エンジニアからコンサルに転職できる?適性とキャリアの可能性を元コンサルタントが徹底解説
2025年12月25日更新
エンジニアからコンサルへの転職を考える際、「本当にキャリアチェンジできるのか」「技術経験はどこまで評価されるのか」「年収や働き方はどう変わるのか」と気になる人は多いでしょう。とくに、上流工程やビジネス寄りの役割に挑戦したいと考えはじめたタイミングでは、判断材料が不足しがちです。
結論からいえば、エンジニアからコンサルタントへの転職は十分に可能であり、IT・DX領域を中心に活躍の場は広がっています。開発やプロジェクト推進の現場を理解している点は、課題整理や実行支援を担うコンサルティング業務と相性が良いためです。
一方で、仕事内容や評価軸、求められるスキルはエンジニアとは大きく異なります。本記事では、エンジニアとコンサルの違いを整理したうえで、転職のメリット・デメリット、年収の変化、成功に向けた準備までを解説し、自身に合ったキャリア選択ができるようサポートしますので、ぜひ参考にしてください。
著者

永井 一聡
Nagai Kazutoshi
横浜国立大学卒業後、みずほ総研(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)やアクセンチュアで人事及びIT領域のコンサルティング業務に従事。自身の経験を生かしたIT/人事コンサル転職を得意とする。またコーチング経験も豊富に積んでおり、長期的なキャリア支援を提供可能。
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監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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エンジニアからコンサルへの転職は可能?
エンジニアからコンサルへの転職は十分に可能であり、実際に多くのコンサルティングファームでエンジニア出身者が活躍しています。専門領域が異なるように見えても、評価の軸が大きく乖離しているわけではありません。
背景には、エンジニアがシステム開発やプロジェクト推進の現場を理解している点が、コンサルティング業務における課題整理や実行支援の質を高めるという理由があります。とくにIT・DX案件では、技術と業務の双方を踏まえた意思決定が求められる場面が増えているでしょう。
ここではまず、エンジニア経験がコンサル転職でどのように評価されるのかを整理します。あわせて、エンジニアが比較的挑戦しやすいコンサル領域についても解説しますので、ぜひご覧ください。
エンジニア経験がコンサルに評価される理由
エンジニア経験がコンサル転職で評価されるのは、単なる技術力ではなく、現場を理解したうえでプロジェクトを前に進めてきた実務経験が、コンサルティング業務と重なるためです。とくにIT・DX領域では、理論だけでなく実行を見据えた支援が重視されます。
具体的には、次のような点が評価につながりやすい要素です。
- システム開発・ITに関する実践的な知見
- プロジェクトマネジメントや関係者調整の経験
- 開発から運用までの全体像を理解している点
- 現場課題を起点に改善策を考えてきた経験
エンジニアは、要件定義から運用までのプロセスを通じて、IT施策が現場でどのように機能するかを把握しています。この理解があることで、机上の検討にとどまらない現実的な課題整理や提案が可能です。
また、進捗管理や調整業務を通じて培ったプロジェクト推進力は、コンサルタントに求められるクライアントワークと親和性があります。業務と技術の両面を踏まえた視点は、実行支援フェーズでの信頼にもつながるでしょう。
転職しやすいコンサル領域(IT・業務・DX・戦略)
エンジニアからコンサルへ転職する場合、これまでの技術経験や業務理解と親和性の高い領域ほど、評価されやすく、転職のハードルも下がります。
エンジニア出身者が比較的挑戦しやすいコンサル領域を、特徴とあわせて整理すると次のとおりです。
| コンサル領域 | エンジニアとの親和性 | 主な評価ポイント |
|---|---|---|
| ITコンサル | 非常に高い | 要件定義・PM経験、システム理解 |
| 業務コンサル | 高い | 現場業務の理解、業務改善の視点 |
| DXコンサル | 高い | クラウド・データ・デジタル知見 |
| 戦略コンサル | 中程度 | ロジカル力、抽象化力、実績 |
ITコンサルやDXコンサルは、技術と業務をつなぐ役割が多く、エンジニア経験をそのまま活かしやすい領域です。 一方で、戦略コンサルは技術バックグラウンドだけでは不十分で、思考力や実績がより強く求められる傾向があります。
「エンジニアが転職しやすいコンサル領域(部門別)」の章では、これらの領域を部門別にわけて、仕事内容や求められるスキルを詳しく解説しますので、自身の経験がどの領域と相性が良いかを考えながら読み進めてください。
コンサルとエンジニアの仕事内容の違い
コンサルとエンジニアは、ともに企業の課題解決に関わる職種ですが、担う役割や求められる成果には明確な違いがあります。この違いを理解せずにキャリアチェンジを検討すると、入社後に「思っていた仕事と違う」と感じる要因になりかねません。
ここでは、コンサルタントとエンジニアそれぞれの仕事内容を整理し、どこに視点の違いがあるのかを明らかにします。
あわせて、「なぜ・何を考えるのか」と「どう実装するのか」という役割の分担に注目し、両者に求められる成果の違いを解説しますので、目をとおしてみてください。
コンサル:課題解決・戦略立案・プロジェクト推進
コンサルタントの仕事は、クライアントが抱える経営・業務・IT上の課題を整理し、解決に向けた方針を示したうえで、実行まで導くことです。システムそのものを作るのではなく、「何を変えるべきか」「どう進めるべきか」を定義する役割を担います。
代表的な仕事内容は以下のとおりです。
| 業務領域 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 課題整理・分析 | 現状把握、データ分析、ヒアリングによる課題の構造化 |
| 戦略・方針策定 | 業務改革案やIT導入方針、ロードマップの設計 |
| プロジェクト推進 | スケジュール管理、論点整理、関係者との調整 |
| クライアント対応 | 経営層・現場との折衝、意思決定の支援 |
| 成果創出支援 | 実行フェーズでの伴走、改善効果の検証 |
このように、コンサルタントは分析や提案にとどまらず、プロジェクト全体を俯瞰しながら前に進める役割を担います。近年は実行支援型の案件が増えており、進捗管理や合意形成を通じて成果にコミットする姿勢が重視される傾向です。
エンジニアと比較した場合、技術的な実装よりも「課題設定」や「意思決定の質」を高める点に価値が置かれる点が、大きな違いといえるでしょう。
エンジニア:システム実装・設計・技術検証
エンジニアの仕事は、定義された要件をもとにシステムを設計・実装し、安定して稼働させることです。「何を作るか」が決まった後の工程を担い、技術的な観点から品質と実現性を担保します。
代表的な仕事内容は以下のとおりです。
| 業務領域 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 要件の具体化 | 要件定義内容の技術的解釈、仕様への落とし込み |
| 設計 | 基本設計・詳細設計、アーキテクチャ設計 |
| 実装 | プログラミング、コードレビュー |
| 技術検証 | 技術選定、検証作業、性能・負荷テスト |
| テスト・運用 | テスト実施、障害対応、保守・運用 |
このように、エンジニアはシステムの内部構造や技術的制約を踏まえながら、成果物を形にしていく役割を担います。仕様どおりに動作するか、安定性や拡張性に問題がないかといった点が、評価の中心です。
コンサルタントと比較すると、意思決定や方針策定よりも、「どう作るか」「どう実現するか」に重きが置かれます。技術的な正確性と実装力が、成果を左右する要素といえるでしょう。
役割(Why/What vs How)と求められる成果の違い
コンサルとエンジニアの違いを端的に表すと、「Why/What」を担うか、「How」を担うかという役割分担に集約されます。
どちらが優れているかではなく、期待される成果の種類が異なる点を理解することが重要です。
まずは、役割と成果の違いを整理します。
| 観点 | コンサルタント(Why/What) | エンジニア(How) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 課題の定義、方針・打ち手の設計 | 技術的な実現方法の設計・実装 |
| 問いの立て方 | なぜ取り組むのか/何を変えるべきか | どう作るか/どう実装するか |
| 成果の形 | 意思決定につながる提案、プロジェクトの前進 | 動くシステム、品質の高い成果物 |
| 評価される点 | 課題設定の妥当性、推進力、合意形成 | 技術力、正確性、再現性 |
コンサルタントは、課題の背景や目的を整理し、複数の選択肢から最適解を導く役割を担います。成果はアウトプットの完成度だけでなく、意思決定を前に進めたかという観点で評価される傾向です。
一方でエンジニアは、定義された要件を技術的に実現し、安定した成果物として提供することが求められます。「正しく作ること」「期待どおりに動かすこと」が成果の中心となり、評価軸も明確です。
この違いを理解したうえで、自身がWhy/Whatに軸足を移したいのか、それともHowを深めたいのかを考えることが、エンジニアからコンサルへの転職判断において重要なポイントになるでしょう。
エンジニアが転職しやすいコンサル領域(部門別)
エンジニアからコンサルへの転職を考えるうえでは、「どの領域なら経験を活かしやすいのか」を具体的に把握することが重要です。コンサルとひと口にいっても、部門ごとに役割や求められるスキルは異なり、エンジニア経験との相性にも差があります。
これまで見てきたとおり、技術的なバックグラウンドは多くのコンサル領域で評価されますが、すべての分野で同じように転職しやすいわけではありません。自身の強みがどの領域で発揮されやすいかを見極めることで、ミスマッチを避けたキャリア選択につながります。
ここでは、エンジニアが比較的転職しやすいコンサル領域を部門別に整理し、それぞれの特徴や評価されやすいポイントを解説しますので、各領域の理解を深めるのに役立ててください。
ITコンサル:最も相性が良い領域(要件定義・PM経験が強み)
ITコンサルは、エンジニアからの転職先として最も相性が良い領域です。要件定義やプロジェクトマネジメントといった経験が、そのまま評価につながりやすい点が理由として挙げられます。
エンジニア出身者のなかでも、次のような経験を持つ人はITコンサルで評価されやすい傾向です。
- 要件定義や基本設計にかかわった経験がある
- プロジェクトマネジメントや進行管理を担ってきた
- ベンダー調整や関係者間の折衝をおこなってきた
- 業務部門と開発チームの橋渡し役を担った経験がある
ITコンサルでは、業務課題を整理したうえで、最適なIT施策やシステム導入の方針を設計し、プロジェクトを前に進める役割が求められます。技術的な制約を踏まえつつ、実現可能な形に落とし込める点は、エンジニア出身者ならではの強みといえるでしょう。
ITコンサルタントの役割やキャリアパスについて、より詳しく知りたい人は、以下の記事も参考にしてください。ITコンサルの仕事内容や向いている人の特徴を整理することで、自身の経験がどのように活かせるかを具体的にイメージしやすくなります。
業務コンサル:業務知識・現場理解がそのまま武器になる
業務コンサルは、業務プロセスの改善や改革を通じて、企業全体の生産性や競争力を高める役割です。システム導入そのものよりも、業務の流れや課題構造を整理し、あるべき姿を設計する点に重きが置かれます。
エンジニア出身者のなかでも、次のような経験を持つ人は業務コンサルで評価されやすい傾向です。
- 特定の業務領域(会計・販売・物流など)に深くかかわってきた
- 業務要件の整理や業務フロー設計に携わった経験がある
- 運用設計や業務改善に関与した実績がある
- 現場の制約や実務上の課題を踏まえた提案をおこなってきた
業務とITの両面を理解している人材は、改革の実行フェーズにおいても信頼を得やすい存在です。
業務知識を武器に、ビジネス寄りの役割へ広げていきたい人にとって、有力な選択肢といえるでしょう。
DXコンサル:デジタル知見(クラウド・AI・データ)が高評価
DXコンサルは、デジタル技術を活用して企業変革を推進する領域であり、エンジニアの技術的バックグラウンドが評価されやすい分野です。クラウドやデータ活用、AIといったテーマに関する理解は、DX施策の実現性を左右します。
エンジニア出身者のなかでも、次のような経験を持つ人はDXコンサルで評価されやすい傾向です。
- クラウド基盤の設計・移行に携わった経験がある
- データ基盤や分析基盤の構築・運用に関与した実績がある
- AIや自動化など、新しい技術の導入・検証をおこなってきた
- 技術施策を業務改革や組織変革と結びつけて説明した経験がある
DXコンサルでは、最新技術を導入すること自体が目的になるわけではありません。技術をどのようにビジネス価値へ転換するかを整理し、変革の道筋を描ける点が重要です。
また技術と業務、さらに経営視点をつなげられるエンジニアは、DX推進の中核として期待されやすい存在といえます。デジタル知見を軸に、より上流の意思決定にかかわりたい人にとって、有力なキャリア選択肢といえるでしょう。
DXコンサルタントの役割やキャリアの全体像については、以下の記事も参考にしてください。求められるスキルや働き方を把握することで、自身の経験との接点をより具体的に描けるようになります。
戦略コンサル:難易度は高いがロジカル力と実績次第で挑戦可能
戦略コンサルは、企業の中長期戦略や成長方針の策定を担う領域であり、エンジニアからの転職難易度は相対的に高めです。技術知識そのものよりも、課題設定力や論理的思考力が重視されます。
エンジニア出身者のなかでも、次のような経験や志向を持つ人は挑戦する余地があるでしょう。
- 複雑な課題を構造化し、仮説を立てて解決してきた経験がある
- 事業やプロダクトの意思決定にかかわった経験がある
- 成果を定量的に説明できる実績を持っている -0 技術に限らず、経営や市場への関心が高い
戦略コンサルでは、「なぜその施策が必要なのか」「どの選択肢が最適か」を短時間で示す力が求められます。
エンジニアとしての経験を活かすには、ロジカルシンキングやケース面接対策を通じて、思考面の強みを言語化することが重要です。
戦略コンサルタントの仕事内容や選考の特徴については、以下の記事も参考にしてください。自身が挑戦すべき領域かどうかを判断する材料として役立ちます。
エンジニア経験はコンサルでどう活かせる?
エンジニア経験は、コンサル転職において不利になるどころか、プロジェクトの質や成果に直結する強みとして活かせます。エンジニアが培ってきた知識や経験が、課題整理から実行支援までの各フェーズで具体的な価値を生むためです。
技術的な妥当性を踏まえた判断や、現実的な推進ができる点は、コンサルタントとしての信頼につながります。
ここでは、エンジニア経験がコンサル業務の中でどのように活かされるのかを整理しました。技術知識、プロジェクトマネジメント、現場理解という3つの観点から、その具体像を見ていきましょう。
技術知識・ITリテラシーがプロジェクト成功率を高める
エンジニアが持つ技術知識やITリテラシーは、コンサルティングプロジェクトの成功率を高める重要な要素です。システムや技術の前提を理解していることで、現実的な選択肢をもとに議論を進められます。
具体的には、次のような点で価値を発揮します。
- 技術的な制約やリスクを踏まえた課題整理ができる
- 要件や施策の実現可能性を早い段階で判断できる
- 開発現場との認識ズレを防ぎ、手戻りを減らせる
技術を理解していない状態での提案は、理想論に寄りやすく、実行段階での修正や停滞を招きがちです。エンジニア経験があるコンサルタントは、設計や実装を見据えた議論ができるため、プロジェクト全体の安定性を高められます。
とくにIT・DX案件では、技術的な判断がプロジェクトの成否を左右する場面も少なくありません。技術知識とビジネス視点を併せ持つことが、クライアントからの信頼獲得につながります。
プロジェクトマネジメント経験(進行管理・折衝)
エンジニアとして培ったプロジェクトマネジメント経験は、コンサル業務においても即戦力として活かせます。進行管理や関係者調整を通じてプロジェクトを前に進めてきた経験は、実行支援型のコンサルティングと親和性が高い要素です。
具体的には、次のような経験が評価につながります。
- スケジュール管理やタスク分解をおこなってきた経験
- 要件変更やトラブル発生時の調整・判断を担った実績
- ベンダーや社内外ステークホルダーとの折衝経験
コンサルタントには、課題や方針を示すだけでなく、関係者の認識をそろえながら実行をリードする役割が求められます。エンジニアとして進捗や品質に責任を持ち、合意形成を重ねてきた経験は、プロジェクト推進力として高く評価されやすいでしょう。
とくに複数の利害関係者がかかわる案件では、論点整理と調整力が成果を左右します。現場でのマネジメント経験を持つ人材は、プロジェクトを停滞させずに前進させる存在として信頼を得やすいです。
現場の業務理解・改善提案の説得力が増す
エンジニアとして現場にかかわってきた経験は、コンサルタントとしての改善提案に説得力を持たせます。業務の実態や制約を理解していることで、机上の理論に終わらない提案が可能なためです。
具体的には、次のような点で強みを発揮します。
- 現行業務の流れやボトルネックを把握している
- 運用面の制約や現場負荷を踏まえた改善案を提示できる
- 実行時に起こりやすい課題を事前に想定できる
コンサルの提案は、論理的に正しいだけでは不十分で、現場で実行できるかどうかが問われます。現場感覚を持つエンジニアは、実務に即した改善策を示せるため、関係者からの納得を得やすいでしょう。
また、業務とITのつながりを理解している点も大きな価値です。業務改善とシステム施策を一体で語れることで、実行フェーズまで見据えた支援ができるコンサルタントとして信頼を高められます。
コンサル転職で求められるスキル
コンサル転職を目指すうえでは、エンジニアとしての経験に加えて、コンサルタントとして求められるスキルを理解しておくことが欠かせません。技術力だけでは評価されにくく、思考やアウトプットの質が成果を左右します。
とくにコンサルの現場では、「考えをどう整理するか」「どう伝え、どう意思決定につなげるか」が重要です。そのため、エンジニア経験を活かしつつも、スキルの軸足を切り替える意識が求められます。
ここでは、コンサル転職で重視される代表的なスキルを整理しました。ロジカルシンキングや資料作成、課題設定、クライアントとのコミュニケーションといった観点から、求められるポイントを具体的に解説します。
ロジカルシンキング(思考の構造化)
ロジカルシンキングは、コンサルタントにとって最も基本かつ重要なスキルです。複雑な状況や情報を整理し、論点を構造化したうえで、筋の通った結論を導く力が求められます。
コンサルの現場では、課題が曖昧な状態から検討をはじめるケースも多く、「何が問題なのか」「どこから考えるべきか」を整理できるかが成果を左右します。思考を分解し、全体像を明確にする力は、意思決定を前に進めるうえで欠かせません。
エンジニア出身者のなかには、設計やトラブル対応を通じて論理的に考えてきた人も多いでしょう。その経験は土台として活かせますが、業務・組織・経営といった抽象度の高いテーマを扱う点がコンサルの特徴であり、ロジカルシンキングをさらに広い領域で使いこなすことが重要です。
ロジカルな説明力をさらに磨きたい人は、以下の記事も参考にしてください。思考を構造化する考え方を理解することで、ケース面接や実務の双方に役立てられます。
ドキュメンテーション能力(資料作成)
ドキュメンテーション能力は、コンサルタントの成果を形にするうえで欠かせないスキルです。考えた内容を資料として整理し、第三者が理解・判断できる形で示す力が求められます。
コンサルの現場では、検討プロセスや結論を短時間で共有し、意思決定につなげることが必要です。そのため、論点を整理した構成や、要点が一目で伝わる表現ができるかどうかが、アウトプットの質を左右します。
エンジニアのなかには、設計書や仕様書を作成してきた人も多いでしょう。コンサルでは、正確さに加えて「なぜそう判断したのか」を伝える資料作成が求められる点に注意が必要です。
資料作成の考え方やコンサル特有のアウトプットについては、以下の記事も参考にしてください。構成や表現のポイントを押さえることで、実務や選考対策にも活かしやすくなります。
課題設定力と仮説思考
課題設定力と仮説思考は、コンサルタントとして成果を出すための中核となるスキルです。与えられたテーマをそのまま検討するのではなく、「何が本質的な問題なのか」を見極める力が求められます。
コンサルの現場では、クライアント自身が課題を正確に言語化できていないケースも多いです。そのため、状況やデータをもとに仮説を立て、検証を通じて論点を絞り込むプロセスが、プロジェクトの方向性を左右します。
エンジニアとして原因調査や改善検討をおこなってきた経験は、この力の土台といえるでしょう。一方で、コンサルでは技術的な問題に限らず、業務や組織、経営といった広い領域を対象に仮説を構築する点が特徴のため、思考の射程を広げる意識が重要です。
クライアントコミュニケーション(顧客折衝力)
クライアントコミュニケーションは、コンサルタントとして成果を出すために欠かせないスキルです。単に要望を聞くだけではなく、相手の意図や背景を汲み取り、合意形成につなげる力が求められます。
コンサル現場では、経営層から現場担当者まで、立場や関心の異なる相手と向き合う場面が多いため、論点を整理したうえで相手に応じた伝え方を選び、意思決定を前に進めるコミュニケーションが重要です。
エンジニアとして顧客や業務部門と折衝してきた経験は、この点で大きな強みに捉えられます。
要件調整や説明を通じて信頼関係を築いてきた人は、コンサルタントとしてもプロジェクトを円滑に進める存在として評価されやすいでしょう。
エンジニアからコンサル転職するメリット
エンジニアからコンサルへ転職するメリットは、年収面だけでなく、キャリアの広がりや身につくスキルの質にもあります。技術を軸にしながらも、より上流やビジネス寄りの役割へシフトしたい人にとって、有力な選択肢といえるでしょう。
とくにコンサル業界では、成果や役割に応じた評価がおこなわれやすいため、エンジニア時代の経験を活かしながら年収アップを狙えるケースも少なくありません。また、コンサルで培ったスキルは、将来的に事業会社や企画職など、幅広いキャリアへ展開しやすい点も特徴です。
ここでは、エンジニアからコンサルへ転職することで得られる代表的なメリットを整理します。年収、キャリアの汎用性、身につくスキルという観点から、それぞれのポイントを解説しますのでぜひ参考にしてください。
年収アップを狙いやすい
エンジニアからコンサルへ転職するメリットのひとつが、年収アップを狙いやすい点です。コンサル業界では、年齢や勤続年数よりも、担える役割や成果に応じて報酬が決まる傾向があります。
とくにIT・DX領域では、技術的なバックグラウンドを持つ人材への需要が高く、即戦力として評価されやすいケースもあるでしょう。要件定義やプロジェクト推進の経験を持つエンジニアであれば、転職時点から高めのオファーが提示されることも珍しくありません。
また、コンサルは昇進・昇給のスピードが比較的早く、成果を出せば年収が段階的に伸びやすい点も特徴です。エンジニアとして培った経験を起点に、より高い年収レンジを目指せる点は、大きな魅力といえます。
キャリアの汎用性が広がる(企画職・事業会社へも展開可能)
エンジニアからコンサルへ転職するメリットとして、エンジニア時代よりもキャリアの汎用性が広がる点が挙げられます。
コンサルで培われるのは、事業全体を俯瞰する視点や、論点を整理して打ち手を設計する力です。これらは、事業会社の企画職や経営企画、プロダクトマネジメントなど、ビジネス寄りの職種でも評価されやすい汎用的な能力といえます。
エンジニア経験にコンサルでの実績が加わることで、「技術がわかる企画人材」としての市場価値が高まるでしょう。将来的に事業会社へ戻る選択肢や、職種の幅を広げたい人にとって、コンサル経験は有効なキャリア資産になるといえます。
上流工程でビジネス寄りのスキルが身につく
コンサルへ転職することで、要件定義よりもさらに上流となる、課題設定や方針策定といった工程に深くかかわる機会が増えることもメリットのひとつです。
上流工程では、業務や市場、組織構造などを踏まえて全体像を捉え、意思決定につながる材料を整理する力が求められます。技術だけでなく、ビジネスの文脈で物事を考え、説明するスキルは、自然と鍛えられていくでしょう。
こうした経験を通じて、エンジニアとしての専門性に加え、ビジネス寄りの視点を持った人材へと成長できます。技術とビジネスをつなぐ役割を担いたい人にとって、上流工程での経験は大きな価値を持つものです。
エンジニアからコンサル転職するデメリット
エンジニアからコンサルへの転職は多くのメリットがある一方で、事前に理解しておくべきデメリットも存在します。
とくにコンサルは、働き方や評価の考え方がエンジニア職とは大きく異なる業界です。業務量やプレッシャー、求められる成果の出し方に戸惑うケースも少なくありません。
ここでは、エンジニアからコンサルへ転職する際に想定される代表的なデメリットを整理しました。働き方・業務内容・評価制度の観点から、それぞれのポイントを解説します。
激務・プレッシャーが増える可能性
コンサルへ転職すると、エンジニア時代よりも業務負荷やプレッシャーが増える可能性があります。成果をプロジェクト単位で求められ、短期間でアウトプットを出す働き方が基本になるためです。
その背景には、次のような要因があります。
- 納期や成果が明確に設定され、期限内の達成が強く求められる
- クライアントの期待値が高く、判断や提案の質に責任が伴う
- 複数案件を並行して進めるケースがある
これらの要因が重なることで、業務量だけでなく、意思決定に伴う精神的な負荷も大きくなります。
一方で、裁量の大きさや成長実感につながる側面もあるため、このプレッシャーを前向きに捉えられるかが、コンサル転職後の満足度を左右するポイントといえるでしょう。
ドキュメント作業が多く「技術に触れない」
コンサルへ転職すると、エンジニア時代と比べてドキュメント作業の比重が大きくなり、技術に直接触れる機会が減る可能性があります。役割の中心が実装ではなく、課題整理や意思決定支援に移るためです。
とくに次のような点で、業務内容の変化を感じやすくなります。
- PowerPointやExcelを用いた資料作成の時間が増える
- 設計や実装はベンダーや開発チームに委ねるケースが多い
- 技術そのものよりも、方針や判断の妥当性が求められる
コンサルの成果は、動くシステムではなく、意思決定につながるアウトプットとして評価されます。そのため、技術的なスキルを深めたい人にとっては、物足りなさを感じる場面が出てくるでしょう。
一方で、技術を「どう使うか」「なぜその選択をするか」を整理する立場に回ることで、視野が広がる側面もあります。技術に触れる時間が減る点をデメリットと捉えるか、新たな役割への転換と捉えるかが、コンサル転職の向き不向きを分けるポイントになるでしょう。
成果主義で評価のシビアさがアップする
コンサル業界では成果主義の色合いが強く、評価のシビアさが増す点もデメリットとして挙げられます。プロジェクトごとの成果や貢献度が評価に直結し、プロセスよりも結果が重視されやすい環境です。
その背景には、次のような特徴があります。
- プロジェクト単位で役割や成果が明確に設定される
- アウトプットの質やインパクトが評価に反映されやすい
- 期待水準に達しない場合、評価や昇進に影響が出やすい
エンジニア職では、安定した運用や継続的な貢献が評価されるケースもありますが、コンサルでは短期間での成果創出が求められます。そのため、自身の価値を常に示し続ける姿勢が必要です。
一方で、成果が正当に評価されやすい点は、成長意欲の高い人にとって魅力でもあります。評価の厳しさをプレッシャーと感じるか、挑戦の機会と捉えられるかが、コンサル転職後の満足度を左右するでしょう。
エンジニアは何歳までコンサルに転職できる?
エンジニアからコンサルへの転職を考える際、「年齢がネックにならないか」は多くの人が気にするポイントでしょう。実際のところ、コンサル転職における年齢の考え方は一律ではなく、年代ごとに評価されるポイントが異なります。
コンサル業界では、若手にはポテンシャル、中堅層には即戦力性や専門性といったように、年齢に応じた期待役割が設定される傾向です。そのため、「何歳まで転職できるか」ではなく、「その年齢で何を示せるか」が判断軸といえます。
ここでは、20代・30代前半・30代後半以降にわけて、エンジニアがコンサル転職を目指す際の現実的なチャンスと注意点を整理しました。自身の年齢やキャリア段階に照らしながら、転職戦略を考えるヒントとして活用してください。
20代:ポテンシャル採用で広くチャンスあり
20代のエンジニアは、コンサル転職において最も選択肢が広い年代です。実務経験の年数よりも、ポテンシャルや成長意欲、思考力を重視した採用がおこなわれやすい傾向があります。
この年代では、「コンサルとして伸びるかどうか」が評価の中心です。ロジカルシンキングの素養や学習スピード、未知のテーマにも前向きに取り組める姿勢があれば、エンジニア経験が浅くてもチャンスを得やすいでしょう。
一方で、技術力そのものよりも、なぜコンサルに挑戦したいのかを言語化できるかが重要です。エンジニア経験をどう活かし、どのような価値を提供したいのかを整理することで、20代ならではのポテンシャルを評価につなげやすくなります。
30代前半:業務経験の強さ次第で十分可能
30代前半のエンジニアは、コンサル転職において実務経験の中身がより重視される年代です。ポテンシャルに加えて、これまでにどのような役割を担い、どの領域で価値を発揮してきたかが評価の軸といえます。
この年代では、要件定義やプロジェクト推進、関係者との調整といった経験があるかどうかが重要です。単なる実装担当にとどまらず、業務理解や意思決定に関与してきた実績があれば、即戦力として十分に評価されます。
また、エンジニアからコンサルへ転身する理由を、経験ベースで説明できるかも問われるポイントです。自身の業務経験を棚卸しし、コンサルで再現できる価値を明確に示すことで、30代前半でも現実的に転職を狙えるでしょう。
30代後半〜:IT・PM・専門領域での強みが必須
30代後半以降でコンサル転職を目指す場合、即戦力としての専門性や再現性のある強みがより厳しく求められます。ポテンシャルよりも、「入社後にどの領域で価値を出せるか」が明確であることが重要です。
この年代では、ITコンサルやDXコンサルを中心に、特定分野の専門性を軸とした転職が現実的といえます。たとえば、プロジェクトマネジメントの実績、特定業界や業務領域への深い知見、ITアーキテクチャやクラウド領域での強みなどが評価されやすい要素です。
一方で、役割や専門性が曖昧な場合、年齢がネックになる可能性も否定できません。自身の経験を「どの領域のコンサルとして再現できるか」という視点で整理し、強みを明確に打ち出すことが、30代後半以降のコンサル転職では欠かせないポイントといえるでしょう。
年収・働き方の違い(エンジニア vs コンサル)
エンジニアからコンサルへの転職を検討する際、年収や働き方がどのように変わるのかは、重要な判断材料です。とくに「どれくらい年収が上がるのか」「働き方は厳しくなるのか」といった点は、多くの人が気になるところでしょう。
コンサル業界は、職種やファームの種類によって年収水準や評価の仕組み、働き方に違いがあります。エンジニアと比べてキャリアアップのスピードが速い一方で、求められるコミットメントや負荷が変わる点には注意が必要です。
ここでは、エンジニアとコンサルの年収・働き方の違いを整理しました。平均年収の比較や昇給の考え方、ワークライフバランスの実態を通じて、転職後のイメージを具体化していきましょう。
平均年収比較(ITコンサル・戦略・総合系)
まずは、エンジニアとコンサルタントの平均年収水準を比較します。職種・ファームによって幅はありますが、全体感を把握する参考として整理しました。
| 職種 | 年収目安 |
|---|---|
| エンジニア(SE) | 約574万円 |
| ITコンサルタント | 約753万円 |
| 戦略コンサルタント | アナリスト/アソシエイト:約800万円前後・コンサルタント:約800万円前後 |
| 総合系コンサルタント | アナリスト/アソシエイト:約400万〜800万円・コンサルタント:約700万〜1,000万円 |
出典:job-tag
上記は各種公開データをもとにした目安であり、実際の年収は経験・スキル・ファーム・役職によって異なります
このように比較すると、コンサルタントはエンジニアよりも年収水準が高くなりやすい傾向が見て取れます。とくにITコンサルは、エンジニア経験を評価したうえでオファーが提示されるケースも多く、転職時点で年収アップを実現しやすい領域です。
戦略コンサルについては、ポジションによる差が大きい点が特徴です。アナリストクラスではエンジニアと大きく変わらない場合もありますが、昇進すると年収レンジが一気に跳ね上がります。
総合系コンサルはレンジが広く、入社ポジションや担当領域によって年収に差が出やすい職種です。一方で、実績次第で安定的に年収を伸ばしていける点は、エンジニア職との大きな違いといえるでしょう。
キャリアアップのスピードと昇給幅
エンジニアとコンサルでは、キャリアアップの考え方や昇給のスピードに明確な違いがあります。まずは全体像を比較表で整理しました。
| 項目 | エンジニア | コンサルタント |
|---|---|---|
| キャリアアップのスピード | 比較的緩やか | 早い傾向 |
| 昇給幅 | 段階的に上昇 | 昇進ごとに大きく上昇 |
エンジニアの場合、スキルや役割が徐々に広がることで、年収も段階的に上がっていくケースが一般的です。安定した成長が見込まれる一方で、短期間で大きく年収が伸びる場面は限られます。
一方、コンサルでは昇進と報酬が強く連動しており、成果を出せば早い段階で年収が大きく伸びる可能性があるでしょう。キャリアアップのスピードが速い分、期待される成果水準も高くなる点が特徴です。
ワークライフバランスのリアル
エンジニアとコンサルでは、ワークライフバランスの考え方や実態に違いがあります。まずは全体像を比較表で確認しましょう。
| 項目 | エンジニア | コンサルタント |
|---|---|---|
| 労働時間の安定性 | 比較的安定しやすい | プロジェクト次第で変動 |
| 繁忙期の有無 | 限定的なケースが多い | 繁忙期が発生しやすい |
| 働き方の柔軟性 | 職場・案件により幅あり | ファームや案件で差が大きい |
| 休暇の取りやすさ | 比較的取りやすい | 調整次第だが難しい場合も |
エンジニアの場合、運用フェーズに入ると業務が安定し、比較的予測しやすい働き方になるケースが多く見られます。勤務時間や休暇の取りやすさも、職場によっては一定程度コントロールしやすい傾向です。
一方、コンサルはプロジェクトベースで働くため、案件の状況によって業務量が大きく変動します。提案フェーズや山場では忙しくなる一方、案件が落ち着くと比較的余裕が生まれる場合もある仕事です。
近年は、リモートワークや稼働管理を進めるファームも増えており、以前ほど一律に激務とは言い切れません。ただし、成果へのコミットメントが前提となるため、ワークライフバランスをどう捉えるかは、個人の価値観によって評価がわかれるでしょう。
コンサルに向いているエンジニア・向いていないエンジニア
エンジニアからコンサルへの転職では、スキルや経験だけでなく、仕事の進め方や思考特性が合うかどうかも重要な判断軸です。同じエンジニア経験があっても、向き・不向きは人によって大きくわかれます。
コンサルの仕事は、正解のない課題に向き合い、状況に応じて考え方や進め方を柔軟に変えることが求められるものです。そのため、技術力が高いだけでは活躍が約束されるわけではありません。
ここでは、コンサルに向いているエンジニアと、ミスマッチが起こりやすいエンジニアの特徴を整理します。これまで解説してきた仕事内容や働き方を踏まえながら、自身の適性を見極める参考にしてください。
向いている:論理思考・課題解決が好き・コミュ力ある
コンサルに向いているエンジニアは、技術力そのものよりも、考え方やスタンスがコンサルの仕事と噛み合っている人です。とくに次のような特徴を持つ場合、エンジニア経験を活かしながら活躍しやすい傾向があります。
- 物事を構造的に考え、論点を整理するのが得意
- 課題の原因を突き止め、解決策を考えるプロセスを楽しめる
- 相手の立場を意識しながら、意図を汲み取って会話できる
コンサルの仕事では、「何が問題か」を定義し、「どう解決するか」を筋道立てて示す場面が多くあります。設計やトラブル対応を通じて論理的に考えてきたエンジニアは、その思考力をビジネス課題にも応用しやすいでしょう。
また、クライアントや関係者との対話を通じて合意形成を進めるため、コミュニケーションへの抵抗感が少ないことも重要です。自ら考え、提案し、周囲を巻き込みながら前に進めるタイプのエンジニアは、コンサルの働き方と相性が良いといえます。
向いていない:受け身・変化が苦手・思考が技術一辺倒
一方で、エンジニア経験があっても、コンサルの働き方とミスマッチが起こりやすいタイプも存在します。スキル以前に、仕事への向き合い方や思考スタイルが合わないケースです。
とくに次のような傾向が強い場合、コンサル転職後にギャップを感じやすいでしょう。
- 指示を待って動くことが多く、自ら論点を設定するのが苦手
- 環境や進め方の変化にストレスを感じやすい
- 技術的な正しさだけを重視し、ビジネス視点で考えるのが難しい
コンサルの現場では、前提条件が頻繁に変わり、明確な正解が用意されていない状況で判断を求められます。そのため、決められた役割を着実にこなすスタイルや、技術課題に集中したい志向とは噛み合わない場合があるでしょう。
また、クライアントとの対話では、技術的に正しいかどうか以上に、「相手が納得するか」「意思決定につながるか」が重視されます。技術一辺倒の思考から抜け出し、視点を切り替えることに抵抗がある場合、コンサルの働き方は負担に感じやすいかもしれません。
エンジニアからコンサル転職を成功させる具体的ステップ
エンジニアからコンサルへの転職は、勢いだけで進めるとミスマッチが生じやすいです。一方で、事前準備を丁寧におこなえば、エンジニア経験を強みに変え、納得感のある転職を実現しやすくなるでしょう。
とくにコンサル転職では、「どの経験が評価されるのか」「何をどう伝えるべきか」を戦略的に整理することが欠かせません。自己分析や書類作成、面接対策の質が、そのまま選考結果に影響します。
ここでは、エンジニアからコンサル転職を成功させるために押さえておきたい具体的なステップを順に見ていきましょう。
自己分析:強み(業務/技術/PM)を棚卸しする
コンサル転職の第一歩は、エンジニアとして積み上げてきた経験を整理し、どの強みが再現性のある価値になるのかを明確にすることです。技術力だけでなく、業務理解やプロジェクト推進の経験まで含めて棚卸しする視点が欠かせません。
自己分析では、次の3つの観点から経験を整理すると全体像を把握しやすくなります。
| 観点 | 整理すべきポイント |
|---|---|
| 業務面 | 担当してきた業務領域、業務課題の把握や改善への関与 |
| 技術面 | 設計・実装・アーキテクチャ、クラウドやデータなどの専門領域 |
| PM面 | 要件定義、進行管理、関係者調整、意思決定への関与度合い |
それぞれについて、「どの立場で」「何を考え」「どのような成果につながったか」を言語化することが重要です。
この整理ができると、志望動機や職務経歴書で示すべき価値が明確になり、コンサルとしての適性を伝えやすくなります。
志望動機の作成:なぜ技術ではなく“コンサル”なのかを明確に
コンサル転職における志望動機では、「なぜエンジニアではなくコンサルなのか」を一貫したストーリーで説明できるかが重要です。技術への関心や実績を語るだけでは、コンサルを選ぶ必然性が伝わりにくいといえます。
ポイントは、これまでのエンジニア経験を否定せず、「その経験を通じて見えた課題」や「より上流で価値を出したい理由」を言語化することです。たとえば、実装段階での手戻りや意思決定の遅れに課題を感じた経験を起点に、課題設定や方針策定にかかわりたいと整理すると、自然な流れといえるでしょう。
また、ファームごとの特徴や支援領域を踏まえ、自身の強みがどのように活きるかまで落とし込むことが欠かせません。「コンサルならなんでもよい」ではなく、「なぜこの役割で、この立場から価値を出したいのか」を明確にすることで、納得感のある志望動機になります。
エンジニア経験で培った視点を、どのようにコンサル業務へ接続するのかを整理できれば、選考においても一貫性のある評価を得やすいです。
職務経歴書の書き方:成果を定量化する
コンサル転職における職務経歴書では、担当業務の羅列ではなく、成果をどう生み出したかが重視されます。エンジニアとして何を作ったか以上に、課題にどう向き合い、どのような価値を出したかを示すことが重要です。
ポイントは、業務内容を数値や変化で表現することといえます。たとえば、対応件数の削減率、工数削減時間、品質改善の度合い、関係者数やプロジェクト規模など、客観的に伝えられる指標を用いると説得力が高まるでしょう。
また、「どの立場で」「どの判断をおこない」「結果にどう影響したか」を整理する視点も欠かせません。実装担当であっても、要件整理や改善提案に関与した事実があれば、そのプロセスを明確に記載することで、コンサルとしての再現性を示しやすいです。
成果を定量化し、思考と行動のプロセスまで伝えられる職務経歴書は、コンサル転職において強い評価につながります。これまでの経験を数字とストーリーで整理し、読み手が価値をイメージできる形に落とし込みましょう。
ケース面接対策:フェルミ・ビジネスケースに慣れる
コンサル転職では、ケース面接への対応が合否を左右する重要なポイントです。フェルミ推定やビジネスケースを通じて、思考プロセスや課題への向き合い方が評価されます。
ケース面接で重視されるのは、正解を出すことではなく、「どのように考えたか」を論理的に説明できるかどうかです。前提条件の置き方や論点の分解、仮説の立て方が一貫していれば、途中で修正が入っても評価につながります。
エンジニア出身者は、設計やトラブル対応を通じて論理的に考える経験を積んでいる場合が多いでしょう。一方で、ビジネス視点での仮説構築や、数値を使った説明には慣れが必要なケースもあります。
対策としては、基本のフレームワークを理解したうえで、実際に声に出して考える練習を重ねることが効果的です。ケースに慣れておくことで、本番でも落ち着いて思考を整理し、自身の強みを発揮しやすくなります。
エンジニアからコンサル転職を実現するならMyVisionへ
エンジニアからコンサルへの転職を成功させるには、業界特有の評価軸や選考の前提を正しく理解したうえで準備を進めることが欠かせません。
とくにコンサル転職では、ファームごとの求める人物像や選考の癖、エンジニア経験の評価ポイントが大きく異なります。そのため、業界に精通した第三者の視点を取り入れることで、転職活動の精度を高めやすくなるでしょう。
MyVisionでは、コンサル業界に特化した支援を通じて、エンジニアからのキャリアチェンジをサポートしています。
ここでは、MyVisionならではの強みと、転職成功につながる支援内容を紹介します。
コンサル特化エージェントによる高精度アドバイス
エンジニアからコンサルへの転職では、一般的な転職ノウハウだけでは不十分です。MyVisionはコンサル業界に特化しており、ファームごとの評価軸や採用背景を踏まえた高精度なアドバイスを提供しています。
とくに、エンジニア経験をどのようにコンサル視点で言語化するかは、合否を分ける重要なポイントです。MyVisionでは、業務・技術・PMといった経験を整理し、各ファームで評価されやすい形に落とし込む支援をおこないます。
また、選考前の段階から「どの領域・どのファームが合うか」を見極めることで、ミスマッチを防ぎやすくなるでしょう。業界理解に基づいたアドバイスを受けることで、納得感のある転職判断につなげられます。
元コンサルによるケース面接対策
コンサル転職において、ケース面接は最大の関門のひとつです。MyVisionでは、元コンサルタントが面接官の視点を踏まえ、実践的なケース面接対策をおこなっています。
ケース面接は、結論の正しさ以上に、思考の進め方や説明の一貫性が重視されるものです。元コンサルのアドバイザーは、実際に評価されてきた観点をもとに、論点設定や仮説構築、伝え方まで具体的にフィードバックします。
また、エンジニア出身者がつまずきやすいポイントを把握している点も強みです。技術寄りの思考からビジネス視点へ切り替える練習を重ねることで、本番でも自信を持って臨めるようになるでしょう。
部門別(戦略・総合・IT)の最適ファームを提案
コンサル転職では、「コンサルに行く」こと自体が目的になると、入社後のミスマッチが起こりやすくなります。重要なのは、自身の経験や志向に合った部門・ファームを選ぶことです。
MyVisionでは、戦略・総合・ITといった部門ごとの役割や評価軸を踏まえたうえで、最適なファームを提案しています。
また、ファームごとの案件特性や育成方針、働き方の違いも考慮した提案をおこなう点が特徴です。入社後にどのような経験を積みやすいかまで見据えることで、納得感のあるコンサル転職につなげられるでしょう。
まとめ
エンジニアからコンサルへの転職は十分に現実的であり、技術・業務・PMといった経験はコンサル業務でも高く評価されます。一方で、仕事内容や評価軸、働き方はエンジニア職とは異なるため、メリット・デメリットや年齢ごとの転職戦略を理解したうえで準備を進めることが重要です。
とくに、自己分析による強みの棚卸しや志望動機の整理、ケース面接対策といった事前準備の質が、転職成功を大きく左右します。エンジニア経験を「コンサルとして再現できる価値」に変換できるかが、合否のわかれ目といえるでしょう。
エンジニアからコンサルへのキャリアチェンジを本気で検討するなら、コンサル業界に特化した転職支援を活用することが近道です。
MyVisionでは、元コンサルによる面接対策や部門別の最適ファーム提案を通じて、納得感のある転職をサポートしています。自身の経験を最大限に活かしたコンサル転職を目指したい人は、ぜひMyVisionへご相談ください。
あなたもコンサルタントとして
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コンサルタントへの転職をお考えの方は、
是非MyVisionにご相談ください。
ファームとのコネクションを活かし、
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