EYへの転職を成功させるには?選考難易度・年収・働き方の実態を解説
2025年09月18日更新
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、BIG4の一角を担う、グローバル規模のネットワークを背景に幅広いプロジェクトを手掛ける総合系ファームです。
経営戦略からDX、M&A、組織変革に至るまで支援領域は多岐にわたり、個人としても大きな成長の機会を得られる環境が整っています。その一方で、「激務なのではないか」「選考を突破できるのか」「未経験からでも挑戦できるのか」といった疑問や不安を持つ方も多くいます。
本記事では、EYへの転職を検討する方に向けて、企業の基本情報や他のBIG4との違い、年収・待遇の実態、働き方や転職難易度、さらに求められる人物像や成功のポイントまでを網羅的に解説します。
リアルな情報を押さえることで自身に合うキャリアかどうかを見極め、転職活動を不安なく進めていきましょう。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
プロフィール詳細を見る
監修者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
プロフィール詳細を見る
目次
全部見る
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの基本情報
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)を理解するために、まず企業の概要や特徴を押さえておくことが必要です。
どのような事業領域を担い、どのような部門構成でプロジェクトを推進しているのかを知ることで、自身の経験やスキルが活かせる場面を具体的にイメージできます。また、実際に支援している業界やプロジェクト事例を確認することで、EYで築けるキャリアの方向性をより鮮明に描けるでしょう。
ここでは、企業概要と特徴、主な事業領域・部門構成、支援業界や代表的なプロジェクト事例について紹介します。
企業概要と特徴
EYSCは、世界150以上の国に700以上の拠点を展開するEYのメンバーファームとして、日本企業および外資系企業に対するコンサルティングサービスを提供しています。
グローバルネットワークを活かした知見の共有や最先端の知識を基盤に、戦略立案から実行支援、デジタル変革まで一貫したサービスを強みとしています。また、監査・税務・アドバイザリーを含むEYグループ全体の連携力により、経営の幅広い課題への対応も可能です。
特に日本法人では、経営戦略やDX推進、M&A、組織変革など多様なテーマでプロジェクトを展開し、企業の持続的な成長と社会的価値創出に貢献しています。
名称 | EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(EY Strategy and Consulting Co., Ltd.) |
---|---|
所在地 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー |
発足 | 2020年10月 |
ビジネスリーダー | 代表者 近藤 聡 |
資本金 | 4億5千万円 |
人員数 | 4,075名(2025年3月1日現在) |
主な事業領域と部門構成
EYSCは、大きく「セクター」と「ユニット」という二つの軸で構成されています。
業界特化の知見を持つセクターと、専門領域に基づくユニットが連携することで、企業の複雑な経営課題にも柔軟かつ実効性のあるソリューションを提供しています。
セクター
セクターは、特定の業界に特化してクライアントの課題解決に取り組むチームです。
単に経営課題を表面的に解決するのではなく、業界の構造変化や社会課題まで踏まえて深く理解し、経営層の「伴走者」として最適な解決策へ導くことを使命としています。
日本においては人口減少や規制緩和、海外市場開拓の必要性などを背景に、企業課題がそのまま社会課題に直結するケースが増えています。EYのセクターはこうした時代の要請に応え、業界横断でのコラボレーションや新領域への挑戦を推進している点が特徴です。
主なセクター領域は以下の通りです。
- テクノロジー・メディア・通信
- 公共・社会インフラ
- 医療・医薬
- 自動車・運輸
- 消費財・小売流通
- プライベート・エクイティ
- エネルギー
- 金融サービス
セクターで培った各業界の知見は、後述するユニットの専門領域と掛け合わせることで、より包括的で実効性のあるソリューションを生み出しています。
ユニット
ユニットは、戦略立案やM&A、テクノロジー導入、人材マネジメント、リスク管理など、専門領域ごとに編成されたチームです。
各ユニットが深い専門性を発揮し、セクター(業界別チーム)と連携することで、クライアントの複雑な経営課題にも柔軟に対応できる仕組みになっています。
ユニットの主な領域は以下の通りです。
ユニット | 主な支援内容 | 代表的なテーマ・プロジェクト例 |
---|---|---|
ストラテジー・アンド・トランスフォーメーション | 経営戦略からオペレーション改革までを包括的に支援 | 新規事業立ち上げ、全社改革、社会課題解決型プロジェクト |
M&A | 成長戦略や出口戦略を実行するためのM&A支援 | デューデリジェンス、PMI、条件交渉 |
テクノロジー | テクノロジー戦略策定から導入支援まで | ERP導入、クラウド移行、AI・データ活用 |
ピープル | 人事・組織戦略、人材マネジメント支援 | 組織変革、人材育成、働き方改革 |
リスク | ガバナンスや内部統制、リスク管理 | サイバーセキュリティ、内部統制強化、リスク対応戦略 |
セクターが業界特有の課題を深く理解する「縦の軸」だとすれば、ユニットは専門スキルを発揮する「横の軸」です。
両者のかけ合わせによって、EYSCは「製造業のDX推進」や「金融業界のM&A戦略」など、業界知識と専門知見を組み合わせた高付加価値のコンサルティングを提供しています。
支援業界とプロジェクト事例
EYSCは、公共インフラや地域活性化、エネルギー・サステナビリティなど、さまざまな業界でプロジェクトを推進しています。
社会課題と企業課題が直結する時代において、官民連携やDX、サステナブル経営まで幅広いテーマを支援している点が特徴です。
代表的な事例を以下にまとめました。
業界・領域 | プロジェクト | EYの支援内容 | 結果 |
---|---|---|---|
公共インフラ | 広島県「DoboX」 | インフラデータの一元化・オープンデータ化を目的とした基盤開発。官民連携によるデータ活用の推進 | 県内の地域課題解決を図るイベントにもDoboXが活用されている |
地域活性化・スポーツビジネス | ジャパネット「長崎スタジアムシティ」 | ICT PMOとして参画。スポーツビジネスや地域連携を軸にICT活用による価値創出を支援 | 地域の新たな成長拠点として事業が推進され、スポーツと街づくりを融合する先進事例に |
エネルギー・サステナビリティ | コスモエネルギーホールディングス | 財務・非財務データを統合するシステムを構築し、データ活用基盤を整備 | サステナブル経営の推進につながり、企業価値向上の好循環を生み出している |
引用:新たなイノベーションの創出に向けた都道府県初のサービスとは?|EYSC 引用:ジャパネットが「長崎スタジアムシティ」で描く新たな地域創生とは|EYSC 引用:非財務データの利活用でサステナブル経営を推進するコスモエネルギーHDの戦略|EYSC これらの事例からもわかるように、EYSCのプロジェクトは単なる経営支援にとどまりません。社会全体にインパクトを与える取り組みが多く、「企業成長」と「社会課題解決」を両立させる姿勢が大きな特徴となっています。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングと他のBIG4との違いを比較
同じBIG4といっても、各ファームにはカルチャーや案件の特徴、キャリア形成の考え方に違いがあります。
ここでは、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)の特色を、他のBIG4とも比較しながら3つの観点から見ていきましょう。
カルチャーや風土の違い
BIG4各社は同じ総合系ファームながら、カルチャーや働き方には個性があります。EYSCの特性を、以下のように表で整理しました。
ファーム | カルチャー |
---|---|
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 学びと成長を重視する文化。充実した研修・育成制度が整備され、個々のキャリア形成を強く支援。グローバル連携と多様性を活かしたチームワークも特徴 |
KPMGコンサルティング | 誠実さと協調性を重視。チームワークの良さが働きやすさにつながる風土 |
デロイトトーマツコンサルティング | 成果主義とスピード感が強い挑戦志向が特徴 |
PwCコンサルティング | 多様性を尊重し、グローバル案件や異文化環境に強みがある |
実際の口コミでも、以下のような声が見られます。
他ファームや事業会社から来た中途社員が多く比率も高いことから多様性を認める文化がある。
引用:OpenWork
個人のキャリア志向やライフスタイルに寄り添う柔軟なカルチャーです。
引用:OpenWork
成果主義の色が強いデロイトや、多様性を前面に打ち出すPwCとは異なり、EYは「育成制度の充実」と「成長支援の手厚さ」が特徴的です。キャリアの早期形成を重視したい方にとって、EYのカルチャーは大きな魅力といえるでしょう。
案件傾向やプロジェクト特性の違い
BIG4各社は幅広いコンサルティングサービスを展開していますが、扱うプロジェクトの傾向には違いがあります。公開情報や転職経験者の声をもとにすると、以下のような特徴が見られます。
ファーム | 案件傾向やプロジェクト特性の違い |
---|---|
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 会計・財務領域に強みを持ちながら、M&AやPMIを中心とした変革型プロジェクトが多い。グローバル案件も豊富で、特に欧州を中心とした海外オフィスとの連携に強み |
KPMGコンサルティング | 官公庁や大手企業を対象にした大規模案件が中心。戦略から実行までを一気通貫で支援 |
デロイトトーマツコンサルティング | クロスボーダーM&Aや国際的DX案件など、海外拠点を巻き込むグローバルプロジェクトに強み |
PwCコンサルティング | リスク・コンプライアンスや業務改革を起点にした案件に強く、サステナビリティ関連の支援も増加傾向 |
表から分かる通り、EYSCは会計・財務領域を基盤としながらも、M&AやPMIなど企業変革に直結する案件に強みがあります。
加えて、海外案件では欧州とのネットワークを活かした支援に特徴があり、他ファームと比較してもグローバル性の高さが際立っています。
実際の口コミからも、その傾向は裏付けられています。
日本を代表する業界トップ層の大企業も含めて、再編にかかわる企業の大きな変革期に、そのディールや会計的解釈のコアとなる専門的業務に関与することができる点には、非常に大きな働きがいを感じた。
引用:OpenWork
他ファームと比べて成長性が高く、手を挙げれば何でも取り組める環境があった。加えて、海外案件は他ファームよりも強い理解。在籍していた頃からグローバルのオフィス、特にEYの強いヨーロッパとの関係性構築を強めていたことが、現在の成果に繋がっていると理解している。
引用:OpenWork
このように、EYSCは 会計・財務に基盤を持ちつつ、M&A・グローバル案件を軸に企業変革を支援する点に特徴があります。案件を通じて専門性と国際的な経験を同時に磨ける環境といえるでしょう。
キャリアパスや育成制度の特徴
BIG4はどのファームも人材育成やキャリア形成に注力していますが、そのアプローチには違いがあります。公式情報や転職経験者の声をもとにすると、以下の傾向が見られます。
ファーム | キャリアパスや育成制度の特徴 |
---|---|
EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 体系的な研修プログラムが整備され、教育投資が手厚い。プロジェクトや部門の異動も柔軟で、多様なキャリア形成が可能 |
KPMGコンサルティング | 誠実さ・協調性を重視し、OJTやチームを通じた育成が中心。専門性を深めつつ横断的にキャリアを積める仕組み |
デロイトトーマツコンサルティング | 大規模案件にアサインされやすく、若手のうちから経験を積みやすい。早期昇格のチャンスも多いが競争は激しい |
PwCコンサルティング | グローバルモビリティ制度や海外研修が充実。国際案件を通じて早期にグローバルキャリアを形成できる |
表から分かるように、EYSCは研修制度が充実している点が特徴です。
入社時のオンボーディングから昇格前研修、E-Learning、海外研修まで、キャリアの各段階に応じた学びの機会が体系化されており、自分の志向に合った研鑽を積むことができます。また、プロジェクトや部門の異動も比較的柔軟で、キャリア形成の幅を広げやすい環境です。
実際の口コミでも、その特徴が裏付けられています。
自分から意欲的にフィードバックを求めさえすれば、部下の教育に時間を割いてくれる方は比較的多い印象をもっている。
引用:OpenWork
成長できない環境だと思えばプロジェクトを変えたり、部門を変えることもできるため、望めばいくらでもその機会はあるように思う。また、研修も充実している。毎年決まった単位数を研修受講を通して取得する必要があり、自らの志向に合った講座を選んで、その研鑽に努めることができる。
引用:OpenWork
このように、EYSCは「研修制度の手厚さ」と「キャリアの柔軟性」を兼ね備えた環境であり、主体的に成長を求める人材にとっては特に魅力的なファームといえるでしょう。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの年収水準と待遇の実態
転職を検討するうえで、多くの方が気になるのが「年収や待遇」でしょう。EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)はBIG4の一角として高い報酬水準を誇りつつ、評価制度や福利厚生も含めた総合的な働きやすさが注目されています。
ここでは、役職・年齢ごとの年収レンジ、ボーナスや評価制度の仕組み、そして福利厚生制度とその利用実例について解説していきます。
役職・年齢別の年収レンジ
EYSCの年収は、BIG4らしく高水準に位置しています。
特徴的なのは、年齢ではなく実力主義に基づいて報酬が決まる点です。同じ年代であっても、担当する役割や成果によって年収には大きな差が生じます。
そのため、早期に昇格すれば20代でも1,000万円を超えるケースは珍しくありません。OpenWorkから読み取れる役職別の年収データは以下の通りです。
役職 | 平均年収 |
---|---|
コンサルタント | 893万円 |
シニアコンサルタント | 940万円 |
マネージャー | 1,236万円 |
ディレクター(シニアマネージャー) | 2,500万円~3,000万円 |
パートナー(アソシエイトパートナー) | 2,800万円~ |
引用:OpenWork
このように、役職ごとの年収幅は広く、個人の成果や貢献度によって水準が大きく変動します。特にコンサルタント職では、450万円から2,700万円と幅があり、成果次第で年収の伸び方が大きく異なることがわかります。
実際に見られる口コミは以下の通りです。
給与水準はかなり高く、業績や評価次第ではあるが年収に対する賞与の比率は少ないため、月々の給与が自然と高めである。
引用:OpenWork
年々変化しているため、過去事例が参考にならないが、毎年ベースは上がっており、企業の業績が良いことがうかがえる。
引用:OpenWork
EYSCでは「年齢に縛られない実力主義の評価」が徹底されており、挑戦的なキャリアを望む方にとって魅力的な環境といえるでしょう。
ボーナス・評価制度の仕組み
EYSCでは、報酬体系はグローバルに共通する成果主義を基盤としており、年俸制に加えて業績連動型のボーナスが支給されます。評価は会社全体の業績に加え、プロジェクト単位での成果や個人のパフォーマンスが反映されるため、自身の貢献度がダイレクトに報酬へ結びつく仕組みです。
さらにEYの特徴として、評価の透明性を高める工夫が制度化されている点が挙げられます。複数の評価者や合議制を導入することで、個人のバイアスによる不公平を避け、納得感のある評価を実現しています。
評価制度の概要を以下に整理しました。
項目 | 内容 |
---|---|
給与体系 | 年俸制+年1回の業績連動ボーナス |
ボーナス決定要素 | 会社業績・プロジェクト成果・個人評価 |
評価基準 | 360度評価・自己評価・合議による最終決定 |
評価の特徴 | 評価差し戻し制度や複数評価者による透明性確保 |
口コミからも、EYの評価制度の透明性の高さが伺えます。
評価が不当だと感じた場合には差し戻しができて、他の評価者やプロジェクトメンバー含め再検討ができるため比較的透明性が高い。
引用:OpenWork
評価制度については組織間で目線がバラつかないような仕組みが構築されており、合議の下で確定されるため個人のバイアスによる不公平な評価は行われにくいと感じる。
引用:OpenWork
このように、EYSCは透明性の高い評価プロセスが整備されており、「納得感のある評価」が得られる環境を構築しています。成果を出せばしっかりと報酬や昇進に反映される一方、不公平感を減らすための仕組みも整っているため、安心して挑戦できる文化が根付いているといえるでしょう。
福利厚生制度の特徴と利用実例
EYSCでは、従業員の健康や生活の充実を支えるために、多様な福利厚生制度が整備されています。代表的な制度は以下の通りです。
- ベビーシッター利用等補助制度
- 健康保険制度
- 総合福祉団体定期保険
- 企業型確定拠出年金(401K)
- 東京海上日動メディカルアシスト
- メンタルサポートサービス
- カフェテリアプラン
- 全国契約宿泊施設の割引利用
さらに公式サイトには記載されていないものの、リモートワークを中心とした働き方が浸透しており、ワークライフバランスの改善に大きく寄与しています。
実際の口コミからも、福利厚生制度の使いやすさがうかがえます。
充実しています。カフェテリアプランがあって、定期的にポイントを付与されます。買い物や娯楽チケットを購入できますので嬉しい制度です。
引用:エン・カイシャの評判
「これはありがたい」と感じる福利厚生や制度 ・企業型確定拠出年金 ・資格補助金制度 ・クレカ維持費補助 ・在宅支援制度 ・在宅勤務制度(一部抜粋)
引用:OpenWork
このように、EYSCは金銭的な補助から健康サポート、在宅勤務環境まで幅広くカバーしており、従業員が安心して働き続けられる仕組みを整えています。
高い業務負荷が想定されるコンサルティング業界においても、働きやすさを支える環境が整備されている点は、転職先を検討するうえで大きな安心材料といえるでしょう。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの働き方
コンサルティング業界は「激務」というイメージを持たれやすく、EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)も例外ではありません。ただし、実際の働き方はプロジェクトや役職によって大きく異なり、制度や環境の整備によって改善が進んでいる面もあります。
ここでは、労働時間や残業時間の目安、そして「激務」と言われる背景と現実について解説します。
労働時間と残業時間の目安
EYSCの採用情報によると、所定労働時間は 1日7時間(午前9時30分~午後5時30分) です。勤務形態は原則フルフレックス制が導入されており、業務都合に応じて柔軟に勤務時間を調整できる点が特徴です。
OpenWorkの統計によると、平均残業時間は月45.3時間程度となっています。コンサル業界全体の数字と比べても突出して多い数字ではなく、ワークライフバランスの改善が進んでいる様子がうかがえます。
口コミからも、その様子が確認できます。
標準労働時間が7時間であり、かつみなし残業50時間の中である程度おさまる形になっている。50時間を超えても残業代はきちんと支払われるため、特に不満はない。
引用:OpenWork
働き方改革が叫ばれている世の中のため、上長が残業を抑制しようとする姿勢は見られる。
引用:OpenWork
依然として繁忙期には残業が発生する可能性があるものの、長時間労働が常態化しているわけではなく、働き方改革や上司による抑制の姿勢が浸透しつつあるのが現状です。
「激務」と言われる背景と現実
EYSCが「激務」と言われる背景には、以下のような要因があります。
- クライアントが短期間での成果を強く求めることが多い
- 複数のプロジェクトを同時に抱えるケースがある
- 繁忙期や重要案件では残業や休日対応が発生しやすい
- 成果主義の評価制度により自己成長のために長時間働く人もいる
こうした要素から「激務」というイメージが定着していますが、現実には働き方改革やマネジメント層の意識変化により改善が進んでいます。スタッフ層を中心に、かつてのような極端な長時間労働は減少しています。
実際の口コミからも、その変化が確認できます。
自分と自分の周りの話を聞く限り、一昔前のような月100時間以上の残業をしている人は、少なくともスタッフ層にはほとんどいない。
引用:OpenWork
このように、「激務」と言われる背景は確かに存在するものの、現実としては過去のイメージほど極端な働き方は少なくなっているのが実態です。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの転職難易度
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)の転職難易度は、総じて高い水準にあります。BIG4の一角として多様な業界やテーマに関わり、一定以上の専門スキルや実務経験が求められるケースが多いため、選考は容易ではありません。
とはいえ、事前に求められる要件を理解し、対策を十分に行うことでチャンスを広げることは可能です。また近年では第二新卒や未経験者の採用も進んでおり、ポテンシャルを評価する枠も設けられています。
ここでは、中途採用で必要とされるスキルや経験レベル、未経験や第二新卒でも挑戦できる条件、さらに実際に選考を突破している人のバックグラウンドについて解説します。
中途採用に求められるスキル・経験レベル
EYSCの中途採用では、BIG4の一角らしく高いスキルと実務経験が求められます。例として戦略コンサルタントのキャリア採用ページには、以下のような条件が提示されています。
【必須要件(基本スキル)】
- 大学・大学院卒業以上
- 論理的思考力
- 日本語での高いコミュニケーション能力(英語スキルがあれば尚可)
- 以下いずれかの領域での経験(M&A戦略策定、事業開発方針策定、海外進出戦略案件、PMIなどのプロジェクト経験 事業投資部門や投資会社における事業評価の経験 企業統合に伴う業務統合や業務改革プロジェクトのマネジメント経験)
【歓迎要件】
- プロジェクト管理スキル(複数のステークホルダーと円滑に調整できる能力)
- グローバル案件対応力(異文化理解、クロスボーダーM&Aの経験など)
- 特定業界における深い知見(例:消費財・小売、テクノロジー・メディア・通信、ライフサイエンス・ヘルスケア、スタートアップなど)
- ディレクタークラスでは、特定業界におけるクライアントネットワークを保有していること
引用:戦略コンサルタント / Strategy Consultant|EYストラテジー・アンド・コンサルティング
このように、EYSCでは戦略立案やM&Aをはじめとする高度なプロジェクト経験と、業界に根差した知見を兼ね備えた人材が求められています。 加えて、グローバル案件を意識した採用基準がある点は、EYならではの特徴といえるでしょう。
さらに、EYSCはセクター(業界軸)やユニット(サービス領域軸)ごとに専門性が分かれているため、所属するチームによって求められるスキルや経験は異なる点にも留意が必要です。
たとえば、テクノロジー系ユニットでは最新のITソリューション導入経験が重視され、金融セクターでは規制対応やリスクマネジメントの知見が求められるなど、部門ごとに期待される専門性が変わってきます。
未経験者・第二新卒が転職できる可能性と条件
EYSCでは、未経験や第二新卒からの転職も十分に可能です。実際に公式サイトでも第二新卒向けの募集があり、ポテンシャル採用を行っていることがわかります。
ただし重視されるのは「若さ」ではなく、これまでの経験をどのように活かしてコンサルティングの成果につなげられるかです。学生時代や前職で培った力を経営課題への貢献に結びつけて、論理的に説明できることが求められます。
未経験者の場合は論理的思考力やコミュニケーション力を基盤に、入社後のキャッチアップ力を示す必要があります。第二新卒であれば短期間の業務経験から得た成果や成長を整理し、説得力を持って伝えることが重要です。
このように、経験の棚卸しを行い、それを論理的に表現できる準備を整えれば、未経験や第二新卒でもEYSCへの転職は現実的な選択肢となるでしょう。
選考通過者に多いバックグラウンドの傾向
EYSCの中途採用では、以下のようなバックグラウンドを持つ人材が選考を通過する傾向があります。
- 戦略・総合系コンサルティングファーム出身者:即戦力としてのプロジェクト経験が評価されやすい
- 事業会社の経営企画・新規事業部門出身者:事業戦略やM&A、海外進出の経験を活かせる
- 金融機関や投資会社出身者:事業投資や財務分析の専門性が評価されやすい
- 総合商社や外資系企業出身者:グローバル案件やクロスボーダーM&Aでの実績が親和性を持つ
- 特定業界の専門知識を有する人材(例:消費財・小売、テクノロジー、ライフサイエンスなど):セクター特化のプロジェクトで強みを発揮できる
EYSCでバックグラウンドが多様であるのは、総合系ファームとして戦略・M&A・テクノロジー・ピープル・リスクなど多数のユニットを有しているためです。ユニットごとに求められる専門性が異なることから、従来のコンサル出身者だけでなく、金融・事業会社・商社・特定業界の専門家など、幅広いキャリアを持つ人材が活躍できる環境があります。
実際に公式サイトにも次のような声が掲載されています。
私がEYSCのメンバーとして誇らしく感じているのは、グローバル全体でもEY Japanの中でも、多様な国籍やバックグラウンドを持った人材が活躍しているということです。
引用:メンバーとの連携や課題を常に考え、目標を達成していく|EYストラテジー・アンド・コンサルティング
このようにEYSCの選考通過者の経歴は一様ではありませんが、共通するのは経営課題に直結する実務経験を持ち、それを論理的に説明できる力です。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングの中途採用選考フローと面接内容
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)への転職を目指すうえで、多くの方が気になるのが選考の流れと面接内容でしょう。選考の流れは大まかに決まっているため、プロセスを理解しておくことで対策の精度も高められます。
ここでは、実際の選考フローを確認したうえで、面接で問われやすい内容や質問の傾向について解説します。
応募から内定までの選考ステップ
EYSCの選考フローは、基本的に以下のステップで進みます。
- 書類選考:履歴書・職務経歴書を提出。経験や志向性を整理した内容が重視される
- 適性検査:論理的思考力や数的処理能力を中心に評価される
- 個人面接(ケース・フェルミ含む):複数回実施。過去の経験に加えケース面接やフェルミ推定を通じて思考力や表現力が試される
- 内定:最終面接のみ日比谷オフィスでの対面実施を予定
選考プロセスはオンラインを中心に行われます。ケース面接やフェルミ推定まで自宅から対応できる点は、遠方からの応募者にとっても負担が少ない仕組みです。
なお、採用プロセスは変更される可能性があるため、最新情報は公式サイトを確認しておくと安心です。
面接内容・質問傾向
EYSCの面接は、一般的な質問に加えてケース面接やビヘイビア面接が行われる点が特徴です。ポテンシャル層であっても論理的思考力とコミュニケーション力を問う形式が重視され、難易度は高めといえます。
口コミからも、その傾向が明確にわかります。
ケース面接、技術面接、ビヘイビア面接でありました。エージェントからはカジュアルかつ日本語面接と言われていましたが、実際はケース面接・技術面接・ビヘイビアすべてが行われ、かつ英語で行われていたため、とても不意打ちのような感覚を覚えました。
引用:転職会議
このように、想定以上に高度な質問や英語でのやり取りが発生するケースもあり、入念な準備が必要です。
ケース面接では、事業課題の原因分析や改善策を短時間で考え、構造的に回答する力が求められます。
ある業界での売上事例をもとに、このような売上となった原因を考察し、また改善策を考えるケース面接を行った。面接官からの複数の質問に対して、考える時間を与えられた上で一分程度で回答するスタイルでした。
引用:転職会議
また、志望理由やマネジメント経験など、これまでのキャリアの棚卸しを深く掘り下げられる質問も頻出します。
特に2点を重点的に聞かれました。1点目は志望理由で、転職しようとしたきっかけ、その中で何を軸にしているか、なぜコンサルティング業界なのか、なぜEYなのかを深掘りされました。2点目はマネジメント経験で、どうやってこの人数をマネジメントしたのか、そこでの難しさと工夫点を詳しく聞かれました。
引用:転職会議
このようにEYSCの面接では、論理的な思考力を試すケース面接と、経験・志向性を深掘りするビヘイビア面接の両面が重視されます。英語面接の可能性もあるため、事前に幅広く準備しておくことが重要です。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングが求める人物像
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)では、採用プロセスを通じてスキルだけでなくカルチャーフィットも重視しています。どのような人が評価され、反対にどのような人が合わないのかを理解しておくことは、応募を検討するうえで大きな判断材料となります。
ここでは、EYに向いている人の特徴と、向いていない人の特徴を整理して解説します。
EYに向いている人の特徴
EYSCでは、スキルや経験だけでなく価値観や姿勢も重視されます。向いている人の特徴は以下の通りです。
- クライアントに寄り添い課題解決に強いこだわりを持てる人
- 社会的意義やパーパスに共感できる人
- 多様な人材と協働できる人
- 変革を推進する意欲がある人
- 学び続ける姿勢を持てる人
EYが掲げる「Building a better working world」に共感し、社会や経済に貢献したいという意識を持つ人は評価されやすい傾向にあります。単なる問題解決ではなく、クライアントと伴走しながら長期的な価値を生み出そうとする姿勢が求められます。
また、社内外の多様な人材と協働し、変革を前向きに進められる柔軟性も重要です。成長を前提とした環境で学び続けられる人こそが、EYSCで活躍できる人材だといえるでしょう。
EYに向いていない人の特徴
一方で、EYSCには合わないタイプの人もいます。入社後のミスマッチを避けるためにも、あらかじめ理解しておくことが大切です。
- 短期的な成果だけを重視し社会的意義やパーパスに関心を持てない人
- 多様な価値観や文化を受け入れられない人
- 変化を避け安定した環境にこだわる人
- 主体的に学び続ける姿勢を欠く人
- クライアントとの信頼関係よりも自分のやり方を優先してしまう人
EYでは、社会やクライアントの課題に真摯に向き合い、協働を通じて解決策を導く姿勢が求められます。これに共感できない場合、働き方やカルチャーにギャップを感じやすいでしょう。
また、常に変化が伴う環境の中で自ら成長を志向しなければ、十分に成果を発揮するのは難しくなります。柔軟性や自己研鑽の意欲が欠けている人にとっては、EYSCは厳しい環境になりかねません。
EYストラテジー・アンド・コンサルティングへの転職を成功させるために準備すべきこと
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)の転職は難易度が高いため、入念な準備が欠かせません。特に重視されるのは、応募書類や面接で自分の強みをいかにEYの価値観やプロジェクト特性と結びつけて伝えられるかです。
ここでは、志望動機の組み立て方、自己PRの工夫、さらには転職エージェントを活用した情報収集まで、選考を突破するために準備すべきポイントを解説します。
「誠実さ」と「共創力」を備えた志望動機を構築する
EYSCの選考では、スキルや実績だけでなく「人としての姿勢」が重視されます。公式サイトでも「クライアントに寄り添い課題解決にこだわりを持つ」「より良い社会の構築に貢献する」というパーパスへの共感が求められており、志望動機には誠実さと共創力が反映されている必要があります。
志望動機を作成する際には、まず以下の2点を明確にしなければなりません。
- なぜコンサルティング業界なのか
- なぜEYなのか
そのうえで、自身の経験を通じて「誠実に課題と向き合った事例」や「周囲と協働して成果を出した経験」を盛り込むと、EYのカルチャーにフィットしていることを伝えられます。
このように、単なるキャリアアップや待遇面の志望理由ではなく、誠実さを基盤とし、クライアントや仲間と共に価値を創出していく姿勢を具体的に示すことが、EYで評価される志望動機につながります。
変革型プロジェクトを意識した自己PRを準備する
EYSCでは、M&AやDX、組織変革といった大規模な変革型プロジェクトを手掛ける機会が多くあります。そのため自己PRでも「変革を推進できる力」をどう示せるかが重要です。
具体的には、過去の経験を単なる成果の羅列で終わらせず、「どのような課題を捉え、どんな変化を実現したのか」を整理すると効果的です。たとえば業務改善で新しい仕組みを導入した経験や、複数部署を巻き込んで改革を進めた事例を用いれば、変革をリードする姿勢を伝えられます。
また、EYが重視するのは個人の実力だけでなく、周囲と協働しながら成果を最大化する力です。自己PRでは、自ら変化を起こす力と、チームを巻き込みながら成果を実現したエピソードをセットで語ると、EYの求める人物像に合致する内容になるでしょう。
転職エージェントを通じて「生の情報」まで押さえる
EYSCは、部門や採用タイミングによって求められる人物像や評価軸が変わることもあります。そのため、応募前から最新の動向や実際の面接傾向を把握しておくことが、選考突破の大きなポイントとなります。
この点で役立つのが、コンサル転職に強い転職エージェントです。特にMyVisionには、元コンサルタントのキャリアアドバイザーが多数在籍しており、最新の選考情報やプロジェクト事情をふまえた実践的なアドバイスを受けることができます。
模擬面接などを通じて具体的な準備を整えられるため、EYへの転職を目指す方にとって心強いサポートとなります。
まとめ
EYストラテジー・アンド・コンサルティング(EYSC)は、グローバルなネットワークを背景に、幅広い変革型プロジェクトを手掛ける総合系ファームです。年収水準や待遇は高い一方で、選考難易度も高く、志望動機や自己PRにおいて誠実さや共創力をどのように伝えるかが重要なポイントとなります。
また、部門ごとに評価軸が異なるため、最新の動向や選考傾向を把握したうえで対策を講じることが不可欠です。
自己流では限界がある部分も多いため、コンサル転職に強いMyVisionのような専門エージェントを活用し、実践的な情報とサポートを得ることで、転職成功に近づくことができるでしょう。