ヘルスケアと製造業。巨大産業において、この国が解決すべき難易度の高い課題解決に挑む 【株式会社JDSC 社員インタビュー】
2024年09月25日更新
企業紹介
JDSC(Japan Data Science Consortium Co. Ltd.)とは、日本の産業をアップグレードすることを使命とした東大発のAI企業です。日本の変革の主体となるために、東京大学、各産業におけるリーディングカンパニー、要素技術を有するベンチャーとチームアップし、従来の人月単位に基づいた請求から決別し、利益に直結したAIサービスを提供しています。本日は、ヘルスケアチームの南様と、製造業チームの齊藤様に、JDSCの特徴と魅力についてお話を伺いました。
インタビュイー経歴
話し手
南友莉恵氏
JDSC
ディレクター
東京大学法学部卒業後、戦略コンサルティングのドリームインキュベータに入社。日系大企業の新規事業戦略立案、海外進出支援などを中心にコンサルティング案件に携わる。その後、フィンテックベンチャーのAnyPayに移り、ブロックチェーンビジネスの事業推進を担当。2019年2月、創業間もない第一期目の㈱日本データサイエンス研究所(現・JDSC)に入社。現在はヘルスケアチームをリード。
話し手
齊藤航氏
JDSC
マネージャー
早稲田大学応用物理学科卒業後、IHIに入社。プラントエンジニアリングを経験後、コンサルティングファームに転身し製造や物流業界のコンサルティング業務を担当。その後、食品会社にて全社DXの統括・推進を経験後、JDSCに入社。現在は製造業チームをリード。
目次
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JDSCでは、産業全体の課題解決、社会的意義の高いテーマにチャレンジできる
──まずは、お二人の自己紹介からお願いします
南氏東大法学部卒業後、戦略コンサルティング企業のドリームインキュベータに入社し、主に新規事業立案、海外進出支援などのコンサルティング業務に従事しました。その後、当時社員が30名程度であったFintechベンチャーのAnyPayに移り、1年半程度ブロックチェーンビジネスの事業推進を担当し、2019年の2月に創業間もない一期目の JDSC(当時の会社名は株式会社日本データサイエンス研究所)に入社しました。入社後は、 AIソリューションの事業企画から開発、導入まで一通りメインで担当し、直近はヘルスケアチームのリードとしてよりコンサルティング業務に近い領域を担当しています。
齊藤氏製造業のリードをしている齊藤です。重工メーカーでキャリアをスタートし、発電や化学プラントを中心としたエンジニアリング業務を経験しております。設計からその後の建設、試運転まで一連のプラントビジネスに携わって参りました。その後はコンサルティング業界に転身し、国内外のコンサルティングファームで主に日本の物流の課題解決に取り組みました。その後、食品会社の社長直轄部署に参画し、全社のDXを統括・推進しておりました。JDSCには2023年の夏から参画し、主に大手製造業様のDX推進をご支援しております。
──お二人のチームについてご紹介をお願いいたします
南氏ヘルスケアチームは、主にヘルスケア関連のデータを使ったコンサルティングや、ソリューションに落とし込み事業開発を実施しています。製薬会社などのヘルスケア企業様に対して支援を行うことも勿論ありますが、他ドメインを主軸とする企業様に対してヘルスケア関連の事業開発支援を行うことも数多くあります。例えば、現在のヘルスケアチームの主力プロダクトの一つである「フレイル検知AI」は中部電力様と共同で開発しました。
齊藤氏製造業チームは、ものづくりをしている企業様を中心に支援しており、日本の製造業の根幹課題にDXという切り口で取り組むということをテーマにしています。このテーマには大きく2つの軸があります。1つ目はビジネス自体のアップデート、全社的な改革支援です。目的定義と戦略から具体的な実現手段の検討までを一気通貫で伴走しながら支援しています。2つ目は特定ソリューションの強化・改善です。 AIやデータの力を活用し、どのようにして現状の業務を改善し、最終顧客への価値を拡大させるか、ということに取り組んでいます。
──各チームで注力しているテーマや、どのようなことをやっているかイメージがわかるような事例があれば教えてください
南氏現在ヘルスケアチームで最も注力していると言えるのは、やはり健康寿命の延伸です。先程お話した中部電力様と共同開発したフレイル検知AIで、まさに課題解決を行っている領域です。各家庭の電力使用データから、そこに住むご高齢者が要介護の一歩手前である「フレイル」状態になっていないかどうかをAIが検知します。フレイルの段階で見つけて対策を講じることができれば、要介護にならずに健康状態まで戻ってくることが可能なので、健康寿命の延伸に大いに役立つものと自負しています。
もう一つ、こちらは中長期目線の目標にはなりますが、医療現場の効率改善です。ビジネスプロセス改善やシステム導入などの余地が沢山ある領域ですが、大学病院や医局という場の特殊性や、保険点数のような特殊な仕組もあり、そう簡単に踏み込めない領域でもあります。まずは色々なプレイヤーとお仕事させて頂き中を知ることから始めていますが、中長期的には例えばJDSCでクリニックを経営してみる、といった形で業界の中に深く入り込んでいくようなことも必要かもしれないねと上長とは話しています。
齊藤氏製造業も2つ事例を紹介します。先ほど全社改革に言及しましたが、産業機械メーカーの全社DX推進が現在プロジェクトとして進行中です。AIを含む先端技術を手段として活用し、これまでの事業構造から脱却し新たな価値を創造するために具体的に何をすべきか、組織やインフラを含めて何を変えていくべきか、マインドを含めたカルチャーをどうアップグレードするかを顧客と2人3脚で検討しています。2点目は、ソリューション強化の事例です。従来、機械部品の仕様検討から試作のプロセスを繰り返しながら顧客要求を実現するプロセスだったものを、AIを活用したシミュレーションに置き換える取り組みをしています。その際に、より機械・流体の物理現象に迫りながらお客様と議論を行った上で モデルを作成し、業務効率化に寄与するレベルまで昇華させました。この他にも、ものづくりのライフサイクルにおける”保全”にいかに価値を付加するかといった取り組みも行っています。具体的には故障の検知に留まらず、予兆保全やメンテナンスの最適化へいかに接続しサービス化するかについて検討を支援をしております。
──JDSCの各チームが他の会社と異なる特長があれば教えてください
齊藤氏そもそも、JDSCはビジネス・データサイエンス・データエンジニアリングの三位一体で、プロジェクトを進めるのですが、製造業チームではそこにエンジニアリングにおける高い専門性という軸を一つ加えることで価値を提供しています。例えば、機械工学や制御工学などの製造業に深く関連する専門領域を持つメンバーが在籍しており、その専門性を持ってクライアントと同じ技術レベルで話をすることで、更に深い課題を解決していけることが特長だと考えています。
南氏どの会社と比べるかという話があるので難しい質問ですね(笑)弊社はいわゆるAIベンチャーでありながら、コンサルティングファーム的な側面も持ちつつ、時にはITベンダーのような顔も持つので、それがまず特徴的ですよね。あえてコンサルティングファームと比較するとするとJDSCの特長は、社会性の高い取り組みに真っ向からチャレンジできる所だと思います。例えば、「健康寿命を伸ばしましょう」と言われてNOと言う人はほとんどいないですよね。でも、そこにお金を払う人がいるかと言うと一気に話は変わってきて。理想を実現するためのビジネススキームの検討は非常に難しく、長い時間軸で見ないといけないこともあります。こういった社会的に意義のあるテーマに取り組めるというのはJDSCの魅力の一つだと思います。
──社会性の意義の高い取り組みをビジネスとして成立させるためにどのようなアプローチをとっているのでしょうか
南氏JDSCは色々なタイプのプロジェクトポートフォリオを持っているので、短期的な採算が合わないと取り組めないという制約を、モノによって緩めることができます。もちろん、非営利でやっているわけではないですし、中長期的な回収が見込める場合のみですが。コンサルティングファームではプロジェクトベースで採算を合わせることは必須だと思うので、そこは違いますよね。フレイル検知の事例で言えば、行政を巻き込んだスキーム設計にしたこと、そして中部電力様のような視座の高いプレイヤーと組ませて頂けたこともポイントかなと思います。
健康寿命延伸、医療費負担削減といったヘルスケア業界の重要課題の解決を目指す
──先程お話しいただいたフレイル検知ですが、どのような背景から取り組みが始まったのでしょうか
南氏元々は、「スマートメーターから得られる電力データを基に各家庭の在・不在が判定できるのでは」という弊社の共同創業者であるデータサイエンティストの仮説/論文から始まっています。その仮説を基に佐川急便様と、電力データを用いた不在配送問題を解消する取り組みを行いました。電力データを活用した在宅判定アルゴリズムを用いることで、一定の成果を得ることができました。この取り組みから発展して、家庭内の行動(起床・外出・睡眠など)も電力データから予測・検知ができるのではないか、更には、そこからフレイル状態も検知できるのではないか、という仮説に至りました。この仮説を基に実証実験をしたところ、95%程度の精度でフレイル状態が検知できたため、サービス化に至ったという経緯です。
──フレイル状態の検知ができるとどのようなメリットが発生するのでしょうか
南氏一般的には、要介護状態になると、悪化を止めることはできても、要介護状態の前に戻せることはほとんどありません。しかし、フレイル状態(要介護の一歩手前の状態)であれば健康な状態に戻すことができる「可逆性」があり、改善できるのです。ちなみに、フレイルは10個程度の質問からなる質問票などでも識別は可能で、その検知精度が低いとかそういう訳ではないのですが、そのアンケートに答えるシーンがないということが課題なのです。例えば、フレイルかも?と思って家族が病院に連れてくるような場合は既に要介護だったり、一方で行政から質問票を郵送したとしてても、そのちゃんと手紙を開封して回答して返送してくれるような方はばっちり健康なんです。その点、フレイル検知AIは、最質問票の回答などの必要がなく検知できることが特長です。
また、フレイル状態を検知できることは、経済的意義も大きいんです。要介護認定が下りれば給付金が出るため、その後多少改善したとしても、一度出た要介護認定を外す人はいないんです。そういった意味でも、要介護になってしまったら不可逆なんです。この高齢社会の中で、要介護の人が増えれば増えるほど、日本全体の社会保障費が圧迫されていきます。”ピンピンコロリ”という言葉の通り、天寿を全うする直前まで病気に苦しむことなく、元気に生きることは、誰にとっても理想だと思います。
──フレイル検知のビジネススキームについても教えてくだい
南氏世に出ているサービスとしては、eフレイルナビというサービスです。中部電力様によるサービスで、JDSCはその裏側のスコアリングのAPIを提供しています。eフレイルナビは、自治体様向けに販売しており、自治体様は各エリアに居住する高齢者をeフレイルナビ上でリスト管理し、フレイルスコアが高い高齢者には、保健師・民生委員が訪問し、健康状態の確認と介入(主には運動・食事・通いの場などの改善提案)に活用しています。高齢化率が高まる中で、保健師・民生委員の方の数にも限界があり、全ての家庭を回ることは難しく、優先順位をつけることに大きな価値を感じてもらっています。
製造業全体のアップデートを戦略立案から組織構築・実行まで伴走して支援
──先程ご紹介いただいた産業機械メーカー様向けのDX支援の取り組みについて教えてください
齊藤氏製造業全体の課題として、従来のモノ売りから抜け出せていない現状があります。例えば、製造現場ではデジタル化による生産管理工程の効率化などの取り組みは進んできているのですが、あくまでも既存のモノ売りのビジネスモデルの延長線上の改善であり、今後の環境変化に打ち勝つための変革とは異なります。このような背景がある中で、従来のモノ売りから脱却し、より高い付加価値を生み出しイノベーションを起こせるようなサービス化をしていきたい、といった課題を持つ企業様からご相談をいただくことが多いです。産業機械メーカー様もそのような課題を持った企業の一つで、JDSCは戦略立案・組織作り・施策の実行方法など、DXのあらゆる重要論点において伴奏しながら支援しています。その中で中長期視点だけではなく、短期の成果創出も進めており、AIを活用したQuickWin施策を実施しながら後続への連鎖反応をいかに引き起こすかということにも拘っています。
──他のコンサルティングファームの支援との違いはどのような点にあるのでしょうか
齊藤氏コンサルティングファームは基本的に一定期間やフェーズに閉じた局所的な提案や支援で終わってしまうことも多いと思いますが、JDSCは戦略を作ることから実行・実装まで一気通貫で支援することが特長的です。役員レイヤーの方の「御用聞き」になるのではなく、実務担当者を改革の主人公にし、より自分ごと化した上で戦略や施策の実行を進めてもらう支援に拘っています。JDSCはここに寄り添いながら改革に伴走し、お客様の改革の自走化を目標にしています。また、私がプラントエンジニアリングの業界に長い期間在籍していたように、クライアントと同じレベルの専門的な知識を持ったメンバーが支援していることも大きな特長です。これらの人的アセットを活用しながら、個社の課題解決だけではなく、製造業全体や他の業界の課題解決まで昇華させ、産業全体・日本全体をアップグレードすることを目的にするという社会的意義を大きく意識していること、それがお客様に対しても理解を得ていることが大きな強みだと認識しています。
──先ほどご紹介いただいた、機械部品の試作シミュレーションの事例についてもお話をお伺いさせてください
齊藤氏機械部品の試作を、AIを使ったモデルでのシミュレーションを活用することにより、効率化・付加価値向上させていく支援をしています。機械部品は、お客様の要求に対し何回も試作することを繰り返して作っていくことが一般的ですが、試作は実際の材料を加工・試験・検証などを行うため、試作のために多くの工数が必要になることや、昨今のSDGsの観点からできるだけ試作に使う材料を少なくしたいという課題がありました。この課題を、モデルシミュレーションにより、ある一定の確度までシミュレーションで検証したうえで試作を作ることで、実際に試作する工程を少なくする取り組みを行っています。このシミュレーションを営業ツールに落とし込むことにより、機械部品の営業・商談業務プロセスの精度や提案の質を向上していくといった部分まで支援しています。
産業課題の解決を通じて、自分の代表作となるような仕事ができる
──各チームが求める人材についてお伺いさせてください
南氏コンサル経験者でシニアコンサルタント以上の経験がある方を積極的に募集しています。現在、弊社のメンバーには医師、理学療法士資格保有者、介護領域に知見が深いメンバーなど、様々なスペシャリティを持つメンバーが在籍しており、大きな強みになっています。しかし、クライアントに深く入り込んで課題解決を推進するためには、プロジェクト推進の経験があるジェネラリスト的な人材もまだまだ必要です。そこはまさにコンサル経験者が得意とする領域だと思っています。コンサル経験者の方であれば、ヘルスケア部門での在籍経験は必須要件ではありません。医療や介護をはじめ、日本のヘルスケアをもっと良くしたいという強い思いがある方は、是非一度、弊社のフライデーナイトやカジュアル面談にお越しください。
齊藤氏マインドとスキル面に分けてお話します。マインド面では日本の製造業に何かしらの課題を感じており、その課題解決をしたい方、また、そもそも日本の製造業そのものの構造を変えるソリューションを世に生み出していきたいというような熱い思いをお持ちの方にきていただきたいです。スキル面では、南がお話したコンサルとしてのプロジェクト推進、事業企画等のスキル経験に加え、製造業のオペレーションや・エンジニアリングチェーンに関する専門的な知見を有している方にきていただきたいです。
JDSCのプロジェクトには単なる構想策定に閉じず、実行まで一気通貫で携わり自分の代表作を作ることができるという魅力があります。自身が手掛けたソリューションが形になり世の中に価値提供していくことや、お客様の全体の改革が進んでいくということに対して、少数精鋭の中でオーナーシップを持って改革を進められることが魅力の一つです。
このような内容に共感できる方と一緒に、日本の製造業の改革を実現していきたいと思っています。
──転職候補者様に向けて、改めてJDSC、各チームの魅力を教えてください。JDSCではコンサルティングワークや事業創出など様々な事業ポートフォリオがあると思うのですが、メンバー単位でもそのような幅広い経験をすることは可能なのでしょうか
南氏大手コンサルティングファームほど企業規模はありませんので、プロジェクト数では劣ります。但し、JDSCでは所属する部門やプロジェクトのアサイン先が人事で勝手に決められるということはなく、自分が取り組みたいテーマや解決したい課題に対して手をあげて取り組みやすい環境です。そのため、自身の希望次第でコンサルティングプロジェクトだけではなく、事業開発など、様々な仕事に携わることが可能です。課題解決したい領域があり自らチャレンジしたいという思いがある方にとっては、非常に魅力的な環境だと思います。
自分の仕事の幅を広げることにチャレンジし、会社をリードしていく人材と出会いたい
──最後に、転職候補者様に向けて、メッセージをいただけますでしょうか
齊藤氏JDSCでは三位一体(ビジネス・データサイエンス・データエンジニアリングで1チームとして働くこと)での働き方がありますが、さらに、自分自身が他の領域に染み出していくことも推奨されています。例えば、これまではコンサルトとしてビジネス面の知識・経験しかなかったが、三位一体で働いていく中で、データサイエンスやデータエンジニアリングの知見を取り入れる。そして、1人で三位一体を少しずつできるようになり、ビジネスパーソンとしての幅を広げていくことができます。自分の仕事の幅を広げることにチャレンジしたい方にはぜひ来てていただきたいです。
南氏弊社は2021年12月に上場しましたが、まだまだスタートアップらしさを失っていない会社です。そのため、与えられた仕事ではなく、自分で仕事を見つけてやりたいという方にとっては非常に楽しい環境だと思います。また、大手コンサルティングファームのように上が詰まっているということもありません。自分が会社をリードしていくんだという気概のある方に来ていただきたいです。
──ありがとうございました