A.T.カーニーとは?会社概要や特徴、強みを徹底解説
2025年12月26日更新
A.T.カーニー(現:Kearney)について、「どのようなコンサルファームなのか」「ほかの戦略ファームと何が違うのか」と気になる人は多いでしょう。マッキンゼーやBCGと並び語られることもある一方で、具体的な強みや特徴までは知られていないことがあります。
結論からいうと、A.T.カーニーは実行力と現場視点を重視する戦略コンサルティングファームです。戦略立案にとどまらず、オペレーション改革や変革の実行フェーズまで深く関与する点に特徴があるため、クライアントと伴走しながら本質的な成果創出を目指すスタイルに魅力を感じる人も多いでしょう。
本記事では、A.T.カーニーの基本的な会社概要をはじめ、特徴や強み、扱っている案件の傾向、年収水準や制度面までを網羅的に解説します。まずはA.T.カーニーがどのようなファームなのかを整理し、自分に合う企業かどうかを判断する材料としてご活用ください。
著者

町田 康熙
Machida Yasuhiro
慶應大学を卒業後、博報堂グループ・リクルートでの営業や、ローランドベルガーでの戦略コンサルティングを経験。MyVisionでは、コンサルタントとしての実践知と営業としての提案力を生かし、事業会社・コンサルティングファーム両面のハイクラス転職に強みを有する
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監修者

北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
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目次
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A.T.カーニーとは
A.T.カーニーは、グローバルに展開する戦略コンサルティングファームとして、長年にわたり多様な業界の企業変革を支援してきました。理論やフレームワークに偏らず、実務に即した提案をおこなう点が評価されており、経営層から現場まで幅広い層と向き合うスタンスが特徴です。
ここでは、A.T.カーニーならではの企業としての特徴や強み、さらにどのような案件を中心に手がけているのかを整理しました。A.T.カーニーのコンサルティングスタイルや価値提供の方向性を理解することで、ほかファームとの違いが見えてきます。
企業の特徴・強み
A.T.カーニーの特徴・強みは、戦略立案とオペレーション改革を一体で捉えるコンサルティングスタイルです。戦略の構想段階にとどまらず、事業・組織・業務プロセスといった実態を踏まえた設計をおこなうことで、実行可能性の高い提案をしています。
また、製造業・自動車・消費財・エネルギーなど、グローバルかつ大規模な企業変革を要する業界で豊富な支援実績を持つことも強みです。業界知見と機能別の専門性を掛け合わせることで、クライアント固有の課題に即した戦略を提示します。
さらに、少数精鋭の体制による高い裁量権と、フラットで議論を重視するカルチャーもA.T.カーニーの特徴です。若手の段階から仮説構築や経営層への提案に関与する機会が多く、戦略思考と実行視点の双方を早期から身につけやすい環境が整っています。
扱っている案件の特徴
A.T.カーニーが扱う案件の特徴は、企業の中核機能に踏み込む変革テーマが多い点にあります。単発の戦略策定にとどまらず、中長期的な競争力強化や事業基盤の再構築を目的とした案件が中心です。
具体的には、全社・事業戦略の策定に加え、オペレーション改革、サプライチェーン最適化、調達改革、コスト構造改革など、企業活動の根幹に関わるテーマを多く手がけています。とくに製造業をはじめとしたグローバル企業では、複数地域・複数部門にまたがる複雑な課題に対応する案件が多い傾向です。
また、構想段階で終わる案件は比較的少なく、施策の優先順位付けや実行ロードマップの策定まで関与するケースが多い点も特徴といえます。経営層の意思決定と現場オペレーションの橋渡しを担いながら、変革を具体的なアクションへ取り込む案件が中心です。
以下の記事でも、A.T.カーニーがどのような会社か、特徴を見出しごとにわけて解説しています。A.T.カーニーについて詳しく知りたい人は、ぜひご覧ください。
A.T.カーニーの会社概要
| 会社名 | A.T.カーニー(KEARNEY) |
| 事業内容 | 経営コンサルティング |
| 設立 | グローバル:1926年(米国シカゴ) 日本:1972年 |
| 拠点数 | 世界45の国と地域に89拠点 |
| 従業員数 | グローバル:約5,700名 日本:約330名 |
A.T.カーニーは、長い歴史を持つグローバル戦略コンサルティングファームとして、世界各国の企業変革を支援してきました。
拠点数や従業員規模といった基本情報だけでなく、どのような価値観を軸に経営・コンサルティングをおこなっているのかは、企業理解を深めるうえで重要なポイントです。
ここでは、A.T.カーニーの会社概要を整理したうえで、企業理念や社内カルチャーに焦点を当てて解説します。
数値や事実だけでは見えにくい「ファームとしての思想」や「働く人に求められるスタンス」を把握することで、A.T.カーニーが自分に合う環境かどうかを判断しやすくなるでしょう。
企業理念
A.T.カーニーは、グローバルブランド「Kearney」として、5つのコアバリューを軸にコンサルティングをおこなっているコンサルティングファームです。これらの価値観は、クライアントとの向き合い方や組織運営の考え方に反映されています。
A.T.カーニーが重視する主な価値観は、以下のとおりです。
| 探究心(Curiosity) | 既存の前提にとらわれず、本質的な課題を深く掘り下げる姿勢 |
| 挑戦(Boldness) | 難易度の高いテーマにも正面から向き合い、新たな打ち手を模索する姿勢 |
| 連帯(Solidarity) | クライアントやチームと密接に協働し、共通の目標に向かって取り組む考え方 |
| 寛容さ(Generosity) | 多様な価値観や意見を尊重し、建設的な議論を重視するスタンス |
| 情熱(Passion) | 企業変革に本気で向き合い、成果にこだわる姿勢 |
こうした価値観のもと、A.T.カーニーは専門性の高い知見を一方的に提供するのではなく、クライアントと協働しながら課題解決を進めることを重視しています。
グローバル共通の考え方を持ちつつ、業界や地域特性を踏まえた支援をおこなうことで、持続的な価値創出を目指している点が特徴です。
社内カルチャー
A.T.カーニーの社内カルチャーは、フラットでオープンな議論を重視する点が特徴です。年次や役職にかかわらず意見を交わす文化が根付いており、仮説や提案の中身そのものが重視されています。
プロジェクトではチームでの協働が前提となっており、個人プレーよりもチームとして成果を出す姿勢が求められる環境です。企業理念で掲げる「連帯」や「寛容さ」が、日常のコミュニケーションや意思決定の場面に反映されています。
また、若手の段階から重要な論点整理やクライアントとの議論に関与する機会が多い点も特徴です。上位者の指示をなぞるのではなく、自ら考え、問いを立てる姿勢が期待されており、主体性を持って働きたい人にとっては成長を実感しやすい風土といえるでしょう。
A.T.カーニーの歴史
A.T.カーニーは、長い歴史を持つ戦略コンサルティングファームとして、時代の変化に合わせながらグローバルに事業を拡大してきました。創業当初から一貫して企業の経営課題に向き合い、現在では世界各地に拠点を展開するファームへと成長しています。
ここでは、事実をもとにA.T.カーニーの歩みを時系列で解説しますので、ぜひご覧ください。沿革を把握することで、A.T.カーニーがどのような文脈のなかで現在の姿に至ったのかを理解できるでしょう。
創業からグローバルファームへ成長するまで
A.T.カーニーの起源は、1926年にアメリカのシカゴで設立された経営コンサルティング会社にさかのぼります。初期にはジェームズ・O・マッキンゼーが創立した会社で、その後アンドリュー・トーマス・カーニーが加わり、1939年に現在のファームの前身となる「McKinsey, A.T. Kearney and Company」が設立されました。
その後、1947年に社名は「A.T. Kearney and Company」と改められ、独自のコンサルティング組織として歩みを進めていきます。1950年代には従業員数が増加し、戦略・運営両面のコンサルティング領域での実績を積み重ねました。
1960年代には海外展開が本格化し、1964年にはドイツ・デュッセルドルフに最初の国際オフィスを開設、以降欧州やアジアを含む複数の地域に拠点を広げ、戦後のグローバル経済の成長にともない国際的なコンサルティングネットワークを構築していきます。
こうした拡大を経て、A.T.カーニーはアメリカ国内にとどまらないグローバルファームとしての基盤を確立しました。今日では世界40ヶ国以上にオフィスを展開し、国際的な企業変革支援に対応しています。
日本法人の設立と国内での展開
A.T.カーニーは、1972年にアジアにおける最初の拠点として東京オフィスを開設し、日本市場へ進出しました。日本進出時は営業所としてスタートし、その後の事業拡大にともない、1995年12月18日に日本オフィスを現地法人(A.T.カーニー株式会社)として設立しています。
東京オフィス開設当初の顧客は、日本企業や米系企業のごく一部に限られていましたが、日本市場が高度成長期を迎えるとともに、国内企業からの経営コンサルティングの需要も高まりました。以降、A.T.カーニーは日本法人として製造業・金融・消費財・通信・ITなど幅広い業界の企業支援を手がけるようになっています。
日本法人としての展開は、単なる戦略策定支援にとどまらず、企業の変革や成長を支えるオペレーション改革、組織改革、デジタル関連領域まで広がる点が特徴です。グローバルで培った知見を日本企業の課題解決に活かし、国内外の企業が直面する複合的な経営テーマに対応し続けています。
ブランド名「Kearney」への変更
A.T.カーニーは、2020年にグローバルでブランド名を「Kearney」へ変更しました。従来使用してきた「A.T. Kearney」という名称から、創業者名を簡潔にした形へと統一しています。
このブランド変更は、社名そのものの変更というよりも、グローバルでの呼称・ブランド表記を一本化する目的で行われたものです。コンサルティングの提供領域や事業内容に大きな変更があったわけではなく、これまで培ってきた専門性や支援スタイルは継続されています。
なお、日本を含む一部地域では引き続き「A.T.カーニー」という名称が併用されるケースもあり、グローバルでは「Kearney」、日本語文脈では「A.T.カーニー」と、地域や用途に応じて使い分けされている点も認識しておきましょう。
A.T.カーニーの平均年収
A.T.カーニーの平均年収は、口コミデータによると約1,335万円(※)で、コンサルティング・シンクタンク業界全体の平均年収である約860万円よりも475万円ほど高い水準です。
年収レンジを見ると、A.T.カーニーでは約590万円〜5,000万円と幅広い分布が見られます。職位や役割、担当する案件の規模によって年収差が大きくなる点が特徴です。とくにマネージャー以上の上位職では、成果や責任範囲に応じて高い報酬水準となる傾向があります。
また、職種をコンサルタント職に限定した場合の平均年収は約1,323万円とされており、全体平均と同様に高水準です。戦略立案だけでなく、企業変革やオペレーション改革といった難易度の高いテーマを扱うことが、報酬水準の高さにつながっていると考えられます。
※ 参考:OpenWork
A.T.カーニーの年収については、以下の記事で役職別の年収比較や新卒年収など、詳しく解説しているため、ぜひご覧ください。
A.T.カーニーの制度
A.T.カーニーでは、コンサルタント一人ひとりの成長と成果を支えるため、昇進制度や育成制度が整備されています。高い専門性やアウトプットが求められる環境において、評価や育成の仕組みを理解しておくことは重要です。
ここでは、A.T.カーニーの昇進制度と育成制度について解説します。キャリアの進み方やスキル習得の考え方を把握することで、同社でどのような成長が期待できるのかを具体的にイメージしやすくなるでしょう。
昇進制度
A.T.カーニーの昇進制度は、年次よりも成果や能力を重視する考え方を前提としています。在籍年数に応じて自動的に昇進する仕組みではなく、プロジェクトで発揮したアウトプットや貢献度が評価の軸です。
評価にあたっては、論点設定力や仮説構築力、クライアントとのコミュニケーション力など、コンサルタントとしての総合的なパフォーマンスが確認されます。役割期待を満たしているかどうかが昇進判断のポイントとなり、次の職位に求められる水準に到達しているかが見極められます。
このような制度のもとでは、実力次第で早期のキャリアアップを目指すことも可能です。一方で、成果に対する要求水準は高く、継続的なスキル向上や自己研鑽が欠かせません。昇進制度そのものが、成長を促す仕組みとして機能しているといえるでしょう。
育成制度
A.T.カーニーでは、コンサルタントの成長を支えるため、段階的な育成制度が整えられています。 入社後の早い段階から実務に携わり、OJTを通じてスキルを身につける考え方です。
プロジェクトでは、上位者からのレビューやフィードバックを受けながら業務に取り組みます。論点設定や仮説構築、資料作成、クライアントとの議論を通じて、実践的な能力を磨くことが可能です。
また、職位や経験に応じた研修やトレーニングも実施されています。実務と研修を組み合わせることで、戦略思考や業界理解を深めやすい環境です。
A.T.カーニーの福利厚生
A.T.カーニーでは、中途採用の募集要項や採用パンフレットを通じて、福利厚生や各種支援制度の内容が示されています。制度面を把握することは、同社での働き方やキャリア形成を具体的に考えるうえで重要です。
ここでは、A.T.カーニーの福利厚生を、教育・研修制度とキャリア形成支援、社会保険を中心とした生活基盤の支援、多様な働き方を支える制度の3つに分けて整理します。
制度の位置づけを確認することで、A.T.カーニーがどのような環境を整えているのかを客観的に理解しやすくなるでしょう。
教育・研修制度とキャリア形成支援
A.T.カーニーでは、コンサルタントの専門性向上やキャリア形成を支えるため、教育・研修制度が用意されています。
主な教育・研修制度、キャリア形成支援は以下のとおりです。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 入社時集中トレーニング | 入社後に必要な基礎知識やスキルを習得するためのプログラム |
| 昇進時トレーニング | 職位の変化に応じて求められる役割やスキルを学ぶ研修 |
| スキル別トレーニング | 分野別・テーマ別に専門性を高める研修 |
| プロジェクトマネジメントトレーニング | プロジェクト推進に必要な管理・運営スキルを学ぶ制度 |
| ナレッジ・シェアリング・プログラム | 社内で知見を共有し、学び合う仕組み |
| 海外MBA留学支援制度 | 海外MBA取得を支援する制度 |
| 個人研修費用補助制度 | 個人の学習や研修にかかる費用を補助 |
A.T.カーニーでは実務経験と学習機会を組み合わせた育成環境が整えられています。キャリアの段階に応じた学びを支援する点が、教育・研修制度の特徴といえるでしょう。
社会保険をはじめとした生活基盤の支援
A.T.カーニーでは、社員の生活基盤を支える制度として、各種社会保険を完備しています。
公式に記載されている主な制度は、以下のとおりです。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 雇用保険 | 失業時などに備えるための公的保険制度 |
| 労災保険 | 業務中や通勤時の事故に備える保険制度 |
| 健康保険 | 医療費負担を軽減するための公的医療保険 |
| 厚生年金保険 | 将来の年金給付を支える公的年金制度 |
これらの社会保険が整備されていることで、就業中だけでなく将来を見据えた生活の安定にもつながります。長期的なキャリア形成を考えるうえでの基盤となる制度です。
多様な働き方を支える制度
A.T.カーニーでは、社員一人ひとりのライフステージや状況に応じた働き方を選択できるよう、柔軟性のある制度が用意されています。
同社が掲げる主な制度は、以下のとおりです。
| 制度名 | 概要 |
|---|---|
| 出産・育児休暇制度 | 出産や育児にともない、一定期間の休暇取得を可能とする制度 |
| 時短勤務・時差出勤制度 | 家庭の事情などに応じて、勤務時間を柔軟に調整できる制度 |
| リモートワーク制度 | 業務内容や状況に応じて、在宅勤務などを選択できる制度 |
| 兼業・副業制度 | 一定の条件のもとで、兼業や副業を認める制度 |
| サバティカル制度 | 中長期的な視点でキャリアを考えるための休職・休暇制度 |
これらの制度により、A.T.カーニーでは働く時間や場所、キャリアの進め方について複数の道を選ぶことが可能です。状況の変化に応じた働き方を検討できる点が特徴といえるでしょう。
A.T.カーニーの福利厚生については、以下の記事でもワークライフバランスの実態として、実際の口コミとともに解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ
A.T.カーニーは、グローバルに展開する戦略コンサルティングファームとして、企業変革にかかわる幅広いテーマを扱っています。企業の特徴や歴史、年収水準、制度面を整理することで、同社がどのような環境でコンサルタントを育成しているのかが見えてくるでしょう。
A.T.カーニーへの転職を検討する際には、ファームごとの違いや選考のポイントを正確に把握することが重要です。
戦略コンサル業界に特化した転職エージェントMyVisionでは、A.T.カーニーを含む主要ファームへの転職支援実績があり、専門的なサポートを通じて納得感のある転職判断につなげられます。


