「成功するM&A」を支えるグローバルITコンサルタント 【EYSCテクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション(TST)Global/M&A IT Servicesチームインタビュー】
2025年05月29日更新
企業紹介
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下、EYSC)は世界150以上の国と地域で、戦略、M&A、テクノロジー、人材などあらゆるテーマをカバーするグローバルコンサルティングファームです。あらゆる業界に精通する専門チームや最新のテクノロジー、グローバルのネットワーク、これまで培ってきた知見を通して企業の長期的な成長・発展を支援しています。本日は、同社の特徴と魅力について、TSTユニットのGlobal/M&A IT Servicesチームの関氏、末永氏、枝廣氏にお話を伺いました。
インタビュイー経歴
話し手

関智広氏
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
パートナー
新卒でSIerに入社後、約10年の経験を積み、外資系コンサルに転職。25年のキャリアを持ち、15年のM&A領域の経験がある。業務改善、企業再生、システム導入支援、ITデューデリジェンス(ITDD)やPMI支援を担当。EYでは13年間、M&AとITの接点を広げる活動を行っている。
話し手

末永敦氏
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
シニアマネージャー
IT分野でのキャリアは30年近く、アプリケーションエンジニアからスタートし、ITコンサルを経て大手外資系コンサルファームに参画。15年前にM&Aサービスに出会い、ITDDやIT関連サービスに従事。3年前にEYに参画し、グローバル案件を中心にGlobal/M&A IT Servicesチームで活動している。
話し手

枝廣みさき氏
EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社
マネージャー
EYに来て1年半、M&Aプロジェクトの実行支援でマネージャーとして現場メンバーをまとめる立場に。ITコンサルティング会社に新卒で入社し、10年の経験を積み、要件定義からリリースまでのシステム案件を担当。最大40人のチームを運営する経験を持ち、ITバックグラウンドとプロジェクト運営の経験を活かしてM&Aチームに加わった。
目次
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テクノロジー課題解決の「総合格闘技」で活躍する
──本日はTSTユニットから、Global/M&A IT Servicesチームの皆様にお集まりいただきました。最初に自己紹介をお願いします。
関氏 パートナーとしてこのチームのリーダーを担当しております。新卒でSIerに入社、約10年の経験を積んだ後、外資系コンサルティングファームに移籍し、現在約25年となっています。そのうちM&A領域でのキャリアは15年ほどになります。担当したプロジェクトは多岐にわたりますが、業務改善・企業再生、事業再編等に伴うシステム導入支援や、M&AにおけるITデューデリジェンス(ITDD)支援、PMI(Post Merger Integration)計画策定・実行支援などに携わってきました。EYでの社歴は13年ほど。当初はまだ日本のEYは黎明期にあり、テクノロジーコンサルティングの領域にも手薄感がある中で、ITDDなどを中心にM&AとITの接点を広げられるよう活動してまいりました。
末永氏 IT分野でのキャリアは30年近くになりますか、最初はアプリケーション関連のエンジニアからスタートして、ITコンサルティング会社を経て大手外資系コンサルファームの一員となりました。それが15年ほど前で、M&Aサービスとの出会いもその頃です。ITのバックグラウンドがあるということで、私もシステム周りのリスク調査を含むITDDや、買収・売却に伴うIT関連のサービスに従事することになりました。
EYに参画したのは3年前です。組織の風土としても仕組みとしても、国内外の他部門、他チームとの協業がしやすい環境に惹かれて入社を決めました。現在はこのGlobal/M&A IT Servicesチームの中でも特に、グローバル案件を中心に担当しています。
枝廣氏 EYに来て1年半程が経ちました。M&Aプロジェクトの実行支援に際し、マネージャーとして現場のメンバーをまとめながら全体を推進する役割に就いています。私はITコンサルティング会社に新卒で入社し、10年ほど籍を置きました。要件定義からリリースまでの一連のシステム案件を担当し、リーダーとしては最大で40人程のチームを運営する経験を積むことができました。M&Aはここに来てから初めて従事する領域でしたが、ITのバックグラウンドとプロジェクト運営の経験を認めてもらい、このチームに加わることになりました。
──皆さんそれぞれIT系の豊富な経験をお持ちですね。そうしたメンバーが支えるチームの使命と体制についてお聞かせください。
関氏 我々はTST(テクノロジー・ストラテジー&トランスフォーメーション)ユニットの一員として、「CIO(Chief Information Officer)とともにテクノロジーを活用して社会・ビジネス課題を解決する」という共通のミッションに沿って活動しています。戦略策定から実行支援に至るまで、IT関連の全領域を包括するサービスを提供する姿勢も変わりません。そのうえで、M&Aのプロセスで必然的に求められるIT関連のさまざまな課題解決に当たることを専門としているチームです。その守備範囲は広く、インフラ構築からアプリケーション開発まで種々多彩で、いわばIT関連の「総合格闘技」ともいえる世界です。
したがって、プロジェクトも多種多様。ITDDのような調査や評価業務もあれば、M&Aに関する戦略・計画づくりもあり、3〜4名のスタッフで回す小規模な案件からPMIを伴う大型プロジェクトまでさまざまです。これらの中心となるのが、マネージャー、シニアマネージャークラスの中堅メンバーと、コンサルタント、シニアコンサルタントからなるスタッフ群で、その比率はほぼ半々といったところ。いずれもIT系の経験者が主流ですが、最近では新卒などの未経験者からの配属希望も増えています。
グローバル展開+M&A+経営アジェンダ解決の三本柱
──特に強く意識しておられるチームのパーパス(存在意義)などはありますか。
関氏 少子高齢化に伴う労働力減少問題が深刻化する中で、それに立ち向かう日本企業の変革と成長をサポートすることを主眼に取り組んでいます。労働力が低減すれば、生産力の低下も免れず、落ち込みを補うために海外進出を模索する企業は少なくありません。その適地は中国から東南アジア諸国へと移りつつあります。そうしたアウトバウンドの事業展開には、当然のように情報システムの拡張が伴いますし、現地にある既存システムの刷新が求められることもあります。
また、進出先の現地企業との連携も重要な課題であり、その選択肢の一つにM&Aが挙がってきます。現地の事情を踏まえたデューデリジェンス、合併にまつわる業務整理やシステム統廃合といった支援が不可欠です。M&Aが成立し現地に拠点が置かれれば、日本のヘッドクォーターからそれらを管理する業務も生じます。グローバルに点在するデータやシステムをいかにマネジメントするか、ITガバナンスの策定と実行支援が求められています。
このようにしてグローバルとM&Aが強く結びつくことから、チームの名称にその二つを冠しています。
──主なプロジェクトとしては、ITDDやPMIに関連するものが中心でしょうか。
関氏 そうですね、二本柱といっていいでしょう。ただ、我々はそれだけに終始していません。先ほども触れましたように、TSTの本分は、CIOをはじめとするCxOの良き伴走者として課題解決を支えることにあります。となれば、チームの本質的な仕事はITDDやPMIに終わるものではなく、その先にあるお客様の変革を実現するものでなくてはなりません。グローバル展開やM&Aはその入口に過ぎないのです。
海外進出と事業再編、いずれの場合も、まずは全体的な経営課題なり戦略なりが起点となるはずですし、実際に計画を進めていく過程においても大小さまざまな課題が浮き彫りになってきます。我々は経営者とともにその全体像を俯瞰する立場にあり、それらの課題を見渡して有効策を提案する役割があるわけです。それこそがこのチームの本丸で、最も重視すべき三つ目の柱だと思っています。
経営陣とともに根源的な課題解決に挑むパートナー
──そうした意味で象徴的なプロジェクトとして、どんな事例が挙げられますか?
関氏 PMIを含む案件になりますが、ある大手メーカーの物流部門を切り離して売却した事例があります。製造業にとって物流事業は必ずしもコアとはいえない面があり、経営効率化に向けた「選択と集中」戦略の一環として浮上したプロジェクトでした。一方で、物流業界として大きな変革期を迎えている今、物流事業者にとってはM&Aによって早く効率よく事業を拡大するのは魅力的な戦略でもあります。両者にとって最適な結果をもたらすに違いないということで、話が順調に進みました。
物流業務というのは、製品をただ運び出すだけでなく、材料・部品の保管、品質管理、パッケージ、流通加工など、さまざまな機能をカバーする重要な役割です。そうした機能を他社に売却するとなれば、指示系統を含む業務プロセスの刷新が必要となり、IT関連の課題は枚挙にいとまがありません。情報セキュリティの観点からも万全の体制が求められます。
──末永様、枝廣様はいかがでしょう? 記憶に残るプロジェクトと、仕事の醍醐味についてお話しいただけますか。
末永氏 欧州、米国、アジアの3地域に拠点を持ちながら、上場企業ではないオーナー会社を買収するという案件。これはいろいろな意味で刺激的でした。オーナー企業の場合、往々にしてガバナンスが甘く、ITの視点からも解決すべき課題が山積するものです。それに加えて海外の複数の拠点が絡みますから、地域ごとに異なる現地事情にも精査が必要で、ひと筋縄ではいきません。さらにM&Aとなれば、事業はもとより人事や経理、ITインフラ、アプリケーションなどと無数の課題がのしかかる総合格闘技の真骨頂です。
今思い出しても非常にタフな案件でしたが、私の場合、むしろそうした難局を楽しむような節がありまして、チャレンジングであるがゆえに満足感の高い仕事でもありました。特に海外との連携においては、現地各所にあるEYのグローバルメンバーとの協業がスムーズに行われ、入社前に感じた予感が確かな実感に変わったのを覚えています。
枝廣氏
私の場合はある事業部門の売却ですが、変革のための手段としてのM&Aを実感した案件がありました。経営企画部門による構造改革の一環を出発点として、非効率な状況にある事業を検討する案件でした。その解決策の一つとしてM&Aが俎上に載り、カーブアウトへと話が進んでいく中で、IT対応の重要性がクローズアップされていきました。事業を支えているITに問題が起こってしまうと、ビジネスも止まります。失敗の許されない仕事を前に、私たちの士気も上がり、モチベーションを高く持つことができました。
そこで感じたのは、前職で私が身を置いてきたITコンサルティングの世界とは違う、もっと大きな経営変革に立ち合うという醍醐味でした。
ITコンサルティングの全領域をカバーする知見を獲得
──プロジェクトを通じて得られるスキルについてお聞かせください。メンバーの方々はどんな力を身につけながら成長していきますか。
末永氏 ITエンジニアというのは基本的に各人ごとに役割が分かれていて、インフラ担当、アプリ担当、ネットワーク担当というように専門分化する傾向にあります。ですが、ここのメンバーは総合力を問われますから、仕事を続けていくうちにITの全領域を包括的に見られる力が身についていきます。
さらに、先ほどから話題になっているように経営課題にも関わりますので、経営視点からITを見て、ビジネスを考える姿勢も備わっていく。これはコンサルタントとして将来のキャリアパスを描くうえで、大きなアドバンテージになるのではないでしょうか。
枝廣氏 私自身の経験に照らしても、まさにそうだなと思います。前職ではプログラミングなどの細かなスキルを一つずつ積み上げながら全体を把握していく感覚がありましたが、ここではまず上から全体を俯瞰したうえで細部に落とし込んでいくことが求められます。この目線の転換は私にとっては大きな収穫で、おそらくSIer出身の多くの人たちが苦しむポイントではないかと思います。
あともう一つ思うのは、リスクを見極める目が育つ感触です。プロジェクト全体を構造化し分解してみたときに、どこにリスクが潜んでいるか、どの方向に進めるべきかといったセンサーが働くようになった手応えを感じています。この仕事を続ける中で、経験値としてそうしたアンテナの感度が上がったのだと思います。
──マインドの持ち方についてアドバイスはありますか?
末永氏 このチームに参画したからには、自分の専門はこれだという枠組みをいったん外し、手薄なところ、弱いと思う部分を埋め立てながら陸地を広げていく、そんなマインドセットを持ってもらえたらと思います。もちろん、自分の強みは強みとして大事にしたうえで。
枝廣氏 そうですね。このチームはそういうことがしやすい場所だと思います。総合力も専門力もある経験豊富なメンバーが多いので、自分のスキルや視点との違いを比べながら、足りないところを吸収していけるのがいいですね。
──では最後に、皆様のマイビジョンをお一人ずつお願いします。
枝廣氏 マネージャーとして自分のチームを構え、そしてきちんとチームで結果を残せる存在になりたいと思います。
末永氏 多くの経験をしてきた中で今まで積み上げてきたものをベースとして、若い人たちに伝えられることを伝え、この仕事を心底楽しんでもらえるようにサポートしていきたいですね。
関氏 このチームのパーパスを完遂することです。お客様とともに日本の労働力減少問題に立ち向かい、見るべき成果を上げてより良い社会の実現に貢献したい。そのためには行動をともにするメンバーがもっと必要です。今の2倍、いえ3倍にしたい。ぜひ、ジョインしてください。
──どうもありがとうございました。