KPMGコンサルティングの転職ガイド|中途採用の難易度・年収・面接対策を解説
2025年09月18日更新
KPMGコンサルティングは、BIG4の一角としてグローバルに展開し、戦略立案から業務改革、デジタル活用まで幅広い領域をカバーする総合系コンサルティングファームです。中途採用市場でも常に高い人気を誇り、スキルや経験を活かしてキャリアをさらに飛躍させたい方から注目されています。
一方で、「転職難易度はどの程度か」「年収水準や評価制度はどうなっているのか」「面接ではどのような点が問われるのか」といった疑問を持つ方も少なくありません。十分な情報を得ないまま転職を進めると、入社後にミスマッチを感じてしまうリスクもあります。
本記事では、KPMGへの転職を検討している方に向けて、企業概要やBIG4との比較、年収・働き方の実態、選考フローや転職難易度までを網羅的に解説します。さらに、KPMGが求める人物像や転職成功のための準備ポイントも整理しているため、ぜひ参考にしてください。
著者

藤田 祐督
Fujita Yusuke
横浜国立大学卒業後、サイバーエージェントに入社。子会社副社長/COOとして新規事業の戦略策定〜ブランディング、プロダクトマネジメントまで一気通貫で推進。その後、アクセンチュアでの事業戦略立案・DX支援、NTTドコモでの新規事業立ち上げを経てMy Visionに参画。
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監修者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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目次
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KPMGコンサルティングの基本情報
KPMGコンサルティングへの転職を検討するうえで、まず押さえておきたいのが企業の全体像です。どのような組織体制を持ち、どの分野に強みを発揮しているのかを理解することで、自身のスキルやキャリアと適合するかどうかを見極めやすくなります。
ここでは、企業概要や特徴に加えて、KPMGが手がける主な事業領域、そして支援対象となる業界・クライアント例を紹介します。
企業概要と特徴
KPMGコンサルティングは、KPMGジャパンにおいてコンサルティング部門を担う企業です。グローバルネットワークの知見を活かし、戦略立案から業務改革、デジタル変革、リスクマネジメントまで幅広い支援を行っています。
特徴は以下の通りです。
- 戦略、業務改革、テクノロジー、リスク管理など幅広い領域をカバー
- 監査・税務・アドバイザリー部門と連携した総合的なサービス提供が可能
- グローバルネットワークを活用し日本企業の海外展開や外資企業の日本進出も支援
- 多様な業界に対応し国際的な案件にも強みを持つ
これらの特徴から、KPMGコンサルティングは「幅広い専門性」と「グローバルな視点」の両方を備えた総合系ファームと位置づけられます。複雑化する経営課題に対し、部門横断的かつ国際的な解決策を提示できる点が、他社との大きな違いとなっています。
こうした環境は、多様なプロジェクトに関わりながらキャリアの幅を広げたい方にとって大きな魅力となるでしょう。
会社名 | KPMGコンサルティング株式会社 |
設立年 | 2014年 |
代表者 | 代表取締役 関 穣/代表取締役 田口 篤/代表取締役 知野 雅彦 |
所在地 | 千代田区大手町1丁目9番7号 大手町フィナンシャルシティ サウスタワー |
社員数 | 2,298名(2025年7月1日現在) |
主な事業領域
KPMGコンサルティングは、大きく「事業変革」「テクノロジートランスフォーメーション」「リスク&コンプライアンス」の3つの領域を柱としています。
事業領域 | 特徴 | 役割 |
---|---|---|
事業変革 | 経営戦略、組織・業務改革、新規事業開発などを支援 | 企業の持続的成長や競争力強化をリード |
テクノロジートランスフォーメーション | DX推進、データ分析基盤構築、システム導入 | デジタル活用による業務効率化と競争優位性の確立 |
リスク&コンプライアンス | サイバーセキュリティ、内部統制、法規制対応 | 安心して事業活動を展開できる基盤を整備 |
これら3つの領域は、単独で完結するのではなく、相互に組み合わされることでより実効性の高いソリューションを提供しています。
たとえば「事業変革」と「テクノロジー」をかけ合わせたDXプロジェクトや、「リスク管理」と「業務改革」を統合したコンプライアンス強化支援など、複雑な課題に対して包括的なアプローチが可能です。
支援対象となる業界・クライアント例
KPMGコンサルティングは、製造業や航空業に加え、公共機関に対しても専門性を活かした支援を行っています。代表的な事例を整理すると以下の通りです。
業界・企業 | 課題 | 解決方法 | 成果 |
---|---|---|---|
大日本印刷株式会社(製造業) | 協力会社との取引が複雑かつアナログで、生産管理部門は在宅勤務が困難 | 業務プロセスを標準化し、Web-EDIを用いた取引電子化を推進 | 生産管理部門のリモートワークを実現。取引の約9割を電子化予定 |
ANAホールディングス(航空業) | 2050年カーボンニュートラルに向け、SAF活用とScope3排出量削減が急務 | 「SAF Flight Initiative」のサービスモデル設計やCO2削減証書の仕組みを構築 | 顧客企業のサプライチェーン排出量削減を支援し、GX推進の先進事例を確立 |
スポーツ庁(公共) | 国内スポーツビジネス市場の拡大に向け、網羅的な産業調査を短期間で実施しなければならない | 国内外500超の事例を収集・分析し、IT・スポンサーシップ・オープンイノベーションを整理 | 約100ページの調査報告書を2カ月で完成。スポーツ庁の新規施策立案に直結し、業界発展を後押し |
これらの事例からも分かるように、KPMGコンサルティングは民間企業の業務改革から社会課題解決に直結する公共政策支援まで幅広く対応しており、業界特有の課題に即した解決策を提供しています。
KPMGコンサルティングと他のBIG4を比較
KPMGコンサルティングへの転職を検討する際には、同じBIG4に属するデロイト、PwC、EYとの違いを把握しておくことが重要です。いずれも総合系コンサルティングファームとして幅広いサービスを展開していますが、カルチャーや案件の特性、キャリア形成の考え方にはそれぞれに特色があります。
ここではそれぞれの観点から、KPMGと他のBIG4を比較して解説します。
カルチャーや風土の特徴
BIG4各社は同じ総合系ファームでありながら、カルチャーや働く環境に明確な違いがあります。
ファーム | カルチャー・風土の特徴 |
---|---|
KPMGコンサルティング | 誠実さ・協調性を重視。チームワークを大切にし、働きやすさに配慮 |
デロイトトーマツコンサルティング | 成果主義・挑戦志向が強く、スピード感のある風土 |
PwCコンサルティング | 多様性を尊重。グローバル案件や異文化環境に強い |
EYストラテジー&コンサルティング | 人材育成に注力。研修やキャリア支援制度が充実 |
表から分かるように、KPMGコンサルティングは他ファームに比べて協調性や誠実さをベースに、安心して成長できる環境を提供している点が特徴的です。
またKPMGコンサルティングのカルチャーや風土に関しては、以下のような口コミもあります。
誠実さ、プロフェッショナリズムを重視している。母体が監査法人ということもあり、社内の価値観として高い倫理基準を求めている。
引用:OpenWork
成果主義の強いデロイトや、多様性を前面に打ち出すPwC、育成制度が手厚いEYとは異なり、「働きやすさ」と「着実な成長機会」を両立させたい方に適したカルチャーといえるでしょう。
プロジェクト特性・案件の傾向
BIG4各社は幅広いコンサルティングサービスを展開していますが、扱うプロジェクトの傾向には違いがあります。公開情報や転職経験者の声をもとにすると、以下のような特徴が見られます。
ファーム | プロジェクト特性・案件の傾向 |
---|---|
KPMGコンサルティング | リスク・コンプライアンスや業務改革案件に強み。デジタル活用やサステナビリティ関連の案件も増加傾向 |
デロイトトーマツコンサルティング | 官公庁や大企業向けの大規模プロジェクトが多く、戦略から実行まで一気通貫で支援する傾向 |
PwCコンサルティング | グローバル案件や海外拠点を巻き込むプロジェクトが多い。特にクロスボーダーM&Aや国際的DXに強み |
EYストラテジー&コンサルティング | 会計・財務領域に根差した案件が多く、M&AやPMI、財務戦略と絡めた変革プロジェクトに強み |
表から分かる通り、KPMGコンサルティングはリスクマネジメントや業務変革を起点とした実行力のある支援を特徴としています。
またKPMGコンサルティングのプロジェクト特性・案件の傾向に関しては、以下のような口コミもあります。
他コンサルティングファームと特段組織体制や区分けは変わらない。しかしリスクコンサルティングがある事は1つ強みだとも思われる。
引用:OpenWork
他ファームと比べると「守りと攻めの両面」をバランスよく担う案件が多く、DXやサステナビリティなど新しいテーマにも積極的に取り組んでいる点が強みとなっています。
育成スタイル・キャリアパスの考え方の違い
BIG4はどのファームも人材育成やキャリア形成に力を入れていますが、そのアプローチには違いがあります。公式サイトの人材開発情報や転職経験者の声をもとにすると、以下の傾向が見られます。
ファーム | 育成スタイル・キャリアパスの特徴 |
---|---|
KPMGコンサルティング | 誠実さ・協調性を重視し、OJTやチームを通じた育成が中心。専門領域を深めつつ、横断的にキャリアを積める仕組み |
デロイトトーマツコンサルティング | 大規模案件にアサインされやすく、若手のうちから実務経験を積みやすい。早期昇格のチャンスも多いが競争は激しい |
PwCコンサルティング | グローバルモビリティ制度や海外研修が充実。国際案件を通じて早期にグローバルキャリアを形成できる |
EYストラテジー&コンサルティング | 研修プログラムが体系化され、教育投資が手厚い。ファーム内異動も柔軟で、幅広いキャリア形成が可能 |
KPMGコンサルティングは、他のBIG4と比べると「チームで育てる文化」や「専門性を深めながらキャリアを広げられる柔軟性」が特徴です。
またKPMGコンサルティングの育成スタイル・キャリアパスの考え方に関しては、以下のような口コミもあります。
キャリアパスも柔軟で、自身の志向にに応じてセクターを跨いだ異動も可能なため、長期的な視点で成長を描きやすい環境だと感じました。(※原文そのまま引用)
引用:OpenWork
デロイトのように成果主義的なスピード昇格や、PwCのようなグローバル特化型、EYの研修主導型と比べて、協調的な環境のなかで着実に成長したい方に適したファームといえるでしょう。
KPMGコンサルティングの年収水準と待遇の特徴
転職を検討する際、年収水準や評価制度、福利厚生といった待遇面は重要な判断材料となります。
特にコンサル業界は成果主義色が強いため、「どの役職でどの程度の年収が期待できるのか」、「昇給や評価はどのような仕組みなのか」、「ハードワークを支える福利厚生は充実しているのか」といった点を把握しておくことが重要です。
ここでは、役職ごとの年収レンジ、評価制度や昇給の仕組み、そして福利厚生制度の特徴について整理します。
役職別の年収レンジ
KPMGコンサルティングでは、役職が上がるごとに年収も大きく伸びていく、成果主義型の報酬体系を採用しています。入社初期から高水準の給与が提示される一方で、昇進のスピードや給与水準は実績や貢献度によって変動します。
以下は、役職ごとの想定年収と経験年数の目安です。
役職 | 想定年収 | 経験年数の目安 |
---|---|---|
ビジネスアナリスト | 650万円~750万円 | 1年~3年目 |
コンサルタント | 750万円〜850万円 | 3年~5年目 |
シニアコンサルタント | 850万円〜1,100万円 | 5年~8年目 |
マネージャー | 1,100万円〜1,300万円 | 7年~10年目 |
シニアマネージャー | 1,200万円〜1,600万円 | 10年目以降 |
アソシエイトパートナー | 1,500万円〜 | 実力・実績次第 |
パートナー | 2,000万円〜 | 実力・実績次第 |
参考:OpenWork
表から分かるように、シニアコンサルタント以降は年収1,000万円を超えるケースが一般的であり、マネージャー以上になると1,200万円〜1,600万円台が見込めます。さらに実力次第ではアソシエイトパートナー、パートナーとして2,000万円を超える報酬を得ることも可能です。
コンサルティング業界全体と比較しても、KPMGの報酬水準は総合系ファームのなかでは高水準に位置しており、成果を出せば早期に高収入を狙える環境といえるでしょう。
評価制度・昇給の仕組み
KPMGコンサルティングの給与体系は「年俸制+パフォーマンス連動型」のボーナスが基本です。
年1回支給されるボーナスは、会社全体の業績だけでなく、所属プロジェクトの成果や個人のパフォーマンスを反映して決定されます。単なる年功序列ではなく、実力主義・成果主義に基づいた制度が根付いている点が特徴です。
評価制度の概要を以下にまとめました。
項目 | 内容 |
---|---|
給与体系 | 年俸制+年1回の業績連動ボーナス |
ボーナス決定要素 | 会社全体の業績・プロジェクト成果・個人評価 |
評価基準 | 360度評価・自己評価・年次評価(半期ごとの見直しあり) |
口コミからも、KPMGの評価制度の特徴が見えてきます。
KPMGでは半期ごとの評価制度が整備されており、プロジェクトごとに複数の上司・同僚から360度フィードバックを受ける仕組みがあります。評価は成果のみならず、行動指針(バリュー)への準拠度も含まれ、定性・定量の両面で判断されます。
引用:OpenWork
半期に1回評価のタイミングがある。プロジェクトごとに自己評価を行い、自己評価をもとにマネジャー以上が評価を行う。評価者は、最大で3人。プロジェクト評価(定量評価)をベースとして、シニアマネジャー以上の評価会議が部署ごとで行われる。評価会議で話し合われた内容をもとに、評価が決定される。
引用:OpenWork
このように、KPMGでは透明性の高い評価制度が整備されており、「何を達成すれば昇進できるか」が明確に示される環境です。特にマネージャー以上に昇格すると年収1,000万円を超えるレンジに入り、成果次第で大きく収入を伸ばすことができます。
単なる高収入だけでなく、納得感のある評価と継続的な成長機会が提供される仕組みこそが、KPMGコンサルティングの大きな強みといえるでしょう。
福利厚生制度の特徴
KPMGコンサルティングは、総合系ファームとして一定水準以上の福利厚生制度を整えており、長期的なキャリア形成を支える仕組みが整備されています。
社会保険や退職金制度といった基本的な制度に加え、ワークライフバランスを意識した多様なサポートが提供されています。
主な福利厚生は以下の通りです。
- 各種社会保険完備
- 公認会計士企業年金基金
- 健康保険組合カフェテリアプラン(年6万円相当のポイント付与)
- ワークライフバランス支援制度(産休・育休・介護休暇、- 短時間勤務制度、ベビーシッター補助、病児保育サポートなど)
- 社内マッサージルーム(東京事務所内:30分500円で利用可能)
- 公認クラブ活動(フットサル・ゴルフ・ランニング・サウナなど多様なサークルあり)
- 休日休暇制度(完全週休2日制、祝日、年末年始、有給休暇、リフレッシュ休暇、慶弔休暇)
口コミでも、福利厚生の手厚さが語られています。
福利厚生面も一定水準を満たしており、総合的に魅力のある給与体系です。
引用:OpenWork
カフェテリアプラン制度があり、60000ポイントほど毎年付与されます。ポイントは所定のECで家電やスポーツ用品など多種アイテムへ変換可能です。旅行の割引などの特典も受けられます。親会社があずさ監査法人なので、意外と福利厚生は手厚いです。
引用:OpenWork
このように、KPMGコンサルティングの福利厚生は給与水準の高さと組み合わさることで、日々の業務を支える安心感につながっています。特に家庭やプライベートとの両立を重視したい人にとっては、大きな魅力となるでしょう。
KPMGコンサルティングは激務?働き方の実態を解説
コンサルティング業界と聞くと「長時間労働」「激務」といったイメージを持つ方も多いです。KPMGコンサルティングも例外ではなく、繁忙期や大規模案件にアサインされた際には、一定の残業や休日稼働が発生するケースがあります。
一方で、リモートワークやフレックス勤務の導入が進み、ワークライフバランスの改善に取り組んでいるのも事実です。
ここでは、労働時間と残業時間の目安、そして「激務」と言われる背景について整理し、実際の働き方のリアルを解説します。
労働時間と残業時間の目安
KPMGコンサルティングではフレックスタイム制を導入しており、基本の労働時間は1日7時間(休憩1時間)です。
- フレキシブルタイム:7:00~22:00
- コアタイム:11:00~15:00
この制度により、プロジェクトや個人の都合に合わせて柔軟に勤務時間を調整できる環境が整っています。
一方で、実際の残業時間についてはOpenWork上で月平均41.1時間とされています。コンサル業界全体のなかでは突出して多いわけではありませんが、一般的な事業会社に比べるとやや長めの水準です。
口コミからも「案件や上司次第で労働時間に差がある」という声が寄せられています。
アサインされる案件次第です。プロジェクトマネジメントが上手くないマネージャーにあたると深夜まで働かされることも。ただ、勤怠ログでモニターされるようになり、過度な残業は抑制されつつあります
引用:OpenWork
制度面では柔軟な働き方を整えているものの、案件に依存する働き方はKPMGでも変わらず、繁忙期には長時間労働となる場合があります。ただし、労務管理体制が強化されているため、極端な残業が常態化しにくい点は他のファームと比べても特徴的といえます。
激務と言われる理由とその背景
KPMGコンサルティングはフレックスや在宅勤務など制度面の整備を進めていますが、それでも「激務」と評価される背景には、コンサル業界特有の事情があります。
激務と言われる主な理由は以下の通りです。
- クライアントワーク:納期が厳しく短期間で成果を出す必要がある
- 案件ごとの繁閑差:プロジェクト内容や上司次第で労働時間が大きく変動する
- グローバル対応:海外拠点との協働で深夜・早朝の会議が発生することもある
- 成果主義:常に高いパフォーマンスを求められ、プレッシャーが強い
これらの要因から「激務」と言われがちですが、同時に若手のうちから責任ある役割を担える環境でもあります。短期間での成長機会や大規模案件の経験は、厳しさと表裏一体のメリットといえるでしょう。
KPMGコンサルティングの転職難易度
KPMGコンサルティングの中途採用は、選考水準が高く設定されています。幅広い領域をカバーし、即戦力として成果を求められるため、応募者には高度なスキルや実務経験が必要とされるケースが多いことが理由です。
一方で、未経験者や第二新卒が挑戦できるポジションも存在し、ポテンシャルや成長意欲を評価する採用も行われています。そのため、経験が浅くても将来性をアピールできれば道が開ける可能性は十分あります。
ここでは、KPMGコンサルティングの転職難易度を3つの観点から見ていきましょう。
高いスキルと経験が求められる
KPMGコンサルティングの中途採用では、即戦力として成果を出せる人材が求められます。
そのため、応募するポジションによって求められる内容やレベルは異なるものの、スキルと経験の両面で高い水準が期待されます。
求められるスキルの例は以下の通りです。
- 戦略的思考力:経営課題を論理的に構造化し解決策を導く力
- データ分析力:財務データや統計データを用いて課題を定量的に把握する力
- プロジェクトマネジメント力:複数の関係者を調整し期限内に成果を出す力
- コミュニケーション力:経営層・現場・海外拠点など多様な相手と議論し合意形成する力
- 語学力:グローバル案件で必要となるビジネスレベルの英語力
求められる経験の例は以下の通りです。
- 経営戦略や事業戦略、新規事業開発の実務経験
- 業務改革(BPR)、オペレーション改善、DX推進などの変革プロジェクト経験
- ERP導入やシステム開発におけるPM/PL経験
- 内部統制、コンプライアンス、リスクマネジメント関連の実務経験
- 大規模案件でのチームリード、複数部門を巻き込んだ推進経験
さらにマネージャー以上では、案件遂行力に加え、チームを率いるリーダーシップや営業的役割が必要です。
一方、若手層では専門性よりもポテンシャルや成長意欲を重視される場合もあり、全員に一律で高度な実績が求められるわけではありません。
未経験や第二新卒からの転職もポテンシャル次第で可能
KPMGコンサルティングでは、即戦力の採用が中心である一方、未経験者や第二新卒を対象としたポテンシャル採用も行われています。特に第二新卒層は、柔軟な吸収力や成長意欲を評価され、選考に通過するケースも見られます。
実際に公式採用サイトの「社員の声」でも未経験で転職した方の経験談が掲載されており、幅広い人材に門戸が開かれていることがわかるでしょう。
未経験枠で評価されやすい素養は以下の通りです。
- 論理的思考力:課題を分解し、筋道を立てて説明できる力
- コミュニケーション力:顧客やチームと円滑に協働できる力
- 成長意欲・主体性:学習を自ら進め、新しい領域に積極的に挑戦できる姿勢
- 基礎的なビジネス経験:営業、SE、企画職などでの実務経験があれば評価につながる
このように、実務経験が豊富でなくても、「伸びしろ」と「コンサル適性」をアピールできれば挑戦することは十分可能です。特に20代前半〜半ばのキャリア形成期にある人にとっては、KPMGコンサルティングは未経験からでも大きな成長機会を得られる環境といえるでしょう。
ただし、評価されやすい素養を備えていたとしても、選考難易度が下がるわけではありません。ケース面接や自己PRの準備が不十分だと突破は難しいため、徹底した選考対策が必要です。
選考通過者に多い経歴やバックグラウンドの傾向
KPMGコンサルティングの中途採用では、即戦力人材が重視されるため、特定の業界・職種からの転職者が目立ちます。公式サイトの社員インタビューでも、ITベンダー出身者やメガバンク出身者が実際に活躍している事例が紹介されています。
また、口コミからは以下のような声も確認できます。
他の外資系ファームだけでなく、Sierからも優秀な人は積極的に採用している。そのため幅広い人材が揃っている印象。そのためかわからないが、他ファームでは見られないような専門性を持ったチームが存在する。
引用:OpenWork
このように、KPMGコンサルティングではITや金融を中心としたバックグラウンドを持つ人材が多い一方で、SIerなどからの採用も活発に行われており、専門性を活かしたチーム編成が特徴的です。
重要なのは、自分の経験をKPMGの事業領域にどう活かせるかを具体的に示すことです。
KPMGコンサルティングの選考フロー|転職の流れと面接内容
KPMGコンサルティングの中途採用では、書類選考から複数回の面接を経て内定に至るのが一般的です。プロセス自体はシンプルですが、各段階で即戦力性やコンサルタントとしての適性が厳しく見られます。
特に面接では、これまでの経験だけでなく、課題解決力や論理的思考力を問うケース面接や深掘り質問が行われる点が特徴です。全体像を理解して準備を進めることで、選考を突破できる可能性を高められるでしょう。
応募~内定までのステップ
KPMGコンサルティングの中途採用は、マイページからのエントリーを起点に、複数の選考プロセスを経て内定に至ります。大まかな流れは以下の通りです。
- マイページより応募
- 書類選考(エントリーシート)
- Web適性検査
- オンラインケース面接
- ジョブ型選考(グループワーク)
- 個人面接(複数回)
KPMGコンサルティングの選考のなかでも、特徴的なのが「ケース面接」と「ジョブ型選考」です。
ケース面接では、KPMGが発行するレポートを題材に文章読解やPCスキル、プレゼンテーション力を問われます。また、ジョブ型選考では少人数のグループで課題解決に取り組み、実際のコンサルティング業務に近い環境で協働力や論理的思考力が評価されます。
応募職種によって細部は異なるものの、総じて入念な準備が求められる選考フローといえるでしょう。
面接回数と形式
KPMGコンサルティングの中途採用では、2〜3回程度の個人面接が実施されるのが一般的です。面接では、スキルだけでなく人物面やカルチャーフィットが確認されます。
面接形式は職種や状況によって異なり、対面型とオンライン型の両方が行われている点も特徴です。口コミのなかには、以下のような体験談が寄せられています。
1対1の面接でした。特に印象に残っている質問はありません。終始和やかでしたが、面接があること自体を忘れられていたりしたのでもともと採用する気があったのかは分かりません。来社しなければならないのが面倒でした。(※原文そのまま引用)
引用:転職会議
オンラインの面接であったが、最初に顔出しをしたあとは音声だけでの面接となった。
引用:転職会議
このように、形式は一律ではなく、柔軟にオンラインや対面を使い分けていることがわかります。いずれの場合も、応募者の論理性や誠実さ、協調性を見極める点は共通しており、特別な圧迫感は少ないという声が確認されています。
面接内容・質問傾向
KPMGコンサルティングの面接では、表面的な受け答えではなく、これまでの経験や志望動機を深掘りされる点が特徴です。以下のような口コミが見られます。
過去の経験の深掘り、志望動機の深掘りが主でした。
引用:転職会議
1次面接は現場コンサルタントとの個別面接で、志望動機・経歴・実績の深掘りが中心。(中略)最終はマネージャー層との面接で、カルチャーフィットや成長意欲を重視される傾向。
引用:転職会議
このように、一次面接では主に職務経歴や成果の具体的なエピソードを問われることが多く、論理的に自分の実績を説明できるかが評価のポイントとなります。
一方で、最終面接ではカルチャーフィットや中長期的な成長意欲が見られ、「なぜKPMGなのか」「将来的にどのようなキャリアを描いているのか」といった質問に一貫性を持って答えることが求められます。
つまり、KPMGコンサルティングの面接は、経験の事実確認と価値観のすり合わせを同時に行うスタイルです。事前に過去の実績を数値や具体的な行動とともに整理し、キャリアビジョンとKPMGの環境を結びつけて語れるよう準備しておくことが重要です。
KPMGコンサルティングが求める人物像
選考を突破するには、スキルや経験だけでなく、企業が大切にしている価値観やカルチャーに適合しているかどうかも重要です。KPMGコンサルティングでは、誠実さや協調性を重視する一方で、挑戦や変革に向けた積極性も求められます。
ここでは、同社に向いている人の特徴と、反対に合わないとされやすい人の特徴を取り上げます。自分自身との相性を見極める参考にしてください。
KPMGに向いている人の特徴
KPMGコンサルティングに向いている人の特徴としては、以下が挙げられます。
- 誠実さを持ち高い倫理観で行動できる人
- チームワークを大切にし協調性を発揮できる人
- 論理的に物事を考え課題を構造的に捉えられる人
- 変化を前向きに受け入れ学習・成長意欲を持ち続けられる人
- 顧客目線で考え課題解決に粘り強く取り組める人
KPMGは監査法人を母体に持つファームであるため、クライアントとの信頼関係を重視する姿勢が欠かせません。誠実に行動し、短期的な成果だけでなく長期的な価値提供を意識できる人が評価されます。
また、コンサルティング業務ではチームワークや論理的思考力に加え、変化を学びの機会と捉える姿勢が求められます。顧客目線で課題に粘り強く取り組む姿勢も、成果を生むために重視される点です。
KPMGには合わない人の特徴
KPMGコンサルティングは幅広い人材を受け入れる環境ですが、カルチャーや働き方の特性上、マッチしにくいタイプも存在します。
代表的な例は以下の通りです。
- 倫理観に欠け短期的な成果だけを優先してしまう人
- チームワークよりも個人プレーを好む人
- 変化に対応する柔軟性や学習意欲が乏しい人
- 顧客目線で考える姿勢に欠ける人
- 多忙な環境に適応しにくい人
KPMGは誠実さや協調性を重視するカルチャーを持つため、短期的な利益や自己中心的な行動を優先する人は、合いにくい傾向があります。周囲と連携せず個人で成果を出そうとする姿勢も、プロジェクトベースで動く環境では評価されにくいでしょう。
また、コンサルティング業務は変化のスピードが速く、学び続ける姿勢が欠かせません。顧客目線で課題を解決する意識が弱かったり、多忙な環境への対応が難しかったりする場合は、成長機会を活かしにくいといえます。
KPMGコンサルティングへの転職を成功させるためにしておきたい準備
KPMGコンサルティングの選考は、ケース面接やジョブ型選考など独自のプロセスを含んでおり、十分な準備をせずに臨むと苦戦しやすい傾向があります。短期間で実力を発揮するためにも、事前に対策のポイントを押さえておくことが重要です。
ここでは、自己PRの工夫や志望動機の明確化、ケース面接への備えといった具体的な準備の方法を紹介します。これらを意識して臨むことで、選考通過の可能性を高められるでしょう。
“誠実さ”と“協調性”を含めて自己PRを組み立てる
KPMGコンサルティングは監査法人を母体に持つファームであり、他の総合系コンサルと比べても誠実さと協調性を重視する文化が特徴的です。高い倫理観を持ってクライアントに向き合えるか、チームとして成果を出す姿勢を持っているかは、評価に直結する要素といえます。
そのため、自己PRを準備する際には「誠実に課題へ取り組んだ経験」や「チームで協力し成果を上げた事例」を具体的に盛り込むことが効果的です。
単にスキルや成果を並べるのではなく、自分の価値観や行動がKPMGのカルチャーと親和性があることを示せると、説得力のあるアピールになります。
「なぜKPMGか」を説明できるようにする
コンサルティング業界の転職面接では「なぜこの会社なのか」という質問が必ずといっていいほど問われます。特にBIG4のなかでKPMGを選んだ理由を具体的に語れるかどうかは、説得力のある志望動機につながります。
KPMGコンサルティングならではの特徴は、以下の通りです。
- 誠実さ・協調性を重んじるカルチャー
- 監査・税務・アドバイザリーとの連携による総合力
- リスク・コンプライアンスや業務改革に強み
- デジタル変革やサステナビリティ案件の拡大
こうした特徴は、デロイトの成果主義、PwCの多様性重視、EYの育成重視といった他社の色合いとは異なる点です。
志望動機を考える際には、これらの強みに自分の経験やキャリアビジョンを結び付けることが大切です。
たとえば「誠実さを重んじるカルチャーに共感した」「業務変革に強みを持つ点で自分の経験を活かせると感じた」といった具体的な理由を伝えられると良いでしょう。
ケース面接に備えて課題の分解と結論から話す力を鍛えておく
KPMGコンサルティングの選考では、ケース面接を通じて論理的思考力や課題解決力が試されます。特に「課題を分解する力」と「結論から端的に伝える力」は、面接官が重視するポイントです。
ケース面接に向けた準備としては、まず与えられた課題を大きな要素に分解し、因果関係や優先度を整理する練習を行うことが有効です。そのうえで、結論を冒頭に提示し、理由や根拠を簡潔に補足する「結論ファースト」の話し方を習慣化しておくと、説得力ある回答につながります。
普段からビジネスニュースや企業事例を題材に、自分なりに課題を分解・分析して言語化するトレーニングを重ねておきましょう。
コンサル転職に強いエージェントを活用する
KPMGコンサルティングのような大手ファームは人気が高く、選考対策を十分に行わなければ通過は容易ではありません。そのため、コンサル転職に特化したエージェントを活用し、情報収集や面接準備を進めることが有効です。
なかでもMyVisionでは、元コンサルタントやコンサル転職支援に豊富な実績を持つアドバイザーが在籍しており、応募書類の添削からケース面接の模擬練習まで実践的なサポートを受けられます。
また、KPMGをはじめとする各ファームの最新の選考傾向や社風に関する情報も提供しているため、自分の強みを最適な形でアピールしやすくなります。
独力での情報収集では限界があるからこそ、専門家のサポートを受けることで KPMGへの転職成功率を高められます。
まとめ
KPMGコンサルティングは、誠実さや協調性を重んじるカルチャーのもと、リスク・コンプライアンスや業務改革をはじめとする幅広い領域で強みを発揮しています。年収水準やキャリアパスは魅力的である一方、選考では高いスキルや準備が求められるため、対策の有無が結果を大きく左右します。
転職を成功させるには、自己PRや志望動機の整理に加え、ケース面接など実践的な準備が欠かせません。
独力で進めるのは難しい部分も多いため、コンサル転職に特化した支援を行うMyVisionを活用することが有効です。経験豊富なアドバイザーによる情報提供や面接対策を通じて、KPMGへの転職をより確実に実現していきましょう。