ITコンサルのキャリアパスとは 長期的なキャリアを徹底解説
2024年06月24日更新
ITコンサルタントは実務経験や知識が市場で高く評価されることから、転職や独立など、様々なキャリアパスを選択できます。もちろん、社内で昇進して役員を目指していくことも可能です。
今回は、ITコンサルタントになってからのキャリアパスについてご紹介いたします。ITコンサルの転職に興味はあるが将来のキャリアが不安だという方や、現在ITコンサルタントでこの先のキャリアに悩まれている方には、是非お読みいただきたい内容となっています。
監修者
永井 一聡
Nagai Kazutoshi
横浜国立大学卒業後、みずほ総研(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)やアクセンチュアで人事及びIT領域のコンサルティング業務に従事。自身の経験を生かしたIT/人事コンサル転職を得意とする。またコーチング経験も豊富に積んでおり、長期的なキャリア支援を提供可能。
プロフィール詳細を見る
目次
全部見る
ITコンサルのキャリアについて
主にこの記事では、以下の7つのキャリアについて解説します。ITコンサルへの転職を目指す方は、ぜひ参考にしてください。
- ITコンサルファームの中で昇進
- 競合のITコンサルへタイトルアップ転職
- ビジネスコンサルや戦略コンサルへキャリアチェンジ
- 事業会社の情報システム部門への転職
- 監査法人のアドバイザリーへのキャリアチェンジ
- SIerのコンサル部門への転職
- フリーランスとして独立
ITコンサルファームの中で昇進
まず所属企業内でキャリアアップを図る選択肢が挙げられます。経験が浅いうちは、アナリストやコンサルタントとして、デリバリ(システム導入に関わる一連の作業)を担当するケースがほとんどです。 しかし、5〜7年程度の経験を積めば、マネージャー職へのステップアップが可能です。マネージャーになると、クライアントとの交渉やプロジェクトマネジメント、新規案件の獲得、新ソリューション・サービスの開発、社内の人材育成など、担当する役割の幅が広がります。難易度が高いですが、その分やりがいもあります。
かつては、マネージャーへの昇進には厳しめの条件が設けられるのが一般的でしたが、昨今では人材不足から条件が緩和されているファームも出てきており、チャンスは広がっています。その一方で、マネージャに昇進してから任される役割は今も昔も変わらないので、成長と成果に対する高いコミットメントは必須です。
さらに所属企業内でキャリアを伸ばす場合、パートナー(共同経営者)を目指す道もあります。役員として業務へ携わるため、以下の通り、組織管理や営業を一手に担います。
・経営における意思決定への関与 ・プロジェクト運営に関する最終的責任者 ・知財開発・人材の採用・教育・評価等、内部管理における主導的役割 ・顧客開拓とリレーション構築 ・オフィスマネジメント業務
役員としてのポジションを担うからには年収も2,000〜3,000万円以上と高いレンジを狙うことができます。その分高い成果と能力が求められ、ポストも限られていることから、難易度は非常に高いですが「業界の第一人者を目指したい」方や「経営層として組織を引っ張っていきたい」という方には、お勧めします。
競合のITコンサルへタイトルアップ転職
次に、競合他社へのタイトルアップ転職が考えられます。コンサル業界は実力主義・成果主義と言われますが、他社から見て個人の成果や能力が十分であったとしても、ポストや評価者との相性、会社の方針(例: 会計知識に専門性があるが、会社としては製造プロセスの専門性の方が高く評価される)など、様々な外部要因でタイトルアップが叶わないケースが散見されます。
その場合、コンサルタントとしての担当領域そのままで、競合他社へタイトルを上げて転職するという選択肢が挙げられます。場合によっては社内で昇進するよりも手っ取り早く年収を上げれたり、より責任のある仕事を任せられるというメリットがあります。
その一方で、新しい組織に移る以上は、どうしてもスキルやキャリア志向のミスマッチは起こり得ることに加え、相性の悪い評価者に当たる可能性もゼロであるとは言えません。社内の人間関係もまた一から構築していく必要性も出てきます。基本的には同じ会社で正統に評価されてタイトルアップを狙っていくことが望ましいですが、こういった選択肢もあることを念頭に置いていただければと思います。
あなたもコンサルタントとして
働きませんか?
コンサルタントへの転職をお考えの方は、
是非MyVisionにご相談ください。
ファームとのコネクションを活かし、
あなたの理想の転職が実現するよう転職先の紹介から面接対策に至るまで、
徹底的にサポートいたします。
ビジネスコンサルや戦略コンサルへキャリアチェンジ
ビジネス・戦略コンサルへのキャリアチェンジという選択肢が挙げられます。ITコンサルタントも、コンサルテーションスキルや高度な経営・業務知識を要することから、その経験は転職市場でも高く評価されます。特に20代の若手でITコンサルタントとして最低2年以上の経験があれば、基本的なコンサルティングスキルとクライアント業務に関わる専門知識を有していると評価され、より上流のビジネス・戦略コンサルタントへ転換できる可能性があります。
ただし、大手の総合系コンサルティングファームでは、若手をSAPなどのシステム導入コンサルタントとして採用するため、意図的にインダストリー軸のポジションでオファーを出したり、若手プール枠で採用する傾向があります。その場合、最終的にはシステム導入のプロジェクトに配属する意図があるので注意が必要です。こういった事態を避けるためにも、ITコンサルタントが他分野のコンサルタントへのキャリアチェンジを狙う場合は、戦略系ファームやブティックファームを中心に選考を受けたり、総合系ファームの場合も他のサービスライン(戦略・デジタルなど)で転職活動をすることをおすすめします。
また、ITコンサルタントとビジネス・戦略コンサルタントは同じコンサルタントとは言え、求められる素養やスキルセットは異なり、一般的には後者の方が難易度が高いと言われています。したがって、採用されたとしても「未経験扱い」となり、年収やタイトルが下がることがほとんどです。その分、より企業経営に近いコンサルティングの実現や、高い能力を身に着けることが可能です。ITに囚われない、より高度なコンサルティング業務に携わりたい方は、ぜひチャレンジしてみてください。
事業会社の情報システム部門への転職
ITコンサルの経験があると、事業会社の情報システム部門で好待遇で採用される可能性が高くなります。事業会社側も、ITコンサルとしての経験値を求めているため、運用保守要員というよりは、システムグランドデザイン検討やベンダ・製品選定、IT投資計画策定といった、IT戦略・企画寄りの役割が期待されます。人によっては、「ITコンサルで働いている頃よりもITコンサルっぽい仕事をしている」といった方もいらっしゃいます。将来的にCIOを目指すことや、経営企画や事業企画など経営とITの知見を活かせる他部門で活躍することもできます。また、ITコンサルよりも稼働が下がるので、より長く落ち着いて働くことができます。
一方で、年収がダウンしたり、部門間での調整や社内事務手続きなどの現場業務を担う必要もあるため、これらの点を受け入れる必要はあります。「ITコンサルの働き方には疲れたけれども、ITの経験を活かして企業経営に貢献したい」「事業会社の立場で企業の成長に貢献したい」という志向の方には、大変魅力的な選択肢と言えます。
情報システム部門のキャリアについてはこちらの記事で詳細に解説しています。ご関心のある方は是非ご一読くさい。
監査法人のアドバイザリーへのキャリアチェンジ
ITコンサルタントの経験があれば、監査法人のアドバイザリーへのキャリアチェンジも可能です。ITコンサルがシステム戦略や導入など「攻めのコンサル」を担うのに対し、アドバイザリーは、内部統制やシステム監査、情報セキュリティ、ITプロジェクト監査など「守りのコンサル」を担います。
もともとは公認会計士の会計監査から派生して生まれたサービスであるため、会計領域がテーマになることが多く、情シスやビジネス部門(特に経理部門)の作業支援を担うケースもあります。システム導入の経験は必須なのでITコンサルタントからスライドしやすく、稼働もITコンサルより低くなりがちなので、長く落ち着いて働くことができると一般的には言われています。その一方、内部統制やリスク管理を扱う以上、クライアント企業のビジネスに与えるインパクトは大きいので、見方によってはITコンサルよりも責任が重いと言えます。「ITコンサルの働き方には疲れたけれども、コンサルのような仕事は続けたい」「クライアント企業に守りの役割で貢献したい」といった方には最適な選択肢のひとつとなりますので、是非ご検討ください。
SIerのコンサル部門への転職
ITコンサル経験者は、SIerのコンサル部門も選択肢の1つとなり得ます。昨今では、SIer各社(NTTデータ、富士通、日立製作所など)もコンサルティング部門を立ち上げ、システム戦略や構想策定といった上流案件の受注獲得に注力しています。これをきっかけに、システム導入・運用保守までワンストップで受注に繋げるのが目的となります。そのようなSIer各社は、組織を引っ張るポジションを担ってもらうという意図で、ITコンサル経験者を即戦力として採用しています。仕事内容はITコンサルと変わりませんが、「自分の経験や能力を、組織に提供することで貢献したい」「これから組織を引っ張っていきたい」「日系事業会社の文化の方が合うけど、ITコンサルの仕事を続けたい」といった志向をお持ちの方には打ってつけの選択肢となります。
あなたもコンサルタントとして
働きませんか?
コンサルタントへの転職をお考えの方は、
是非MyVisionにご相談ください。
ファームとのコネクションを活かし、
あなたの理想の転職が実現するよう転職先の紹介から面接対策に至るまで、
徹底的にサポートいたします。
フリーランスとして独立
ITコンサルの経験があればフリーランスとして独立することも可能です。企業に所属している頃よりも高年収を狙うことができます。中には収入が2、3倍になるケースも見られます。独立前に所属していたファームの社格やタイトル、プロジェクト経験にもよりますが、5年程度のコンサルタント経験があれば、月単価120〜180万円が狙えます。特定製品・領域の高い専門知識を有している、もしくはマネージャー以上のポジションを担うことができれば、月単価200、300万超えも十分可能です。また、週3勤務や年間で半年のみ勤務などワークライフバランス重視で自分のペースで働いたり、フリーランスコンサルの報酬を元手に新たなビジネスを立ち上げて投資したりと、様々な働き方ができることから、大変魅力的な選択肢の1つとなっています。
参考:フリーランスになるには?7つの準備や手続きと活躍するコツ|エンジニアファクトリー フリーランスのITコンサル案件例と単価相場について詳しくみる
ITコンサルタントとして理想のキャリアを歩むために
ITコンサルの採用面接では、コンサルタントとしての適性やポテンシャル、これまでの経験が厳しく問われます。それを経て採用されるということは、少なくともITコンサルタントとしての素養があり、十分に活躍できると評価されたということです。
しかし、実際に働いてみないと分からないことや、仕事をしていく中で新たな興味関心が生まれることもあり、キャリアプランが変わることは十分にあり得ます。実際に、以下のようなケースもよく耳にします。
- 「日系企業の文化の方が合っていた」
- 「SAP一筋のつもりだったけど、RPAやAIにも挑戦したい」
- 「ずっと会社員としてやっていくつもりだったけど、独立したくなった」
- 「上流工程を担当したいと思っていたけど、テクノロジースペシャリストの方が力を発揮できる」
- 「戦略・ビジネスコンサルへの足掛かりと考えていたけど、やはりITコンサルの方が性に合っている」
理想のキャリアを歩むためには、決して周りに流されることなく、働きながらも常に「自分のやりたいこと」「自分ができること」「市場が求めること」を考え抜き、その都度適切なキャリアを選択することが重要です。そのためにも、日々の実務に対しては、「継続的に成果を出す」「積極的に挑戦する」「自己研鑽に励む」といった姿勢を大切にする必要があります。
まとめ
ITコンサルタントは、そのスキルや経験が高く評価されることから、キャリアパスは多岐に渡ります。コンサルタントとしてのキャリアアップのみならず、事業会社のIT企画や、フリーランスとしての独立起業など、様々な選択肢を取ることができる上に、どのキャリアパスも好待遇・高年収が見込めます。ある意味ITコンサルの経験は「プラチナチケット」とも言えます。弊社では、ITコンサルタントへの転職をお考えの方のみならず、現在ITコンサルタントで今後のキャリアに悩まれている方につきましても、相談に応じております。ぜひ気軽にご相談ください。