金融業界の変革に挑む。大手からスタートアップへの転 身で見えた新たな可能性【Trust株式会社 山地氏インタ ビュー】
2025年07月22日更新
企業紹介
みずほ銀行で決済システムのIT戦略に携わり、その後KPMGあずさ監査法人で金融機関向けアドバイザリー業務を経験してきた山地千幸氏。大手組織での豊富な経験を持つ彼女が、なぜ設立間もないTrust株式会社への転身を決めたのか。「日本の金融業界を AIとITの力で変えたい」という強い想いを胸に、新たな挑戦を続ける山地氏に、Trust独自の強みと金融業界変革への取り組みについて伺いました。
インタビュイー経歴
話し手

山地千幸氏
Trust株式会社
ディレクター
みずほ銀行に入行後、日本とアジアを中心とした決済領域のIT戦略やアンチマネーロンダリング業務に携わる。銀行在籍中には、コンビニATMを運営する株式会社Enetに経営メンバーとして出向し、企業運営や株主対応なども担当。KPMGあずさ監査法人に転職した後は、金融機関他、官公庁や業界団体様向けのアドバイザリー業務に従事。現在はTrustに参画し、金融機関に対してITとAIを掛け合わせたコンサルティング業務を行うとともに、コーポレート部門にて制度整備などの会社の基盤づくりにも携わる。
目次
全部見る
メガバンクから大手コンサルティングファーム、そしてTrustへ。転職の軌跡
──まず、これまでのご経歴と現在のTrustでの役割について教えてください。
山地氏 Trust株式会社でITコンサルティング事業部のディレクターを務めております山地千幸と申します。
これまでの経歴としては、みずほ銀行に長く勤め、主に日本とアジアを中心とした決済領域のIT戦略やアンチマネーロンダリング業務に携わってきました。金融機関でITの重要性や戦略的に物事を進めることの意味を多くのプロジェクトを通じて経験してきました。銀行在籍中には、コンビニATMを運営する株式会社Enetに経営メンバーとして出向し、企業運営や株主対応などの役割も担ってきました。
その後、より幅広い視点で金融業界全体を見てみたいという思いから、KPMGあずさ監査法人に転職し、金融機関様向けはもちろん、官公庁や業界団体様向けのアドバイザリー業務に従事してきました。そして現在はTrustに参画し、金融機関様に対してITとAIを掛け合わせたコンサルティング業務を行うとともに、設立間もない会社ということもあり、コーポレート部門にて制度整備などの会社の基盤づくりにも携わっています。
大手コンサルから見えた課題と、Trustが提供する新たな価値
──Trustへの転職を決めた理由について教えてください。
山地氏 大きく2つの理由があります。
まず1つ目は、大手企業では縦割りで組織ができていることが多いため、なかなかフレキシブルかつフットワーク軽く動けない部分があったことです。例えば、AI、IT領域といっても、その中でコンプライアンスやフィンテック、レグテックなど、かなり細分化された分野ごとにスペシャリストが配置されています。専門性が高いという意味では強みですが、領域の幅を広げていくことが難しく、自分のキャリアとして少しもどかしさを感じていました。
2つ目は、Trustの最大の強みである業界団体との強い連携です。Trustの社長である岡田が代表理事を務めるFDUA(金融データ活用推進協会)と、副理事長を務めるFITA(金融IT協会)の関係性により、金融機関が抱える生の課題や声をダイレクトに聞くことができ、直接コミュニケーションをとる場があります。この組織体制こそが、私が目指していた「金融業界全体を横断的に見て支援する」という目標にフィットしました。
──大手からスタートアップへの転身に不安はありませんでしたか?
山地氏 不安が全くなかったわけではありませんが、むしろ大手ではできないことができそうだという期待感の方が大きかったですね。
特にAI・IT領域において、大きな会社ほど新しい取り組みや技術を提案したり、試行する際の意思決定が多層階的になっており非常に時間がかかる傾向があります。しかしTrustの場合、AIの専門部隊が社内におり、自分たちでAIツールを開発し、お客様の環境に合わせてカスタマイズまで一括で対応できることから、お客様のニーズやご要望に対し、スピーディーなご提案が可能です。実際に動き出した際のスピード感も同様です。このサービス提供体制こそが、スタートアップならではの強みだと感じています。
生成AIで変わる金融業界の現場
──現在従事されているプロジェクトについて教えてください。
山地氏 現在は某金融機関様の事務部門における業務改善をご支援しています。
具体的には、まだまだ人間の手や目に依存している事務処理業務が多い中、今後の労働力不足への対応やより創造的な業務への人員投入といった目線で、業務の堅確性を担保しつつ、AI-OCR等を活用する事で人間が手を動かす必要がない業務の効率化や、各種データの一元管理化を進める事による業務効率化等のご支援をしています。
金融機関では、お客様へのサービスとして、預金口座を提供するのみではなく、分かり易いところでは住宅ローンや国内・海外への送金、融資・信託、各種ペイメントサービス、昨今話題のBaaSまで幅広く、関連する膨大な情報を保有している一方で、それらを一元管理しデータ活用へ結びつけるという点では、道半ばという状態にある先が少なくありません。
私たちは「並走型・伴走型」のスタイルで、テクノロジーを活用してお客様と一緒にゴールを目指していく形でご支援しています。
──Trustならではのアプローチの特徴は何でしょうか?
山地氏 最も大きな特徴は、コンサルティング会社でありながら、自社でAIツールを開発・提供できることです。Trust GenGAやTrust TLanPといったツールを自社で持ち、お客様の環境に導入する際のカスタマイズも一括で対応できます。
一般的にはこの分野のコンサルティング業務では、ITベンダーやAI企業とコラボレーションして彼らのプロダクツを前提としたご支援が多いのが現状ですが、Trustでは一体でフットワーク軽く対応できます。しかも、ツールありきの提案ではなく、まずお客様の課題をしっかりと理解した上で、「こんなお困りごとがあるなら、うちのツールでこうしたことができますよ」という順序で提案するため、お客様にも納得いただきやすいアプローチができています。
成長を支える学び合いの文化
──社内の学習環境や若手育成について教えてください。
山地氏 週次で勉強会を開催しています。日々の業務で得た知見や最新技術の共有、またシニアメンバーが持つナレッジを若手に共有する場となっています。
また、慣れない若手だけでお客様先に常駐するといったことはなく、必ず経験豊富なマネジメントクラスと一緒に支援する体制を組んでいます。これにより、若手メンバーも現場で学びながら成長していくことができます。
メンター制度も整備しています。各プロジェクトの成果やパフォーマンスなどにフォーカスされがちな1on1だけでなく、仕事とプライベートのバランスや、女性ならではの悩み、ライフイベントなどについても相談しやすい環境を作っています。 また、月に2回程度、オフィスでデリバリーを取り囲んでみんなで集まる機会も設けています。こちらはお客様先へ出向いて仕事をする機会が多いコンサルタントという業務においても、同じ会社の他チームと交流ができるカジュアルな場になります。同じ会社で働くメンバー同士が直接会って様々な話ができる時間です。
活躍する人材の特徴
──Trustで活躍している方の特徴について教えてください。
山地氏 一言で言うと、「自分から能動的に動ける人」です。待ちの姿勢ではなく、分からないことは自分で調べ、周りの人を積極的に巻き込んで自ら動いていく姿勢を持つ方が活躍されています。 逆に言えば、そうした意欲を持って自分から手を上げるメンバーに対しては、それをサポートする環境が十分に整っています。勉強会をはじめ、私を含む他のマネージャークラスも、やる気のあるメンバーを支援し成長をサポートしていきます。
──コンペではなく指名で案件を獲得されることが多いと伺いましたが、その背景は?
確かにコンペよりも、既存案件を通じてお客様からの信頼をいただいて継続的にお声がけいただくケースが多いですね。一度ご一緒させていただいたお客様から他の部門をご紹介いただいたり、社内での横展開が自然と広がったりすることがあります。
これは創業者3名のバックグラウンドや個人的なつながりといった面もありますが、何よりTrustが「テクノロジーで金融業界を変えていこう」という明確なビジョンを持って取り組んでいることで、その点でお客様にも共感していただけているからだと思っています。
距離の近さが生む、風通しの良い組織文化
──実際に入社されて感じる、Trustの社内カルチャーの特徴は?
山地氏 まだ会社が小さいということもありますが、とにかく距離が近いことですね。経営メンバーと若手メンバーとの間にも隔たりはありませんし、オフィスも個室に分かれておらず、みんなオープンスペースで気軽に声をかけられる環境があります。
先ほどもお話しした通り、定期的にみんなで集まる機会を設けているのですが、これが非常に効果的だと感じています。コンサルタントはお客様のところへ行く機会が多く、社内メンバーと顔を合わせる機会が少ないのですが、こうした場があることで「隣のチームは何をしているのか。今、社内ではどんな動きがあるのか」といった情報交換に堅苦しさがありません。 自由参加なので、忙しい時など自身の状況に合わせて参加を決めればよいですし、カジュアルな場ですので、特に若手にとっては他のチームの様子を知ったり、ジェンダーに依るような話や趣味の話などをする良い場になっていると思います。
──働き方の面で、前職との違いを感じる部分はありますか?
山地氏 プロジェクトの組み方が非常にフレキシブルだと感じています。
クライアント様のご都合に合わせてチーム編成を行うのは他社と同じですが、Trustでは案件の企画フェーズから参画するケースも多く、単に要件を与えられて実行するのではなく、仮説検証や予備検討から関与できることが多くあります。また様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっているので、話しをするだけも刺激を受けますし、勉強にもなります。
私自身としては、コンサルティング業務とコーポレート業務を担当しており、Trustという会社自体の成長も一つの目標として自分の役割やキャリアも広げていける環境にあり、会社の成長を肌で感じ自身の目標として掲げる事ができるという点でやりがいを感じています。これは大手ではなかなか経験できないと思いますし、私に限らず、スタートアップならではの会社の成長をメンバー全員が自分事として感じられると思います。
──転職を検討されている方へのメッセージをお願いします。
山地氏 まず、コンサルや金融の経験がないからといって躊躇する必要は全くありません。Trustには金融やコンサルの経験がない若手もたくさんいますが、皆さん意欲的に学び、成長しています。
重要なのは、現状に対する危機感と前向きな変化への意欲です。日本の金融業界は、技術があるにも関わらずAIを始めとしたテクノロジーの活用やモダナイゼーションがなかなか進まないと言われています。そこに新しい風を吹かせたい、Trustを起点に日本の金融業界を発展させていきたいという思いに共感していただける方と一緒に働きたいと思っています。
日々の生活の中で「技術があるのにあまり活用されていないな、もったいないな、もっとテクノロジーを活用できるはずなのに」と感じている方がいるのであれば、Trustの目指すところとフィットすると思います。自ら能動的に動き、「テクノロジーを活用して様々な事にチャレンジしたい」という強い気持ちを持つ方であれば、必ず成長できる環境が整っています。
──最後に、Trustの魅力について一言お願いします。
山地氏 繰り返しにはなりますが、日本の産業におけるテクノロジーの活用に対して「まだまだ余地がある、世界の中の技術進歩に追いついていないな、もったいないな」と感じている方がいるのであれば、その思いに共感し一緒に前進していける環境がTrustにはあります。変革が難しいと言われる金融業界だからこそ、AI・ITといったテクノロジーの力で業界を変えていく挑戦には大きな意味があると考えていますし、やりがいも感じられると思います。
Trustで同じ志を持つ仲間と一緒に、日本の金融業界の未来を創っていきましょう。
──ありがとうございました。