圧倒的なテクノロジーケイパビリティを武器に、国内DXコンサルのトップファームを目指す【Xspear Consulting 代表取締役社長 早田政孝氏インタビュー】
2024年09月27日更新
企業紹介
Xspear Consulting(クロスピア コンサルティング)は、大手コンサルティングファームや有名テックベンチャー出身者、テクノロジーに造詣が深いシンプレクスのエンジニアによって、2021年に創設された総合コンサルティングファームです。 20年以上にわたって金融業界を中心に最先端テクノロジーを提供してきたシンプレクスのノウハウを活かし、DXに取り組むあらゆる業種・業界を対象として、戦略策定、組織改革、人材育成、業務改善、実行支援などのコンサルティングサービスを提供しています。
インタビュイー経歴
話し手
早田政孝氏
シンプレクス・ホールディングス株式会社 取締役副社長 共同COO
Xspear Consulting 株式会社 代表取締役社長
2002年慶応義塾大学理工学部卒業、同年アクセンチュアに入社。2011年にシンプレクスに入社し、金融領域の責任者として、証券業や保険業を対象とした新規サービスの立ち上げに従事。2017年に常務取締役に就任し、2020年に現職である取締役副社長に就任。2021年より、現職であるシンプレクス・ホールディングスの取締役副社長も兼任すると共に、同年4月に創設したコンサルファーム、Xspear Consultingの代表取締役社長にも就任。
目次
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クライアントの真のビジネスパートナーになるため、クロスピアを立ち上げ
──自己紹介をお願いします
早田早田政孝と申します。慶應義塾大学を卒業後、新卒でアクセンチュアに入社し、システム変革などのプロジェクトでコンサルティング経験を積んだ後、シンプレクスに転職しました。シンプレクスでは大手クライアントと向き合い、新規案件に携わりましたが、古巣のアクセンチュアから復帰を打診されたため、一旦アクセンチュアに戻り、一度目の在籍時に自ら種まきをしていた事業の拡大普及に努めました。 2011年3月にシンプレクスに戻り、ビジネスディベロップメント(新規事業開発)領域を担当してきました。金融領域を得意とするシンプレクスの主なクライアントは銀行と証券でしたが、保険や非金融領域の案件開拓をミッションとし、事業拡大を担ってきました。その後、シンプレクスが会社として次のステージにいくため、2021年にXspear Consulting(以下、クロスピア)を立ち上げ、現在に至ります。
──シンプレクスだけでは解決できない課題にアプローチする、というのがクロスピア立ち上げの背景なのでしょうか
はい、その通りです。シンプレクスという会社の成長経緯からお話しさせていただきます。 シンプレクスは1997年に創業された会社ですが、かつてはあまり実績がなく、いきなり大規模の案件をいただくことができませんでした。提案で面白そうだと思ってもらえたとしても、クライアント側の担当者にも発注責任があるため、いきなり大型の発注をいただくというのはやはり難しかったのですね。そのため、規模の小さな案件を最初に実施して、クライアントに信頼していただき、徐々にスケールを拡大させていくということが多かったです。 ただ、そうした案件を積み重ね、著作権も残してパッケージングしていく中で、その実績がソリューションとなり、2010年頃には数億円規模の案件も受注できるようになりました。更に、2020年代になると会社の認知度が上がり、企業体力もついてきた結果、会社やソリューションの新規立ち上げ、オペレーション一式、全社の一大事業・プロジェクトを任せていたただく機会も多くなり、額で言うと数十億円規模の案件も受注できるようになってきました。 そうした成長を遂げてきた中で、中期経営計画策定やIT戦略・予算策定といった、クライアントの一大プロジェクトを支援する真のビジネスパートナーになるためには、テクノロジーパートナーという従来の立ち位置から、一つステージを上げて勝負する必要があると考えるようになりました。それが、クロスピアを立ち上げた経緯です。 シンプレクス社内では、テクノロジーがビジネスの成否を握る領域を“クロスフロンティア領域”と定義していますが、そこに、“スピア(槍)”を放つ尖兵のような存在となり、シンプレクスグループの成長を担う存在にしたいという思いを込め、クロスピアと名付けました。
──国内コンサル市場は拡大を続けており、一昔前と比較すると多くのファームが存在しているかと思います。そうした市場環境における、クロスピアの戦略について教えてください
クロスピアは総合ファームのため、戦略コンサルティングやM&Aアドバイザリーを含めた全ての領域の支援を行うのですが、その中でも特に、DXコンサル領域では10年以内に国内トップとなることを目指しています。2023年現在、IT・テクノロジーの力がなくては新規事業も既存事業の改善や拡大も出来ない時代になってきました。その時代の流れに沿って、大手コンサルティングファームも変革が求められていますが、大手ファームに在籍しているコンサルタントは本当の意味でテクノロジーに強いとはまだ言えない状況だと考えています。 私もIT領域に強い大手総合ファームに在籍していましたが、シンプレクスグループに来た際に「井の中の蛙だった」と思うほど、弊社のテクノロジーレベルは高いです。シンプレクスは、そのテクノロジー集団を創業から作り上げてきました。ですので、既存の大手ファームがどれほどテクノロジーシフトを試みても、弊グループに追いつくのには20年~30年程度かかると考えています。そのため、DXコンサルという領域では他社には絶対に負けないという圧倒的な自信があります。
強みの源泉は、テクノロジーへの深い理解とテクノロジー人材に対するリスペクト
──クロスピアのテクノロジー領域における強みの源泉はどういった部分にあるのでしょうか
1つ目は、開発ケイパビリティを実際に持っている人材が、弊社のコンサルタントとして在籍していることです。 弊社は中途採用でコンサル経験が豊富な方にも入社いただいていますが、シンプレクスでITの経験を積み、更に上流の経験も積みたいという意思を持つ人材が、本人の希望でクロスピアに異動してきています。コンサル実績が十分で案件を獲得できる人材の提案に対し、IT知見を持つ人材がテクノロジー観点でのフィジビリティ(実現妥当性)を担保するといったシナジーが生まれ、非常に上手く回っています。
2つ目は、テクノロジーに強みを持つ人材へのリスペクトです。 大手ファームによるテクノロジー系の子会社設立や、テクノロジーチームの組成も増えてきていますが、どこも上手くいっているとは言い難い状況ではないかと思っています。その要因は、テクノロジー人材へのリスペクトが十分にできていないことがあると考えています。例えば、ビジネス領域のコンサルタントとテクノロジー領域のコンサルタントで、同じマネージャーの職位でも給与に100万円以上の差がつくことも少なくありません。80年代からコンサル業界を牽引してきた現在の大手ファームのトップは、魂を込めてスライドを作成することを第一としてきた時代が長く、テクノロジー領域における成功体験が少ない傾向にあるため、彼らが本当にエンジニアをリスペクトした評価制度を作りきることは難しいのです。 一方で、弊社は長年テクノロジー領域で実績を積み重ねてきたこともあり、テクノロジーに強みを持つ人材をリスペクトした評価制度を構築できています。コミュニケーションが得意でなくとも、テクノロジーを活用することでクライアントにイノベーションを起こせる人材が存在していることを理解しています。そういった方々を本当にリスペクトしている集団だからこそ、大手ファームには負けないテクノロジー領域での圧倒的な強みを構築できています。
──コンサル未経験の方がクロスピアで活躍できるための仕組みや支援はあるのでしょうか
現在、弊社の従業員数は約150人で、今年度末に180人を目指すという規模感であることと、シンプレクスグループのカルチャーから、個々人がラストマンシップを発揮して、一つ背伸びしたポジションを担当する機会も多く、コンサル未経験者でも、1年経てばコンサルタントとして十分に能力を発揮できるようになります。 また、コンサル未経験者向けのオンボーディングや、プロジェクトの垣根を超えた人間関係を作り孤立を防ぐプロジェクトも推進しています。シンプレクスグループ全体の離職率も引き下がってきていますが、ことクロスピアにおいては全体の離職率より数ポイント低く、定着率が高いというのが特徴的と言えるかもしれません。クロスピアが自分の居場所であり、コンサルタントとしてのキャリアも十二分に積める場所だと思っていただけるような環境ができてきた結果だと考えており、私自身も誇りに思っています。
クライアントの事業成功をゴールに、一気通貫で最後まで走り切る支援スタイル
──テクノロジーという圧倒的な強みがあることで、クロスピアが提供するコンサルティングは他のファームと比較してどのような違いが生まれるのでしょうか
1つ目は、事業成功というゴールまで、パートナーとして一気通貫で支援できることです。一般的なコンサルティングファームではプロダクト開発までは担うことができないため、中期経営計画の策定やRFP(提案依頼書)の作成支援、ベンダー選定に留まり、その後の開発・実行はベンダー任せということが一般的です。開発まで引き受けたとしても、プロジェクト管理のみといったケースも多いかと思います。しかし、私はそのようなコンサルティングファームは、本当の意味でクライアントのビジネスパートナーになり切れていないと思っています。事業というものは、当初の計画通りに実行したとしても必ず勝てる訳ではなく、例えば、1年後には競合ソリューションの出現や、マーケットの大きな変化がある可能性も十分ありえるのです。弊社では、そういった変化にも一緒に対処していくパートナーとして、ビジネスの成功までを一気通貫で支援しています。
2つ目の違いは、テクノロジーの可能性を深く理解しているからこそ、先進的な取組みの支援もできるという点です。 一般的に、コンサルティングファームは、グローバルでの知見や業界最大手企業が取り組んだ事例を横展開して支援することに強みを持っています。一方、弊社では新たなテクノロジーの活用可能性を具体的なユースケースに落とし込み、マネタイズ設計し、ビジネスにするための支援が可能です。そのため、弊社は次世代を担う成長企業に対する提案が特に刺さりやすく、先進的なテクノロジーを活用した取組みを行うようなプロジェクトテーマでは他社には負けません。例えば、法改正により暗号資産の個人取引が可能になったタイミングでは、その領域のコンサルティングテーマが増えたのですが、弊グループがNo.1の支援実績を取り続けてきました。シンプレクスと時には組み、時には組まないという選択をできることも、強みになっています。構想に対して、より適切なデファクトスタンダードのソリューションを持つ会社があれば、無理にシンプレクスとは組みません。但し、先進的な取り組みを支援する際は、やはりシンプレクスが圧倒的に優れたテクノロジー集団であるため、そうした案件ではコラボレーションしています。
──実際に新規ビジネスの創出を支援することが多いのでしょうか
はい、新規ビジネスに挑戦する企業を支援する機会は多いです。例えば本が売れなくなった出版社や、CDが売れなくなった音楽レーベルに対して、コスト削減のコンサルティングを提案しても、満足していただくことができない時代になってきています。弊社ではそういったケースに対し、保有しているIP(知的財産)を活用して、新しいビジネスを創出するような提案や先進テクノロジーを活用してそのビジネスの根底からDXするような提案を行っています。 具体的な事例を紹介すると、サンリオピューロランドにおける動員予測のAIシステム構築において、クロスピアがコンサルティングフェーズを提案し、実際のプロダクト開発はシンプレクスが担当するなど、他社のコンサルティングファームでは実現が難しいことを実績として積み重ねてきました。 BUSINESS INSIDER 「日本のカワイイ」を支えるのはDX。なぜサンリオは“AI戦略“をシンプレクスに託したのか
先端テクノロジーとビジネスを掛け合わせたコンサルティングで、DX領域で絶対的な存在となる
──クロスピアの立ち上げから現在まで、どのように成長されてきたのでしょうか
立ち上げ当初の売上計画は1年目10億円、2年目18億円、3年目30億円だったのですが、実績としては1年目10億円、2年目20億円、そして3年目は40億円(見込み)と、計画を上回る形で着地してきており、想定以上の手応えを感じています。 やはり、コンサルティング業界において後発で勝っていくためにはDXというテーマが重要だと考えています。DXの強みを謳っている新興のコンサルティングファームも多数ありますが、シンプレクスグループが積み上げてきたテクノロジーに関する本質的な強みがあるからこそ、絶対に勝てるという自負があります。 また、シンプレクスグループは金融に強いイメージがあると思いますが、現在では金融と非金融の比率が7:3で、年々、ビジネスポートフォリオにおける非金融領域が占める割合が増えてきています。
──最後に、クロスピアの今後の展望を教えてください
クロスピアはDXコンサル領域において、既存のコンサルファームを圧倒する存在となることを経営上のビジョンとしています。 これから先、テクノロジーの進化は更に加速していきます。弊社はシンプレクスと共にテクノロジーへの深い理解とテクノロジー人材への尊敬をもって、先端テクノロジーのユースケースやマネタイズチャンスを常に考え続けます。これまでも、ブロックチェーン技術を活用して、暗号資産、STO(Security Token Offering)、NFTなど様々な取り組みを発展させてきました。 もちろん、業界最大手が取り組んだソリューション事例を、コンサルティングファームが業界二番手以降の企業向けに横展開することにも、十分に価値はあると思います。しかし、それ以上に、先端テクノロジーを使って全く新たな取組みをする、全く新しいビジネス成果を生み出すということは、大きな社会的な価値を生み出します。そうしたプロジェクトに取り組む際、次の世代を担うクライアント企業は、ビジネスパートナーとして間違いなく弊社を選んでいただけると、確信を持っています。
──ありがとうございました