人気のシンクタンク一覧
2024年06月24日更新
シンクタンクは、社会・経済の問題に対し、調査・研究・提言を行うことを目的として設立された企業です。昨今では特定領域での知見を活かし、戦略策定から実行支援に至るまでの総合的なコンサルティングサービスも提供しています。
シンクタンクの中でも規模感の違いや、社風、得意とする案件には違いがあります。この記事では人気のシンクタンクについて、それぞれの特徴について解説します。
監修者
北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
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人気のシンクタンクとしては、野村総合研究所(NRI)や三菱総合研究所(MRI)といった金融機関を母体とするシンクタンクや、NTTデータ経営研究所など、情報通信産業から派生したシンクタンクがあります。
野村総合研究所(NRI)
変遷
日本初の本格的な民間総合シンクタンクである株式会社野村総合研究所(NRI)と、日本で初めて商用コンピュータのビジネス利用を実現したシステム開発会社である野村コンピュータシステム株式会社(NCC)が合併し、現在の野村総合研究所が誕生しました。
規模感
2023年時点で、6,782人(NRIグループ 17,394人)が在籍しております。 東京を拠点とし、ドバイ、ハノイにも展開しております。
社風
NRIには「顧客の期待を超える」というカルチャーが根付いており、顧客からの要望であっても、それが顧客の真の利益に繋がらないと判断すれば、他の真の利益につながる提案をクライアントに提言します。また、極めてフェアな風土であり、プロパー入社者もキャリア入社者も評価や待遇に違いはなく、実力があれば社歴を問わず重要なポジションを担うことが可能です。それでいてアットホームかつ、社員同士の交流が活発な社風です。
出典 https://working.nri.co.jp/recruit/special/people_culture/people_culture_02.html https://working.nri.co.jp/recruit/special/people_culture/people_culture_03.html
案件(得意な領域)
「コンサルティング」「金融ITソリューション」「産業ITソリューション」「IT基盤サービス」の4つの事業があり、シンクタンクの中でも非常に多岐にわたるプロジェクトを展開しています。
コンサルティングによって問題発見から解決策を導く「ナビゲーション」から、システム開発・運用などによって課題解決を実現する「ソリューション」までを一貫して提供しています。その中でも金融機関におけるITプロジェクトは非常に多くの実績を有しています。
また、新しい成長ドライバーの創造のため、「ビジネスITの創出」と「グローバル関連事業の拡大」を進めています。 「ビジネスIT」においては、ビジネスITを企画・構想する段階から、コンサルティングとソリューションがお客さまと併走してオープンなイノベーションに取り組み、その後も実現と効果検証のサイクルを繰り返しながら、成果とリスクをお客さまと分かち合うビジネスモデル(コンソリューション)を展開しています。 「グローバル関連事業の拡大」は、共同利用型サービス等の既存IPを活用したオーガニックな事業拡大をすすめながら、M&Aによる高い競争力を持つ外部IP獲得により、グローバル展開を加速しています。
出典 https://ir.nri.com/jp/ir/individual/strength/strength04.html
三菱総合研究所(MRI)
変遷
三菱総合研究所は、1970年に三菱創業100周年記念事業として設立されました。 現在は、調査・研究・政策支援などのシンクタンク機能、企業経営戦略サポートなどのコンサルティング機能に加え、ICTソリューションを提供する三菱総研DCSと一体的にサービスを提供するシンクタンクとして事業を展開しています。
規模感
2023年時点で、1,093人(グループ 4,325人)が在籍しています。 東京を拠点とし、アジア、オセアニア、アメリカ、ヨーロッパにも展開しています。
社風
知的好奇心が旺盛で、さまざまな社会課題に広く関心を持つ社員が多いです。「堅そう」という印象を持たれることも多いですが、多様なコミュニティが社内にあり組織や年代を超えたコミュニケーションも活発です。また、上下関係がフラットであることも特徴です。
出典 https://www.mri.co.jp/company/recruit/information/faq.html
案件(得意な領域)
全案件のうち、政府・官公庁・地方自治体案件が7割です。民間系シンクタンクではその領域において、随一の売上を誇っています。政策、科学技術、経済・金融など多岐にわたる研究分野を持ち、学術界との繋がりも強いです。 ICTソリューションを提供する三菱総研DCSと一体的にサービスを提供しており、DX部門を設置するなど、テクノロジー領域の案件も拡大しています。
出典 https://www.mri.co.jp/company/feature/index.html
三菱UFJ リサーチ&コンサルティング(MURC)
変遷
三菱UFJリサーチ&コンサルティング(MURC)は、三和銀行と東海銀行の合併に伴い、2002年4月に両行のシンクタンク部門である三和総合研究所と東海総合研究所が合併し、UFJ総合研究所として発足しました。 その後、UFJ銀行と東京三菱銀行の合併による三菱東京UFJ銀行(現:三菱UFJ銀行)の成立に伴い、2006年1月にUFJ総合研究所、ダイヤモンドビジネスコンサルティング、東京リサーチインターナショナルの三社が合併し、現在の体制となりました。
規模感
2023年時点で、1,093人(グループ 4,325人)が在籍しています。 東京を拠点とし、インドネシアとベトナムにも展開しています。
社風
「横断的組織」という部門を超えた社員同士のコワークを促進し、新しい事業分野への取り組みをより柔軟に展開できるようサポートする仕組みがあり、社員同士の交流が活発なシンクタンクです。新しいテーマが複数部門領域にまたがる場合は、コンサルタントと研究員の協働や、東京・名古屋・大阪の三拠点に分散する社員が一体となり新たに仮想的に部を作りります。このうよに、テーマに関心・知見のある社員が集まって情報共有や商品開発が積極敵に行われています。
加えて、社内学会や知見交流イベントなど、各チームのテーマに対する交流会も盛んに実施されており、オープンなカルチャーであると言えます。
出典 https://career.murc.jp/culture/
案件(得意な領域)
競合のシンクタンクがシステムコンサルティングやシステム構築を事業を有する中で、システム開発部門を持っていないことが特徴です。政策研究・提言、マクロ経済調査、コンサルティング、グローバル経営サポートに対し、調査研究・コンサルティングサービスを提供しています。
特に人事組織関連テーマについては豊富な実績を有し、近年は大手クライアント企業に対する経営戦略テーマのコンサルティングにも注力しています。
NTTデータ経営研究所
変遷
NTTデータ経営研究所は、1991年に日本最大のSI会社であるNTTデータが100%出資して設立したシンクタンクです。事業内容はコンサルティングがメインであり、シンクタンクと戦略系・総合系コンサルティングファームに跨る領域を中心に、戦略立案、新規事業戦略、IT戦略等の上流工程のコンサルティングが主なテーマです。
規模感
2021年時点で、369人が在籍してきます。 東京を拠点とし、シンガポールにも展開しています。
社風
NTTデータのグループ会社である一方、、制約が非常に少ない社風です。NTTデータとは、アライアンス・協業は提案次第でいつでもできるような関係にありながら、一方で「必ずSIに繋げる」などというソリューションに制約を受けたり縛られたりすることも少なく、比較的自由かつ裁量権が強いファームであると言えます。
コンサルタントは年間10本前後のプロジェクトにアサインされ、同時に複数の案件に参画します。そのため実力次第では昇進も速い一方、明確な昇格目安年数である「up or out」のカルチャーや制度もありません。
案件(得意な領域)
NTTデータ経営研究所の案件の特徴としては、「インダストリーやファンクションの垣根に縛られずに、クライアントに価値提供ができること」、そして「テクノロジーを使った仕事」という2点が挙げられます。 以下、NTTデータ経営研究所のパートナー野中様にインタビューした際に回答いただいたものをそのままご紹介します。
1つ目の特色は、「インダストリーやファンクションの垣根に縛られずに、クライアントに価値提供ができること」です。過去のファームの経験を振り返ると、縦横の縛りによってクライアントに提供できるサービスが限定されてしまうことがしばしばありました。一方で、この会社のルールでは、きちんとデリバリができればチームの所掌には縛られません。私の管掌するユニットでは、デジタル戦略から、組織風土の変革、営業改革、経理財務まであり、なんでも幅広く取り組んでいます。幅広いサービスを提供するためには、もちろん大量に勉強をしなければなりませんが、お客様に価値提供をするという観点において、自由度が全く違います。 2つ目の特色ですが、「テクノロジーを使った仕事」という部分です。他のファームでもテクノロジーを扱うプロジェクトは数多く存在すると思いますが、経営研では、少数精鋭で臨むプロジェクトが中心になっています。当社のような規模感の会社は、自由にお客様のニーズに合わせて戦略案件を組んでいける良さがあり、「小粒だが良質な案件」への取り組みに注力しやすいです。数十人規模の大規模案件では、特に若手のコンサルタントは埋没してしまうこともありますが、当社では、一人一人のコンサルタントが各案件に対する裁量と責任を持っています。 例えば、開発段階の新技術を扱う研究機関などは、検討に要する予算を十分に持っていないことが多いです。そのため、プロジェクトの規模を追求しすぎると、初期フェーズの研究機関を支援することが出来なくなってしまいます。日本は技術的に優れたものを沢山持っているので、本当に国を盛り立てていくには、こうしたプロジェクトをやるべきだと思っています。真に技術的なテーマに取り組みたい方は、当社でご活躍いただける機会があると思います。
日本総合研究所(JRI)
変遷
日本総合研究所(JRI)とは、1969年に設立された三井住友フィナンシャルグループ(SMBCグループ)のシンクタンク・SIです。 シンクタンク・コンサルティング・ITソリューションの3つの機能を有し、ITを基盤とする戦略的情報システムの企画・構築、アウトソーシングサービスの提供をはじめ、経営戦略・行政改革等のコンサルティング、内外経済の調査分析・政策提言等の発信、新たな事業の創出を行うインキュベーションを提供しています。
規模感
2023年時点で、2,962人が在籍しています。 東京を拠点とし、アメリカ、イギリス、シンガポール、中国にも展開しています。
社風
創設以来の日本総研の特徴として、「主体性重視」のカルチャーがあります。個々のコンサルタントが自身の専門分野や所属するグループを決める際に、組織のマネジメント側が所属を指示しません。コンサルタント自身が、「現状分野が市場に求められている」「自分はこういうキャリアを築きたい」といったことをそれぞれ考え、希望を表明する形になります。
背景として、「コンサルティングという仕事は本来、自分の関心・問題意識が高い分野でこそ、その領域における"追究心"が強いドライバーとなって、その結果、クライアントにも高品質のサービスが提供できる」という理念があり、この「主体性重視」が組織運営のDNAとして承継されています。
案件(得意な領域)
ブランドスローガンとして、「次世代の国づくり」があります。その中で部門全体として、民間6:公共4という案件比率であり、かつ官民連携案件にも力を入れています。専門テーマごとの一つのチーム編成で、民間/公共にかかわらず案件を担当しています。背景として、「次世代の国づくり」の実現を目指すには、官民双方からのアプローチが必要だという考え方が存在します。
環境・エネルギー、ヘルスケア、情報通信、オープンイノベーション、地域の観光資源やエネルギー資源・スポーツ施設等を活用した地域活性化、PFI/PPPを活用した公共インフラの充実や町づくり、などの公共分野におけるコンサルティングは特に実績が多いです。近年は、M&Aの推進戦略や、M&Aによる統合後の戦略策定支援、介護ビジネスへの参入戦略、DXトレンドを意識したクライアントの新規事業開発支援といった案件が増加傾向であり、新規にグループを立ち上げています。
みずほリサーチ&テクノロジーズ
変遷
みずほリサーチ&テクノロジーズは、2021年に発足したみずほフィナンシャルグループのシンクタンクです。第一勧銀情報システムが2002年にみずほ総合研究所株式会社へと社名変更し、2004年に富士総合研究所が第一勧銀情報システムと興銀システム開発を吸収合併し、みずほ情報総研として発足しました。最終的に、2021年4月1日、みずほ情報総研がみずほ総合研究所を吸収合併する形で発足しました。
規模感
2023年時点で、4,294人が在籍しています。 東京を拠点とし、ロンドンにも展開しています。
社風
自主・自立・挑戦を重要視する社風と言われています。公募だけでなく、みずほグループ共通ジョブ公募も取り入れるなど社員のキャリア形成に協力的であり、新入社員が入社から3週間後にプロジェクトに参加した事例もあるなど、チャレンジングな姿勢を支援する環境です。
案件(得意な領域)
民間企業や官公庁・政府機関からの諸分野に関する研究・コンサルティング業務や、みずほフィナンシャルグループの情報戦略立案支援、構築、運用の推進がメインの案件です。
特に金融機関に対するコンサルティング実績は非常に多いです。金融機関専門領域のスペシャリストが、付加価値の高いマクロ情報の提供、政策提言を行います。また、みずほのシステムをはじめ、金融機関のインフラ関連やテクノロジーを活用したサービスのプロジェクト実績が多いです。
富士通総研
変遷
富士通総研(FRI)は、富士通グループのシンクタンクであり、1986年、富士通システム総研として設立されました。後にコンサルティング部門と経済研究所を創設して現在の体制を確立し、1997年に現在の富士通総研に社名変更しました。2020年4月の組織改訂により、コンサルティング本部と事業推進本部の2事業部体制となっています。
規模感
2023年時点で、74人が在籍しています。 東京を拠点としています。
社風
エンジニアや営業などは存在せず、社員の大半はコンサルタントであるため、コンサルティングのみに集中できる環境となっています。 また、他の大企業や外資系企業とは違って規模が小さく、社員一人ひとりが自分の得意分野を最大限に活かすことが可能です。
https://real.fujitsu-group.recruiting.jp.fujitsu.com/n/n1bada02927e6?magazine_key=m5b14ded8a95d
案件(得意な領域)
民間企業向けコンサルティングサービスを提供していたコンサルタントは、富士通が立ち上げたDX子会社Ridgelinez株式会社に合流しました。結果として、現在富士通総研は、公共部門向けに調査研究・コンサルティング事業を展開しています。公共部門向けコンサルティング・シンクタンク組織として、富士通のソリューションに関連した情報化戦略、行政経営、都市開発・PPPの案件に強みがあります。
大和総研
変遷
大和総研は、、大和証券グループのシンクタンク、(大和証券グループ向け)システム開発会社、システムインテグレーター(ユーザー系)です。2008年10月、組織再編により持株会社と機能ごとの子会社に分社化されましたが、2021年4月、旧株式会社大和総研は、持株会社であった大和総研ホールディングスを存続会社として、大和総研ビジネス・イノベーションを含め3社で合併し、新たに株式会社大和総研として発足しました。
規模感
2023年時点で、1,740人が在籍しています。 東京を拠点とし、ニューヨーク、ロンドンにも展開しています。
社風
「Something New」という言葉に表わされているように、社員一人一人が常に新しいことを考え、それにチャレンジしてみようという気風が組織全体に染み付いていることが社風の特徴です。 社内ベンチャー制度も存在し、社員としての立場を維持しながら、新規ビジネスへのチャレンジを認めるなど、社員一人一人の挑戦を支援する風土であると言えます。
案件(得意な領域)
「リサーチ」「コンサルティング」「システム」という3つの事業を有し、この3部門が持つ機能を融合し、高度に連携することでお客様に新しい価値、最適なソリューションを提供することが特徴です。 具体例としては、ミャンマーに、同国初となる証券取引所を設置するための支援事業があります。このプロジェクトでは、インフラの整備状況や海外資本の流入実態などを調査・分析し、その上で情報システムを含めた最適な証券取引所の形を探り、提案しました。大和証券の傘下に属しているため、金融・証券業務の知識もあり、調査分析、情報システム構築能力などトータルパッケージでクライアントを支援しています。
また昨今はテクノロジー案件の拡大に備え、データサイエンティスト育成を重視しております。2021年3月に研修プログラムの参加を募ったところ、700人(全社の40%)が応募するなど、今後はよりテクノロジー・IT領域の案件も増加傾向にあります。
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00001/05990/
https://www.waseda.jp/inst/weekly/feature/2018/12/10/55472/
まとめ
今回はシンクタンクに焦点を当てて紹介させていただきました。 様々あるシンクタンクでも、その出自や規模感、社風、得意な領域の違いについて理解を深めていただけたでしょうか。
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