ケース面接の例題4選 具体的な解法からよくある落とし穴を徹底解説
2024年06月24日更新
コンサルティングファームの転職においては、面接でケース問題が扱われることが頻繁にあります。 コンサル転職でケース面接が行われる理由は、問題を通じて「解答を導く思考プロセス」や「面接官とのコミュニケーション」から、候補者のコンサルタントとしての適性を判断するためです。 一般的な企業の採用面接ではケース面接はほとんど行われないため、コンサル未経験の方はこのケース面接に不安を感じることが少ないでしょう。 そこで本記事では、具体的なケース面接の例題からその解き方まで含めて解説していきます。 また、弊社MyVisionでは大手戦略コンサルティングファーム出身者を中心にケース面接対策を行っています。実際に多くの候補者の方からご好評をいただいておりますので、ケース面接対策について不安のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
監修者
岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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ケース面接対策
ケース面接は、コンサルタントとしての適性を見るために、コンサルティングファームの採用面接で行われる質疑応答形式の面接です。もともとは外資系戦略コンサルティングファームの面接で行われていましたが、現在は日系・外資を問わず、様々なファームの採用面接で行われるメジャーな面接手法です。 候補者は、面接官から出題される特定のテーマに対して、20分〜30分の限られた時間の中で、面接官と議論しながら解決策や答えを導いていきます。
ケース面接の内容・ポイントとは
ケース面接のお題は無数に存在しますが、大きく「フェルミ推定問題」と「ケース問題」の2種類に大別することができます。
フェルミ推定問題
フェルミ推定問題とは、感覚的に予測できないような数値や数量について、最低限のインプット情報のみで論理的に答えを推定する問題のことを指します。 例えば、「東京都にある電柱は全部で何本あるか」や「日本で1年間に消費されるタバコは何本か」といった問題はフェルミ推定を用いる問題です。 正確な数値については、そもそも調査することが難しいものや、公的機関による調査資料などで確認しなければわからないものとなりますが、フェルミ推定で求められていることは短期間で、おおよその数値を推定することです。
ケース問題
ケース問題は、実際の現場で発生するようなビジネス上の課題に対して、その解決策を導き出す問題のことを言います。 例えば、「空港の利用者数を2倍にするための戦略を考えよ」や「東京の満員電車問題を解決するためにはどうすればよいか」といった問いはケース問題のお題です。
ケース面接の重要性について
フェルミ推定、ケース問題両方に言えることですが、このような形式の問題においては正しい答えや回答方法等はありません。面接官は、候補者が解決策に辿り着くまでの「思考のプロセス」や「面接官とのディスカッションの内容」「質疑の受け答えの質」といった論理的思考力やコミュニケーション能力を見てコンサルタントとして活躍するために必要な要素を総合的に評価します。これはフェルミ推定問題、ケース問題いずれの場合においても非常に重要なポイントになります。
ケース面接 例題4選
続いて、具体的なフェルミ推定、ケース問題について見ていきましょう。
フェルミ推定の頻出問題1
問題
アメリカのシカゴには何人のピアノの調律師がいるか?
解答例と思考プロセス
こちらは実際に出題されたことのある有名な問題です。 フェルミ推定の問題としては定番なので、この問題の解き方の流れを理解して、類似問題もスムーズに解けるようにしておきましょう。
1.シカゴの人口を推定する
まず始めに、シカゴの人口を推定します。シカゴの人口は300万人と仮定してみます。ここでは正確な数値は求められておらず、一般的な都市の数値を概算でおいて問題ありません。
2.ピアノを所有している家庭の割合を推定する
次に、シカゴの家庭の中でどの程度の割合がピアノを所有しているかを推定します。全米の家庭のうちどの程度がピアノを所有しているかのデータは具体的にはわかりませんが、実体験などをベースに20世帯に1つのピアノがあると仮定します。
3.ピアノの調律の頻度を推定する
ピアノは年に1回調律されると仮定します。
4.調律師一人が年間で調律するピアノの数を推定する
次に、一人の調律師が一年間でどれだけのピアノを調律できるかを推定します。仮に、1日1台、週に5日働き、年間250日働くとした場合、調律師一人が年間で調律するピアノの数は250台と推定できます。
5.以上の情報から調律師の数を推定する
シカゴの人口を世帯数に換算し、ピアノを所有している家庭数を推定します。人口300万人を平均3人家族で割ると100万世帯、100万世帯の5%である50,000世帯がピアノを所有していることになります。それぞれのピアノが年に1回ずつ調律されると仮定すると、年間で50,000台のピアノが調律されます。一人の調律師が年間で250台のピアノを調律するとしたら、シカゴには200人(50,000台 ÷ 250台)のピアノ調律師が必要という推定になります。
減点に繋がる落とし穴について
フェルミ推定においては、どのようなアプローチでも間違いではありません。重要なことは論理的に要素を積み上げて最終的な数を出していくということです。 この問題のように一見全く見当がつかないような問題でも焦らずに落ち着いて回答していくことが重要になります。 まず問題に取り掛かる前に大まかな回答のプロセスを組み立てるようにしましょう。 そして、大まかなプロセスを組み立ててから、具体的な回答に取り掛かると、失敗を避けられる可能性が高くなります。
フェルミ推定の頻出問題2
問題
自動車販売の市場規模を求めよ
解答例と思考プロセス
こちらの問題に取り組む際、まず必要なのは前提の確認です。今回は「”日本における”自動車販売の市場規模を求めよ」と具体的に前提を面接官に確認し定義した場合で検討を進めたいと思います。
また、自動車には業務用と自家用のものがありますが、今回は自家用車に限定して算出したいと思います。このような前提条件も、実際の面接では、面接官とすり合わせるようにしましょう。
続いて、検討ステップを明確にするために、自動車販売数を求めるための式を次の4要素から立てます: 自動車販売の市場規模=(1)世帯数×(2)自動車保有割合×(3)買い替え周期×(4)1台当たりの平均単価
次に、これらの要素を一つひとつ推定します。
1.世帯数を推定する
日本の人口を基に推定を始めます。日本の人口は1.2億人、平均の家族人数は2.6人であるため、日本の世帯数は4,600万世帯と推定します。
2.自動車を所有する家庭の割合を推定する
次に、全体の家庭の内、どれくらいが自動車を所有しているかを推定します。日本では都市部と地方部で自動車保有率は大きく異なりますが、今回は簡単に全体としてみると自動車を保有する家庭は60%と仮定します。また、日本の世帯数は4,600万世帯なので、自動車を所有する家庭は2,760万世帯と推定できます。
3.自動車の買い替え周期を推定する
自動車の買い替え周期は、車種や個々の経済状況によりますが、10年と仮定します。つまり、毎年10%の家庭が車を買い替えると考えられます。したがって、毎年276万台の車が買い替えられると推定できます。
4.自動車の平均販売価格を推定する
新車の平均価格は車種によりますが、一般的なコンパクトカーやセダンの価格を基に、300万円と仮定します。
5.自動車販売の市場規模を求める
以上の推定から、日本の自動車販売の市場規模は
4,600万世帯×60%(自動車保留割合)×0.1(買い替え周期)×300万(1台あたりの平均単価)=8.28兆 毎年276万台の車が300万円で売られると推定でき、8.28兆円となります。
減点に繋がる落とし穴について
今回の問題では前提が不十分だったため、回答に取り掛かる前に、面接官と対象は日本で良いのか?又は世界での規模なのか等すり合わせられるとよいでしょう。 また今回の問題の場合は桁数も大きくなるため、大きな数の計算に時間を取られたり無駄なミスをしないようにしましょう。例えば100万×100万=1兆(10^6×10^6=10^12)というような計算です。
ケース問題の頻出問題1
問題
カフェ1店舗の一日の売上高と売上を+ 20%にする方法を考えてください。
解答例と思考プロセス:売上は「フェルミ推定」
店舗の売上計算は定番の問題です。計算には「フェルミ推定」を使用します。売上の場合は「数×単価」で出すのが一般的です。カフェであれば「客数×平均単価」で一日の売り上げが出せます。
1.一人当たりの平均支出額を推定する
平均単価の設定の仕方はいろいろありますが、一番シンプルな方法で算出する場合は、経験値から700円などと設定してもよいです。また時間があれば、飲み物だけ注文する客と、食べ物も併せて注文する客に分けて単価を算出することもできます。テイクアウトを実施しているかも計算に影響してきます。 このような要素を含めて検討するかどうかは面接の状況に応じて判断するようにしましょう。基本的には前半のフェルミ推定に時間をかけすぎずにその後のディスカッションに時間をかけたほうがベターです。
2.一日の顧客数を推定する
客数については、テイクアウトを除いた場合は「回転数×席数」で求めることができます。 時間によって混雑状況が変わってくるので以下のように考えます。 7時〜10時:15席×1回転×3時間=45人 10時〜12時:15席×0.5回転×2時間=15人 12時〜14時:15席×2回転×2時間=60人 14時〜18時:15席×0.5回転×4時間=30人 18時〜20時:15席×1回転×2時間=30人 以上により1日の客数が180人と推定されます。
3.一日の売上高を計算する
客単価が700円、1日の客数が180人なので、売上は700円×180人=126,000円となります。
解答例と思考プロセス:売上を+20%にする方法
次に、上記で算出した売上を20%増加させる方法について考えます。 フェルミ推定で現状の1日の売り上げを126,000円と算出したら、 20%売上増加させる場合は25,200円売上を追加で上げる必要があります。 先ほどの式で言うと 客数×平均単価 のどちらか、または両方を上げて25,200円の売り上げアップを目指します。
1.一人当たりの支出額を増やす
1人当たりの支出額を増やすためには、高価な商品の提供やアップセル(注文時により高価な商品勧める)の推進、セットメニューや他の商品をクロスセル(注文時に複数購入を進める)の推進、またそれらを割引クーポンを用いたインセンティブの提供などにより推進することが考えられます。
2.顧客数を増やす
顧客数を180人から増やすためには、例えばマーケティング活動の強化(SNSの活用、地元のイベントへの参加など)、店舗の見た目や雰囲気を改善(店内の装飾や音楽を変えるなど)、新規顧客向けの割引やキャンペーンを実施するなどの方法が考えられます。
いずれの場合においても、各要素を細かく分解して論理的に売り上げ20%アップを達成する方法を示す必要があります。
減点に繋がる落とし穴について
この問題だけに限りませんが、前提の確認が不十分な場合は減点につながりやすい傾向にあります。 例えば、飲食店に関する問題の場合については立地はどこに位置しているのか?またテイクアウトはやっているのか?など与えられた問題だけではわからない要素が多くあります。 前提条件が定まってくると、売上を20%増加させるための打ち手が明確になってきます。 そのため、面接官から問題を与えられたら、まずは前提を面接官と合わせる必要があります。 面接官自身も考慮が漏れている場合があり、そこを問題に取り掛かる前につぶせることで加点につながる場合もあります。
ケース問題の頻出問題2
問題
都心の満員電車を改善する方法を考えてください。
解答例と思考プロセス
こちらの問題についてもまずは解き方の大方針を考えた上で、回答に取り掛かるようにしましょう。また何を持って改善と言えるのか等も含めて問題のポイントとなります。 今回は、以下のフローで問題を解いていきます。
- 問題の理解と現状の把握
- 改善案の検討
- 各改善案の影響を推定
このような問題で重要なことは数値の正確性ではなく、解き方のプロセスや論理展開です。正しい数に固執しすぎないように注意しましょう。
1.問題の理解と現状の把握
まず都心の満員電車とは具体的に何を指すのか定義します。ピーク時間における乗車率が非常に高い電車を指すとしましょう。これは通勤通学の時間帯に特に顕著になる問題です。
次に、フェルミ推定を使って現状を定量化します。たとえば、特定の路線のピーク時の乗車人数、電車の定員、運行頻度などからピーク時の現状を推定します。 ピーク時間の利用者数=首都圏人口×通勤・通学者の割合×鉄道利用比率 混雑率=利用者数/定員数
式が算出できたら後は数字を入れるだけとなります。
2.改善案の検討
問題を明確にした上で、その解決策を決めていきます。都心の満員電車問題を解決するための一般的なアプローチは、「供給側の改善」「需要側の調整」「効率化」の3つに大別できます。
供給側の改善 | 電車の運行本数を増やす、大容量の車両を導入する、新たな路線を開設する、など |
需要側の調整 | フレックスタイム制度やテレワークの推進により、ピーク時の需要を分散する |
効率化 | 乗車組織化(例えば、ホーム上での乗車位置指定)、駅の出入り口やホームの改善などにより、電車の利用効率を上げる。 |
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3.各改善案の影響を推定
フェルミ推定を用いて、各改善案が満員電車問題にどれほど影響を与えるかを定量的に推定します。たとえば、「電車の運行本数を10%増やすと、ピーク時の乗車率は何%減少するか?」といった問いに答える形です。
減点に繋がる落とし穴について
このような問題では数の正しさはほとんど重要ではありません。フェルミ推定に時間をかけるあまり、改善案の検討が十分にできないと減点につながる可能性があります。 数の正しさを追求するのであれば、改善案の検討が網羅的にできているのかどうか、アプローチは論理的となっているかどうか等について、より時間をかけて検討した方が面接を突破できる可能性が高くなります。
ケース面接で高い評価を得るために
ケース面接については書籍等を通して多くの問題を解くことで、その考え方や論理展開のコツをつかむことができます。問題に関する書籍はいくつも出版されていますので、それらを利用してケース問題に慣れていくことをお勧めします。
また、ケース問題の対策をする上で注意したいことは解き方を暗記するのではなく、「考え方や論理展開の仕方に慣れる」ということです。解き方を暗記してしまうと、実際の面接の場で柔軟な議論ができず、表面的な浅い解答になってしまう場合があります。
ケース面接は実際のプロジェクトで必要な「論理的思考力」や「コミュニケーション能力」を見るための手法です。この本質を意識してケース問題の対策をすることが重要になります。 また、日常生活の中でも自分でテーマを見つけて、常に自分の頭で問題を解いてみるという癖をつけることもおすすめします。多くの問題に触れてケース面接に必要な思考パターンに慣れることで、面接だけでなく実際にコンサルタントになった後にも活かすことが可能です。
MyVisionのエージェントと対策を行う
またコンサルティング転職に特化した転職エージェントを活用することで、ケース面接の対策を効果的に行うことができます。コンサル特化のエージェントの中には、ケース面接の対策までサポートしているエージェントもあり、そうしたエージェントを活用することで過去の出題問題の傾向や解き方を学ぶことができます。 弊社MyVisionでも戦略ファーム出身のメンバーを中心に、これまで数多くの方のケース面接対策まで含めた転職支援を行ってきました。 もしケース面接に不安を感じている方がいらっしゃいましたらお気軽にご相談ください。 ファーム毎の傾向や、最近のトレンド等含めてサポートさせていただきます。
MyVisionのエージェントに対する口コミ
非常に手厚いサポートをしていただき、成長を実感できた
S・Kさん / 28歳 男性 / 慶應義塾大学 当初より期待していたケース面接対策でしたが、非常に手厚くサポートしていただきました。特にケース問題へのアドバイスが非常に具体的で分かりやすかったので、回数を重ねるごとに改善していっていることを実感できました。 また、フィードバックの伝え方もとても分かりやすかったです。面接官が着目している箇所や採用したい人物像などから逆算して説明してもらえたことで納得感がありました。このため、実際の面接でも自信を持ってアピールポイントを伝えることができました。
丁寧なサポートのおかげで高いモチベーションを維持できた。
I・Kさん / 31歳 男性 / 早稲田大学 最初はケース面接が全くできなかったので、イロハからすべて教えていただきました。駐在期間ということもあり、夜分遅くに対応していただいたことも何度かありましたが、毎回丁寧に対応していただいたことに非常に感謝しています。心強いサポートのおかげもあり、高いモチベーションを維持したまま転職活動を終えることができました。
前日深夜まで対応をしてもらい、自信を持って本番に臨めた。
K・Uさん / 25歳 男性 / 大阪大学 候補者にとても寄り添ってくれるエージェントだなと思いました。印象的だったのは第一志望にしていたファームの第二新卒の選考会のことです。前日深夜までケース面接の対策をしていただき、本当に助かりました。当日も自信を持って臨めたのは、担当してくださったエージェントのサポートあってこそだと思います。
まとめ
今回はコンサルティングファーム特有のケース面接について解説しました。 ケース面接と聞くと苦手意識を持つ方もいらっしゃいますが、他の一般的な面接と同様に、評価観点やよくある失敗を抑えることで十分に対策が可能です。 弊社MyVisionではケース面接対策についてもしっかりとサポートさせていただいており、業界未経験からのコンサル転職を数多く支援しています。コンサル転職に興味のある方はぜひ気軽にご相談ください。