M&Aに伴う組織・人事案件に包括的に立ち向かうプロフェッショナル部隊【KPMG FAS People センター・オブ・エクセレンス(CoE)加藤氏、日名子氏インタビュー】
2025年02月08日更新
企業紹介
KPMG FAS People CoEは、KPMG FASのIntegration & Separation部門に属するHR専門チームです。CoE=Center of Excellence の名称通り、組織・人事アドバイザリーのプロフェッショナルが集まっており、クライアント企業の戦略実現のために組織・人材に関する課題の可視化、組織・人材マネジメントの変革を行います。具体的にはM&Aにおける人事領域の支援や人事戦略立案、人事制度設計、組織・人材開発等に関するコンサルティングを提供しています。
インタビュイー経歴
話し手

加藤光康氏
KPMG FAS
マネージングディレクター
前職はBig4系のコンサルティングファームや、同社からスピンアウトした独立系のコンサルティングファームに人事コンサルタントとして所属し、組織再編・M&Aなど組織が大きく変わるタイミングでの検討支援プロジェクトを経験。 2024年5月にKPMGに参画後、M&Aに関連した人事コンサルチームをリード。
話し手

日名子夏希氏
KPMG FAS
アソシエイト
2019年から約5年間 Big4系コンサルティングファームの人事部に所属し、バックオフィスで評価業務や組織再編の経験をしたのち、KPMG FASに2024年1月に参画。
目次
全部見る
M&Aに伴う人事DD・PMIを中心に、グローバル案件も多く手がけられる
──初めに、皆様のご経歴についてお聞かせください
加藤氏前職はBig4系のコンサルティングファームや、同社からスピンアウトした独立系のコンサルティングファームに人事コンサルタントとして所属し、組織再編・M&Aなど組織が大きく変わるタイミングでの検討支援プロジェクトを経験してきました。2024年5月にKPMG FASに参画後、M&Aディールに関連した組織検討プロジェクトのデリバリーやサービス開発を行っています。
日名子氏2019年から約5年間Big4系コンサルティングファームの人事部に所属し、バックオフィスのスタッフとして評価業務や組織再編の経験をしたのち、KPMG FASに2024年1月にプロフェッショナルのアソシエイトとして参画しました。
──企業の概要を教えてください
加藤氏People CoEは15人在籍しており、マネージャー以上が4名、スタッフ層がアソシエイト・シニアアソシエイトを合わせて11名という構成となっています(2024年12月1日現在)。クライアントは商社や事業会社、PEファンドなど幅広く、最近では特に商社の案件での人事DD(デューデリジェンス)を実施するケースが増えています。多くの案件はCorporate FinanceやTransaction Servicesなどの部署が窓口となって案件を組成し、そこから派生した人事DDの部分をPeople CoEで担当します。そして、人事DDのみならずその後のPMIフェーズでも伴走することが多く、クライアントへの支援を拡大していきます。PMIでのPeople CoEの担当領域は、ディール成立後の制度統合・従業員移管などがメインですが、企業年金や社会保険などの整理をあずさ監査法人と協力してデリバリーするケースもあります。そういった背景もあり、ディールの中での人事DDと、その後続のPMIに携わることが多くなっています。また、案件の2‐3割がグローバル案件であり、グローバル案件の比率が高いのも特徴です。
人事系案件の専門部隊として人事やコンサルファームの経験者を中心に多様なメンバーが活躍
──KPMG FAS People CoEの組織や規模について教えて下さい
加藤氏People CoEは、130-140人前後のIntegration&Separation(I&S)というユニットに所属しているのですが、I&Sは2024年7月からI&S-CoreとファンクショナルCoEの2つのチームに分かれています。I&S-Coreは全般の業務を担うチーム、ファンクショナルCoEはITやHR、Supply Chainなどの領域に特化したチームであり、CoEの中のHR専門部隊がPeople CoEという位置づけです。(2024年12月1日時点)
──KPMG FAS People CoEはどのようなバックグラウンドの方が多いですか
加藤氏基本的に中途入社の社員で構成されており、様々なバックグラウンドの方が所属しています。傾向としては、マネージャー以上のポジションには他のBig4ファームの経験者が多く、一方スタッフには事業会社での人事経験者や人事コンサル経験者、ベンチャー出身者が所属しているというイメージです。
──グローバル案件が多いというお話でしたが、英語力はどの程度必要となりますか
加藤氏国内の案件も多いため、大学入学レベルの英語力があれば問題ありません。現在のPeople CoEでは、メンバーのおよそ2〜3割が英語で業務ができる能力を持っており、他ファームと比較すると英語力はやや高い傾向にあるのではないかと思います。英語力は、日系企業が外資系企業を買収する案件に携わる際に必要となってきます。KPMG FASはクライアントの日系企業とコミュニケーションを取り、KPMG の海外拠点のメンバーが買収先の法人との交渉や情報収集などを行う形で分業しながらプロジェクトを進めます。こういった協業・分業体制がとれるのが、グローバルのネットワークを持つKPMGならではの強みだと考えています。
──人事コンサル業界、そしてKPMG FASに入られた理由を教えてください
加藤氏もともと大学院で心理学を専攻しており、人に関する仕事に興味があったため、就職活動時も人事を中心に検討していました。ただ、評価業務や労務などのオペレーション中心の業務にはあまり興味が抱けず、人事戦略策定や制度構築に取り組みたいと考えていました。様々な方と面談する中で、挑戦したいことができると感じられる職業がコンサルタントであると感じ、志望するようになりました。実際にコンサルタントとして働いてみても性に合っていると感じますので、当時の感覚は正しかったのだと思います。 前職のBig4系ファームで人事コンサルとしてクライアントをご支援することにも非常に大きなやりがいを感じていたものの、KPMG FASのI&Sのリーダーと面談した際に、組織・人事に関するビジョンや参画した際に組織構築から挑戦できるという説明を受けました。難易度の高い案件は前職でも取り組めましたが、人材を確保し、サービスを新たに開発するなど、組織の立ち上げに挑戦したくて、KPMG FASに参画しました。 People CoEはまだ成長段階にあるチームであり、そのため新たにジョインするメンバーも最初の段階からチーム作りに積極的に関与できる環境が整っています。新しいメンバーが自身のアイデアや意見を持ち寄り、共に成長しながら理想のチームを作り上げていく過程に参加できることも、大きな魅力の一つだと感じています。私も、自分の経歴や経験が、この新しいチームの中で生かされることに大きな期待とやりがいを感じています。
日名子氏元々大学で人事関連のゼミに所属していたこともあり、就活の際には人事に限定して応募し、他のBig4ファームの人事部に就職しました。約5年間人事部として組織再編に取り組んだ経験を通じて、一企業の人事よりも様々な企業の人事制度の変革、構築に取り組みたいと考え、コンサルタントを志望しました。その中で、M&Aは企業の重要な局面を支えることができることからM&Aアドバイザリーに興味を持つようになりました。そして、M&Aアドバイザリー・人事の両面で経験を積めるPeople CoEに参画したという経緯です。
──People CoEの案件の特徴や印象的な事を教えてください
加藤氏一般的に日本と海外では人事に対する考え方が異なります。例えば、日本企業は基本的に買収後も従業員が残ってくれますが、海外では従業員が離脱する傾向にあり、買収時に高額の退職金が必要となるケースがあります。日本ではM&Aの時に人事DDは必須ではないという考えがまだまだ根強く、海外企業の買収検討時に退職の準備やリテンションの取り組みに中々思い至らないケースが多いため、我々が提供するインサイトはクライアントにとって必要不可欠な大きな価値になると考えています。
──入社後の印象は入社前の印象と比較していかがでしたか
加藤氏入社前のイメージよりも案件の幅が広いと感じました。元々KPMG FASはM&A業界において知名度が高く、他のチームから人事系の案件の引き合いが非常に多くあります。また、KPMG FASのメンバーは非常に成長意欲が高く、積極的だと感じます。アドバイザリーファームらしい環境だと思います。
日名子氏スタッフのアサインに配慮が行き届いていると感じます。「自身の成長のために次はXXの案件に入りたい」などスタッフが希望を伝えても、実際は案件が限定的で、希望が通らないファームが多いと聞きます。その点、KPMG FASは案件が豊富なので、スタッフの希望が通りやすいと思います。また、コンサルティングがコモディティ化していく中、いたずらに案件の規模拡大に傾注するのではなく、クライアントの要望を聞きながら個別の事情に合わせて提案を行っているという点も、案件に幅が出ている要因だと思います。
世界各国をあまねくカバーするネットワーク力や専門チーム間でのコラボレーションが強み
──People CoEの強みは何でしょうか
加藤氏まずは、世界各国に広がるKPMGのネットワークですね。アフリカや東欧などのマイナーな国であっても必ずといっていいほどKPMGの現地法人があり、現地の商習慣や法律、経済動向に精通しているプロフェッショナルが在籍しています。 また、グローバルとの連携はもちろん、KPMG FAS内の他の専門チームとの連携力も強みです。例えば、HR領域であっても、人件費関連は財務系のTransaction Servicesに相談・依頼するなど、密に連携しています。
日名子氏入社してからこれまでに約4~5件の人事DDの案件を担当しましたが、前職と比較して短期間でプロジェクトを遂行することが求められると感じています。短いタイムラインの中で成果を上げ、クライアントの期待に応えることは確かに大変な面もありますが、その分やりがいを強く感じています。 一般的に人事DDのプロジェクトの期間は平均して3週間から1か月程度です。また、1案件のみを担当するのではなく、複数の案件を同時に進行させることもあります。日次でチームメンバーとディスカッションを行い、中間報告や最終報告に向けてインタビューやQ&Aリスト、報告書を作成しています。タイムラインが短いプロジェクトでは、その分忙しさが増す一方で得られる経験も多く、それがPeople CoEの強みと挑戦の醍醐味とも言えます。
多様な案件で経験を積めるだけでなく、M&Aを通じて経営レイヤーの視座を養える
──People CoEで得られるスキルを教えてください
加藤氏People CoEでの成長スピードは非常に早いと思います。M&A案件においては一つのプロジェクト内においても繁閑の差が大きいため、複数の案件をうまく分散させて同時に進行することで業務の負荷を均等化させています。他社は1人1件のみ担当する傾向がありますが、こうしたアサインを行うことにより、過度に忙しすぎる・手が空きすぎるということがなく、多様な案件に関与することが可能になっています。またPeople CoEでは多くの案件を経験することができ、さらには国内外の案件が混在しているため、グローバルな業務経験を積むことができます。 加えて、チームの運営おいては、全員に業務を割り振るため、スタッフでもチーム運営に関与する機会があり、非常に多くの学びを得ることができると考えています。People CoEの次のキャリアとしては、他のコンサルファームでコンサルタントのキャリアを継続させる方もいますし、PEファンドでファイナンス系のキャリアに移行する方もいらっしゃいます。商社など既存のクライアントや、上場を目指しているベンチャーのCHRO・CFO・COOとして転職されることもあります。通常、人事コンサル担当からPEファンドへの転職は難しいとされていますし、商社への転職においても人事部門への転職が中心となる中、People CoEでの経験はキャリアの幅を広げることにつながると考えています。 また、人事DDに関するナレッジが集約されているため、初めてM&Aの領域に取り組む方でも、豊富なナレッジを活用しながらスムーズにキャッチアップできる仕組みが整っています。
日名子氏人事制度の統合や、HDの組成(ex:買収してHD化)など、高い目線での経験を積むことができます。また、複数の業界および企業の案件を経験することにより、各業界に特有の事情に精通し、深い知識を得ることができます。各案件のタイムラインが短く、自主性が求められる環境であるため、成長スピードも非常に速いと感じています。 また、KPMGジャパンの他エンティティと関わる機会も多いため、その過程でコミュニケーション力や調整力も身につけることができます。
──新しく参画した方はどのようにキャッチアップをしているのでしょうか
加藤氏最初はベーシックな案件に参加していただき、業務を通じて少しずつ慣れていただくようにしています。チーム独自のメンタリング制度も設けており、隔週で疑問や困りごとを解決して、集中して案件に取り組めるような体制を敷いています。プロジェクト内でも定期的に1on1を実施し、新しいメンバーが十分なサポートを受けられるような体制を整えています。
日名子氏新しく参画された方々は、People CoEのメンバー間の距離が非常に近いことに驚かれることが多くあります。コミュニケーションが密で、スムーズにキャッチアップを進めることができる環境があると感じております。また、個別情報はマスキングされた状態で他の案件でのベストプラクティスを参照するためのプラットフォームがあり、実務における具体的な情報を共有することで、キャッチアップを促進しています。
人事・コンサル・M&Aの一部でも関連する業務経験を有する方を歓迎
──People CoEとしての今後の展望を教えてください
加藤氏今後数年かけて2倍程度の規模に拡大したいと考えています。その実現に向けて、積極的な採用と育成を進めていきます。現在すでに多くのM&A案件を取り扱っていますが、これにとどまらず、M&Aから派生する案件も確実に獲得し、ケイパビリティを一層高めていく方針です。 ただし、無闇に誰でも採用するということではなく、専門性を持った人材を採用し、採用した人材がその能力を最大限に発揮できるような組織を目指していきます。
──特にどのような人材を採用したいという方針はありますか
加藤氏必要と考えるスキルセットは「人事経験」「コンサルティング経験」「M&A経験」「英語力」の4つですが、マネージャー以上の役職に関しては、そのうちの3つから4つを備えている方を求めています。一方、スタッフレベルでは、これらのうち1つをクリアしている方であれば十分です。成長意欲が高く、クライアントの課題に真摯に向き合い、熱意を持って取り組む姿勢を持つ方を求めています。 従来のコンサルティング業務に挑戦したいという方、そして自主的に行動し、意思を持って働く姿勢のある方が、ベンチャー的な性質も持つPeople CoEに適していると考えています。
──最後に、皆さんからメッセージをお願いします
加藤氏これから立ち上がっていくチームなので、一緒にチームと自分の成長を楽しむマインドを持った方に応募いただきたいです。
日名子氏成長が大きなテーマのチームですので、成長意欲がある方はぜひチャレンジしていただければと思います。
──ありがとうございました