を書き出す
SWOT分析の第一歩として、外部環境の分析を行います。外部環境とは、企業や個人が直接コントロールできない要因であり、「機会(Opportunity)」と「脅威(Threat)」を指します。
外部環境を明確にすることで、市場の変化に適応し、競争優位性を高める戦略を立てることが可能になるでしょう。外部環境の整理方法は以下の通りです。
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
機会(Opportunity) | 業界の成長、技術革新、新市場の出現など、有利に働く要因を特定する | 市場規模が前年比10%以上の成長を続けている・AIやIoTなどの新技術の導入が加速している・新たな海外市場への進出が可能・政府による補助金や支援制度が充実している |
脅威(Threat) | 競争の激化、景気低迷、規制強化など、不利に働く要因を洗い出す | 新規参入企業の増加により、価格競争が激化している・世界的な景気後退により消費者の購買力が低下・環境規制の強化により、製造コストが上昇・外国企業の進出により、国内市場のシェアが奪われる可能性がある |
横にスクロールできます
例えば、EC市場の拡大は新規参入企業にとって「機会」ですが、大手企業の市場支配が進むと、競争が激化する「脅威」となります。
外部環境の正確な分析により、適切な経営判断が可能になります。
機会を探す際の観点
機会を見つけるためには、社会や業界の動向を把握し、チャンスを最大限に活かすことが重要です。具体的には以下の視点から分析すると効果的です。
機会を見つける視点は以下になります。
視点 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
市場の成長 | 新興市場の拡大、消費者ニーズの変化 | EC市場の成長により、オンライン販売の機会が増加・サブスクリプションモデルの普及で定期収益型ビジネスが拡大・環境意識の高まりにより、エコ製品の需要が増加 |
技術革新 | AIやIoTの普及による業務効率化の可能性 | AIを活用したカスタマーサポートの自動化で人件費削減・IoTデバイスの普及により、スマートホーム市場が拡大・ブロックチェーン技術によるデータセキュリティ向上で新規サービス展開 |
法改正・政策 | 補助金の活用、規制緩和による新規ビジネスのチャンス | 中小企業向け補助金の拡充により、新規事業の立ち上げが容易に・電動車普及促進政策によりEV関連市場が活性化・飲食業の規制緩和でキッチンカーなどの新規ビジネスが増加 |
横にスクロールできます
例えば、キャッシュレス決済の普及は、フィンテック企業にとって大きな機会となります。こうした外部環境の変化をいち早く捉え、適切な戦略に結びつけることが鍵です。
脅威を探す際の観点
脅威とは、外部環境において企業や個人にとって不利に働く要因を指します。脅威を正確に把握し、適切な対応策を講じることでリスクを最小限に抑えられます。
脅威を見つける視点については以下の通りです。
視点 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
競争環境の変化 | 新規参入企業の増加、業界の寡占化 | スタートアップ企業の増加により、市場競争が激化・大手企業のM&Aにより業界の寡占化が進む・価格競争が激しくなり、中小企業の利益率が低下 |
経済・景気の影響 | 円安や物価上昇によるコスト増加 | 原材料価格の高騰により、製造コストが増加・円安の影響で輸入商品の価格が上昇・インフレによる消費者の購買意欲低下 |
法規制の強化 | データ保護法の改正による対応コストの増加 | 個人情報保護法の改正により、企業のデータ管理コストが増加・環境規制強化に伴い、排出基準を満たすための設備投資が必要・労働法改正による従業員の労働時間管理の厳格化 |
横にスクロールできます
例えば、SNS広告の規制が厳しくなれば、デジタルマーケティング業界にとっては脅威となります。
事前に脅威を特定し、適切な対応策を講じることで、ビジネスの持続可能性を高められます。
内部環境(強み・弱み)を書き出す
SWOT分析において、内部環境の分析は戦略立案の基盤となります。内部環境とは、自社や個人が直接コントロールできる要因であり、「強み(Strength)」と「弱み(Weakness)」に分けて整理します。
内部環境を明確にすることで、自身の競争優位性を把握し、適切な戦略を策定できます。内部環境の整理方法は以下の通りです。
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
強み(Strength) | 競争力の源泉となるスキルやリソース | 独自の特許技術を保有し、競争優位性を確立している・長年のブランド価値があり、消費者からの信頼が厚い・チームワークが優れており、プロジェクトの生産性が高い・資金力があり、新規事業への投資が容易 |
弱み(Weakness) | 改善が必要な課題や競争上の不利な要素 | スタートアップのため、資金調達が不安定である・業界経験が浅く、競争市場での認知度が低い・社内の意思決定プロセスが遅く、市場の変化に迅速に対応できない・専門人材が不足しており、特定分野での技術力が競合に劣る |
横にスクロールできます
例えば、プログラミングスキルが強みなら、それを活かせる職種を選ぶことで転職市場での優位性が高まります。
内部環境を適切に整理し、強みを活かしながら弱みを補う戦略を立てることが重要です。
強みの探し方
強みを見つける際には、まずできるだけ多くの項目をリストアップし、その中から企業や業界にマッチするものを選択することが重要です。 強みを整理するポイントは以下の通り。
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
スキル・経験 | 専門知識や業務経験 | 営業成績トップを記録・TOEIC800点取得・Pythonを活用したデータ分析が可能・プロジェクトマネジメントの経験あり |
実績・成果 | 過去の成功事例 | 前年比売上120%達成・SNSフォロワー5万人を獲得・新規事業の立ち上げを成功させた・業務改善でコスト削減に貢献 |
性格・価値観 | 組織に貢献できる個人の特性 | 問題解決能力が高く、トラブル対応が得意・リーダーシップを発揮し、チームを統率・対人関係スキルが高く、円滑なコミュニケーションが可能・学習意欲が高く、新しいスキルを積極的に習得 |
横にスクロールできます
例えば、転職活動では「コミュニケーション能力が高い」というだけでは不十分です。「前職でクレーム対応を100件以上経験し、顧客満足度を30%向上させた」など、具体的な実績を交えることで、採用担当者に響くアピールができます。
弱みの探し方
弱みを明確にすることで、改善策を講じたり、強みを活かした補完戦略を立てたりすることが可能になります。
弱みを見つける際には、強みの裏返しとして考えると整理しやすくなります。弱みを整理するポイントは以下の通りです。
項目 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
スキルの不足 | 特定の知識や経験が不足している | エクセル操作が苦手で関数を使いこなせない・英語でのコミュニケーションが難しい・データ分析の知識が不足している・最新の業界トレンドに疎い |
業務上の課題 | 苦手な業務やパフォーマンスが低い分野 | プレゼンテーションが苦手で人前で話すのが不安・細かい作業が苦手でミスが多い・営業活動が苦手で顧客折衝に自信がない・報告書作成に時間がかかる |
性格・働き方 | 行動の傾向やコミュニケーションの課題 | 完璧主義で時間管理が苦手・一人で抱え込む傾向があり、チーム作業が苦手・優柔不断で意思決定に時間がかかる・フィードバックを受けると落ち込みやすい |
横にスクロールできます
例えば、「論理的に話すのが苦手」なら「ロジカルシンキングの研修を受講中」と伝えることで、成長意欲をアピールできます。
弱みをそのまま伝えるのではなく、どのように克服しようとしているかを示すことが重要です。
書き出したものをグルーピングし整理する
SWOT分析で書き出した要素を適切にグルーピングすることで、分析の精度が向上します。要素がバラバラのままでは戦略に活かしにくいため、共通点を見つけ、整理することが重要です。
グルーピングの方法は以下の通りです。
方法 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
内部環境と外部環境に分類 | 内部環境(強み・弱み)と外部環境(機会・脅威)に整理する | 営業力の高さ(強み)・市場の競争激化(脅威)・新技術の普及(機会)・資金不足(弱み) |
関連性の高い項目をまとめる | 共通点や関連性のある要素を一つのカテゴリに統合する | 技術力の高さ、研究開発の充実度 →「イノベーション力」・ブランド力の強さ、顧客満足度の高さ →「ブランド価値」 |
優先順位をつける | 影響度の大きい要素を優先的に整理する | 市場の成長率が高い要素を最優先・コスト削減に直結する改善点を優先・競争力を左右する要素を上位に配置 |
横にスクロールできます
例えば、飲食業の場合、「SNS運用の成功」「口コミ評価の高さ」は「ブランド力」というグループにまとめることで、戦略が立てやすくなります。グルーピングを適切に行うことで、より実践的な戦略に結びつけることができます。
分析結果から戦略を立てる
整理したSWOT分析の結果を基に、具体的な戦略を立てることが重要です。
単なる分析で終わらせず、どのように活用するかを明確にすることで、ビジネスやマーケティングの成功率が向上します。
戦略立案のステップ | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
強みを活かし機会を最大化する | 強みを活かして、外部環境の機会を最大限に活用する | ブランド力を活かし、新規市場に参入・優れた技術力を活用して新しい製品を開発・既存の顧客ネットワークを利用して販路を拡大 |
弱みを克服し脅威を回避する | 弱点を補強し、脅威に対応することでリスクを軽減する | 技術力不足を補うため、外部パートナーと提携・資金調達を強化し、成長の機会を逃さない・チームのスキル向上のための研修を実施 |
SWOTクロス分析を活用する | 「強み×機会」「弱み×脅威」などの組み合わせで実行可能な戦略を策定する | 競争優位性を持つ分野にリソースを集中・市場縮小のリスクに備え、新たな事業領域を開拓・コスト削減と品質向上を両立する戦略を策定 |
横にスクロールできます
例えば、ECサイトを運営する企業が「強み:豊富な商品数」「機会:オンライン市場の拡大」を活かして、ターゲット層に特化したプロモーションを展開するのは効果的な戦略です。
SWOT分析の結果を具体的なアクションに落とし込むことで、実行力のある戦略が生まれます。
クロスSWOT分析で戦略に落とし込む
SWOT分析で洗い出した要素を効果的に活用するには、「クロスSWOT分析」が有効です。
クロスSWOT分析とは、SWOTの4要素を掛け合わせて具体的な戦略を導き出す手法で、強みと機会を活かした「積極戦略」や、弱みと脅威を克服する「防御戦略」などが考えられます。
クロスSWOT分析のマトリクスは以下の通りです。
機会(O) | 脅威(T) | |
---|---|---|
強み(S) | 積極戦略(SO戦略) 強みを活かして機会を最大化する【例】・ブランド力を活かして海外市場に進出・高い技術力を活かして新しい市場を開拓・豊富な資本を活用し、新規事業に投資・強い営業力を活かしてシェア拡大 | 差別化戦略(ST戦略) 強みを活かして脅威を回避する【例】・特許技術を活かし、競争が激化する市場で優位に立つ・強固な顧客基盤を活かし、競合との差別化を図る・品質の高さをアピールし、価格競争に巻き込まれない・ブランドイメージを強化し、安売り競争を避ける |
弱み(W) | 改善戦略(WO戦略) 弱みを克服し機会を活かす【例】・新しい技術を学び、未開拓市場に進出・資金調達力を強化し、成長機会を逃さない・組織の柔軟性を高め、変化に適応できる体制を整える・従業員のスキルアップを進め、新事業を開発 | 防御戦略(WT戦略) 弱みを補い脅威を最小限にする【例】・コスト削減を進め、不景気の影響を最小限にする・業務プロセスを見直し、効率化を図る・リスク管理を徹底し、規制強化に対応・外部パートナーと協力し、不足するリソースを補う |
横にスクロールできます
例えば、EC事業を展開する企業の場合、「強み:デジタルマーケティングに強い」「機会:ネット通販市場の拡大」なら、積極戦略として「SNS広告を活用したブランド強化」を行うことが考えられます。
一方、「弱み:在庫管理が苦手」「脅威:物流コストの上昇」の場合、防御戦略として「外部パートナーと連携し効率的な物流網を確立する」といった施策が有効です。
クロスSWOT分析を活用することで、実行可能な戦略に落とし込めます。各戦略を詳細なアクションプランへと展開することで、より実践的な計画が実現できるでしょう。
SWOT分析の事例
SWOT分析の活用方法をより理解するために、具体的な企業事例を紹介します。
ここでは、日本を代表する企業である「トヨタ自動車」と「ソニー株式会社」の2社を取り上げ、それぞれのSWOT分析を解説します。
事例①トヨタ自動車
トヨタ自動車は、世界最大級の自動車メーカーであり、高い技術力と生産能力を誇ります。SWOT分析を用いると、以下のように整理できます。
強み(S) | 機会(O) |
---|---|
世界トップレベルの生産技術 | EV市場の急成長 |
圧倒的なブランド力 | 環境規制強化によりエコカー需要増加 |
幅広い車種展開 | 新興国市場の拡大 |
横にスクロールできます
弱み(W) | 脅威(T) |
---|---|
ソフトウェア開発の遅れ | テスラや中国メーカーの台頭 |
半導体不足による生産遅延 | 原材料コストの高騰 |
横にスクロールできます
例えば、「強み×機会(SO戦略)」として、トヨタはEV市場の拡大に対応するため、電動車のラインナップを強化しています。
一方、「弱み×脅威(WT戦略)」では、半導体不足に対応するためにサプライチェーンの見直しを進めています。
事例②ソニー株式会社
ソニーは、エレクトロニクス、エンターテインメント、金融など多岐にわたる事業を展開するグローバル企業です。SWOT分析では以下のようになります。
強み(S) | 機会(O) |
---|---|
高いブランド力と技術力 | ゲーム市場の成長 |
エンタメ×テクノロジーの融合 | 映像・音楽ストリーミング市場の拡大 |
AI・半導体技術の強化 | 5G・IoT市場の拡大 |
横にスクロールできます
弱み(W) | 脅威(T) |
---|---|
事業の多角化による経営資源の分散 | 中国・韓国メーカーの競争激化 |
価格競争の影響を受けやすい | 為替変動による利益圧迫 |
横にスクロールできます
例えば、ソニーは「強み×機会(SO戦略)」として、ゲーム事業においてPS5の普及とクラウドゲーミングの強化を進めています。
一方、「弱み×脅威(WT戦略)」では、競争激化を考慮し、エンタメ分野での独自コンテンツを強化する戦略を取っています。このように、実際の企業のSWOT分析を参考にすることで、自社や個人の戦略に応用しやすくなります。
SWOT分析とあわせて使いたいフレームワークを状況別に解説
SWOT分析は企業や個人の戦略立案に役立つフレームワークですが、他の分析手法と組み合わせることで、より深い洞察が得られます。
特に、外部環境の変化を捉える「PEST分析」、市場内の収益性を評価する「5 Forces分析」、顧客目線での戦略を考える「4C分析」は、状況に応じて活用することでSWOT分析の効果を高められます。
世の中に大きな変化の兆候が起きたときはPEST分析
PEST分析は、外部環境の変化を捉えるためのフレームワークです。「政治(P)」「経済(E)」「社会(S)」「技術(T)」の4つの視点から、マクロ環境の影響を分析します。
PEST分析の要素は以下の通りです。
要素 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
政治(P) | 法規制、政府の方針 | 環境規制の強化、補助金の導入 |
経済(E) | 景気動向、為替変動 | 円安による輸入コスト増加 |
社会(S) | 人口動態、ライフスタイルの変化 | 高齢化社会による市場変化 |
技術(T) | 技術革新、新技術の導入 | AI・自動化の進展 |
横にスクロールできます
例えば、EV(電気自動車)市場の拡大は、環境規制(P)と技術革新(T)の影響を受けています。
PEST分析を活用することで、業界の長期的な動向を把握し、戦略に落とし込むことが可能になります。
市場内での収益性を分析したいときは5 Forces分析
5Forces分析は、業界内の競争環境を分析し、収益性の高いビジネスモデルを設計するのに役立ちます。 以下の5つの要素を評価することで、市場の競争力を理解できます。
要素 | 内容 | 影響 |
---|---|---|
新規参入の脅威 | 参入障壁の高さ | 低いと競争が激化し収益減少 |
供給業者の交渉力 | 原材料・部品の仕入れ価格 | 高いとコスト増加 |
買い手の交渉力 | 顧客の価格交渉力 | 強いと価格競争が発生 |
代替品の脅威 | 他業界からの代替サービス | 影響が強いと市場縮小 |
業界内の競争 | 競合企業の数・競争の激しさ | 激しいと利益率低下 |
横にスクロールできます
例えば、スマートフォン業界では、AppleとSamsungの寡占状態が続いており、新規参入の脅威は低いですが、買い手の交渉力が強いため、価格競争が起こりやすい傾向にあります。5 Forces分析を活用することで、自社が市場内でどのようなポジションを取るべきかを明確にできます。
顧客目線で自社サービスを分析したいときは4C分析
4C分析は、顧客視点で自社の製品やサービスを分析するフレームワークです。
従来のマーケティング手法である「4P(Product, Price, Place, Promotion)」に対して、顧客のニーズを中心に考える点が特徴です。 4C分析の要素は以下の通りです。
要素 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
Customer Value(顧客価値) | 顧客にとっての価値 | 低価格より高品質が求められる市場 |
Cost(顧客の負担) | 価格以外の負担 | 時間・手間・心理的負担 |
Convenience(利便性) | 購入のしやすさ | オンライン注文の普及 |
Communication(コミュニケーション) | 企業と顧客の関係 | SNSやカスタマーサポートの活用 |
横にスクロールできます
例えば、サブスクリプション型の動画配信サービスでは、「顧客価値(Customer Value)」として豊富なコンテンツが求められ、「利便性(Convenience)」として、簡単に視聴できるUIが重要になります。4C分析を用いることで、顧客満足度の向上につながる施策を立てやすくなります。
企業目線でマーケティング戦略を考えるときは4P分析
4P分析は、企業がマーケティング戦略を立てる際に活用するフレームワークで、「Product(製品)」「Price(価格)」「Place(流通)」「Promotion(プロモーション)」の4つの要素から構成されます。企業が市場でどのように製品やサービスを展開すべきかを明確にできます。
4P分析の要素は以下の通りです。
要素 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
Product(製品) | 商品・サービスの特徴、品質 | 例:高性能スマートフォン、オーガニック食品 |
Price(価格) | 販売価格、価格設定の戦略 | 例:高級路線(Apple)、低価格戦略(Xiaomi) |
Place(流通) | 販売チャネル、流通経路 | 例:直営店販売、ECサイトの活用 |
Promotion(プロモーション) | 広告・販促活動 | 例:SNS広告、インフルエンサーマーケティング |
横にスクロールできます
例えば、スターバックスのマーケティング戦略では、Productとして高品質なコーヒーを提供し、Priceではプレミアム価格を設定、Placeでは都市部の好立地に出店、PromotionではSNSとアプリを活用した顧客ロイヤルティ向上を図っています。企業は4P分析を用いることで、自社の強みを活かしたマーケティング戦略を構築できます。
参入市場を分析するときや既存事業の成長戦略を考えるときはSTP分析
STP分析は、ターゲット市場を特定し、効果的なポジショニングを決定するためのフレームワークです。
「Segmentation(市場の細分化)」「Targeting(ターゲットの選定)」「Positioning(市場での立ち位置)」の3つの要素で構成されており、新規市場参入や既存事業の成長戦略を策定する際に有効です。 STP分析の要素は以下のようになります。
要素 | 内容 | 具体例 |
---|---|---|
Segmentation(市場の細分化) | 顧客のニーズや特性に応じた市場分類 | 例:年齢、性別、所得層、ライフスタイル別 |
Targeting(ターゲットの選定) | どの市場セグメントを狙うかを決定 | 例:高級志向の30代ビジネスパーソン向け |
Positioning(市場での立ち位置) | 競合と差別化し、自社のブランド価値を明確にする | 例:「高品質×サステナブルなブランド」として訴求 |
横にスクロールできます
例えば、ユニクロはSegmentationとして年齢やライフスタイルに応じた製品ラインを展開し、Targetingではコストパフォーマンスを重視する層を狙います。Positioningでは「高品質・低価格のファッションブランド」として市場での立ち位置を確立しています。
STP分析を用いることで、企業は自社のターゲット市場を明確にし、競争優位性を築くためのマーケティング戦略の策定が可能です。
SWOT分析をする際の注意点
SWOT分析は戦略立案に有効な手法ですが、適切に活用するためにはいくつかの注意点があります。
分析の目的を明確にし、内部環境と外部環境を正しく区別し、主観を排除することで、より精度の高い戦略を導き出せます。
SWOT分析を行う目的を明確にしておく
SWOT分析を行う際は、最初に目的を明確にすることが重要です。目的が不明確だと、分析が表面的になり、実行可能な戦略につなげることが難しくなります。 目的の例は以下の通りです。
- 新規事業の立ち上げ → 市場の機会とリスクを把握する
- 競争力の向上 → 自社の強みを最大限に活かす方法を考える
- 組織改革 → 内部の課題を洗い出し、改善策を策定する
例えば、新規市場に参入する企業がSWOT分析を行う場合、「ターゲット市場の特性を把握し、強みを活かせる戦略を考える」といった目的を明確にすると、分析の方向性が明確になります。
内部環境と外部環境を混同しない
SWOT分析では、「強み・弱み(内部環境)」と「機会・脅威(外部環境)」を正しく区別することが重要です。これを混同すると、分析の精度が低下し、誤った戦略を導き出してしまう可能性があります。 区別のポイントは以下の通りです。
- 内部環境(強み・弱み):企業や個人がコントロールできる要因(例:技術力、人材、ブランド力)
- 外部環境(機会・脅威):企業や個人が直接コントロールできない要因(例:市場動向、競争環境、法規制)
例えば、「自社の新製品が市場で受け入れられやすい」というのは「機会(外部環境)」であり、「製品の品質が高い」というのは「強み(内部環境)」です。
このように、内部と外部の要因を明確に分けることで、適切な戦略を立てやすくなります。
主観性を排除できるようにする
SWOT分析は客観的なデータに基づいて行うことが重要です。主観的な意見や思い込みが入ると、戦略の実効性が低下する可能性があります。 主観を排除する方法は以下の通りです。
- データを活用する:市場調査、顧客アンケート、競合分析をもとに判断する
- 第三者の意見を取り入れる:社内外の関係者からフィードバックをもらう
- 過去の実績と比較する:事実に基づいた判断を行う 例えば、「当社のブランド力は強い」と主観的に判断するのではなく、「顧客満足度調査の結果、80%以上の認知度がある」といったデータを基に判断すると、より正確な分析が可能になります。
まとめ
SWOT分析を適切に行うことで、より効果的な戦略を立案できます。そのためには、目的を明確にし、内部環境と外部環境を正しく区別し、主観を排除することが重要です。
特に、転職活動やキャリア戦略を考える場合、自己分析を正確に行い、強みを活かしたアピールが必要になります。そこで、コンサル業界への転職を検討している方には「MyVision」の利用がおすすめです。業界に精通したキャリアアドバイザーが、SWOT分析を活用した自己分析をサポートし、最適なキャリア戦略を提案します。
SWOT分析を有効に活用し、ビジネスやキャリアの成功につなげましょう。
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