事業再生コンサルとは?業務内容、求められるスキルとあわせて、未経験から転職するためのポイントを解説
2025年05月15日更新
事業再生コンサルタントは、経営危機に瀕した企業を再建へと導く専門家です。この記事では、財務・事業分析から計画策定、金融機関交渉、実行支援、モニタリングといった具体的な業務内容を5つのステップで解説します。
さらに、事業再生コンサルに求められるスキル、他のコンサル業務との違い、そして未経験からこの難易度の高い分野へ転職するためのポイントや主要企業、年収まで、幅広くご紹介します。ぜひ参考にしてください。
目次
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事業再生コンサルタントとは?業務内容、案件事例、主要な企業を解説
経営危機に陥った企業を再建する事業再生コンサルティングです。
ここでは、事業再生を成功に導くための主要な5つのステップ(現状分析、計画策定、金融機関交渉、実行支援、モニタリング)を具体的に解説します。
さらに、他のコンサル業務との違いや、代表的なコンサル企業も紹介します。
事業再生コンサルの業務内容
事業再生は、経営危機に陥った企業を再建するための重要なプロセスです。
ここでは、その成功に不可欠な主要5ステップを解説します。
まず企業の現状を把握する「財務・事業状況の分析」、次に具体的な再建策を描く「事業再生計画の策定」、資金調達の鍵となる「金融機関との交渉」、計画を確実に遂行する「実行支援」、そして効果を確認し軌道修正する「モニタリング」です。
これら一連の流れを解説します。
財務・事業状況の分析
事業再生を進める上で、まず最初に取り組むべき重要なステップは、対象企業の財務状況と事業内容を徹底的に分析することです。
これは、企業の現状を正確に把握するための「健康診断」のようなものであり、効果的な再生計画を立案するための基礎となります。
具体的には、主に収益性、キャッシュフロー、負債状況という3つの側面を中心に分析を進めます。
まず、収益性の分析では、損益計算書等から収益性指標の推移を分析し、収益貢献事業と不採算部門を特定します。
コスト構造を精査し、非効率な点や収益悪化の根本原因(販売不振、コスト増等)を突き止めます。
次に、キャッシュフローの分析として、キャッシュフロー計算書等で現金の流れ、特に本業による創出能力(営業キャッシュフロー)を把握します。
資金繰り状況や短期的な支払い能力、資金ショートリスクを評価し、運転資金管理の適切性も検証します。
そして、負債状況の分析では、貸借対照表から借入総額や条件、担保状況を把握し、財務健全性指標で過剰負債や財務基盤の脆弱性を評価します。キャッシュフローに対する返済負担の過大性も確認します。
このように多角的な分析を通じて、対象企業が抱える本質的な経営課題、例えば不採算事業からの撤退、コスト削減などを洗い出します。
事業再生計画の策定
現状分析や課題分析を通じて特定された、収益性の低迷、過剰な負債、キャッシュフローの悪化、非効率な業務プロセス、市場環境の変化への対応遅れといった問題点の根本原因を深掘りし、それを解消するための具体的な解決策を立案することが計画策定の中心です。
策定される具体的な施策は多岐にわたります。
財務面では金融機関との借入金返済条件変更交渉、新たな資金調達、遊休資産や不採算事業の売却、運転資金の効率化などが検討され、コスト面では固定費・変動費双方にわたる経費の全面的な見直し、人員配置の最適化、調達コストの削減などが含まれます。
そして、「誰が」「いつまでに」「何を」「どのように」実行するのかという具体的な行動レベルまで詳細に落とし込み、曖昧さを排除したアクションプランを作成します。
金融機関との交渉
金融機関との交渉は、単なるお願いや相談ではなく、企業の存続を賭けた、極めて高度で専門的なものとなります。
具体的な交渉内容としては、まず、再生計画の実行に必要な運転資金や設備投資資金について、金融機関に追加融資を要請します。
この際、金融機関は融資の回収可能性を厳しく審査するため、再生計画の実現可能性、具体的なアクションプラン、収益見通し、そして確実な返済計画を、データに基づき論理的に説明する必要があります。
現在のキャッシュフローでは返済が困難な場合に、元金の返済猶予や返済期間の延長などを要請する、既存借入金の返済条件変更交渉も重要な業務です。
これには、企業の財務状況を正確に開示した上で、実現可能な返済計画を提示し、合意形成を図ることが求められます。
また、策定した事業再生計画の内容、例えば事業リストラ、コスト削減策、資産売却、収益改善策といった取り組みと、それらに基づく数値計画、実行スケジュールなどを金融機関へ詳細に説明し、その理解と納得を得て計画に対する支援の同意を取り付けるプロセスも不可欠です。
金融機関からの厳しい質問や懸念に対し、的確に回答し、不安を解消していくことが重要となります。
実行支援
事業再生支援者の業務は、単に再生のための計画を策定する段階に限定されるものではありません。
むしろ、策定された計画が絵に描いた餅とならず、確実に実行され、企業の再生に結びつくよう支援すること、すなわち「実行支援」こそが、非常に重要な業務範囲となります。
- 施策の具体化と現場への導入: 計画に盛り込まれた施策を、現場の状況に合わせて具体的な行動計画や手順にまで落とし込み、導入を支援します。
- 進捗管理と課題解決: 各施策の進捗状況を定期的に確認し、計画通りに進んでいない場合には、その原因を特定し、解決策を共に考え、実行します。予期せぬ問題や現場からの抵抗に直面することもあり得ますが、それらを乗り越えるための支援も行います。
- コミュニケーションと意識改革: 計画の意図や目的を経営陣から現場の従業員まで丁寧に説明し、理解と協力を得られるように働きかけます。
- 体制構築と仕組み化: 実行された施策が一時的なものに終わらず、将来にわたって継続されるように、業務プロセスや組織体制の見直し、必要な管理指標の設定と運用の定着を支援します。
このように、事業再生における実行支援は、計画という設計図を基に、実際に企業という建物を再構築していくプロセスに他なりません。
モニタリング
モニタリングは、策定された事業再生計画の達成に向けた極めて重要な活動です。
計画を立案し、それに基づいた施策を実行するだけでなく、その実行状況や効果を継続的に監視し、必要に応じて軌道修正を行うことが成功の鍵となります。
具体的には、立案された計画に照らして、現在実行中の各種施策が予定通りに進捗しているか、そして期待される効果、例えば売上高の増加、利益率の改善、キャッシュフローの安定化、コスト削減などが実現できているかを定期的に確認します。
もし、このモニタリングの過程で計画と実績の間に差異、特に計画達成を危うくするような遅延や未達が明らかになった場合には、迅速な対応が不可欠です。
なぜ計画通りに進んでいないのか、その根本原因を市場の変化のような外的要因なのか、あるいは実行体制の問題や施策自体の効果不足といった内的要因なのかを深掘りして分析します。
その原因分析の結果に基づき、現状の施策を強化するための改善策を講じたり、計画達成のために新たな追加施策、例えば特定の部門へのリソース集中や新しい販売促進策の導入などを立案し、実行に移したりします。
場合によっては、目標数値の修正や戦略の方向転換を含め、事業再生計画そのものを見直すことも検討されます。
このように、モニタリングは単に進捗を眺めるだけでなく、計画と現実とのギャップを早期に発見・対応を行うためのプロセスです。
他のコンサル業務(戦略・業務改善など)との違い
事業再生コンサルティングが他のコンサルティングとの違いは、支援対象となる企業の置かれている状況にあります。
事業再生コンサルティングは、その名の通り、「事業や企業の状況が良くない」、経営課題を抱える企業からの依頼を受けて支援が始まることが一般的です。
この前提条件の違いが、業務内容や求められるスキル、そして難易度に大きな影響を与えます。
例えば、戦略コンサルティングや業務改善コンサルティングは、比較的経営体力のある企業に、更なる成長や効率化を目指す支援を行うことが多いです。それに対し、事業再生コンサルティングでは、企業の将来が不透明なケースも多く見られます。
そのため、事業再生の現場では、戦略コンサルティング等が関与する案件と比較して、資金、時間、人材といった「経営資源が枯渇している」ことが一般的です。
限られたリソースの中で、より緊急性が高く、痛みを伴う可能性のある施策に取り組む必要があります。
これらの要因から、多岐にわたる専門知識と、関係者との複雑な調整能力、そして精神的なタフさが求められ、「戦略コンサルよりも難易度が高い」と言われることがあります。
一方で、その困難さに見合うだけの大きな魅力も存在します。危機的な状況にある企業を、自らの手で分析し、計画を立て、実行を支援することで、倒産の危機から救い、再生へと導くことができた際の達成感・やりがいは大きいです。
事業再生コンサルタントの主な企業
事業再生コンサルを展開している主な企業を紹介します。
企業名 | 主な業務内容 |
---|---|
山田コンサルティング | 中堅・中小企業から大企業まで幅広い規模のクライアントに対し、財務・事業デューデリジェンス、再生計画策定支援、金融機関交渉支援、スポンサー選定支援、実行支援(モニタリング、経営改善、役員派遣等)を提供 |
アリックスパートナーズ | 主に大企業やグローバル企業を対象とした、複雑な事業再生・ターンアラウンド案件に強み。 |
経営共創基盤 | 「戦略」「財務」「業務」「組織」の各側面から、ハンズオン型(常駐、役職員派遣等)での事業再生支援を提供。大企業、中堅企業を中心に、再生計画策定から実行支援、成長戦略の実現までを一貫してサポート。 |
フロンティア・マネジメント | 財務アドバイザリー(資金調達支援、金融機関交渉)、経営コンサルティング(事業計画策定、業務改善)、再生M&Aアドバイザリーを統合的に提供。 |
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事業再生コンサルの年収
『東洋経済新聞社|業界地図』の業界別平均年収ランキングによると、全業界の平均年収は662万円であるのに対し、コンサルティング業界は1,249万円と、平均を大きく上回っています。
事業再生の助言業務は、経営不振に陥った企業の再生を支援するという、極めて専門性が高く、かつ責任の重い仕事です。そのため、報酬水準も比較的高く設定される傾向にあります。
経験や役職、勤務先の規模などによって差はありますが、事業再生の助言業務においては、年収1,000万円を超えることは十分に可能です。
財務諸表を分析し問題の本質を見抜く高度な財務分析能力や将来予測の力、事業再編などを含む再生計画を策定し関係者を巻き込み実行する経営戦略の立案・実行能力が身につき、高い市場価値を得ることもできるでしょう。
年収の例として、先ほど挙げた企業の年収を載せます。
企業名 | 年収の例 |
---|---|
山田コンサルティング | 656万円 |
アリックスパートナーズ | 1048万円 |
経営共創基盤 | 1070万円 |
フロンティア・マネジメント | 1052万円 |
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参考:オープンワーク
事業再生コンサルタントに求められるスキル
事業再生コンサルタントが困難な状況にある企業を再建し、持続的な成長軌道に乗せるためには、多岐にわたる専門的なスキルが求められます。
その中でも特に重要となる、財務状況を正確に把握する力、将来を見据えた戦略を立てる力、計画を現場で実行に移す力、そして多様な関係者と円滑に連携する力。この4つの能力について解説します。
財務デューデリジェンススキル
事業再生コンサルタントにとって、財務デューデリジェンス、すなわち財務精査に関するスキルは重要です。
困難な状況にある企業の財務状況を正確に把握し、問題の根本原因を特定するために不可欠です。
表面的な数字だけではなく、貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書といった財務諸表を深く読み解くことで、隠れた負債や不採算事業、資金繰りの逼迫度合いなどを明らかにすることが可能となります。
財務データを客観的に分析し、過剰な借入、売上不振、コスト構造の問題など、根本的な原因を突き止めることが求められます。このようにして得られた分析結果は、実現可能で効果的な事業再生計画を立案するための基礎情報となります。
どの事業をリストラし、どの資産を売却し、どの程度の資金調達が必要かといった具体的な戦略は、この正確な財務分析なしには成り立ちません。
経営戦略立案能力
事業を再生させるためには財務分析と合わせ、その事業が将来にわたって持続的に成長していくための経営戦略を立案する能力が必須となります。
単にコスト削減や資金繰り改善といった対症療法を行うだけでなく、事業が「どの市場で」「どのような価値を提供し」「どのように収益を上げていくのか」という、事業の根幹に関わる方向性を定め、具体的な計画に落とし込む必要があるのです。
そのためには、業界や市場の動向を深く理解し、クライアント企業を取り巻く外部環境の変化を的確に捉えることが求められます。
そして、その分析結果に基づき、クライアント事業が市場の中で今後どのように自らを位置づけ、競争優位性を確立していくべきか、といった具体的な戦略を設計するスキルが必要です。
オペレーション改善力
策定された戦略や計画を具体的な行動に移し、現場レベルで実行していくための「オペレーション改善力」も重要です。
財務分析に基づき特定された課題や、策定された経営戦略を実行に移す段階で、オペレーション改善の手腕が問われます。
これには、業務プロセスの見直しと効率化、人員配置の適正化、品質管理体制の強化などを具体的な行動計画に落とし込み、現場を動かして成果を出す実行力が求められます。
コミュニケーション能力
事業再生コンサルタントにとってコミュニケーション能力は、業務を遂行する上で極めて重要な基盤となります。
単に情報を正確に伝えるという基本的な側面だけでなく、複雑に絡み合った利害関係を調整し、困難な状況にある企業を再生へと導くための高度な対人能力を意味します。
再生プロセスでは、経営者、従業員、金融機関、株主、取引先など、実に多様なステークホルダーとの関わりが発生します。
コンサルタントは、これら全ての関係者と適切に連携し、それぞれの立場や関心事を深く理解した上で、円滑な意思疎通を図り、信頼関係を構築していく必要があります。
そして、特に重要となるのが金融機関との関係です。多くの場合、金融支援の取り付けが再生の成否を分けるため、コンサルタントには卓越した交渉力が不可欠。
金融機関の担当者が何を懸念し、どのような論理で判断するのか、その立場や意図を的確に理解することが大切です。
事業再生コンサルに向いている人の特徴
企業の存続に関わる事業再生コンサルタント。その過酷な業務には、専門知識だけでない資質が求められます。事業再生コンサル成功に不可欠な「体力」「精神力」「情熱」「向上心」という4つの重要性を解説します。
体力に自信がある
事業再生コンサルティングは特に過酷な労働環境となることが多い分野です。
なぜなら、事業再生コンサルタントが対峙するのは、多くの場合、経営危機に瀕し、残された時間が極めて限られている企業だからです。
このような切迫した状況下では、一般的なコンサルティング業務と比較しても、より短期間で集中的に膨大な作業量をこなす必要に迫られます。
資金繰りの問題解決といった一刻を争う緊急性の高い課題への対応、財務や事業、法務、人事など多岐にわたる複雑な問題を同時に解決していく必要性があるため、必然的に労働時間は長くなる傾向にあります。
逆境でもがんばれる精神力がある
事業再生の現場は、企業が存続の危機に直面している極めて困難な状況であり、深刻な資金繰りの問題、業績の悪化、債権者からの圧力、従業員の不安といった多くの難題が山積しています。
コンサルタントは、このような危機的状況下で、限られた時間内に再生計画を策定し実行するという、企業の再建と関係者の将来に大きく関わる責任を担います。
そのため、計画通りに進まない事態や予期せぬトラブルも頻繁に発生し、精神的なプレッシャーやストレスは避けられません。
このような環境においては、単にストレスに耐えるだけでなく、むしろ厳しい逆境だからこそ意欲を燃やし、困難な課題に立ち向かうことに意義を見いだせるような、強靭な精神力を持つことが極めて重要になります。
人助けへの情熱がある
事業再生の支援を求める企業は、資金繰りの悪化や債務超過、倒産の危機といった、極めて深刻な経営困難に直面しているのが通常です。
これは単なる業績不振を超えた、企業の存続そのものが脅かされる事態であり、クライアントは専門家の支援、すなわち「助け」を心から求めているのです。
こうした厳しい状況にあるクライアントを前にして、事業再生コンサルタントには、自身の持つ専門知識やスキルを駆使して、この窮地から企業を救い出し、関係者を助けたいという強い意志と情熱が求められます。
向上心が高い
事業再生の分野では、常に状況が変化します。
市場の動向は絶えず移り変わり、関連する法律や制度も改正されることがあります。また、技術革新や社会情勢の変化なども、企業が置かれる状況に大きな影響を与えます。
このような変化の激しい環境の中で、事業再生コンサルタントは、その時々で最も有効な戦略や施策をクライアント企業に提案しなくてはなりません。過去の成功事例や知識だけにとらわれていては、的確なアドバイスはできません。
そのためには、経済ニュース、業界の最新動向、法改正の情報、新しい経営手法など、幅広い情報を日々収集し、知識を更新し続ける必要があります。
この継続的な情報収集と学習に対して意欲的に、そして前向きに取り組める人が、事業再生コンサルに必要な要素でしょう。
事業再生コンサルに転職するためのポイント
事業再生コンサルは、経営危機にある企業を救うやりがいのある仕事ですが、転職のハードルは非常に高いです。ここでは、事業再生コンサルへの転職成功に欠かせない「志望動機の明確化」「スキル・経験のアピール」「ケース面接対策」の3つのポイントを解説します。
志望動機を明確にする
事業再生コンサルティングへの転職を目指す上で、志望動機を明確にすることは極めて重要な要素となります。
まず、「なぜ事業再生コンサルティングという分野なのか」、そして「その中でも、なぜ特定の応募先企業を選んだのか」という問いに対して、具体的かつ説得力のある答えを持つことが不可欠です。
事業再生は、経営危機という困難な状況にある企業を対象とし、再建を目指す影響力の大きな仕事です。
そのため、単に社会貢献への意欲を示すだけでなく、自身のこれまでの経験や培ってきた能力、そして個人の価値観が、どのようにこの分野への挑戦や貢献に結びつくのかを明確に説明する必要があります。
- なぜ他の企業ではなく、応募先の企業でなければならないのか
- 自身のキャリアプランはなにか
- 事業再生コンサルになって、どうしたいのか
これらを具体的に示すことが、入社への熱意と本気度を伝える上で欠かせません。
次に、事業再生コンサルティングの業務は、精神的にも肉体的にも非常に厳しい仕事です。
その現実を理解し、それに対する覚悟と、それを乗り越えるだけの確固たる動機を持っていることを示す必要があります。
面接の場では、応募者がこのような厳しい環境下でも職務を遂行し続けられるだけの精神的な強さ、すなわち「耐性」を持っているかどうかが注意深く見極められます。
- なぜ困難を承知で、事業再生コンサルの仕事に挑戦したいのか
- 目の前の困難から逃げ出さないか
- 何が自分を突き動かすのか
こういったことを自分自身に問いかけ、確固たる志望動機を明確にしましょう。
自身の活かせるスキル・経験をアピールする
事業再生コンサルへの転職を成功させるには、自身の活かせる能力や経験を効果的にアピールすることが不可欠です。
この職務は財務分析から経営戦略の立案・実行支援まで、非常に広範かつ高度な専門性が求められるため、面接官に「実務で活躍してくれそうだ」と具体的に期待させるような伝え方が鍵となります。
まず、事業再生コンサルに求められる、財務・会計知識、戦略的思考力、交渉力などを理解した上で、ご自身の職務経歴を丁寧に振り返り、棚卸しすることです。
その中から、事業再生の業務内容と関連性の高い自身の強みや具体的な経験を客観的に特定することが、アピールの出発点となります。
次に、特定した能力や経験をアピールする際には、単に能力名を挙げるのではなく、具体的なエピソードを伴って説明することが説得力を高めます。
- どのような状況で、自身が何を考えたのか
- どのように行動し、結果としてどのような成果を上げたのか
- それらの経験から何を学び、何を得たのか
これらを明確に語ることで、アピールに深みが増します。
ケース面接対策を入念に行う
事業再生コンサルへの転職において、ケース面接対策は極めて重要です。
コンサルティングファームが候補者の論理的思考力や問題解決能力といった、事業再生の現場で不可欠な資質を評価するために、多くの場合ケース面接を実施するためです。
たとえ豊富な実務経験や専門知識があったとしても、ケース面接特有の形式に慣れていなければ、その能力を効果的に示すことは困難です。
面接では、答えそのものよりも、課題をどのように分析し、解決策を導き出すかという「思考プロセス」が重視されます。
ケース面接の一般的な流れを理解しましょう。
- 課題の提示
- 問題の構造化と分析
- 解決策の提案
- 質疑応答
これらを理解し、その上で、対策本や模擬面接などを通じて、数多くのケース問題に取り組む練習が不可欠です。
思考の枠組み(フレームワーク)を学びつつもそれに固執せず、自身の考えを明確に言語化する訓練や、計算・推定能力の向上も求められます。
ケース面接対策について、こちらでも解説しています。
未経験から事業再生コンサルを目指すには
未経験から専門性の高い事業再生コンサルを目指すのは容易ではありません。
しかし、資格取得で意欲と知識を示したり、関連性の高い業務で経験を積んだり、転職エージェントのサポートを活用したりすることで、その道を開くことは可能です。
ここでは、未経験者が転職成功するための具体的な方法を解説します。
事業再生コンサルに関連する資格を取得する
未経験から事業再生コンサルを目指す上で、関連資格の取得は有効です。
特に公認会計士や中小企業診断士といった資格は、事業再生に不可欠な財務・会計や経営全般の専門知識を客観的に証明し、業務との親和性が高いため、基礎知識があることを示せます。
資格取得は単なる知識の証明に留まらず、未経験者にとってはそれ以上の意味を持ちます。難関資格を取得するための努力は、その分野への強い熱意と、困難な課題にも粘り強く取り組む覚悟があることの明確な証拠となります。
採用担当者に対して、実務経験がないハンデを補う学習意欲やポテンシャルをアピールする材料となるでしょう。
財務や経営戦略立案に関連する業務に携われる会社を挟む
未経験から事業再生コンサルを目指すことは可能ですが、高度な専門性が求められるため難易度は高いです。そこで代替策として、いきなりコンサルを目指すのではなく、関連性の高い分野で実務経験を積む経路があります。
例えば、銀行や証券会社といった金融機関、あるいは一般事業会社の財務部門や経営企画部門などで、財務分析、企業評価、経営戦略の立案といった経験を積み、その後、コンサルを目指すルートです。
こうした関連分野で得た確かな実務経験と実績は、後に事業再生の専門家へ転職する際に大きな強みとなります。未経験で挑戦する場合と比較して有利に働く可能性が高いといえます。
転職エージェントを活用する
未経験から事業再生コンサルを目指す際、転職支援機関の活用は極めて有効です。
特に経験がない方にとって、専門性の高いこの分野の情報収集や、自身の経験をどうアピールすべきかといった課題を独力で乗り越えるのは困難です。
転職エージェントは、非公開求人を含む情報提供、客観的な自己分析の補助、そして事業再生特有の選考プロセスに対する戦略的な準備を支援してくれます。
具体的には、応募書類で潜在能力を効果的に示すための添削、志望動機や困難への対処法を問う面接への対策、論理的思考力が試される事例問題への取り組み方指導など、多岐にわたるサポートが受けられます。
これらの専門的な支援を通じて、未経験という立場からでも、採用担当者に自身の価値を的確に伝え、選考を突破できる確率が高まります。
MyVisionから事業再生コンサルへの転職事例
ここでは、実際にMyVisionの転職エージェントを活用し、事業再生コンサルへ転職した実例を紹介します。
外資系総合コンサル、事業再生系ファームへ
転職前は外資系の総合コンサルティングファームに勤務されており、年収は950万円でした。
転職を決意した理由は、前職の業務がクライアントの決定済み戦略に基づくサポートが中心で、自身が直接的に課題解決へ貢献している実感が持ちにくかったこと。
そして、より自分の力で企業の根本的な課題に向き合い、経営に困っている企業の事業再生や経営改善に直接関与して貢献したいという思いが強くなったためです。
転職活動においては、前職のプロジェクトが非常に多忙だったことにより、面接の日程を複数回変更せざるを得なかった点が大変だったと振り返っています。転職の結果、年収は1,050万円になりました。
メガバンクの法人営業から、再生系コンサルタントへ
東京大学卒業後、メガバンクの法人営業部で5年間勤務していました。転職前の年収は700万円でした。
転職を考えた主な理由は、旧職の年功序列的な文化や自身の成果が正当に評価されない環境への不満、そして銀行業務では融資が中心となり顧客への支援範囲が限定され、より根本的な課題解決に一貫して携われないことへの限界感でした。
コンサルティング業界、特に事業再生系を志望したのは、同僚の話から、金融知識だけでなく多様な視点を用いて顧客の課題解決に広く貢献できる点、自身の金融知識を活かしつつ企業の重要な意思決定に関与できる点、そして実力主義の環境で能力を正当に評価されスキルアップを目指せる点に魅力を感じたためです。
転職活動においては、準備期間がやや短かったこと(少なくとも3ヶ月前からの準備を推奨)と、異業種であるコンサルティング業界特有の知識やロジカルシンキング、結論ファーストといった思考法を基礎から身につける必要があったことが大変だった点として挙げられています。
未経験から事業再生コンサルへ転職するならMyVision
未経験から事業再生コンサルタントを目指すなら、MyVisionは有力な選択肢です。
MyVisionはコンサル転職に特化し、豊富な成功実績を持ちます。
元コンサルタントで構成されるスタッフの深い業界知識と実務経験に裏打ちされており、未経験者に対して事業再生の現場で求められるスキルやマインドセットについて、具体的で現実的なアドバイスを提供できます。
さらにMyVisionは、国内のほぼ全てのコンサルティングファームとの広範なネットワークを有しており、個々の希望や適性に合った多様な求人へのアクセスを可能にします。
特に重要なのが、元コンサルタントが実施する実践的な模擬面接です。これにより、ケース面接など特殊な選考プロセスに対する効果的な準備ができます。
まとめ
事業再生コンサルは、経営危機に瀕した企業の再建を導く専門家です。
その業務は、財務・事業分析による現状把握から始まり、具体的な再生計画の策定、金融機関との交渉による資金繰り支援、計画の実行支援、そして進捗管理と軌道修正を行うモニタリングまで多岐にわたります。
他のコンサルティングと異なり、資源が枯渇し時間的制約も厳しい危機的状況下の企業を対象とするため、難易度は高いと言われます。しかし、企業の存続に関わる重責を担い、企業再建を通じて得られる達成感ややりがいは非常に大きいでしょう。
もし事業再生コンサルへの転職を考えていれば、専門家のMyVisionに相談してみてください。
転職を成功させるには、専門の転職エージェントを活用することが有効な手段となります。
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