M&A業界へ未経験で転職したい人向け!年収・転職の際に気をつけるべきポイントを解説
2025年11月30日更新
M&A業界の主な事業内容は、売却したい企業と買収したい企業のマッチングや調査、契約書案作成、戦略の策定など、M&Aに関わる一連の流れの支援です。
高収益なビジネスモデルやM&Aの市場拡大などが背景にあることから、高年収を実現しやすい業界として知られています。
一方で、未経験からの転職は非常に難易度が高く、専門知識やビジネスセンスなどが問われる業界です。
本記事では、M&A業界へ未経験から転職するポイントなどを詳しく解説します。
未経験からM&A業界へのキャリアチェンジを検討している方だけでなく、会計士などの有利な資格を持ちながらも「どの業界へ転職すべきか分からない」と悩んでいる方も、ぜひ参考にしてください。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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監修者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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結論|未経験からM&A業界への転職は難しいが、20〜30代を中心に十分可能
M&A業界は高度な専門性と成果が求められるため「未経験者の転職は難しい」と言われています。しかし実際には、20〜30代を中心に多くの未経験者が転職に成功しており、年齢・職歴・スキル次第では十分にチャンスがあります。特にM&A仲介を中心に若手採用のニーズが高まり、ポテンシャル採用の枠も広がっています。
一方で、財務知識や営業力などの基礎が求められるため、漫然と応募しても通過しにくく、しっかりと準備しないと選考で苦戦する点は変わりません。
なぜ「難しい」と言われるのか
未経験者がM&A業界で苦戦しやすい最大の理由は、扱う業務が高度で責任が重いからです。M&Aは企業の売却・買収という重大な意思決定に関わる業務であり、財務諸表の読み解きや企業価値の算定といった専門知識が必要です。さらに、経営者同士の交渉に立ち会うため、ビジネス全体を俯瞰した理解力や論理的な説明力が求められます。
また、特に仲介業務においては営業要素が非常に強く、成果が数字として明確に問われる環境です。このため、業界未経験者を採用する企業は「本当に活躍できるか」、そして「途中離脱しないか」という点を慎重に見極めようとします。
加えて、M&Aは急な経営者面談や資料作成に伴い業務時間が不規則になりがちで、激務と言われる側面があることから、ミスマッチを避けたい企業が未経験者の採用に慎重になる傾向もあります。こうした理由が積み重なり、未経験転職のハードルが高く感じられるのです。
どんな人が未経験でも転職に成功しているか
難易度が高いと言われる一方で、未経験者の成功例も少なくありません。その多くに共通するのは、営業力や論理的思考など、M&Aの実務と相性の良い強みを持っている点です。特に営業職で高い実績を出していた人は、仲介企業から評価されやすく、数字へのコミット力や顧客折衝の経験が大きなアピールポイントになります。
また、財務・会計の学習を積極的に進めている人は伸びしろが評価されやすく、たとえ実務経験がなくても「簿記を学んでいる」「バリュエーションの基礎を理解している」といった姿勢が選考を大きく左右します。
さらに、ストレス耐性や粘り強さがある人は、案件が長期化したり突然スケジュールが変動する環境でも踏ん張れるため、企業からの評価が高くなります。こうした素質や努力が組み合わさることで、未経験でも採用を勝ち取るケースが生まれています。
年齢・職歴・スキルによって難易度が大きく変わる理由
未経験からM&A業界を目指す場合、年齢や過去の職歴による選考難易度の変化は非常に顕著です。最も有利なのは20代で、特に25〜29歳はポテンシャル採用が活発なため、財務知識が不十分でも「吸収力」「将来性」が評価につながりやすい年代です。
30代に入ると求められる基準が高まり、単なる「やる気」だけでは通過が難しくなります。30〜34歳では、これまでのキャリアで何を成し遂げてきたのか、M&A業務にどう活かせるのかといった具体的な成果が問われるようになります。一方で、法人営業や専門職で確かな実績を持っていれば、未経験でも採用される可能性は十分にあります。
一方で35歳以上になると、未経験での採用は急激に狭まります。この年代では即戦力性が重視されるため、コンサル経験・会計資格・財務モデルの理解など明確な強みが求められます。「知識はないがM&Aに挑戦したい」という状態では書類すら通りにくくなり、準備不足が強いマイナスポイントになります。
このように、年齢・経歴・スキルの組み合わせが選考結果を大きく左右するため、未経験者がM&A業界への転職を成功させるには、現状の強みと課題を正確に見極めた戦略が必要なのです。
未経験者でもM&A業界へ転職できる人の特徴
未経験からM&A業界に挑戦する場合、「どのような人が向いているのか」という点は多くの方が気にするポイントです。M&Aは専門性が高く、責任の重い仕事ではありますが、その分やりがいも大きく、成長意欲の高い人にとっては飛躍的なキャリアアップが期待できる世界でもあります。
ここでは、既存の成功者に共通する特徴と、M&A業界ならではの適性を踏まえて、未経験でも活躍しやすい人材像を具体的に解説します。全てに当てはまらなくても問題ありませんが、多くの項目に該当する方は、自信を持って転職活動を進めていいでしょう。
営業数字に強くコミットできる人
M&A業界、とくに仲介会社では「成果への徹底したコミット力」が最も重視されると言っても過言ではありません。案件の開拓や経営者からの信頼獲得は営業活動そのものであり、成果が数字に直結する場面が多くあります。自分の努力や行動量が成果に反映される環境を好む人、または「毎日○件のテレアポをやり切る」「半年以内に案件化を目指す」といった目標達成に真剣に向き合える人は、未経験でも高く評価されます。
努力を継続できるストイックさがある人ほど、難易度の高いM&Aの世界でも結果を出しやすく、採用企業からも「伸びしろのある人」と捉えられます。
ロジカル思考・財務理解の伸びしろを示せる人
M&Aでは、企業価値評価や財務諸表の分析、スキーム設計など、論理的な判断が求められる場面が多くあります。ただし未経験者に完璧な知識や高度な財務スキルを求めるケースは多くありません。それよりも「情報を整理する力」「物事を論理的に考える習慣」「必要な知識を主体的に学ぶ姿勢」が重要視されます。
特にM&Aの世界では、金融や法務、労務、税務など多岐にわたる知識が必要になります。業界に入ってから学ぶ範囲が多いため、早い段階から簿記や財務モデリングに取り組んでいる人は、伸びしろを評価されやすく、未経験でも十分に採用のチャンスがあります。
成長意欲・向上心が強い人
現代のM&Aは、株式譲渡・事業譲渡・合併・会社分割など多様な手法が存在し、クライアント企業の状況に応じて柔軟に提案を行う必要があります。そのため、金融知識はもちろん、法務・税務・人事など横断的な知識を求められる場面も増えています。
こうした環境では、受動的に研修を受けるだけでは不十分で、「自ら知識を広げようとする姿勢」が極めて重要です。好奇心旺盛で、新しい領域を積極的に学べる人ほど成長が早く、企業側もポテンシャルを高く評価します。
未経験であっても、専門性の吸収に前向きで向上心を持つ人は、M&A業界で大きく活躍できる可能性があります。
ストレス耐性・粘り強さがある人
M&Aは企業の将来を左右する責任の重い仕事であり、時に新聞やニュースの一面を飾るような大規模案件に関わることもあります。案件の調整過程で予想外のトラブルが発生したり、経営者からの依頼が急遽入ったりすることも珍しくありません。プレッシャーの大きい環境でも冷静に行動できる人、最後まで粘り強く問題解決に向き合える人は、この業界で強く求められます。
また、案件の進行に伴い、関係者の人生や従業員の未来に影響を及ぼす場面も多く、責任感を持って最後までやり抜けるかどうかは非常に重要な資質です。粘り強さがある人は、M&A成立時に大きな達成感と深い充実感を得られるでしょう。
20〜30代でキャリアの柔軟性が高い人
M&A業界全体として、未経験者の採用が最も活発なのは20〜30代です。若手ほど成長スピードが速く、専門知識の吸収も比較的スムーズなため、企業側も育成に投資しやすい年代と言えます。特に20代後半は、ポテンシャル採用と即戦力採用のバランスが良く、業界未経験でも挑戦しやすいタイミングです。
一方、30代後半からは経験者採用が中心になり、M&Aに関連する専門知識やコンサル・金融などの実務経験が求められるようになります。そのため、未経験から本格的にM&Aに挑戦するなら、できるだけ早い段階で転職を検討することが成功のカギになります。
未経験でも、これらの特徴を備えている人はM&A業界で十分に活躍できる可能性があります。
未経験者がM&A転職を成功させる5つのコツ
未経験からM&A業界を目指す場合、ただ応募するだけでは書類選考の段階で弾かれてしまうことも珍しくありません。専門性が高い業界だからこそ、「未経験でも採用したい」と思わせる準備が必要です。ここでは、未経験者でも採用率を高めるために必ず押さえておきたい5つのポイントを、重要度順に解説します。
営業力・実績をアピールする
未経験者の選考で最も評価されるのは、圧倒的な「営業力」と「成果実績」です。特にM&A仲介では案件の開拓が売上の源泉となるため、過去の職務でどれだけ数字にコミットし、結果を出してきたかが非常に重要です。
たとえば、
「新規開拓で月◯件受注した」
「営業成績で全社トップ10%に入った」
「前年対比で◯%の売上成長に貢献した」
など、具体的な数値を示せる実績は強力なアピール材料になります。
企業側は“走れる営業パーソン”を求めているため、過去の成果が明確なほど未経験でも高く評価され、採用率が大きく向上します。
財務・会計知識を学習しておく
M&Aは企業価値評価や財務デューデリジェンスなど、数字を扱う業務が多いため、財務・会計への理解は避けて通れません。未経験者に高度な専門性を求めることはあまりありませんが、最低でも簿記の基礎や財務三表の読み方を理解していると、面接での評価は一気に上がります。
選考では「どれだけ勉強しているか」もチェックされるため、
「簿記2級の学習を進めている」
「企業価値評価について勉強している」
「財務モデルを触ったことがある」
といった姿勢を示すことが重要です。
面接時に“学ぶ姿勢”を示せるかどうかは、未経験者の合否を大きく左右します。
M&Aに関連する資格を取得する
資格は「知識がある」ことを証明するだけでなく、「主体的に学んでいる人材」という評価にもつながります。未経験者は即戦力ではない分、“学習意欲”を資格で示せると選考が有利になります。
簿記2級/中小企業診断士/FP/証券アナリスト
-
簿記2級
財務諸表の理解に直結し、最も汎用性の高い資格。未経験者の学習として事実上の必須レベル。 -
中小企業診断士
中小企業の理解、事業分析、財務・法務など幅広い知識を網羅。仲介との相性が良い資格。 -
FP(ファイナンシャルプランナー)
財務・税務の基礎を習得できるため、金融リテラシーを示す指標として有効。 -
証券アナリスト(CMA)
高度な財務分析や投資理論を扱うため、FASやアドバイザリーを志望する人に強く推奨。
資格は必須ではありませんが、取っておくことで「未経験でもキャッチアップできる人材」として評価が高まります。
志望動機・キャリアプランを言語化する
未経験者の面接で最も重要なのが、「なぜM&Aを志すのか」を筋道立てて説明できるかどうかです。単に「興味がある」「成長したい」といった抽象的な理由ではなく、過去の経験や価値観と結びついた“自分だけのストーリー”を語れると、強い説得力につながります。
さらに、
- M&A業界でどんな専門性を身につけたいか
- 将来どんなキャリアを築きたいか
- なぜ今このタイミングで転職したいのか
といった中長期のキャリアイメージも整理しておくことで、企業側に「長期的に活躍する人材」と感じてもらえます。
未経験者の場合、スキルの証明よりも“意欲と明確な目的意識”が評価に大きく影響します。自分の言葉で語れるように準備することが転職成功の鍵です。
M&A転職に強いエージェントを活用する
M&A業界は企業ごとに求める人物像・働き方・教育体制が大きく異なるため、情報が不透明になりがちです。未経験者ほど、自分ひとりの判断で応募するよりも、M&A専門の転職エージェントを活用することで成功率は大幅に上がります。
専門エージェントであれば、
- あなたの強みを活かせる企業の選定
- 書類・面接対策の最適化
- 非公開求人の紹介
- 現場のリアルな働き方の情報提供
など、通常では得られないサポートが受けられます。特に面接対策では“どのエピソードをどう話せば評価されるか”まで具体的に指導してくれるため、未経験者にとっては重要な成功要因となります。
M&A業界への転職に有利な業界・職種
M&A業界は専門性の高い領域ですが、未経験であっても「出身業界・職種」との相性によっては高く評価されるケースがあります。特に、金融・コンサル・経営企画など、日頃から財務分析や経営者との折衝に関わるポジションはM&A業務との親和性が高く、採用企業からのニーズも強い分野です。
ここでは、M&A業界へ転職する際に特に有利とされる5つの業界・職種について、なぜ評価されるのか、どのようにスキルが活かされるのかを解説します。
金融営業(銀行・証券)
銀行や証券会社の営業経験者は、M&A仲介・FAのどちらからも高い評価を受けやすい職種です。最大の理由は、経営者と日常的に接点を持ち、財務に関する基礎知識が自然と身についている点にあります。
銀行は融資相談、資金繰り、事業再生など幅広い経営課題に触れるため、企業のビジネスモデルを理解したうえで提案できる力が評価されます。証券営業も同様に、資産運用・株式・債券など企業の財務構造に関わる提案経験があるため、財務理解の土台が強いとみなされます。
また、金融営業は「数字へのコミット」や「新規開拓スキル」が求められる環境のため、M&A仲介の営業スタイルとも非常に相性が良いのが特徴です。
法人営業(メーカー・ITなど)
メーカーやIT企業などの法人営業出身者も、M&A仲介を中心に採用されることが多い職種です。特に評価されるのは、経営層とのコミュニケーション力と課題解決型の提案経験です。
法人営業では、商品説明だけでなく「顧客企業が抱える課題を把握し、最適な解決策を提案する力」が必要になります。このプロセスはM&A仲介の提案活動と非常に似ており、業界知識は後からキャッチアップできるため、実績と行動力がある人は未経験でも採用されやすい傾向があります。
また、M&Aの現場では製造業・IT・医療など多様な業界が登場するため、特定業界の顧客を担当していた営業経験がそのまま強みに変わるケースもあります。
公認会計士/税理士
公認会計士や税理士は、M&Aアドバイザリー(FA)やFASで特に強く求められる職種です。企業価値評価(バリュエーション)や財務デューデリジェンスなど、専門性がそのまま業務の中心となるため、経験者は即戦力として非常に高い評価を受けます。
監査法人での会計監査経験や、税務申告・組織再編の実務経験がある場合、複雑な取引や財務構造の理解がスムーズにできるため、入社後の活躍スピードが速いのも特徴です。
未経験からアドバイザリーを目指す場合でも、会計士・税理士資格を持っているだけで選考通過率は大幅に向上します。
コンサルティングファーム
戦略コンサル・総合コンサル・財務系コンサル出身者も、M&A業界との親和性が極めて高い職種です。コンサルタントは、業界分析・事業計画策定・財務モデル作成など、M&Aの前工程や意思決定に近い領域で多くの経験を積んでいます。
特に戦略コンサルの経験者は、買収後の統合作業(PMI)やデューデリジェンス支援で強みを発揮しやすく、FASやアドバイザリーに転職しやすい傾向があります。また、論理的思考力や資料作成能力の高さは、M&A業務に直結する重要なスキルです。
未経験の場合でも、コンサル経験があればFA・FASへの転職を狙える数少ないケースと言えるでしょう。
経営企画・事業企画
事業会社の経営企画・事業企画は、M&Aの経験を最も積みやすい“企業内の実務ポジション”です。資本政策、投資判断、事業戦略の策定など、多くの業務がM&Aと密接に関わっています。
特に、
- 予算管理
- KPI策定
- 新規事業立ち上げ
- 他社とのアライアンス検討
- 事業ポートフォリオの整理
といった業務は、M&A判断の基礎となるため、FA・FASの採用でも高く評価されます。企業買収に関わったことがあれば、未経験枠ではなく「セミ経験者」として扱われるケースもあります。
これらの職種は、M&A業界に必要なスキルと共通点が多く、未経験でも強みとして評価されやすい分野です。
M&A仲介とアドバイザリー(FA)の違い|未経験者はどちらを狙うべき?
M&A業界を志望する際、多くの方が最初に迷うのが「仲介」と「アドバイザリー(FA)のどちらを選ぶべきか」という点です。どちらもM&Aを支援する役割を担いますが、ビジネスモデル・求められるスキル・働き方は大きく異なります。特に未経験者の場合、この違いを理解しておくことで、ミスマッチを防ぎながら最適なキャリア選択がしやすくなります。
ビジネスモデルの違い
M&A仲介は、売り手と買い手双方と契約し、中立的な立場で取引成立を目指すビジネスモデルです。売り手・買い手の双方からフィーを受け取る「両手取引」が可能なため、1件あたりの取引で得られる収益が大きいことが特徴です。また、中小企業の事業承継ニーズの高まりもあり、仲介会社の市場は近年急速に拡大しています。
一方、**アドバイザリー(FA)**は、売り手か買い手のどちらか一方と契約し、クライアントの利益最大化を追求する専門家の立場です。戦略策定、企業価値評価、デューデリジェンス支援などより深い専門性を提供し、フィーは片方のクライアントから受け取ります。
大まかに整理すると、
- 仲介:中立的に「売り手 × 買い手」をつなぐ
- FA:クライアント側の利益を守り、専門的に支援する
という違いがあります。
求められるスキルの違い
**仲介で求められるのは“営業力”**です。経営者への接点づくり、案件の開拓、意思決定のサポートなど、営業活動を中心に仕事が進むため、過去に営業で成果を出してきた人は高く評価されます。
- 新規開拓の経験
- 高いコミュニケーション力
- 数字への強いコミットメント
これらが重視され、財務・法務は入社後のキャッチアップで追いつけるケースが多くあります。
一方、FAでは専門性が重視されるため、求められるスキルは大きく異なります。
- 財務モデル(バリュエーション)の構築
- 会計・税務・法務の基礎理解
- 経営分析力・戦略的思考
とくに公認会計士やコンサルファーム出身者が多く、未経験から入る場合は一定の学習やバックグラウンドが求められます。
働き方・忙しさの違い
仲介とFAでは、業務の負荷や働き方にも違いがあります。
**仲介の働き方は“営業中心のハードワーク”**が基本です。
経営者との商談が夜間・休日に発生することも多く、スケジュールが不規則になりやすい傾向があります。ただし、成果を出せば大きなインセンティブに直結するため、若手でも短期間で高年収を狙える側面があります。
**FAは“専門作業に集中するプロフェッショナル型”**の働き方です。
財務モデル作成やレポート業務が多いためデスクワーク中心ではあるものの、案件のピーク期には深夜まで作業が続くこともあり、仲介とは別の意味で忙しさが発生します。
大まかに整理すると、
- 仲介 → 営業中心、対外折衝が多い
- FA → 分析中心、専門作業の密度が高い
という違いがあります。
未経験者が入りやすいのは“仲介”
未経験者が最も挑戦しやすいのは、間違いなくM&A仲介です。仲介会社は業界全体の成長スピードが速く、人材需要も高いため、20〜30代を中心に未経験採用が積極的に行われています。
仲介では営業力が重視されるため、
- 法人営業経験がある
- 過去に高い成果を出してきた
- 数字へのコミットが得意
という人であれば、十分に突破可能です。
一方でFAは専門性が問われるため、未経験で入るには財務知識の習得や資格取得が事実上必須となることが多く、仲介に比べると難易度は高めです。
M&A業界の市場動向と今後の展望
近年、日本のM&A市場はこれまでにないスピードで拡大し続けています。かつては大企業同士の経営戦略の一部と捉えられていたM&Aですが、現在では中小企業の事業承継や地域経済の再編など、より身近で実務的な手段として活用されるケースが増えています。この背景には、企業数の減少・労働力不足・市場競争の加速といった社会的要因が多く絡み合っています。
こうした時代の変化は、M&Aに携わる人材需要にも大きな影響を与えており、今後も市場拡大が続くと予測されています。ここでは、M&A市場の現状と将来を左右する主要な要素について整理していきます。
M&A件数の推移
日本のM&A件数は2012年頃から右肩上がりで増加しており、近年では年間4,000件前後を推移しています。特に中小企業同士の取引が増えており、かつてのように“一部の大企業が行う特殊な取引”ではなく、各企業の経営課題や成長戦略において一般化した手法になりつつあります。
世界全体で見ると、グローバルM&Aの巨大案件が市場を動かしていますが、日本は「小規模〜中規模の案件が多い」という特徴があり、M&A仲介を中心とした業界の裾野が広がっています。件数の増加はプレイヤー数の増加につながり、人材の採用意欲も高まっているのが現状です。
事業承継・後継者不在問題
M&A市場拡大の最も大きな要因は「中小企業の後継者不足」です。日本では団塊の世代の経営者が引退時期を迎えており、後継者不在率は約半数にのぼると言われています。
この課題は地域経済に深刻な影響を及ぼすため、多くの企業が廃業ではなく“M&Aによる事業承継”を選ぶようになりました。従業員の雇用維持、技術の継承、取引先への影響軽減といった観点からも、事業承継型M&Aのニーズは今後さらに高まると予測されます。
この流れは今後10年以上続くと見込まれており、M&A業界にとっては安定的な成長基盤と言えるでしょう。
地方M&Aの増加
近年顕著なのが「地方中小企業のM&A件数が急増している」点です。地方では都市部以上に後継者不足が深刻であり、事業承継ニーズが高まっています。また、地方企業は独自の技術や強みを持つケースが多く、都市部の企業が成長領域を広げる目的で買収を検討する動きも増えています。
地方銀行や地域の士業、自治体などもM&Aを支援する体制を整えており、地域全体で事業承継を支える動きが活発化しています。その結果、地域密着型の案件が増え、仲介会社・FAともに地方でのプレゼンスを強める企業が増えています。
アドバイザリー・FASの需要増加
従来は仲介案件が市場の大部分を占めていましたが、近年はアドバイザリー(FA)やFAS(財務アドバイザリー)の需要が急速に拡大しています。背景には以下のような要因があります。
- M&A取引が複雑化し、高度な財務分析やデューデリジェンスが不可欠になっている
- 上場企業や中堅企業が戦略的な買収・売却を積極的に進めている
- ガバナンス強化の流れで、専門家によるチェックが求められている
これにより、公認会計士、コンサル経験者、財務分析に強い人材へのニーズも高まり、FAS・FAファームが採用を増やしています。未経験者にとっては難易度の高い領域ではあるものの、財務知識の習得や資格取得によって挑戦できる幅は広がっています。
今後のM&A市場は、事業承継を中心とした安定需要に加え、戦略的M&Aの活発化によりさらに成長が見込まれます。これに伴い、仲介・FA・FASなど多様なプレイヤーが必要とされ、人材需要も継続的に高まっていくでしょう。
M&A業界の主な企業
日本の主なM&A仲介会社を以下でまとめます。
転職を検討中の方は、各社の特徴などをぜひ参考にしてください。
| 企業名 | 特徴 |
|---|---|
| 株式会社日本M&Aセンター | 国内最大級の独立系M&Aコンサルティング会社 / 2007年12月に東証一部上場 / 4,000件以上のM&A案件を成立 |
| 株式会社M&Aキャピタルパートナーズ | 2013年11月に東証マザーズ上場 / 事業承継案件が中心 |
| 株式会社ストライク | M&A仲介とアドバイザリーサービスを提供 / 公認会計士が多数在籍 |
| 株式会社M&A総合研究所 | M&A仲介業務にデジタル技術を活用 / AI企業PKSHA Technologyとの業務提携 |
M&A業界への転職を考える際には、各社のインセンティブ率や業務スタイル(一気通貫か、もしくは分業)などを比較すると、ご自身とマッチ度の高い企業を選びやすくなります。
たとえばM&A総合研究所はオンライン集客などデジタル技術を駆使し、効率性を重視していることが特徴のため、入社初年度から1件でも多くの成約経験を積みたい方に向いています。
一方、M&Aキャピタルパートナーズはアドバイザーが一気通貫で業務を行うため、経営層と深く関わる機会を増やし、経営戦略や意思決定の最前線に触れられる点が魅力の企業です。
M&A業界の年収が高い理由
平均年収が高いことで知られるM&A業界ですが、業界全体の収益構造や給与構造、M&A需要の高まりなどが理由に含まれます。それぞれを詳しく見ていきましょう。
ビジネスモデルの収益性が高い
M&A仲介会社は、売り手と買い手、両方の企業から手数料をもらうことで成り立っています。
初回面談から成立に至るまで一気通貫で担当するケースが多く、どの段階においても専門的な知識が必要とされる負荷の高い業務です。
そのため、M&A仲介会社は平均して1件当たりに5,000万~7,000万円と、非常に高額な手数料を設定しています。
成功報酬制を採用しているM&A仲介会社が中心ですが、成功案件の数に左右されず、十分な利益を生むことができるビジネスモデルとなっています。
さらに、物理的な製品の製造などが発生しないビジネスであることも、平均年収を高めている要因の一つです。
売上のほとんどを人件費や広告宣伝費に充てることが出来るため、高額な給与の支払い分を差し引いても、営業利益率は40%を超えると言われています。
給与構造が成果報酬である
M&A業界の給与体系は成果報酬型が一般的で、成功すれば高収入が得られるという仕組みです。
平均的なインセンティブ率は20%前後で、年間契約数や成約数に応じてボーナスが支給されるため、得られるインセンティブに上限はありません。
たとえばインセンティブ率が20%で5,000万円の成約単価の場合、その年の年収は1,000万円変わってきます。
このような成果報酬型の給与構造は、M&Aアドバイザーのモチベーションを高めることにもつながっていますが、細かい報酬体系や賞与体系は各会社によって異なります。
転職を検討している方は、各会社の給与構造をしっかりと理解し、ご自身が納得できる会社を選択しましょう。
M&Aの需要が高まっている
日本国内におけるM&A件数が増加していることも、業界全体の平均年収を高めている理由です。
前述の通り、M&A件数の増加の背景には、中堅・中小企業の後継者不足があり、経営者の平均年齢は60歳を超え、今後も高齢化が進むと予測されます。
特に地方の中小企業においては、もともと同族内継承が主流でしたが、近年は進学や就職で稼業を継がない人も少なくありません。
このような背景から、深刻化する後継者不足の有力な解決策として注目されているM&A業界の需要は、今後も持続的に増加すると考えられます。
M&A業界に未経験で転職した事例
ここからは、M&A業界に未経験で転職した事例を2つ、ご紹介します。
事例①R・Hさん
| 転職前の業界職種 | 税理士法人(会計士) |
| 転職後の業界職種 | M&A仲介(コンサルタント) |
| 転職前の年収 | 約600万円 |
| 転職後の年収 | 約600万円 |
R・Hさんは新卒から5年間、会計士として勤務したのち、スキルが活かせる異業種への転職を決意しました。
転職エージェントのMyVisionから、可能性の一つとして提案されたM&A業界に興味を持ったことが、M&A仲介会社に転職した大きな理由です。
MyVisionのサポートを受けながら企業研究や面接を進めていくうちに、M&Aの社会的意義の高さを実感し、志望度が高まったと言います。
やりがいのある仕事に転職できたと語るR・Hさんですが、ベース年収は転職前と変わりません。しかし、インセンティブの割合が非常に大きい企業のため、R・Hさんは現実的な目標として「5年以内に年収1億円」を掲げています。
R・Hさんが未経験からの転職を成功させたのは、転職エージェントを活用し、M&A業界という選択肢を知ったことがポイントの一つです。
一人ではイメージできない業種やポジションでも、第三者であるプロからの提案で可能性が広がるケースは決して少なくありません。
事例②I.Hさん
| 転職前の業界職種 | メガベンチャー(営業) |
| 転職後の業界職種 | M&A仲介(コンサルタント) |
| 転職前の年収 | 約800万円 |
| 転職後の年収 | 約1,300万円 |
I.Hさんは30歳を超えてからM&A業界への転職を成功させた一人です。
大学卒業後、ゼネコンでの施工管理とメガベンチャーでの営業職を経験したI.Hさんですが、経営層としてのキャリアを実現させるために転職を決意したと話します。
I.HはコンサルティングファームとM&A業界を比較したうえで、成約件数でシビアに評価されるM&A業界の方が、ご自身との親和性が高いと感じたそうです。
当初、M&A仲介を「営業職の延長線上」とイメージしていたI.HさんはM&A仲介に大きな興味があったわけではありません。
MyVisionからの説明を受けて仕事に魅力を感じ、年収・キャリアパス・成長環境などがご自身にとってベストな選択肢であると感じたと言います。
結果として、年収は前職の800万円から1,300万円と大幅に増加しました。
現在は「遅くとも10年以内には経営者になりたい」という目標に向かって、ビジネスチャンスを探索しながら日々の業務で成果を上げ続けています。
M&A業界への転職ならMyVision
M&A業界への転職を目指すなら、コンサル業界に特化した転職エージェントMyVisionがおすすめです。
MyVisionでは、業界未経験からのチャレンジにも、コミュニケーションなど初歩的な部分から志望動機の深掘り、面接対策まで徹底的なサポートを行っています。
また、M&A業界における各社の詳細な違い、活躍しやすい人物像など、200社以上との強固なコネクションを持つMyVisionだからこそお伝えできる情報が豊富です。
未経験からM&A業界への転職を考えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
M&A業界は、高収益なビジネスモデルや市場の拡大により、高年収を実現しやすい魅力的な業界です。しかし、M&Aの基礎知識やプロセスの理解、経営層との信頼関係を構築するコミュニケーション能力など、多様なスキルセットが求められます。
また、本記事で紹介したように、M&A業界にもさまざまな業態や企業があり、それぞれ特徴が異なるため、未経験からの転職には正しい情報収集も不可欠です。
M&A業界へのキャリアチェンジを考えている方は、ご自身の強みを活かしながら、どの領域で活躍できるかを見極め、着実に準備を進めていきましょう。 M&Aコンサルタント・M&Aアドバイザリー(FA)の求人情報はこちら
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