営業コンサルタントとは?仕事内容・年収・活用するメリットを解説
2025年10月28日更新
営業コンサルタントとは、企業の営業活動を分析し、戦略や組織体制を改善する専門職です。営業現場の課題を可視化し、売上向上につながる仕組みを構築します。
近年は、市場競争の激化や営業のデジタル化により、営業コンサルタントの需要が高まっています。実績が報酬に反映されやすく、努力次第で高年収を得られる点も魅力です。
本記事では、営業コンサルタントの定義・仕事内容・年収・必要スキル・向いている人の特徴を詳しく解説します。さらに、キャリアパスや転職成功のポイント、そしてMyVisionを活用するメリットも紹介します。
営業職からキャリアアップを目指す方や、コンサルティング業界に興味を持つ方は、ぜひ参考にしてください。
著者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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監修者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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目次
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営業コンサルタントとは
営業コンサルタントは、企業の営業活動を専門的な立場から支援する職種です。売上や受注率といった成果指標を分析し、課題解決に向けた戦略や仕組みを提案します。
営業組織の改革や人材育成、デジタルツールの導入など、支援範囲は多岐にわたります。営業職として培った経験を生かしながら、より高い視点で経営に関わることができる点が特徴です。
ここでは、営業コンサルタントの定義や役割、そして営業職との違いについて詳しく見ていきます。
定義と役割
営業コンサルタントは、企業の外部から営業機能を客観的に分析し、成果向上の仕組みを設計する専門家です。自社だけでは気づきにくい課題を可視化し、再現性のある営業プロセスを構築します。
戦略立案や組織設計、マネジメント改革など、支援の範囲は幅広いです。現場の経験と論理的思考を掛け合わせ、経営目線で営業活動全体を最適化します。
また、人材育成や評価制度の整備を通じて、営業組織の「仕組み化」を進めることも重要な役割です。属人的な営業から脱却し、安定的に成果を出せる体制づくりを支援します。
このように、営業コンサルタントは戦略的視点で営業を再構築し、企業の持続的な成長を支える存在といえます。
営業職との違い
営業コンサルタントと営業職は、いずれも「売上拡大」を目的としますが、担う役割と視点が大きく異なります。営業職が「自社の製品・サービスを売る立場」であるのに対し、営業コンサルタントは「企業全体の営業力を高める立場」 です。
| 比較項目 | 営業職 | 営業コンサルタント |
|---|---|---|
| 主な目的 | 自社製品やサービスの販売 | クライアント企業の営業力強化 |
| 視点 | 現場・顧客対応中心 | 経営・戦略レベル中心 |
| 業務内容 | 顧客開拓、提案営業、契約獲得 | 営業戦略立案、組織改革、プロセス改善 |
| 成果指標 | 受注件数・売上高 | クライアント企業の業績改善・体制整備 |
| 関わる範囲 | 自社内で完結 | 複数企業・業界を横断 |
| 求められるスキル | 提案力・コミュニケーション力 | 課題解決力・論理的思考・マネジメント力 |
営業職が「自ら売る力」を磨くのに対し、営業コンサルタントは「他者を売れるようにする力」を発揮します。営業現場の実務経験に加え、構造的に課題を捉える視点が求められる点が大きな違いです。
営業コンサルタントの仕事内容
営業コンサルタントの仕事は、企業の営業活動全体を分析し、成果を上げるための仕組みを整えることです。単に営業スキルを教えるのではなく、戦略立案から組織改革、実行支援まで幅広く関与します。
支援内容は企業の課題によって異なります。営業戦略の策定や人材育成、業務プロセスの改善、デジタルツールの導入など、多面的なアプローチが求められます。
ここでは、営業コンサルタントの主な業務領域を具体的に見ていきましょう。
営業戦略の立案と実行支援
営業コンサルタントの主要業務の一つが、営業戦略の立案と実行支援です。市場環境や競合状況を分析し、企業の成長を支える実行可能な戦略を構築します。
戦略立案のプロセスは、以下のようなステップで進められます。
- 現状分析:売上構成・営業体制・顧客層をデータで可視化
- 課題抽出:業績低下や非効率の要因を特定
- 戦略設計:目標設定・ターゲット選定・営業チャネル最適化を実施
- 実行計画策定:行動レベルに落とし込み、KPIを設定
実行フェーズでは、マネジメント層や営業現場と協働し、戦略の定着を支援します。進捗をモニタリングし、必要に応じて軌道修正を行うことで、持続的な成果を実現します。
営業組織改革と人材育成
営業コンサルタントは、戦略を実行できる「強い営業組織」をつくるための改革支援も行います。組織構造の見直しから人材育成までを一貫して担い、営業力を底上げします。
主な支援内容は以下の通りです。
- 組織体制の再設計:役割分担や報酬制度を見直し、成果が出やすい組織構造を構築
- マネジメント改革:上司と部下の連携や目標管理方法を改善
- 教育・研修の企画:提案力や交渉力を伸ばす研修を設計・実施
- 評価制度の整備:成果だけでなくプロセスも評価する仕組みを導入
属人的な営業スタイルから脱却し、チームとして成果を上げる仕組みをつくることが目的です。こうした改革により、個人の能力に依存しない「再現性のある営業力」が生まれます。
営業プロセス改善・効率化
営業コンサルタントは、成果を安定して出すために営業プロセス全体を見直します。属人的な業務を標準化し、効率的に成果を上げる仕組みを整えることが目的です。
具体的には、以下のような改善支援を行います。
- 業務フローの可視化:案件管理や報告ルールを整理し、無駄な手作業を削減
- 営業ステップの最適化:リード獲得からクロージングまでの各段階を明確化
- ツール導入支援:SFAやCRMを活用し、データに基づいた営業活動を実現
- 成果指標の統一:KPIを設定し、全社員が同じ基準で成果を確認できる体制を構築
これらの取り組みにより、個々の努力に頼らず成果を出せる「仕組み営業」へと移行できます。 生産性向上と人材の負担軽減を両立させることが、営業プロセス改善の大きな成果です。
営業のDX・デジタルツール活用支援
営業コンサルタントは、デジタル技術を活用した営業改革(DX)の推進も担います。データを基盤とした営業戦略の実行や、業務効率化を支援するのが目的です。
主な支援内容は以下の通りです。
- SFA・CRMの導入支援:営業活動や顧客情報を一元管理し、データドリブンな意思決定を促進
- MA(マーケティングオートメーション)の活用:見込み顧客の獲得から育成までを自動化
- BIツールによる分析支援:商談データを可視化し、営業施策の改善につなげる
- オンライン営業体制の構築:Web会議やチャットツールを活用し、非対面でも成果を上げる体制を整備
こうしたデジタル化の推進により、営業活動の生産性が大幅に向上します。さらに、蓄積されたデータを活用することで、より精度の高い戦略立案が可能になります。
営業コンサルタントの年収・待遇
営業コンサルタントは、実力や成果が報酬に反映されやすい職種です。営業戦略の立案から実行支援までを担うため、専門性の高さに見合った待遇が設定されています。
特に、プロジェクトの成果が企業の業績に直結するため、実績を積むほど年収が大きく伸びる傾向にあります。
ここでは、営業コンサルタントの平均年収や役職別の目安、成果報酬の仕組みなどを詳しく解説します。
平均年収・レンジの目安
営業コンサルタントの年収は、公式な統計データが存在しません。 そのため、本記事では「コンサルタント職全体」の平均をもとにおおよその水準を把握します。
大手口コミサイトOpenWorkによると、コンサルタント全体の平均年収はおよそ804万円程度とされています。(引用:OpenWork)これは、給与所得者の平均給与460万円(引用:令和5年民間給与実態統計調査|国税庁)や営業職の平均年収568万円(引用:OpenWork)を大きく上回る水準です。
ただし、営業コンサルタントは成果に応じた報酬体系であることが多く、個人の実績によって年収1,000万円を超えるケースも珍しくありません。実力主義の環境で、自らの成果が評価に直結する点が営業コンサルタントの魅力です。
年次別・役職別の年収比較
営業コンサルタント単体の統計は公表されていないため、本記事ではコンサルタント職全体の一般的な水準をもとに解説します。参考例として、営業領域支援にも強みを持つアビームコンサルティングの給与データを参照します。
アビームは経営・業務・営業領域を幅広く支援しており、営業コンサルタントの実態に近い報酬体系を持つ企業です。経験年数や役職に応じて報酬が上がる成果連動型の評価制度を採用しています。
| 職位 | 経験年数の目安 | 年収レンジ(目安) |
|---|---|---|
| アナリスト | 1年~3年 | 450万円~600万円 |
| コンサルタント | 3年~5年 | 600万円~700万円 |
| シニアコンサルタント | 5年~8年 | 700万円~850万円 |
| マネージャー | 8年~10年 | 900万円~1,200万円 |
| シニアマネージャー | 10年~13年 | 1,150万円~1,400万円 |
| プリンシパル/ダイレクター | 13年以上 | 1,300万円~1,800万円 |
引用:OpenWork
このように、実績と責任の範囲に応じて報酬が大きく変動する点が特徴です。
今回例として取り上げたアビームコンサルティングについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひ目を通してみてください。
成果報酬やインセンティブの有無
営業コンサルタントの報酬は、成果連動型が基本です。プロジェクトの実績や顧客満足度が評価に直結し、年収に反映される仕組みが一般的です。
特にマネージャー以上の職位では、チームの売上・利益率・継続契約率などが評価指標として設定されます。これにより、企業業績に貢献するほど高い報酬を得られる構造になっています。
主なインセンティブ制度の例は以下の通りです。
- 業績連動ボーナス:個人やチームの成果に応じて支給
- プロジェクト成功報酬:目標達成度に基づく特別ボーナス
- 年間評価による昇給・昇格:高評価を得ることで翌年度の基本給が上昇
固定給に加えて成果報酬が上乗せされるため、実力次第で年収1,000万円を超えるケースも多く見られます。努力と成果が明確に評価される点は、営業コンサルタントという職種の大きな魅力です。
営業コンサルタントのキャリアパス
営業コンサルタントは、成果と実力が明確に評価される職種です。プロジェクトでの貢献度やマネジメント能力に応じて、昇進や年収アップのチャンスが広がります。
ここでは、営業コンサルタントとしての代表的な昇進ルートと昇進スピード・評価軸の特徴を解説します。
一般的な昇進ルート
営業コンサルタントのキャリアは、経験と成果に応じて段階的に役割が広がる仕組みになっています。初期は分析や実行支援を担当し、徐々にプロジェクト全体のマネジメントや顧客戦略を担う立場へと成長します。
一般的なキャリアパスは次の通りです。
| 役職 | 主な役割 |
|---|---|
| アナリスト | データ分析や資料作成などのサポート業務 |
| コンサルタント | クライアント対応・課題解決策の実行 |
| シニアコンサルタント | 小規模プロジェクトのリーダーを担当 |
| マネージャー | チーム統括・案件全体の進行管理 |
| シニアマネージャー | 顧客戦略策定や複数案件の統括 |
| ディレクター/パートナー | 組織運営・営業戦略立案・新規事業推進 |
この構成は、さきほど紹介したアビームコンサルティングを含む多くの総合系ファームにも共通しています。昇進にあたっては、売上貢献だけでなくリーダーシップやチーム育成力も重視されます。
昇進スピードの目安と評価軸
営業コンサルタントの昇進スピードは、実力次第で大きく変わります。平均的には、2〜3年ごとに1段階昇格するケースが多く、成果を上げればさらに早期の昇進も可能です。
特にアナリストからコンサルタント、シニアコンサルタントへは、個人のパフォーマンスと専門性の成長が重視されます。マネージャー以上では、チームの業績や顧客満足度など、より広い視点での評価が行われます。
主な評価軸は以下の通りです。
- 成果への貢献度:売上・利益・案件成功率などの数値目標の達成度
- 課題解決力:論理的思考や実行力によるクライアント支援の質
- マネジメント力:チーム育成や後輩指導、リーダーシップの発揮度
- 顧客満足度・信頼構築力:継続的な関係構築やリピート率への寄与
実力が報酬や役職に直結する環境のため、早期昇進を狙うには成果の再現性と組織への貢献姿勢が欠かせません。
コンサルタントのキャリアパスについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
営業コンサルタントに必要な資格
営業コンサルタントとして働くうえで、資格は必須ではありません。 実務で培った営業経験や課題解決力こそが最も重視されます。
しかし、特定の資格を保有していると専門知識の証明になり、クライアントや転職先からの信頼を得やすくなります。特に、営業戦略の立案やデジタル支援など、専門領域に踏み込む際には資格が有効に働きます。
ここでは、営業コンサルタントとしてのスキルを高めるうえで役立つ資格を、「営業実務力」「コンサルティングスキル」「DX・データ分析」の3つの観点から紹介します。
営業実務力を高める資格
営業コンサルタントは、クライアント企業の営業現場を理解し、具体的な改善策を提示する必要があります。そのため、営業の基礎力や交渉スキルを客観的に証明できる資格が役立ちます。
特に以下の資格は、営業活動の実践知識を体系的に学ぶうえで効果的です。
| 資格名 | 概要 | 活用メリット |
|---|---|---|
| 営業士(初級・上級) | 日本営業士会が認定する営業スキル資格。提案力・交渉力・顧客分析を体系的に学べる | 営業戦略や顧客対応の基本を整理できる |
| セールススキル検定 | 営業プロセス全体を可視化し、PDCAを学ぶ検定 | 営業プロセス改善に携わる際の基礎知識に良い |
| リテールマーケティング(販売士)検定 | 日本商工会議所が実施。販売戦略やマーケティング理論を学ぶ | 小売・BtoC領域の営業支援に強くなる |
| 中小企業診断士(一次科目・マーケティング分野) | 経営全般を網羅する国家資格。営業戦略分野も出題 | コンサル的視点で営業戦略を考えられる |
営業現場の知見を理論と結びつけることで、クライアントへの提案に説得力が増します。特に営業経験者がコンサルティングに転身する場合、これらの資格は知識の整理に有効です。
コンサルティングスキルを証明できる資格
営業コンサルタントは、課題を発見し、改善策をロジカルに提示する力が求められます。 そのため、コンサルタントとしての分析力や提案力を客観的に証明できる資格を取得しておくと有利です。
特に以下の資格は、コンサルティング業務の基礎を体系的に身につけるうえで効果的です。
| 資格名 | 概要 | 活用メリット |
|---|---|---|
| 中小企業診断士 | 経営戦略・財務・組織など幅広い知識を習得できる国家資格 | 営業戦略立案や経営課題の整理に役立つ |
| MBA(経営学修士) | 経営・マーケティング・ファイナンスを網羅的に学ぶ学位 | コンサルタントとしての信頼性と戦略思考を高められる |
| ビジネス実務検定(ビジネス実務法務検定/ビジネスマネジャー検定など) | 日本商工会議所などが実施。企業経営・マネジメント・法務・人材管理の基礎を学べる | 顧客課題の把握や実務的提案の裏付けになる |
| PMP(Project Management Professional) | プロジェクトマネジメント協会(PMI)が認定。進行管理やチーム統率を体系的に学べる | 大規模プロジェクトの管理・推進能力を示せる |
これらの資格は、クライアントに対して「経営を理解し、成果に直結する提案ができる人材」であることを示す強力な裏付けとなります。実務経験に加えて資格を持つことで、専門職としての信頼度が高まります。
DX・データ分析に関する資格
営業コンサルタントは、営業活動の効率化やデータ活用を支援する場面が増えています。近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)の知識や、データを分析して戦略に落とし込むスキルが求められます。
特に以下の資格は、営業DXやデータドリブン経営の実践に役立ちます。
| 資格名 | 概要 | 活用メリット |
|---|---|---|
| ITパスポート | 経済産業省認定の国家試験。DX・AI・セキュリティなどITの基礎を幅広く学べる | クライアントのDX支援に必要なIT基礎を習得できる |
| データサイエンティスト検定(DS検定) | 日本統計学会などが運営。統計・データ分析の実務力を証明する資格 | 営業データを分析し、課題発見や改善提案に活かせる |
| G検定(ジェネラリスト検定) | 日本ディープラーニング協会(JDLA)が実施。AI・機械学習の基礎を理解できる | 営業支援領域でAIツールを活用する際の知識基盤になる |
| ITコーディネータ | 経産省推奨の資格。経営とITの橋渡し役を担うスキルを認定 | DX戦略の企画・推進力を証明できる |
これらの資格は、単なるIT知識ではなく、営業課題をデジタルで解決する実践力を示すものです。データ分析やAI活用の知識を持つことで、クライアント企業からの信頼も高まります。
営業コンサルタントに向いている人・向いていない人
営業コンサルタントは、営業経験がある人はもちろん、未経験の人でも挑戦できる職種です。必要なのは、営業活動を構造的に理解し、課題を論理的に解決する姿勢です。
一方で、求められるスキルの幅が広く、全員に向いているとは言えません。自分の強みや志向と照らし合わせて判断することが、転職やキャリア形成を成功させる鍵になります。
ここでは、営業コンサルタントに向いている人の特徴と向いていない人の特徴を具体的に解説します。
向いている人の特徴
営業コンサルタントに向いているのは、論理的思考や人と関わることが得意な人です。営業の現場感覚と、課題を構造的にとらえる思考力の両方が求められます。
特に、次のような特徴を持つ人はこの職種で活躍しやすい傾向があります。
- 課題解決が好きな人:数字やデータをもとに問題を整理し、改善策を考えることが得意
- 相手の立場で考えられる人:クライアントや現場の意見を丁寧にくみ取り、最適解を導ける
- 学習意欲が高い人:新しい営業手法やデジタルツールを積極的に取り入れ、成長を続けられる
- チームで成果を出すことを重視する人:個人プレーではなく、組織として成果を最大化できる
営業力だけでなく、課題発見力・分析力・協働力を兼ね備えた人材は、コンサルティングの現場で高く評価されます。未経験からでも、これらの資質があれば十分に挑戦可能です。
向いていない人の特徴
営業コンサルタントは、論理性と実行力の両立が求められる仕事です。そのため、行動・思考のどちらかに偏りすぎると成果を出しにくくなります。
特に、次のようなタイプは苦戦する可能性があります。
- 自分のやり方に固執する人:クライアントやチームの意見を受け入れられず、柔軟な対応ができない
- 課題を言語化するのが苦手な人:感覚で動きがちな場合、営業改革の本質を伝えるのが難しくなる
- 数字に苦手意識がある人:データをもとに仮説検証を行うため、数値分析への抵抗があると不利
- 短期的な成果にこだわりすぎる人:長期的な組織改善やプロセス改革に向かない
ただし、これらの傾向があっても改善は可能です。柔軟な思考やデータ活用への理解を身につければ、誰でも営業コンサルタントとして成長するチャンスがあります。
コンサルタントに向いている人・向いていない人の特徴は以下の記事でも紹介しています。ぜひご覧ください。
営業コンサルタントを活用するメリット
ここまでは、営業コンサルタントとして働く立場を中心に解説してきました。一方で、近年は営業コンサルティングを導入し、外部の知見を活用する企業も増えています。
自社のリソースだけでは対応しきれない営業課題に対して、専門家が第三者の視点で改善策を提示することで、短期間で成果を上げるケースも多く見られます。
ここでは、営業コンサルティングを活用する企業側が得られる主なメリットを解説します。
営業課題を客観的に分析し最短ルートで改善できる
営業コンサルティングを導入する最大のメリットは、社内では見えにくい課題を第三者の視点で明確にできる点です。営業活動を数値とプロセスの両面から分析し、最短で成果につながる改善策を提示します。
営業コンサルタントは、経験に基づいた分析手法と豊富な事例をもとに、課題を論理的に整理します。これにより、属人的な判断に頼らない「再現性のある営業モデル」の構築が可能になります。
具体的な支援内容の一例は次の通りです。
- 営業データの可視化:売上・成約率・リード管理などを分析し、ボトルネックを特定
- 課題の優先順位付け:影響度と実現可能性を考慮し、改善効果の高い領域から着手
- 改善施策のロードマップ化:短期・中期・長期の施策を整理し、着実に実行
こうした客観的な分析により、社内の思い込みや慣習にとらわれず、最短ルートで営業改革を進めることができます。
組織全体の営業力を底上げできる
営業コンサルティングは、個々の営業担当者だけでなく組織全体の営業力を引き上げる効果があります。単発的な売上改善ではなく、継続的に成果を出せる「仕組み」をつくることが目的です。
外部の専門家が関与することで、組織体制やマネジメントの課題が明確になります。現場任せだった営業活動を標準化し、再現性のあるノウハウを共有できるようになります。
具体的な支援内容の例は以下の通りです。
- 営業プロセスの標準化:属人的な手法を整理し、誰でも成果を出せる仕組みを構築
- マネジメント層の育成:KPI管理や目標設定など、管理者の指導力を強化
- 営業研修・教育の実施:提案力・課題解決力を育てるプログラムを提供
- 評価制度の再設計:プロセスを含めた公正な評価基準を整備
このように、営業コンサルティングは「個人の力」ではなく「組織として売れる力」を育てる取り組みです。結果として、チームの一体感や継続的な成長を実現できます。
DX推進やデータ活用による生産性向上が期待できる
営業コンサルタントは、ITやデータ分析の専門知識を活かし、企業の現状に適したデジタル化を支援します。SFAやCRMなどのツール導入だけでなく、運用定着まで伴走する点が特徴です。
従来の経験や勘に頼る営業活動を、データとテクノロジーに基づく仕組みに変えることで、生産性の大幅な向上が見込めるでしょう。
主な支援内容は以下の通りです。
- 営業データの統合管理:SFA・CRMを活用し、顧客・商談情報をリアルタイムで共有
- データドリブン経営の推進:売上予測や成約率を数値で可視化し、意思決定を迅速化
- AI・自動化ツールの導入支援:見込み顧客のスコアリングやフォローアップを効率化
- デジタル人材の育成:データを活用できる人材を社内で育てる研修を実施
このように、営業コンサルティングは「デジタル化=効率化」にとどまらず、営業の質そのものを高める取り組みとして企業の競争力強化に寄与します。
営業コンサルタントの契約形態と料金目安

営業コンサルティングの料金は、契約形態や支援範囲によって大きく異なります。代表的な契約形態はアドバイザリー(定額制)・時間制・成果報酬制・プロジェクト契約の4種類です。
以下は、それぞれの契約形態の概要と一般的な費用相場です。
| 契約形態 | 主な内容・特徴 | 契約期間の目安 | 費用相場 | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| アドバイザリー(定額制) | 月額固定で継続的な支援を行う形式。営業課題の分析・改善や戦略立案などを定期的に実施 | 3カ月〜12カ月 | 月額30万円〜100万円 | 組織全体の営業改革や中長期的支援に適する |
| 時間制 | 稼働時間に応じて料金が発生。必要な範囲で限定的にコンサル支援を受ける | 1回〜数カ月 | 1時間あたり3万円〜10万円 | 部分的・短期的な課題対応に向く |
| 成果報酬制 | 成果に応じて報酬が発生。アポイント数や売上増加率などが基準 | 案件ごと | 例:商談1件あたり約1.5万円 | 固定費を抑えたい企業に選ばれる形式 |
| プロジェクト契約 | 特定テーマに集中した短期契約。複数名体制での営業改革・DX支援などに活用 | 3カ月〜6カ月 | 月額150万円前後(1人あたり) | 明確な課題を一定期間で解決したい場合に有効 |
料金は、担当コンサルタントの経験値や支援範囲によって変動します。特にプロジェクト契約では、営業DXや組織改革など専門性の高い案件ほど金額が上がる傾向があります。
営業コンサルタントの選び方
営業コンサルティングは、自社の営業課題を効率的に解決できる有効な手段です。しかし、支援範囲や料金体系、得意分野はコンサルタントごとに異なるため、適切に選ばないと成果につながらないリスクもあります。
最適なパートナーを選ぶためには、自社の課題と目的を明確にし、実績や専門領域、費用対効果を総合的に見極めることが重要です。
ここでは、営業コンサルタントを選定する際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
自社の課題と目的を明確にする
営業コンサルタントを選ぶ際に最も重要なのは、自社が解決したい課題を明確にすることです。目的が曖昧なまま契約すると、期待した成果が得られないケースも少なくありません。
営業コンサルティングの支援内容は多岐にわたります。課題の種類によって、最適なコンサルタントの専門領域が変わるため、事前整理が欠かせません。
目的を整理する際は、以下のような観点を検討しましょう。
- 戦略的課題:営業戦略の見直し、新規顧客開拓、DX推進を図りたい
- 組織的課題:マネジメント強化や教育体制の整備、営業プロセスの標準化を進めたい
- 個人スキル課題:提案力や交渉力など、個々の営業力を底上げしたい
- 成果改善課題:成約率・売上・利益率など具体的な数値を改善したい
このように目的を整理しておくことで、依頼内容と支援範囲を明確にでき、コンサルタントとのミスマッチを防ぐことができます。
実績・専門領域・支援範囲を確認する
営業コンサルタントを選ぶ際は、過去の実績と得意領域を確認することが欠かせません。業界や営業スタイルによって課題の性質が異なるため、自社と同じ業界・課題に強いコンサルタントを選ぶことが成果への近道です。
実績を見るときは「どのような課題を、どの規模の企業に対して、どのように改善したのか」を把握するのがポイントです。単なる経験年数よりも、再現性のある成果を出しているかどうかを重視しましょう。
確認すべき主な観点は以下の通りです。
- 得意業界・領域:IT、メーカー、BtoB、BtoCなど、自社と親和性があるか
- 支援範囲:戦略立案、教育研修、DX支援など、どのフェーズを担当できるか
- 実績の具体性:売上◯%向上、営業組織再構築など、成果が数値で示されているか
- 担当コンサルタントの専門性:法人営業・インサイドセールスなど、経験領域が一致しているか
これらを比較することで、単なるアドバイスではなく、実行支援まで一貫して行えるコンサルタントを見極められます。
契約形態と費用対効果を比較する
営業コンサルタントを選ぶ際は、料金の安さではなく費用対効果で判断することが重要です。 支援範囲や契約形態によってコストは大きく異なり、表面的な金額比較では正確な判断ができません。
料金を比較する際は、契約形態ごとの特徴を理解したうえで、期待できる成果とのバランスを見極めましょう。
検討時の主なポイントは以下の通りです。
- 契約形態を理解する:アドバイザリー(定額制)、時間制、成果報酬制、プロジェクト契約など、それぞれのメリット・デメリットを把握する
- 支援範囲と費用の整合性:戦略立案から実行支援まで含む場合、金額が高くても費用対効果が高いケースが多い
- 成果の定義を明確にする:売上・成約率・組織改善など、何を「成果」として測定するかを事前に合意する
- 契約前に見積もりを比較する:複数社の提案を比較し、費用・支援内容・実施期間を総合的に検討する
費用を“支出”ではなく“投資”として捉え、自社に最も高いリターンをもたらすコンサルタントを選ぶことが、成功の鍵となります。
まとめ
営業コンサルタントは、企業の営業課題を解決へ導く専門職であり、営業戦略の立案から人材育成、DX支援まで幅広い領域を担います。実務経験があればもちろん、未経験からでも挑戦できる可能性がある職種です。
また、企業側から見ても、営業コンサルティングを導入することで課題を客観的に分析し、組織全体の営業力を底上げする効果が期待できます。成果を出すためには、自社の目的を明確にし、実績や支援範囲を丁寧に見極めることが重要です。
MyVisionでは、コンサルティング業界に精通したアドバイザーが、あなたの経験・志向に合わせた最適なキャリア提案を行っています。「営業コンサルタントとして成長したい」「専門性を活かしてキャリアを広げたい」と考える方は、ぜひ一度ご相談ください。





