個社向けの課題解決には留まらない。データの力で産業全体のUPGRADEを試みるAIカンパニー 【株式会社JDSC 社員インタビュー】
2024年09月26日更新
企業紹介
JDSC(Japan Data Science Consortium Co. Ltd.)とは、日本の産業をアップグレードすることを使命とした東大発のAI企業です。社会課題の解決を主体的に仕掛けていくために、東京大学を始めとしたアカデミアの知見を活かしながら、各産業におけるリーディングカンパニーとのJoint R&Dプロジェクトを経て、業界全体にそれを波及させていく仕組みの構築までを行います。本日は、執行役員の佐藤様と、データサイエンスチームリード(VP of Data science)の中橋様に、JDSCの特徴と魅力についてお話を伺いました。
インタビュイー経歴
話し手
佐藤飛鳥氏
JDSC
執行役員
アクセンチュア株式会社戦略コンサルティング本部を経て20年1月よりJDSCに参画。キャリアを通じて、幅広い業界を対象としたIT・DXプロジェクトを多数経験。JDSCでは主に製造業・物流業を対象とした大手企業のDX案件を推進すると同時に、大企業との接点構築の組織化や、社外とのアライアンスの責任者を務める。2022年、執行役員に就任。
話し手
中橋良信氏
JDSC
VP of Data Science
帯広畜産大学にて博士後期課程修了後、データ分析会社やコンサルティング会社を経て、22年7月にJDSCに参画。キャリアを通じて、データサイエンティストとして統計モデル・機械学習を用いた業務課題の解決に従事。保険・製造・ヘルスケアなどの領域で多数のプロジェクトを担当。2023年5月よりデータサイエンスチームをリード。
目次
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個社のクライアント支援に留まらず、産業全体のアップグレードをするからこそ価値がある
──まずは、お二人の自己紹介からお願いします
佐藤氏大学院卒業後、新卒でアクセンチュア戦略グループに入社し、2019年まで在籍していました。JDSCには、2020年1月に入社しました。現在は、コンサルティングチームの全体の責任者と、製造業向けのソリューションチームの責任者をしています。
中橋氏大学には博士課程まで在籍し、遺伝統計と呼ばれる領域で研究をしていました。民間企業に就職するにあたって、自身が学んできた統計を応用して社会に還元していきたいという思いを持ち、データ分析系のベンチャーに就職しました。その後、複数のコンサルティングファームを経て現職に至ります。JDSCでは、VP of DataScienceとして、データサイエンスメンバーのリードをしています。
──JDSCについて、簡単なご紹介をお願いします
佐藤氏JDSCは “UPGRADE JAPAN”を使命としているベンチャー企業です。 “UPGRADE JAPAN”とは、①業界構造自体の課題や、業界自体が変化していく中で起きている課題を対象に、②データを使ってその解決方法を検討し、③個社の課題解決に閉じずに業界全体へ影響を与える方法の構築まで行うこと、と定義しています。その為の第一歩を「Joint R&D」と呼んでいるのですが、業界の中でも新しい取り組みに積極的な大企業と一緒に組んで課題の解決の方向性を検討します。中期的には、ソリューション開発、ジョイントベンチャー立ち上げ、コンソーシアム立ち上げ等、様々な方法により、産業全体の課題解決を推進しています。
──産業全体の課題解決の推進のために、どのような手段をとっているのでしょうか
佐藤氏「Joint R&D」/「ファーストユーザー」という単語を社内では使っています。例えば、中部電力、JERA(東京電力フュエル&パワー株式会社、中部電力株式会社の合弁会社)、佐川急便、イオン、センコー、ダイキン工業…といった業界をリードする大企業様とはこのような関係ですね。業界全体を変えていく為にも、まずはコアとなる企業様と具体的なアルゴリズムや座組についての整理が必要です。世の中に「コンソーシアム」が増えてきはしましたが、うまく成果が出ていないように見えるのは、最初から多くのステークホルダーを巻き込みむと、要件の調整に余計な時間を要してしまうと考えています。こうした企業様との取り組みを進めて行く/太らせていくことに加え、そもそもテーマ自体を増やしていくことを、社内でやっています。
──貴社の中で特に注力しているテーマがあれば教えてください
佐藤氏各領域ごとに複数のテーマがありますが、今回はヘルスケア領域と、エネルギー領域での特長的な事例について紹介します。 スマートメーターから取得可能な電力データに注目しており、ヘルスケア領域で注目の高まっている「フレイル検知AI」の開発と社会実装が一例です。フレイルとは、要介護の一歩手前の状態を指します。その状態を早期に検知し、適切に食生活や生活習慣などの改善支援を行い介入することで、個々人の健康寿命を延伸することと同時に、医療費や介護給付金の増加に伴う医療崩壊を防ぐことにも寄与したいと思っています。フレイル検知AIは、自治体向けフレイル検知サービス「eフレイルナビ」として、既に世の中に価値創出を始めています。今後、AI自体の導入ユースケースを増加すること、AIの検知対象を広げていくこと、そもそもヘルスケア用途以外にも電力データ解析を広げていくこと、を検討しています。
──AIソリューションを提供する企業は増えてきました。そうした企業群と比較したJDSCの強みがあれば教えてください
佐藤氏ビジネスとデータサイエンスの価値提供のバランスの良さにより、大きな課題を解決していけることだと思っています。どのようなプロジェクトでも、ビジネス視点で価値創出できるものでなければ、例え凄い技術を使っていたとしても意味がありません。JDSCでは、ビジネス上の価値を見極めた上で、技術を選定し活用することを徹底しており、そのバランスの良さが他社と比較しても優れているのではないかと思います。 また、一般的なコンサルティングファームは、目の前のクライアントの支援に留まると思いますが、JDSCでは業界全体の課題解決を行っていくという価値観を持っています。そういった価値観を持つことで、業界に大きなイノベーションを起こせることも強みになります。
中橋氏JDSCはAIスタートアップと呼ばれる企業群に整理されることが多いですが、「プロダクト売り」ではないということが弊社の強みになっていると感じています。産業全体の問題解決を行うためには、プロダクトファーストでは難しいと考えています。JDSCにとってプロダクトはあくまで手段の一つという位置づけで、問題解決に直結する方法があれば、それ以外の方法を模索するというスタンスです。この問題解決のために最適な手段を考え抜くということが、他のAIスタートアップと一線を画している部分です。
佐藤氏そうですね。世の中で多く利用されているSaaSプロダクトは、結局はバックオフィス業務のような共通業務をスコープに価値を提供していると思います。ビジネスにおける一部の共通業務を自動化するという目的には十分ですが、業界を変えるような課題解決を行っていくためには適さない。やはり、ひとつの手段にとらわれずにあらゆるアプローチを検討していくといったことが重要だと認識しています。
コンサルティングファームでは経験できないことが、JDSCでは実現できる
──JDSCではコンサル出身者が多く活躍されていますが、どのような背景からコンサル出身者を積極的に採用しているのでしょうか
佐藤氏先ほどお話しした様に、JDSCが提唱するJoint R&Dを実現するためには、大企業様とタッグを組んでプロジェクトを進める事が重要になります。また時には複数の企業の集合を体を相手にプロジェクトを進めることもありますが、ますます難度が上がります。その為にはプロジェクト推進に慣れた人間、具体的にはコンサル出身者の能力・経験が活きます。そのため積極的に採用しておりますし、実際にJDSCでも活躍しています。
──逆にコンサル出身者はJDSCのどのようなポイントに魅力を感じて、転職を決意されているのでしょうか
佐藤氏コンサル出身者にとって、JDSCを魅力に感じる点は大きく3つあると考えています。私もコンサル出身者として、非常に納得感があります。 1つ目は「高いやりがい」です。JDSCは業界全体にインパクトを与えられる「社会性が高いプロジェクト」が多いです。私自身、弊社代表の加藤と初めて会った際に「コンサルティングファーム時代に担当したプロジェクトを通じて、世の中が本当に変わったのか」という問いをもらい気付かされました。コンサル会社のプロジェクトは個社のシェア拡大に対して成果を創出出来ていたものの、世の中を進化させられたのかという視点では、必ずしもそうでもないかもしれない、と思いました。
2つ目は個人としての「成長」/「市場価値の向上」です。JDSCでは三位一体(ビジネス・データサイエンス・エンジニアリングで1チームとして働くこと)で、他職種と一緒にチームを組んでプロジェクトを進めます。一般にコンサルティングファームでは、類似ケイパビリティを持つ人材と働くことが多くなると思います。一方、JDSCの動き方は、アウトプットを最大化のみならず、お互いのスキルを学んでいく機会も増えます。
3つ目は、自身の代表作と言える仕事を形に残すことができる点です。例えば、筒井一彰というメンバーは、海事産業に関わるプラットフォームサービス会社を三井物産とのJV(seawise株式会社)で立ち上げ、代表を務めています。彼はそもそも30代前半ですし、元々私と前職が同じであるアクセンチュア出身。JDSCに参画後に海事業界との運命の出会いがあり、そこに人生をかけようと思うに至りました。コンサルティングファームではどこまでいっても事業の主体者になれない一方、JDSCでは筒井のように、自身が直接的に世の中を変えていくという非常に貴重なキャリアを積むことが可能です。他にも、フレイル検知のように、世の中に新しい価値を自分で作ったんだと言えるような代表作を、1つのプロジェクトに留まらず長いジャーニーとして作っていけることは、どのコンサルタントにとっても魅力に感じるはずだと思います。
中橋氏私も同感です。課題を解決するために会社立ち上げまで行うというフットワークの軽さを非常に魅力的に感じています。私が以前所属していたコンサルティング会社は監査法人をグループに持っていたこともあって、インテグリティは強く求められる一方、問題解決への実行手段は限定的であり、解決には時間がかかってしまう傾向にあります。一方、JDSCは問題解決のために、会社の立ち上げ、ソリューション・プロダクト開発など様々なアプローチを行う動き出しが早く、選択肢も多く持っていることに対して、魅力を感じていただけると思います。
課題解決の実現に向けて、自ら主体的に動ける人が輝く環境
──プロジェクトのアサインの仕組みと働き方について教えてください
佐藤氏プロジェクト側のニーズと本人の希望のマッチングでアサインが決まっていくという点は、割と一般的な仕組みかと思います。ただし、待っていれば安定的に仕事がくるという状況では、JDSCという環境を十分に楽しめません。業界を変えたいという想いを持って、受け身ではなく積極的に価値観を発信し、仕事を取りにいく姿勢は重要です。特に、マネージャー以上は、積極的に社外に価値観を発信していく機会が多いです。尚、Biz系メンバーについては、マネージャー以上は基本的には二つ程度のプロジェクトを担当しています。
中橋氏データサイエンティストについては、より複数のプロジェクトに携わることが多いです。ジュニアなメンバーはひとつのプロジェクトでしっかりと価値を出してもらうことが多いですが、シニアになっていくにつれて複数のプロジェクトに関わる機会が増えていきます。
──JDSCでの働き方について、特長的な部分があれば教えてください
佐藤氏部門を問わず、社内で積極的に勉強会を開催している等、意欲が高い方はスキルアップしていける仕組みが整っています。 また、残業時間が非常に短く、社外活動も含めて学習機会を十分に持てていることも特徴的ですね。残業時間を短くできている要因としては、JDSCが時間売りではなく、提供する能力・価値ベースでクライアントから選んでいただいているという点が大きいと考えています。
中橋氏全社員とこまめに1on1を設定していることも特長的だと思っています。上長との隔週の1on1に加え、人事との入社後1か月・3か月・6か月のタイミングでの1on1、メンターとも入社後しばらくは最低2週間に1回の1on1を実施してもらっています。直近の例では、仕事の進め方で困っているメンバーと私がデイリーで1on1を実施することで、プロジェクトのタスクがだいぶ整理できるようになり、上手く仕事を進められるようになったこともありました。躓いたことがあればすぐに解決できる支援体制は、安心して働ける仕組みだと思います。
佐藤氏また、産休・育休はとりやすく、復帰しやすい環境にあると思います。JDSCに入社後、二度の産休育休を経験した社員がいるのですが、「実はJDSCのようなスタートアップこそ産休・育休後に復帰しやすい」と話していました。大企業と比較して、スタートアップでは一人ひとりの重要性が高く大事にされるため「居場所がなくなるかも」といったような不安はなかったようです。人事異動なども少ないため、復帰した際に部署やそこで働くメンバーの顔ぶれが大きく変化しないことも、復帰がスムーズにできた理由だと話していました。私個人としても、JDSCでは一時的に仕事から離れたとしても、社員同士が個人的に仲が良かったり、何かしらつながっていることが多いため、スムーズに復帰しやすい環境だと思います。
──評価制度について教えてください
佐藤氏半期に1回評価会議を実施しており、コンピテンシー評価(スキル・行動に対する評価)、実績(売上やチャージャビリティなど数字に対する評価)、360°フィードバックなどから評価を決定します。また、能力が高ければ抜擢していきます。特長的な事例としては、インターンから2年で事業責任者に登用された例や、入社して1年でJVの社長に登用された例もあります。
──JDSCではどのような方が活躍されているのでしょうか
佐藤氏自分で新しいチャレンジをしていきたい、世の中に大きな価値を提供していきたいという熱い思いを持っている人が活躍しています。結局、どんなに優秀な人間でも、1人で何かを成し遂げることは無理なんですよね。なので、社内のメンバーをどんどん巻き込んで行って欲しいと思います。
中橋氏自身の仕事を、狭い担当領域で閉じない方が活躍しています。例えば、データサイエンティストだからデータ分析しか担当しないという方よりも、課題解決のためならビジネスの領域まで関わりたいという思いを持っている方が活躍していますね。そういった背景もあり、データサイエンティストの方を採用させていただく際は、JDSCで何を実現したいのかはきちんと入社前にすりあわせるようにしています。
世の中に大きなインパクトを残す。そうしたチャレンジをしたい方と、共に働きたい
──転職候補者様に向けて、改めてJDSCの魅力を教えていただけますでしょうか
佐藤氏世の中に大きなインパクトを提供できるストーリーを作っていけることが大きな魅力です。例えばフレイル検知では、中部電力様とのJoint R&Dから始まり、フレイル検知技術を開発し、eフレイルナビというソリューションになり、現在では自治体様で利活用が広がっています。そしてまだまだ、技術的な進化、ビジネス利用の拡大の余地が有り、それに伴って世の中に与えるインパクトを拡大していけます。そのような世の中を変えていくためのストーリーを作っていきたいという熱い思いを持っている方にはJDSCは最適な環境だと思います。
中橋氏佐藤から話があったストーリーを実現するという文脈では、やはりデータサイエンスの能力や着眼点が中心になります。データサイエンティストにとって、自分が作ったモデルや分析した結果がPoCでとどまらず、社会全体に還元されていくという壮大なチャレンジができます。そういったチャレンジをしていきたい人は是非入社していただきたいと思っています。
──ありがとうございました