Finance/Businessの両面から包括的に経営改革を支援する財務戦略ファーム【アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社_岡村氏、木村氏インタビュー】
2024年09月25日更新
企業紹介
2005年に大手アドバイザリーファームである朝日アーサーアンダーセン(現PwC)の財務戦略チームからスピンアウトして生まれた独立系財務戦略コンサルティングファーム。 投資銀行、監査法人、会計事務所系コンサルティングファーム出身のパートナーを中心とした、事業再生、財務・戦略・会計・M&A分野を専門とした少数精鋭のチームで支援。 総合商社、流通・製薬・繊維・飲食等業界トップの上場会社から中小企業までバラエティーに富んだ顧客に対して、顧客の企業価値/株主価値向上に向けた実効性の高い戦略の立案・実行を行う。
インタビュイー経歴
話し手
岡村海平氏
アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社
取締役パートナー
2012年 日系総合不動産ディベロッパー入社、スーパーゼネコングループの連結決算処理や減損判定テスト等の経理業務、中期経営計画策定および新規投資戦略プロジェクトに従事。 2016年 ABDに入社後、産業機械メーカー・建設業・食品メーカー・アパレル・飲食小売業・サービス業等、様々な業種の中堅・中小企業に対する事業・ 財務デューデリジェンスならびに事業再生プラン策定支援業務に従事。 M&A関連サービスとして、フィナンシャルアドバイザリーや企業価値評価、PEファンド向けの取引候補先に対する事業構造分析業務に従事。また計画実行タスクフォース運営を始めとして、営業体制構築、原価管理体制設計、M&A含む成長戦略の検討支援等、実行支援業務に従事。
話し手
木村直哉氏
アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ株式会社
シニアコンサルタント
2021年 M&A仲介会社入社、M&A関連サービスとしてリフォーム工事会社や警備会社におけるM&A買収先企業獲得支援業務に従事。 2022年 ABDに入社後、食品メーカー・農業用機械メーカー・観光バス事業・金属加工業等の事業会社支援として事業計画策定やモニタリング体制構築、金融機関説明資料整備等の業務に従事。
ワンプール制を適用し、事業・財務両方の専門性を持つチームでご支援
──アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ社(以下ABD)の事業概要について教えてください
岡村氏当社はもともと代表の加藤、会長の栗原が朝日アーサーアンダーセンから独立して2005年に設立したファームであり、戦略、財務、M&A、ターンアラウンド、中計策定から実行支援まで広範囲のサービスをカバーしています。社員数は25名ほどであり、社員の出身企業は事業会社4割、金融機関が2-3割、会計士2割、コンサル1-2割程度で、事業畑や財務畑といった大きな偏りはありません。部門の垣根もなく、1プール制です。 ”ファイナンスとビジネスの両軸を併せ持ったファーム”であるということを標榜し、ターンアラウンド領域、投資関連領域(FA・PMI・投資時のビジネス調査等)中計策定ならびに戦略実行支援を得意としています。ファイナンスに精通しているのと同時に、ビジネスにも深い知見を持っているファームといえるでしょう。
──コンサル業界への転職や、中でも御社に入社した理由を教えてください
岡村氏前職では「事業会社で培ったスキルを他社でも活かしたい。自社だけではなく様々なステークホルダーに影響を与えたい」、「若いうちからクライアントへの提供価値を絞りたくない」と考えていました。転職活動でBig4のファームを受けたのですが、モデリングチームに入るとモデリングばかり取り組むなど、特定のチームに入ると特定のことしかできないという傾向があったため、そういった環境のファームではなく、ジュニア時代から様々なサービスが身につくようなファームを志望するようになりました。その中でABDにめぐり合いました。 ABDでの選考過程で印象的だったのは、最終面接で当時のパートナーから「若いうちに1つのサービスラインに限定してしまうのは本当にもったいない。未だ若いのだから事業会社での経験を活かして、財務やビジネスなど拘らずにマチュアなプロフェッショナルになってほしい」という話をされたことです。再生、投資、事業会社の中計などについて、財務だけでなくビジネスを起点として携われることに非常に魅力を感じたことを覚えています。 ABDに入社したもう一つの決め手は、少人数だということです。少人数の場合、所謂ワンオブゼムにならず、メンバー全員が個としてプロフェッショナルでなければなりません。マチュアな人が多い環境に加わって新人として悪戦苦闘することで、自身の能力もそれに乗じて引き上がると考えての判断でしたが、現在振り返ると正解だったと確信しています。
木村氏前職がM&A仲介会社であったため、成長戦略を描いていくことはできていました。一方で、業績が伸び悩む会社に対して、経営者から頼ってもらっても自分で支援できないということに憤りを感じ、コンサル業界への転職を志望しました。 ABD社に入社した背景としては、ワンプール制で1つのサービスラインに絞られずに幅広く活動できることでした。コンサル業界の中での選択基準としては①経営支援ができること②深く入り込んで支援ができること③特定のソリューションやインダストリで区切られた組織ではなく、自分で挑戦できる環境がそろっていること、の3点です。ABDはその3点を満たしていると感じ、ジョインしました。
──木村様の面接は岡村様が担当したとのことですが、面接ではどのような印象でしたか
岡村氏木村は前職がM&A仲介でしたが、仲介に収まらず財務などいろいろなサービスを知りたいと考え、勉強していることが伝わりました。また、学生時代バスケットボールに取り組んでおり、マネジャー的なポジションで分析などもしていたため、ストレス耐性や分析力があると感じました。好奇心に加え、考え抜く体力もあると感じましたね。
──特に印象に残っているプロジェクトはありますか
岡村氏企業再生プロジェクトです。クライアントは地方の食品メーカーかつ卸や小売りなど複数事業を営んでいる企業で、売上規模は100億円程度でした。約5年担当し、とても印象に残っています。 当社では企業再生が全プロジェクトの1/3程度を占めますが、計画を作って終わりではなく、その後の施策実行を約3年程度伴走するケースが多くあります。進め方としては最初に約6か月かけて、ビジネスと財務のデューデリジェンスを行い、再生計画を作り、その後再生計画に沿って約3年間程度計画を実行していくイメージです。 そのプロジェクトでも再生計画を作り、計画に沿って進めていましたが、コロナ等の外部環境変化の影響を受けてしまい、約50億円の負債を債権放棄かつスポンサーへの事業譲渡スキームを検討することを余儀なくされました。そこで、事業支援や財務支援を行いながらスポンサーを探し、弁護士先生と共に金融機関やステークホルダーと交渉して再生計画をまとめました。 具体的には、赤字部門を切り離し、黒字部門のみをカーブアウトするようなストラクチャーであり、そこで生じる商流や組織体制の変化などビジネスの論点や財務インパクトをシミュレーションし、買収側と交渉しました。他方で、再生案件ですので、ある種敵・味方の垣根を超えて、買収側のシナジーを織り込んだ収支計画も一緒に作成しました。 対象会社の従業員や顧客も多いため、プレッシャーもあり非常に大変なプロジェクトでしたが、金融機関・クライアントの経営陣・再生専門の弁護士・公的機関などと一緒に共闘して案件を成功させたことが印象に残っています。ご支援した企業は現在、財務状態が非常に改善しておりまして、今でもお付き合いさせていただいております。
木村氏原価管理体制構築支援のプロジェクトです。クライアントは地方の食品加工会社で売上10億円程度でした。 クライアントは、取り扱う製品が多岐にわたるものの製品ごとの原価管理ができていないため会社全体の収益を管理できていませんでした。そのため、今後の経営戦略を検討する上で、そもそもの原価構造を把握するとともに管理方法自体も整理することで商品ポートフォリオを見直して選択と集中を行っていきたいという意向の元に依頼いただきました。 当初は原価算出のロジックを組んでいく方針だったのですが、クライアント社内にロジック検討するためのデータ自体が整っていなかったため、工場見学を何度も行い、限られたデータでどのように実態に則した分析するかをクライアントとも議論しながら具体化しました。 結果として、原価について今まではぼんやりと材料費が高い、加工難易度が高い、という理解に留まっていたが、非常に高精度な原価試算ロジックがアウトプットとして出てきて驚いた、とクライアントから評価していただきました。算出した原価が、クライアントが想定していたものとかけ離れていなかったということが、大きかったようです。「やはりこうだったのですね。これで来期以降の計画がしっかり立てられそうだ」と言っていただけました。
──かなり現場に入り込んで支援をしているのですね
岡村氏その通りです。自分も木村のプロジェクトにプロジェクトマネージャーとして参画していましたが、工場に張り付いて、どのような人たちが何人でどのような機械で時間当たり何個作っているか、ということを現場で集計していました。時間はかかりますが、机上の空論に留まらず実際の製造工程を反映した原価の算出を実現しました。PLを細かく製品ごとにかみ砕き、ポートフォリオを明らかにすることに成功した案件だったと思います。
──中堅・中小企業は経営層とのリレーションを築くのが難しいかと思いますが、どのように顧客開拓を行っているのでしょうか
岡村氏ターンアラウンド領域は、金融機関、再生ファンド、公的機関からの紹介で、売上5~100億円程度の企業を紹介頂いています。金融機関様とは各地域で付き合いがあり、全国に案件が散らばっています。 投資関連領域では、従前付き合いのある上場会社や、提携先のビジネスブレイン太田昭和様からのご紹介など、多くのチャネルを有しています。最近は投資ニーズが高いため、PEファンドとの付き合いも増え、投資前のビジネスDDや財務DDと計画モデリング、企業価値評価など多数の実績があります。投資をするにあたり、どのようなリスクがありそうか、成長余地はどこにありそうかなどを調査しています。 中計策定等のコンサルティングサービスについては、投資関連領域と同様に多くの引き合いがあり、中計において検討した戦略が絵餅にならぬよう、事業ドライバーを分解し、その計画に沿ったモニタリング体制を構築するなど、ABDのポリシーを持って取り組んでいます。
事業・財務の両面の習熟により、課題を問わず経営者からの相談を受けられる
──ABDで働くことで得られるスキルと経験、成長環境としての魅力は何でしょうか
岡村氏ABDで得られる能力として、大きく3点あると考えています。 1点目は、ファイナンスとビジネスに跨る広範囲のサービスラインの習熟です。戦略コンサルティングではビジネス寄りになり、財務コンサルティングではファイナンス寄りになりますが、当社は企業再生や投資実行支援、中計策定支援などワンストップで広範囲のサービスを提供するため、どちらも必要となります。上流としてクライアントの戦略策定をするだけでなく、ファイナンシャルアドバイザリーや、ビジネスDDまで対応できるということが当社の魅力だと思います。 2点目は、企業価値向上に資する事業の要諦を掴んだモデリング(=事業に即したキャッシュフローモデルを作成すること)のノウハウがあることです。ABD独自の用語でモデルドリブンと呼んでいるのですが、事業の重要なドライバーはどこにあり、モデリングにどのような影響を与えるかということの検討を案件の初期段階で実施しています。手法の研修も実施しており習得することができます。モデルドリブンのノウハウについては、いつか書籍化したいと考えています。 3点目は、財務キャッシュフローモデルの作成能力が身につくことです。2点目と重複する部分はありますが、Excelの使い方も含め、財務モデリングスキルはかなり身につくと思います。キャッシュフローモデルを作るのはとても大変でマニアックですが、ABDが事業会社のクライアントや金融機関、ファンドにも重宝されている理由の一つだと思います。 この3つの能力は次のキャリアにも繋がり得るものだと考えます。当社からファンドに転じたり、ベンチャー企業のCFOになったりした卒業生もいます。
木村氏現場よりの話だと、個人的にはファイナンスとビジネスのつながりがわかるため、経営者からの幅広い相談を受けることができることが魅力だと思います。経営管理指標や資金繰り、在庫管理など、幅広い経営課題に対して基本的に打ち返すことができるため、経営の手触り感を感じられると考えています。
──入社時の期待感と比べていかがですか
木村氏想像以上に良かったと思っています。要因はいろいろありますが、一番は幅広く経験を積めたことです。モデリングや現場での経営改善の支援、MA関連のFA業務など、ソリューションの縛りなく様々なことに挑戦することができました。入社して2年程度の中で、ここまで幅広く経験ができたのはABDだからだと思います。
過去ケースをモデル化した実技研修など半年間の研修により実践的なスキル習得が可能
──職位ごとにどのような働き方をする傾向がありますか
岡村氏職位としては、コンサルタント、シニアコンサルタント、マネジャー、シニアマネジャーというイメージです。未経験で入社する場合は、基本的にはコンサルタントクラスでの入社となります。 コンサルタントクラスは、基礎知識を習得し、成果物作成や納期管理ができるようになることが求められます。Excelや財務分析、ロジカルシンキングなどが必要スキルです。 シニアコンサルタントは、成果物の全体感に触れて論点を切っていくことが求められます。そのため、ビジネスとファイナンスの何れも習熟していることが求められます。ビジネスは様々な業種の商流やポイントを理解していること、ファイナンス関連としては、FA業務におけるリーガルや税務知識、M&Aのストラクチャーなどを学んで行きます。 マネジャーは、マーケティングやオペレーションなどの事業や特定の業界への洞察をもとに、プロジェクトを完結させることが求められます。金融機関と交渉するノウハウも必要です。FAにおける買い手・売り手との折衝、ターンアラウンドにおける各金融機関との折衝、中計策定における経営マネジメント層との折衝なども担当します。
──他社では事業会社から転職する方はファイナンスや企画がバックグラウンドの方が多いですが、貴社ではいかがですか
岡村氏以前はそうでしたが、最近ではファイナンス畑ではない社員も多いです。ITベンチャーや人材サービス出身のメンバーもいます。オペレーションは知っているが財務会計は全くわからないなど、分野によっては未経験な状態で入社する方もいます。
──未経験の方がキャッチアップするのは大変だと思いますが、どのような研修を行っていますか
岡村氏研修とナレッジシェアは高頻度で行っています。未経験者は当然ですが、コンサル経験者であっても、入社から約半年は研修メニューをこなしていただきます。研修は当社オリジナルで非常に細かく作っていて、DD、財務モデリング、バリュエーション、Excelなどを学びます。半年学ぶと一人前のコンサルタントとして名乗れるレベルになれると思います。座学研修もありますが、実技研修がほとんどなので非常に大変ですが、研修を終えれば習熟すると思います。実際のプロジェクトをもとに研修メニューを作成しており、私も研修講師を担当することもあります。
旺盛なクライアントニーズを満たすために新たなメンバーを募集するが、報酬・品質を維持するために少数精鋭のスタンスは堅持する
──今後の展望を教えてください
岡村氏基本的にはクライアントとファームのメンバーを大事にしていきたい会社でありたいと思っています。上場や闇雲な組織拡大は目指していません。現在は25名程度の社員数で、約3年をめどに35名程度までに増やしたいと考えていますが、そこから大きな拡大は考えていません。3-4年前は15名程度であり、Myvision様にもご紹介していただき、社員数を増やしてきました。以前はまったく拡大志向ではありませんでしたが、クライアント数が増えてきて、案件をお断りせざるを得ないことも発生してきてしまったため、お客様からのニーズに対応すべく、適正な規模まで組織を拡大したいと思っています。 ファンドや事業会社の投資ニーズが昨今高まっている中、事業専門や財務専門ファームでは、大きなターンアラウンドや投資の案件になると分業体制になってしまいます。当社のコンピテンシーは広範囲なサービスをワンストップでできることであり、高品質は当然ながら適正な価格でクライアントの皆様に提供し続けたいと思っています。またファームとして、そのようなハイレベルな業務をこなしているメンバーに報酬で見返りを与えるのは当然だと考えており、報酬についても大手ファームをベンチマークとして設定しています。規模が大きくなりすぎると、マネジメントによる育成が行き届かず、メンバー全体の能力が相対的に落ちてしまうことを懸念し、適正な規模を目指したいと考えています。
──採用で重視していることを教えてください
岡村氏大事にしているのは、知的体力と好奇心があることです。バックグラウンドに関係なく、人生の分岐点において考え抜いて選択してきたか、自分だけでなく周囲の出来事や物事に好奇心を持てるか、ということを重視しています。
──候補者へのメッセージはありますか
岡村氏自分の好奇心や知的探求心を、心行くまで満足させられる様々なサービスラインに興味があり、少人数ならではの裁量や選択肢、働き方があることを魅力に感じる方には、良い修行の場であると共に、一生過ごせる場所ではないかと思います。また、ABDとしてもそういった方に是非ご入社いただきたいと考えております。
木村氏他社のコンサルティングファームの話を聞くと、優秀ではない人は見切られるケースがあるようですが、ABDは少人数ということもあり、誰も見捨てず、引き上げるための仕組みがあります。やる気があれば誰でも上にあがっていける環境だと思いますので、そのような環境を求めている方にぜひご入社いただきたいと思います。
──ありがとうございました