コンサルで、子育ては両立できるのか。大型の中期経営計画も、投資先の経営も。子育て・仕事を両立する2人に聞きました。
2026年10月26日更新

インタビュー概要
コンサルティング業界で働く人が、キャリアを考え直すきっかけの一つが「子育て」です。家庭の時間を確保するために事業会社へ移る――その選択は、いまも決して珍しくありません。 株式会社カタリスは、Arthur D. Little出身者2名により設立された、伴走特化型の戦略コンサルティングファームです。特徴的なのは事業構造で、クライアントを支援するコンサルティング事業に加え、後継者不在の企業を自ら承継してバリューアップを行う事業承継投資も手がけています。コンサルティングで磨いた知見を、自社の投資・経営にも活かすという考え方です。 今回お話を伺ったのは、子育てをしながら第一線の案件を担当する2人。社会インフラを支える大手企業で複数事業本部の中期経営計画策定を担うシニアコンサルタントの伊藤 圭亮氏と、カタリスが承継した投資先企業に入り、経営の成長に伴走するコンサルタントの松沢 匡氏です。2人はどう子育て・仕事を両立させているのでしょうか。
インタビュイー経歴
話し手

伊藤圭亮氏
株式会社カタリス
シニアコンサルタント
EY、ライズコンサルティングを経てカタリスに参画。M&Aを通じた成長戦略の策定から業務改革まで、幅広い経験を有する。米国カンザス州立大学卒業。日本証券アナリスト協会認定アナリスト。
話し手

松沢匡氏
株式会社カタリス
コンサルタント
Accenture等を経てカタリスに参画。戦略から実行までを一貫して伴走支援することに強みを持ち、特にPEファンド向け案件ではビジネスデューデリジェンスからPMIまでをカバーする。専修大学卒業。
目次
子ども3人。それでも「辞める」は選択肢になかった
──まず、お二人の家庭の状況と、いま担当されている仕事を教えてください。
伊藤氏妻と、7歳・5歳・2歳の3人姉妹です。小学1年生と幼稚園の年中、それに2歳。「戦略コンサルで子ども3人いて、よく回るね」と言われることも、正直よくあります。仕事は、社会インフラを支える大手企業を担当していて、複数の事業本部それぞれの中期経営計画を、並行して策定しているところです。事業部ごとに置かれている環境も課題もまったく違うので、同じ会社の中で何本もの戦略を走らせているような感覚ですね。
松沢氏私は0歳8か月の娘が1人います。担当は少し変わっていて、カタリスが事業承継で引き受けた投資先の企業に入り、経営に伴走しています。投資先企業は薬機法・景表法の領域でBtoBサービスを展開している会社で、外から助言するのではなく、私自身が実際に中に入り込んで一緒に事業を作っていく立場です。
──子どもが生まれるとき、キャリアについて悩まれましたか。
伊藤氏「コンサルを辞める」という選択肢は、実は一度も考えませんでした。周りを見ていると、子どもが生まれたタイミングで事業会社に移る人は一定数いますし、「コンサルは子育てと両立できない」というイメージが世の中にまだ根強いのもわかります。ただ私の場合、問題は職種ではなく、そのときの「環境」のほうにありました。
次女が生まれて間もない頃、私はEYでM&Aの戦略策定を担当していました。当時は早朝から夜遅くまで働いていて、正直かなり苦しかった。それでワークライフバランスを考えて、総合系のライズコンサルティングに移りました。辞めるのではなく、「環境」を変えるという解き方です。
ただ、環境を変えたあとも、M&Aをはじめとした戦略の仕事自体は手放したくなかったんです。そんなときに出会ったのがカタリスで、代表の田仲・阿部の2人と話して、ここなら両方あきらめずに済むと思えました。
いま任されているのは、M&A戦略の策定に加え、会社全体の方向性を左右する中期計画を、複数の事業本部で並行して手がける仕事です。この規模の仕事は、事業会社に移れば簡単に得られるものではありません。コンサルを辞めるか続けるかの二択ではなく、続けられる環境を探す。私の場合は、それが答えでした。
松沢氏私はPEファンド向けのビジネスデューデリジェンスからPMIまでを担当してきました。短い期間で一気に仕上げる局面もある仕事なので、「その働き方で子育てと両立できるのか」とは、実際よく聞かれます。 ただ、実際に子どもが生まれるとなったとき、会社から言われたのは「必要なだけ育休を取ってください」でした。もともとカタリスには、とにかく働くことが正義、という考え方がありません。一方で、「がんばりどころを見極めましょう」とは、入社したときから常に言われてきたことです。 そう言ってもらえたからこそ、子どもが生まれる時期は、父親として生活することに注力しようと素直に思えました。結果的に育休は3か月取りましたが、あのとき育休を取得しておいて、本当によかったと思っています。
そして復帰してみて分かったのは、しんどいのは仕事の量が多いときではなく、いつ山場が来るのか分からないまま走っているときだ、ということでした。逆に、先の見通しさえチームで共有できていれば、家庭の予定は組み立てられる。両立できるかどうかは、仕事の中身よりもそこで決まるというのが、いまの私の結論です。
山場は、前もって分かっている
──具体的には、どう両立させているのでしょうか。
伊藤氏繁閑の波がまったくない仕事です、とは言いません。中期計画の策定は、経営層と議論する場が定期的に設定されていて、その直前は集中して詰めます。ただ、裏を返せば山場が来る日は、何週間も前からカレンダーに載っているということでもあります。 ですから私は、そこから逆算して家庭側の予定も先に決めてしまいます。読める波なら、設計できる。これが実感です。 役割分担で言うと、学校・幼稚園まわりは妻が中心です。ただ、朝ごはんを作る、風呂掃除をする、食器は毎日私が洗う、子どもの勉強を見る、お風呂上がりに3人分の髪を乾かす、週末は一緒に遊ぶ、これらはほぼ自分の役割です。ひとつひとつは小さいことですが、平日も家庭の中に自分の持ち場がある状態を保ちたいと思っています。
松沢氏私の場合は、案件の進み方によってリズムが変わります。デューデリジェンスは短い期間に集中しますし、いま担当している投資先のように一つの会社に腰を据えて、数年単位で関わる仕事もある。どちらも先の見通しは立てられるので、自分でスケジュールを組み立てる余地は大きいですね。 家庭では、料理と日中の世話は妻が中心です。私が担当しているのは、朝と夜のミルクやおむつ替え。平日に手が回らない分、休日は娘の世話も家事も、できる限り私が引き受けるようにしています。平日は時間帯で、休日は私が全体を、と先に決めておくと、その都度どちらが動くかを相談せずに済みますし、日中は仕事に集中できます。 その朝と夜の時間を守るために仕事側でやっているのが、言いにくいことを先に言うことです。「この時間は子どもの対応があるので動けません」と早めに出す。直前に言われると誰も動けませんが、早ければチームで吸収できます。
伊藤氏カタリスは人数が多い組織ではないので、誰がいまどういう状況かを、全員がだいたい把握している。これが実はいちばん効いていて、事情を一から説明しなくても、前提が共有されている状態から会話が始まります。
制度そのものより、チームの設計
──制度面はいかがですか。
伊藤氏産前産後休暇や育児休業、育児短時間勤務、介護休業など、ライフステージが変わっても働き続けられる制度は整っています。配偶者の出産時にも特別休暇があります。ただ、制度は「あるだけ」では十分ではないと思っています。用意されていても、使いづらい空気があれば意味がない。大事なのは、必要なときに使うことが当たり前になっているかどうかです。その点、カタリスでは、先ほど松沢からもあった通り、代表自身が「必要なだけ育休を取ってください」と伝えるようなカルチャーがあります。制度だけでなく、実際に使える環境があることは大きいと思います。
松沢氏実際、あの一言で迷いがなくなりました。その背景には、カタリスの「コルチゾールマネジメント」という考え方があると思います。ストレスホルモンであるコルチゾールのバランスを整え、パフォーマンスと幸福度の両方を高めるというコンセプトです。噛み砕いて言えば、機嫌よく働ける状態を、成果を出すための前提条件として扱うということです。疲弊した状態でいいアウトプットが出ないことは、誰もが経験的に知っています。それを精神論で終わらせず、マネジメントの対象として明文化している。だから、休むことも働き方の調整も、遠慮せずに相談できるのだと思います。
伊藤氏あとは意思決定が速いこと。働き方についての相談も、代表の田仲・阿部にその場で話せば、その場で方向性が決まります。「持ち帰って検討します」がほぼない。子育ての事情は待ってくれないので、このスピード感は実務上かなり大きいです。
子育てはキャリアのブレーキではなかった
──子育てをしながら働くことで、仕事の仕方に変化はありましたか。
伊藤氏時間の使い方は確実に変わりました。以前は、悩んだら時間をかけて考える、というやり方をしていました。いまは使える時間が決まっているので、何を捨てるかを先に決める。複数の事業本部を並行して見ていると、全部を深掘りする時間はそもそもありません。論点を絞る精度は、明らかに上がったと思います。
松沢氏投資先に入って痛感するのは、結局のところ、人が動いてくれないと何も進まないということです。正しい計画を作っても、現場が納得しなければ実行されない。しかも承継した会社ですから、長くその会社を支えてきた方々がいる。外から来た人間が正論を言うだけでは、当然うまくいきません。 子育てをしていると、思い通りにならない相手と、それでも前に進まなければいけない場面に毎日直面します。相手の言い分を聞いて、こちらの事情も伝えて、落としどころを探る。少し飛躍した言い方かもしれませんが、この経験は投資先での仕事にそのまま効いていると感じます。
伊藤氏クライアント側にも、当然ながら家庭のある方がたくさんいます。「この時期にこの負荷をかけたらどうなるか」を具体的に想像できるかどうかは、実行支援の現実味に直結すると思っています。 結果として、カタリスに来て本当によかったと思っています。やりたかった戦略の仕事ができていて、案件のリードも任せてもらえている。子育てを理由に、任される仕事が細くなるということが起きていない。これが一番大きいです。
これから転職を考える方へ
──子育てとの両立を考えてコンサル転職を迷っている方に、伝えたいことはありますか。
松沢氏迷っているなら、両立できるかどうかをイメージだけで判断せず、会社に具体的に確かめてほしいと思います。たとえば面談で、「子育てをしている社員への支援やバックアップ体制はありますか」と聞いてみる。さらに踏み込んで、「忙しい時期はどれくらい前に分かりますか」「実際に働き方を調整した人は、どんな調整をしていますか」まで聞いてみてください。見通しが立つこと、そのうえで調整が利くこと。この2つがそろって、はじめて両立は成り立ちます。
伊藤氏それと、仕事の中身を落とさずに済むかどうかも見てほしいですね。両立のために担当案件を軽くしていくと、数年後のキャリアが細くなってしまう。負荷の設計と、任される仕事の質は、本来別の話です。 カタリスは、戦略を描くだけでなく現場にも入り、自社で企業を承継して経営まで手がける会社です。任される範囲は広い。そのうえで、働き方を個別に設計できる余地がある。両方を諦めたくない方には、一度見ていただく価値があると思います。
松沢氏私自身、育休から復帰したいまも、承継した会社のバリューアップ支援という大きな仕事を任されています。子育てとキャリアのどちらかを諦める必要はありませんでした。少しでも気になった方は、ぜひ一度カタリスに話を聞きに来てください。実際のところどうなのか、中にいる私たちが率直にお話しします。

