【KPMGコンサルティング株式会社インタビュー】経理・財務を起点に包括支援。深い顧客理解で実現する中長期的な企業価値の向上
2025年10月02日更新
インタビュー概要
KPMGコンサルティング株式会社は、KPMGインターナショナルのメンバーファームとして、ビジネストランスフォーメーション(事業変革)、テクノロジートランスフォーメーション、リスク&コンプライアンスの3分野から企業を支援するコンサルティングファームです。同社には、戦略策定、組織・人事マネジメント、デジタルトランスフォーメーション、ガバナンス、リスクマネジメントなどの専門知識と豊富な経験を持つコンサルタントが在籍しています。 今回は、経理・財務を起点に幅広い支援を行うFinance Strategy & Transformation(FST)部門に所属するお三方に、数あるコンサルティングファームにおける同部門ならではの特徴と、そこで働くことの稀有な価値について話していただきました。
インタビュイー経歴
話し手

府中善英氏
KPMGコンサルティング株式会社
執行役員 パートナー
コンサルティングファーム数社を経て、2016年にKPMGコンサルティングに入社。会計システム導入やその周辺領域となる営業事務、間接購買、給与計算等のシステム導入および業務プロセス改善をはじめ、シェアードサービスやBPO等のデリバリーオペレーションや組織体制変革、中期経営計画や経営管理高度化検討等、さまざまなテーマに従事。
話し手

Y.N氏
KPMGコンサルティング株式会社
シニアマネージャー
システムインテグレーター(Sler)、総合系コンサルティングファームを経て、2014年にKPMGコンサルティングに入社。その後、国内コンサルティングファームを経て2024年にKPMGコンサルティングに再入社。グループ経営管理や連結経営管理、中期経営計画策定や構造改革、トレジャリーマネジメント高度化等、さまざまなテーマに従事。
話し手

D.H氏
KPMGコンサルティング株式会社
シニアコンサルタント
金融系企業、AI系スタートアップなどを経て、2023年にKPMGコンサルティングに入社。前職では経理として決算業務等を担当。KPMGコンサルティング入社後は経理財務領域での実務経験を生かして、会計システム導入に向けた構想策定支援や、グループ資金可視化をはじめとするトレジャリー業務高度化支援等のプロジェクトに従事。
目次
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財務DXと経営管理強化のプロフェッショナル部門
──まずは、Finance Strategy & Transformation(FST)がどんな部門かを、簡単に教えてください。
府中氏 大まかにいうと、CFO(最高財務責任者)領域の様々な課題について、会計知識と最新のDXソリューションをもとに経理財務および経営管理領域を支援する部門です。両領域に関する戦略計画策定から、業務、組織、システムの変革までを担います。
──他の大手ファームの類似部門と比べての特徴は?
府中氏
FSTはCorporate Services(CS)というユニットに属しているのですが、CSは我々FSTとPeople & Changeという組織・人材領域の変革を担う部門で構成されています。そのため、クライアントのコーポレート部門全体の生産性や組織改善、DX化などの支援を一体となって行うことができることが、特徴の一つです。
また、FSTのメンバーはソリューションテーマ別にチーム構成されていますが、その垣根は高くなく、希望すればさまざまな領域で経験を積める点も特徴です。
──支援するクライアントの業界やプロジェクトには、どんな傾向がありますか?
府中氏 クライアントは、製造、商社、流通、サービス・小売、金融、官公庁にいたるまで、多岐にわたります。プロジェクトのテーマもさまざまですが、主だったところとしては、財務会計システムやEPM等の経営管理システム導入や関連業務のプロセス改善、DX化、中期経営計画をはじめとする計画策定や、ROIC(投下資本利益率)等の企業価値経営の検討などが挙げられます。
Y.N氏 私自身は管理会計や経営管理の領域を軸としていますが、長年懇意にしていただいているクライアントも多く、たとえば、経営管理の高度化をご支援したことがきっかけとなり、その後、経営計画への理解度が高い我々にDX戦略策定プロジェクトのご依頼を受けるなど、異なるテーマで長くクライアントをご支援するケースも少なくありません。
D.H氏 私が担当するプロジェクトでも、たとえば、株主に対する経営指標の開示のご支援に始まり、そこから会計システムのリプレイスへとテーマが派生するといったことがありました。
クライアントを深く知り、中長期的な企業価値を高める
──これまでのプロジェクトで、とくに印象に残っているものは?
Y.N氏 ある地方都市のクライアントをご支援したプロジェクトです。このプロジェクトは、約5年にわたって当社から100名以上のコンサルタントを動員した大規模なプロジェクトでした。プロジェクト期間中、私はクライアントの拠点に半分常駐し、東京ではない非日常を味わいながら、「絶対に結果を出さなければ…」と奮闘する得がたい日々を過ごしました。 プロジェクトのテーマは、製造プロセスから、工場管理、経理、人事にいたるまでの全業務を改革するというもので、当社のサプライチェーンマネジメントやテクノロジーを専門とする部門などとの混成チームで臨みました。従業員用のATMを廃止するかどうかなども含めた多様な改革施策の一つひとつに、全力で向き合ったことを覚えています。
D.H氏 私はY.Nさんと一緒に携わった、あるメーカーのクライアントのプロジェクトが印象深いです。いわゆるトレジャリーマネジメントと呼ばれる領域でのご支援でした。クライアントは、海外子会社も含めたグループ全体の資金を可視化した上で、投資計画等に従って戦略的に運用することを目指されていました。私はこのプロジェクトで、クライアントの目指す姿の具体化をはじめ、財務管理ポリシーや実行計画・ロードマップの策定をご支援しました。 とくにハードルが高かったのが、プロジェクト開始前にすでにクライアント側でグループ資金可視化の仕組みの構築が進んでいて、それが他の企業と比較してもかなりレベルが高かったため、どうすれば明確なバリューを提供できるか非常に悩みました。
──その難題は、どう乗り越えましたか?
D.H氏
クライアントとの継続的かつ綿密なコミュニケーションを取るように特に努めて行いました。現場の方と経営層との間では、どうしても業務の見え方が異なるため、立場のギャップを埋めつつ、クライアントの期待値を正確に把握することが求められていたように思います。
CFO(最高財務責任者)の方や現場の部長や課長の方々と週次でディスカッションを行い、私たちがハブとなって議論の解像度を高めながら、関係者全員がいる場で方向性を確認するといったアクションを何ヶ月も繰り返しました。
こうしたご支援で私たちがポリシーとしているのが、クライアントを知ることです。たとえば製造業であれば、製造現場やショールームなどに足を運び、クライアントの製品やビジネスの現場を確認させていただく等、クライアントのことを一段深いレベルで理解しようとするところが、当社の特徴だと感じます。
府中氏
今の話に関連するのですが、私はあるクライアントの中期経営計画の策定プロジェクトが印象に残っています。私たちはファイナンスのプロフェッショナルとして、事業計画と財務計画を結びつけるご支援をしたのですが、そこでもやはりクライアントの事業をしっかり理解することに力を注ぎました。ビジネスの構造や利益構造をきちんと理解してこそ、資金計画や投資計画などを深められ、フィジビリティ(実行可能性)の高い財務計画にできるからです。
そうしたプロセスを経て、クライアントが中期経営計画を公表した際は、期待と緊張をもってメンバーとクライアントの株価動向を見守っていたことを覚えています。
──今後、FSTの役割は、どうなっていきそうですか?
府中氏 制度変更や東京証券取引所等の外部機関からの要請に影響を受けやすいのが、会計財務領域です。また最近は、企業の持続的成長や企業価値向上、さらにテクノロジー分野ではDXやAI活用などと、経営のアジェンダが非常に複層化しています。 だからこそ、今後は経営全般を幅広くご支援するケースも増えていくと思うので、内外の動向にアンテナを張り、そのための機能やソリューションをいっそう強化したいです。
Y.N氏 一方で、ファイナンス領域のコンサルタントとして普遍的な役割も確実にあるので、当たり前のことを当たり前にできるスキルはいっそう磨きつつ、ビジネストレンドもきちんと捉えるという両輪を持つことで価値を高めていきたいです。
D.H氏 現場目線でいえば、2000年頃からERP導入の潮流が起こり、システム導入によって業務が効率化された一方で、外的環境の変化とシステムの老朽化・陳腐化が相まって、現状のERPでは業務に十分に対応できないと感じる企業が多くなってきている印象です。単純にシステムを入れ替えて終わりではなく、システムの入れ替えを一つのきっかけとして、本来あるべき業務を長期目線で検討し直すといった案件が今後増えてくると思います。
真の“顧客ファースト”をインストールできる場所
──働き手から見た、KPMGコンサルティングならではの魅力とは?
Y.N氏 これまでにも話に出た、クライアントに真に資するためにも「顧客ファースト」に、ものすごい情熱を持ったメンバーが社内に多くいることです。クライアントをよく知り、そのうえで中長期的な目線でどう企業価値を高めればいいかを考え、そこから業務やシステムのあり方に落とし込む。そんな視座を持つメンバーが多いです。 彼ら・彼女らと共に働くことを通して、コンサルタントとしてのベーススキルはもちろん、そうしたマインドや人としてのあり方を体得できる。そこがKPMGコンサルティングならではの魅力で、他社にはそうそう負けない部分だと感じます。
府中氏 当社には、ビジネスの規模拡大をいたずらに追わないという方針があります。もちろん営利企業として規模は大切ですが、それを追い過ぎることでクライアントへのコミットが薄まったり、期待に見合った価値を提供できなくなったりします。だからこそ、クライアントに価値を認めていただける適切な範囲内で最大規模を目指すのが当社らしさかと思います。
D.H氏 成長環境としては、業界、業種をまたいで経験が積めるところも大きいと感じます。もちろんそのぶん求められるスキルも高くなりますが、自らキャッチアップしていく姿勢があれば、周りがしっかりフォローやフィードバックもしてくれます。メンバー同士が年次や役職にとらわれないフラットな関係性で、風通しが良いところも、それを後押ししていると思います。
府中氏 教育や研修のプログラムも、eラーニングを中心に整っています。その多くが全社員にオープンに提供され、希望すれば誰でもいつでも学習できます。
──貴社で活躍しているのは、どんな人材ですか?
Y.N氏
バリバリ働き、プライベートも充実させているようなバイタリティある方でしょうかね。クライアントの困りごとに向き合う仕事なので、悩ましい問いを投げかけられることも多々あります。たとえ難しいお題であっても、それを乗り越えることにやりがいや楽しさを感じられる人が、羽ばたいているイメージです。
府中氏
好奇心旺盛であることもポイントかもしれません。もちろん、その人ならではのスペシャリティ(専門性)の確保は必要です。とはいえ完全にそこだけというよりは、業務、システム、財務、経営管理などを幅広くバランスよく習得する方のほうが、結果的に活躍していると思います。
──最後に、FSTに興味を持っている読者にメッセージをお願いします。
府中氏 ファイナンス領域なので数字に詳しくなければというイメージを持たれる方も多いと思いますが、FSTには、事業会社、Sler、コンサルティングファームなど、さまざまなバックグラウンドを持ったメンバーが在籍しています。したがって、どこの入り口から入られてもサポートできるメンバーがいますので、ぜひ多様な方々にチャレンジいただきたいです。
D.H氏 もちろん、経理畑で実務をしていた方は、その経験と知見を活かせる領域がたくさんあります。経理担当者としての視座を、財務、経営管理、システムといった領域に広げたい方には、うってつけの環境です。
Y.N氏 成長機会という点では申し分のない環境で、かつ組織としても、これからさらに大きく成長し、会社の柱となっていく部門です。自身と組織の成長をあわせて体現できるまたとない場所なので、ぜひ一緒に飛躍しましょう!
──ありがとうございました。