BIG4監査法人とは?特徴や年収、転職時のポイントを紹介
2025年10月21日更新
BIG4監査法人は、グローバルに展開する大手会計事務所の日本法人であり、高い専門性と豊富なキャリアパスが魅力です。
「BIG4監査法人に転職してキャリアアップを目指したい」「どの監査法人が自分に合っているのだろう?」そんな疑問を抱えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、BIG4監査法人それぞれの特徴を整理し、転職を目指す方が押さえるべきポイントや成功のコツを詳しく解説します。未経験からBIG4への転職を考えている方も、経験を活かしてキャリアアップを目指す方も、ぜひ参考にしてください。
著者

長田 快
Osada Kai
慶應大学卒業後、MURC、DTCにて戦略策定・消費財領域を中心に案件組成~デリバリーリードに従事。MyVisionでは、自身の経験・人脈を生かしたポストコンサル・エグゼクティブに対する、コンサルタント個々人が抱く悩みに即した、ファームごとの深い情報提供を軸とした支援に強みを有する
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監修者

北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
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目次
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BIG4監査法人とは
BIG4監査法人とは、世界的に展開する4大国際会計事務所の日本拠点を指します。具体的には以下の4法人です。
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG)
- EY新日本有限責任監査法人
- 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte)
- PwCあらた有限責任監査法人
これらの法人は海外では「BIG4」と呼ばれ、グローバルに強いネットワークを持っています。企業の会計監査やアドバイザリー業務を通じて、経済活動を支える役割を担っています。
BIG4の特徴は、国際的な基準や手法を活用できるためグローバルに通用するスキルを身につけられる点です。さらに監査だけでなく、M&Aやリスクマネジメントなど幅広いアドバイザリーサービスを展開しています。
また、大規模な組織体制を背景に研修や人材育成の仕組みが整っています。専門性を磨きながらキャリアを築ける環境が整っているのも大きな魅力です。
このようにBIG4監査法人は 「国際的な信頼」と「幅広い専門性」 を武器にしています。会計士やコンサルタントとして大きく成長できる場といえるでしょう。
BIG4監査法人の各特徴と違い
BIG4監査法人は世界的に高い信頼を持ちながら、それぞれに強みや特徴があります。監査やアドバイザリーといった共通業務を担う一方で、注力している分野や社風には違いがあるのが実情です。
自分に合った環境を見極めるためには、各法人の特徴を理解しておくことが必要です。ここでは4つの監査法人について、その違いを整理して解説します。
有限責任あずさ監査法人(KPMG)
有限責任あずさ監査法人は、世界4大会計事務所の一つであるKPMGの日本におけるメンバーファームです。国内でもトップクラスの規模を誇り、2025年時点で7,000名を超える専門家が在籍しています。
主な事業は金融機関や大手企業への監査業務で、特に三井グループや住友グループとの関係が深い点が特徴です。また、KPMGの国際ネットワークを活かし、クロスボーダー案件やアドバイザリー業務にも強みを持っています。
| 法人名 | 有限責任あずさ監査法人(KPMG) |
| 代表者 | 理事長 山田裕行 |
| 事務所 | 東京都新宿区津久戸町1番2号 |
| 構成人員 | 7,362名(令和7年6月30日現在) |
| クライアント | 監査証明業務3,255社 |
| 公式サイトURL | https://kpmg.com/jp/ja/home/about/azsa.html |
EY新日本有限責任監査法人
EY新日本有限責任監査法人は、グローバルに展開するEYの日本メンバーファームで、日本で初めて設立された有限責任監査法人です。長年にわたり監査報酬額で国内トップの実績を誇り、多くの上場企業をクライアントとしています。
近年はAIやデータアナリティクスを活用した監査ツール「EY Helix」を開発し、監査の品質向上と効率を高めています。最新テクノロジーを積極的に取り入れ、革新的な監査プロセスを確立している点が大きな特徴です。
| 法人名 | EY新日本有限責任監査法人 |
| 代表者 | 理事長 松村 洋季 |
| 事務所 | 東京都千代田区有楽町一丁目1番2号 東京ミッドタウン日比谷 日比谷三井タワー |
| 構成人員 | 社員535名/職員5,982名(2025年6月30日現在) |
| クライアント | 3,805社(2025年6月30日現在) |
| 公式サイトURL | https://www.ey.com/ja_jp/about-us/ey-shinnihon-llc |
有限責任監査法人トーマツ
有限責任監査法人トーマツは、デロイトの日本におけるメンバーファームで、国内でも最大級の規模を誇ります。 特にIPO支援に強みを持ち、多くの企業の上場準備や監査業務を担っています。
監査業務に加えて、内部統制の構築やリスクマネジメントなどアドバイザリー領域も幅広く展開しています。デロイトのグローバルネットワークを活かし、クロスボーダー案件にも柔軟に対応できる点が大きな特徴です。
| 法人名 | 有限責任監査法人トーマツ |
| 代表者 | 代表執行役 大久保 孝一 |
| 事務所 | 東京都千代田区丸の内3-2-3 丸の内二重橋ビルディング |
| 構成人員 | 6,382人(2025年5月末日現在) |
| クライアント | 3,215社 (2025年5月末日現在) |
| 公式サイトURL | https://www.deloitte.com/jp/ja/about/group/deloitte-touche-tohmatsu.html |
PwCあらた有限責任監査法人
PwCあらた有限責任監査法人は、PwCの日本におけるメンバーファームで、2024年時点で約3,500名が在籍しています。BIG4のなかでは比較的小規模ですが、その分フットワークの軽さと国際的な案件への強みが特徴です。
社風は外資系らしく成果主義が根付いており、フラットでオープンなコミュニケーションが重視されています。取引先は外資系企業が中心で、国際基準に基づく監査やアドバイザリー業務に強みを持っています。
| 法人名 | PwC Japan有限責任監査法人 |
| 代表者 | 代表執行役 久保田 正崇 |
| 事務所 | 東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビルディング |
| 構成人員 | 3,660名(2025年6月30日現在) |
| クライアント | 非公開 |
| 公式サイトURL | https://www.pwc.com/jp/ja/about-us/member/assurance.html |
BIG4監査法人とそれ以外の監査法人の違い
BIG4監査法人は、売上規模や従業員数、クライアントの規模において中小監査法人と大きな違いがあります。
BIG4監査法人が主にグローバル企業や大企業を対象に監査を行うのに対し、中小監査法人は地域密着型や特定業種に特化したサービスを提供しています。
転職を検討する際は、法人の知名度や規模だけで判断するのは適切ではありません。ワークライフバランスや専門性の向上、将来のキャリアパスなど、自分の志向に合った法人を選ぶことが重要です。
BIG4監査法人の業務内容
BIG4監査法人では、監査を中心に幅広いサービスを提供しています。監査にとどまらず、アドバイザリーやテクノロジー領域まで担っている点がBIG4監査法人の大きな特徴です。
主要な業務内容は以下の通りです。
| 業務領域 | 内容 |
|---|---|
| 会計監査 | 財務諸表が正しく作成されているかを検証。国際会計基準や複雑な取引にも対応 |
| 内部統制支援 | 企業の統制プロセスを整備し、ガバナンスやコンプライアンス体制を強化 |
| リスクマネジメント | 経営上のリスクを特定・分析し、回避や低減のための仕組みを提案 |
| M&Aアドバイザリー | 財務デューデリジェンスや企業価値評価を行い、買収・統合を支援 |
| IT・データ活用 | AIやデータ分析ツールを活用し、監査の効率化と精度向上を実現 |
BIG4監査法人の年収目安
BIG4監査法人の年収は役職や経験年数によって大きく変動します。 以下はOpenWorkの口コミ情報をもとにした全体的な目安です。
| 役職(年齢目安) | 年収レンジ |
|---|---|
| アソシエイト(20代前半〜中盤) | 600万円〜700万円 |
| シニアアソシエイト(20代後半) | 800万円〜950万円 |
| マネージャー(30代前半) | 900万円〜1,000万円 |
| シニアマネージャー(30代後半) | 1,100万円〜1,300万円 |
| パートナー(40代以降) | 2,000万円〜 |
参考:OpenWork
法人ごとの年収傾向は以下の通りです。
- 有限責任あずさ監査法人(KPMG):安定感のある報酬水準で、シニアクラス以上で伸びが大きい傾向
- EY新日本有限責任監査法人:監査報酬額が国内トップで、平均年収もやや高め。特にマネージャー層以降の水準が強み
- 有限責任監査法人トーマツ(Deloitte):役職によるレンジが広く、成果や部署によって収入差が出やすい傾向がある
- PwCあらた有限責任監査法人:規模は小さいながらも成果主義色が強く、外資系らしくハイパフォーマーには高額報酬が期待できる
このようにBIG4といっても法人ごとに年収の特徴は異なります。 転職を検討する際は、全体像と併せて法人ごとの傾向も把握しておくことが重要です。
BIG4監査法人に転職するにあたっておさえておきたいポイント
BIG4監査法人への転職を成功させるためには、事前に押さえておくべきポイントがいくつかあります。 特に選考で重視される要素や法人ごとの特徴を理解しておくことで、志望理由や自己PRに説得力を持たせることができます。
ここでは、BIG4監査法人に転職するために知っておきたい具体的なポイントについて解説します。
監査業務に就きたい場合は公認会計士の取得が必須
BIG4監査法人には資格がなくても入れるものの、監査業務を担当するためには、公認会計士資格が必須です。試験は難易度が高く、2024年の最終合格率は7.4%にとどまっています。
公認会計士試験には学歴や年齢の制限はありません。科目合格制度を活用すれば計画的に学習でき、合格後は監査法人で実務経験を積むことで、さらに専門性を高めることが可能です。
BIG4監査法人の採用スケジュールを把握しておく
BIG4監査法人の新卒・中途採用は、公認会計士試験の合格発表時期に合わせてスタートします。特に11月の論文式試験の結果公表後は、各法人が一斉に説明会や面接を実施し、短期間で内定が決まるケースが一般的です。
そのため、試験勉強と並行して企業研究や応募書類の準備を早めに進める必要があります。スケジュールを事前に把握しておくことで、就職活動をスムーズに進められます。
監査法人ごとの特徴をおさえ、志望理由を作りこむ
BIG4監査法人は規模こそ近いものの、得意分野や企業文化には明確な違いがあります。そのため応募前に各法人の特徴を理解し、自分の志向やキャリアビジョンと照らし合わせることが欠かせません。
面接では「なぜ監査業務を志望するのか」「なぜその法人を選ぶのか」を論理的に説明する必要があります。説得力のある志望動機を作り込むことで、選考突破につながります。
BIG4監査法人に入社した後のキャリアプラン
BIG4監査法人に入社すると、監査法人内での昇進や専門領域への特化など、多様なキャリアパスを描けます。監査を通じて得た知識や実務経験は、企業経営や財務戦略において高く評価され、将来的な選択肢を大きく拡げる資産となります。
ここでは代表的なキャリアの方向性として、「監査法人内でのキャリアアップ」と「一般企業への転職」 の2つのパターンについて詳しく解説します。
監査法人内でのキャリアアップを目指す
BIG4監査法人では、スタッフとしてキャリアをスタートし、シニアスタッフ、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーへと段階的に昇進していきます。 この昇進プロセスは法人ごとに異なる部分もありますが、基本的な流れは各社ほぼ共通しています。
昇進の過程では、監査スキルに加え、マネジメント力やクライアントとの関係構築能力が重要視されます。また、英語力が高い人材は、グローバル案件を担当しやすく、昇格のチャンスも広がります。
最終的にパートナーに到達すれば、組織の運営や戦略策定に深く関わる立場となり、高収入や影響力を得るポジションに就くことができます。
監査法人から一般企業へ転職する
BIG4監査法人で身につけた監査や会計の専門スキルは、多くの上場企業やIPOを目指す企業から高く評価されています。特に、ベンチャー企業ではCFOやIPO責任者といった経営幹部に転職する例も見られます。
事業会社へ転職すれば、経営企画や資金調達、IR業務など幅広い実務経験を積むことが可能です。監査法人で得た専門性を土台に、キャリアの幅を大きく広げられるステップと言えます。
BIG4監査法人に未経験で転職する際のポイント
BIG4監査法人は難関という印象がありますが、未経験から挑戦することも可能です。転職理由や志望動機を明確にし、事前準備を徹底することで十分に内定を獲得することが可能です。
特に、公認会計士資格の取得に加え、ビジネススキルや英語力の向上は転職成功の重要なポイントとなります。ここでは、未経験からBIG4監査法人への転職を目指す際に押さえておくべき2つのポイントをご紹介します。
自分の強みと各法人の求める人材像をしっかり理解する
BIG4監査法人は積極的に採用を行っていますが、スキルや経験が応募先のニーズと合致しなければ選考を突破できません。そのため自己分析を徹底し、自分の強みやこれまでのキャリアを棚卸しすることが不可欠です。
さらに各法人の特徴や求められる人材像を理解したうえで、面接でアピールできるポイントを明確にしましょう。MyVisionでは、個別のキャリアに合わせたアドバイスを行い、選考通過に向けた具体的なサポートを提供しています。
入社後のミスマッチを防ぐにはよりリアルな情報が必要
無事に転職できたとしても、入社後に業務内容や社風が合わないと感じ、早期離職につながるケースは少なくありません。期待値と実際の環境に差があると、モチベーション低下やキャリア停滞のリスクが生じます。
こうした問題を防ぐためには、事前に企業調査を十分に行い、自分のキャリアビジョンと働く環境がマッチしているかを慎重に見極めることが大切です。
MyVisionでは、実務経験豊富なエージェントが、公開されていないリアルな情報も個別面談を通じて共有し、納得感のある転職をサポートします。
まとめ
BIG4監査法人は、監査に加えて、アドバイザリーやコンサルティングにも強みを持ち、専門性を高めながら多様なキャリアを築ける場です。
各法人で特徴や社風が異なるため、自己分析や企業研究を通じて志望動機とキャリアプランを明確にすることが欠かせません。また、面接対策はもちろん、入社後のミスマッチを防ぐための情報収集も重要なプロセスです。
MyVisionでは、あなたの経験や目標に合わせた個別サポートを提供し、転職活動を全面的にバックアップします。 未経験からBIG4への転職を目指す方は、ぜひお気軽にご相談ください。



