メーカーからのコンサル転職 支援事例を元に徹底解説
2024年06月24日更新
近年、コンサルティングファームはメーカー出身者の中で最も人気な転職先の一つとなっています。
コンサルティングファーム各社はメーカー出身の方の積極的な採用を進めており、今後もこのトレンドは続いていくことが予想されています。メーカー出身の方も、年収・仕事内容・成長環境・市場価値といった側面からコンサルティング業界への転職を希望されている方が増加しています。
そこで本記事では、メーカーからコンサルティングファームへの転職者増加の背景、転職者の動機・メリット、転職対策などについてご説明できればと思います。
現在、メーカーで働かれており、ネクストキャリアを検討している方はぜひ参考にしてください。
監修者
大河内 瞳子
Okochi Toko
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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目次
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メーカーからのコンサル転職の事例
まずは弊社MyVisionが支援した、メーカーからコンサル転職を実現した方の事例を一部紹介します。
転職前の職場 | 転職先 | 転職先の役職 |
---|---|---|
飲料メーカー | 日系総合ファーム | シニアコンサルタント |
自動車部品メーカー | 日系ITファーム | シニアコンサルタント |
消費財メーカー | 日系総合ファーム | マネージャー |
食品メーカー | 外資総合ファーム | シニアコンサルタント |
化学メーカー | 日系戦略ファーム | コンサルタント |
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メーカーからコンサル転職する理由やきっかけ
次にメーカーからコンサル転職をする方に多い転職理由やきっかけを解説します。主に下記のような転職の動機が挙げられますので、それぞれ解説します。
- 年収面
- 仕事内容
- 成長環境
年収面
メーカーはキーエンスといった一部の企業を除き、年収1,000万円は早くても30代後半課長職以上となる必要がある企業がほとんどです。また、仮に能力が抜きん出ていたとしても、基本的には年功序列的な昇進制度である企業が多いです。そのため、より若い内に高い報酬を得たいといった動機から、コンサルティングファームへの転職を考え始める方も多いです。
仕事内容
メーカーには様々な職種や勤務地があり、必ずしも自分の希望通りにならない場合もあるため、配属に対して不満を持ち、転職を考え始める方もいます。具体的には、企画系の職種を希望していたものの営業職に配属された、本社での勤務を希望していたものの地方配属だった場合などの不満を持って転職される方も多いです。
こちらの方も異動先が自身の希望と合わず、転職を決意しました。一部引用します。
──国内向けの部門に異動となってしまい、自分の強みである英語力を生かした働き方ができなくなってしまったためです。もっと国際的な環境で活躍したいという思いから転職活動を開始しました。
成長環境
メーカーでは事業運営のノウハウを学ぶことができる一方、会社の経営全体・変革に携われる機会は少ないです。経営企画といった一部のポジションを除き、経営に携われるのは早くても40代からであることがほとんどで、若いうちからクライアント企業の経営層やキーパーソンと相対してマインド・スキルを磨くことが出来るコンサルティングファームに魅力を感じ、転職を考え始める方も多いです。
市場価値
メーカーでは既存の業界・顧客に対するプロダクト/サービス提供が主となるため、特定の業界・企業に対する専門的な知見を身に付けることができます。一方、転職する際にはその知見が活きる同業界・同職種に転職先が限られることも多く、将来のキャリアの可能性を広げるために転職を考え始める方も多いです。
会社全体のモチベーション
メーカーは良くも悪くも、社員のモチベーションの個人差が大きいです。特に、年功序列の影響が強い会社であれば、日々の業務を確実にこなした上で、プライベートの充実をより重視したいといった方も少なくありません。そのため、成長意欲が高く刺激が多い職場で働きたい方は、部署・同僚の仕事や成長に対するモチベーションがより強い会社に転職したいという思いを持つ方も多いです。
メーカーからコンサルに転職するメリット
年収面
コンサルティングファームは他の業界と比べて、若い内から高い年収を得ることができます。ファームの系統によって年収帯に違いはありますが、少なくとも5年ほど働けば年収1,000万を超えることが多いです。加えて、能力次第ではより早いスピードで昇進することが可能なので、実力次第ではさらに高額な報酬を得ることも可能です。
仕事内容
コンサルティングファームでは様々な業界のクライアントにサービスを提供するため、経験できるプロジェクトの種類は多種多様です。そのため、特定の業界・機能だけでなく、自身の希望によって幅広い経験を積むことが可能です。また、コンサルティングで依頼される案件は、クライアント企業の変革のためのDX推進など、企業の経営全体・変革に関われることに魅力を感じる方も多いです。
成長環境
コンサルティングファームは自らの提案・思考のみが商品にも関わらず、高額な報酬でクライアントに価値を提供することが求められるため、必然的に成長が求められます。また、常に高い熱意や倫理観、責任感をもって仕事するプロフェッショナルマインドを持つ方が先輩/同僚に多い環境も成長のための刺激となります。
市場価値
コンサルタントして経験を積むと、ポストコンサルタントとして市場価値が上がり将来のキャリアの可能性を広げることができます。例えば、スタートアップのCXOポジション、PEファンド/VCなど、メーカー出身の方であれば採用され辛い企業・ポジションに転職できる可能性が高まります。将来のキャリアの可能性を広げるためにも、コンサルティング業界は有効な選択肢の一つと言えます。
会社全体のモチベーション
コンサルティングファームに所属する方はハードワークが求められる分、仕事や成長に対するモチベーションが高いことが多いです。平日は少しでも良いアウトプットが出せるようタフに働くのは勿論、休日も自己研鑽のための読書・勉強・業界知識のキャッチアップなどの自己研鑽に励む方もいます。そのため、部署・同僚から刺激をもらえる環境に身を置きたいという方にとって、コンサルティングファームの環境は魅力となります。
業界未経験からコンサルへ転職のトレンド
コンサル業界全体で積極採用が続いている中で、未経験者の採用も増えています。リクルートエージェントの調査によると、コンサルティング業界の異業種からの転職者は7割以上に達しています。
未経験者の中でも、これまで事業会社の経営企画等を経験した限られた層がターゲットだったコンサル転職ですが、第二新卒(新卒から20代中盤の層)や、前職の業界での経験とポテンシャルを兼ね備えた20代後半~30代の方の採用ニーズも増加しています。
未経験者の採用を拡大している背景
日本国内においては働き方改革の促進やデジタル化によるDX需要などの影響で、コンサルティングファームに依頼される案件は増え続けています。一方でコンサルティングファームは、サービス提供できる人材が足りておらず、人手不足の状態にあります。そこで、即戦力となるコンサル経験者だけでは採用が追いつかないため、未経験者の採用も加速している状況にあります。
メーカーからコンサル転職する方の増加の背景
コンサルティングファームの中途採用において特定の業界・業務に対する深い知識を保有するメーカー出身者は非常に歓迎されます。
例えば、製造業のクライアントに対して業務改善コンサルティングを提供する際、新卒のコンサルタントよりも、製造業メーカー出身者の方がクライアントの業務理解の初動は圧倒的に早く、かつ、クライアントに対して肌感覚を持ち解決策を打ち出すことが可能になります。
また、総合系ファームで多いDX・IT導入といったテーマの場合でも、システム開発の前の業務分析フェーズで業界知識・業務知識を活かすことが可能です。
メーカーからコンサルへの転職が可能な理由
メーカーからコンサルティングファームへの転職は、近年メジャーになりつつあるキャリアパスの1つです。コンサル転職にあたって、メーカー出身者ならではのアピールできる知見・経験を下記に紹介します。
特定の業界における知見
メーカー出身者は、そのメーカーが属する業界の知見が豊富なことが多いです。例えば、製造業のメーカー出身の方がコンサルタントになった場合、製造業のクライアントに対しては新卒のコンサルタントよりも、クライアントの業務理解の初動は圧倒的に早く、かつ、クライアントに対して肌感覚を持ち解決策を打ち出すことが可能になります。
特定の機能における知見
メーカー出身者は、営業、品質管理など特定の部門で一定期間働くことによって特定の機能の知見が豊富なことが多いです。例えば、営業職を数年経験してコンサルタントになった場合、営業改革系のプロジェクトでは、実務経験に基づいて肌感覚のある提案をすることが可能になります。
マネジメントの経験
メーカー時代に何らかの形でチームを一定期間リードした経験も重要です。メーカー時代に管理職を担当していた方は勿論、メーカーでは海外駐在での現地の人材のマネジメントや、サプライヤーのマネジメントなど、マネジメントを経験できる機会も少なくありません。
コンサルファームでは、様々なステークホルダーと関わることが必要なプロジェクトマネジメントや、マネージャー以上ではプロジェクトチームの仕事の差配や進捗管理といったマネジメント業務を担います。もし、前職でもチームのマネジメントをした経験があれば、スムーズにプロジェクトマネジメントを実行することが可能になります。
以上のようなメーカーで培った知見・経験を適切にアピールすることによって、コンサルへの転職を成功させる可能性を高めることができます。
具体例
例えば、自動車メーカーから総合コンサルティングファームに転職した方は、下記の経験が評価されて転職に成功しました。
自動車メーカーの営業職として自動車販売会社(ディーラー)のマネジメントを実施。高いコミュニケーション能力で自動車販売会社との関係を良好に保ち、担当顧客の売上増加にも寄与した経験は、コンサルティングファームでのクライアントリレーション構築につながるとして評価されています。
自動車に関する専門的な知見や自動車業界特有の販売/流通構造への理解は、製造業のクライアントにコンサルティングを提供する際にも多きな強みとなります。
メーカーからコンサル転職の体験談
次に弊社MyVisionのエージェントが実際に支援を行い、メーカーからコンサルタントに転職を成功した事例を紹介します。
自動車メーカーからコンサル転職成功
T・Yさん / 38歳 男性 / 名古屋大学卒業
経歴について
名古屋大学を卒業後、自動車メーカーで研究開発職として働いていました。 ここ何年かは、主に自動運転領域で応用される技術について担当していました。
転職のきっかけ
自分が入社した頃と比較して、自動車業界の変化のスピードが非常に早くなっているという実感がありました。この業界の未来についてもっと積極的に考えられるようになりたいという思いが強くなっていき、元々いた技術畑ではなく、より上流のビジネスサイドから業界に携わっていきたいと考えるようになったのがきっかけです。
コンサル転職をした背景
今までのキャリアを考えると、転職しやすいのは同業他社に技術者として転職することでした。しかし、私のやりたいことを実現するためには、もう少しキャリアの幅を広げる必要があり、その点でコンサルティング業界が最適だと考えました。
キャリアの展望
元々、自動車業界の未来にビジネスサイドとして携わりたいという思いがあるので、最終的には自動車業界に戻りたいと考えています。そのためにも5年ほどのコンサルティング経験を積んだ後、自動車業界の経営企画室などに転職するつもりです。
転職前後の年収や転職活動の反省点、転職活動をして良かった事など、インタビュー記事はこちらになります。
食品メーカーからコンサル転職
I・Kさん / 31歳 男性 / 早稲田大学
経歴について
早稲田大学を卒業後、10年ほど大手食品メーカーで勤務していました。転職する直前はSCM担当として働いておりました。
転職のきっかけ
ちょうど海外駐在期間の終了と日本への帰任が近づいてきたこときっかけでした。転職するかどうかを含め、一度キャリアを棚卸しして、今後のキャリアプランを考えたことが背景です。
コンサル転職をした背景
SCM領域の仕事自体は非常に好きなので、SCMはキャリアの軸にしたいと考えていました。より汎用的に成果の出せる人材になるためには、システムへの知見なども身につける必要があると考え、コンサルティングファームで更に経験を積むべきだと思いました。
キャリアの展望
シニアコンサルランクでオファーをいただくことができたので、できるだけ早いペースでマネージャーに上がりたいです。汎用的に成果の出せるプロのSCMコンサルタントとして、成長をしていきたいと考えています。
I・Kさんの転職前後の年収や転職活動の反省点、転職活動をして良かった事など、インタビュー記事はこちらになります。
食品メーカーからコンサルタントへ SCMの専門性を武器に転職
コピー機メーカーからコンサル転職
H・Sさん / 28歳 女性 / 明治大学
経歴について
明治大学を卒業後、日系の電機メーカーに就職しました。直近は事業開発の領域で仕事をしていました。
転職のきっかけ
私が入社以来携わっていたのがコピー機事業という斜陽産業でした。将来を見据えた時に、縮小産業で専門性を深めていくキャリアに不安を覚えたので、転職を決めました。
コンサル転職をした背景
とにかく自分の市場価値が不安だったので、どの産業でも活躍できるポータブルスキルを身に着けられるコンサル業界を第一志望としました。
キャリアの展望
グローバル案件に多く携われるファームに入社できたので、まずは英語を勉強してクロスボーダーの案件で活躍したいです。汎用的なコンサルスキルだけでなく、英語力を武器にしてキャリアを進んでいけたらと思っています。
H・Sさんの転職前後の年収や転職活動の反省点、転職活動をして良かった事など、インタビュー記事はこちらになります。
メーカーからコンサル転職 斜陽産業に危機感を感じ、成長産業に転職
メーカーからコンサル転職成功するには
コンサルで求められるスキル
コンサルティングファームでクライアントに価値提供していくためには、ソフト/ハードスキルともに非常に高い水準が求められます。
- ソフトスキル
- プロフェッショナルマインド
- 問題解決力
- コミュニケーション能力
- ハードスキル
- 特定領域における知見・専門性
- IT・ビジネスリテラシー
- 高水準の汎用的ビジネススキル
- 英語力
但し、全てのスキルを転職前に保有している必要はありません。転職時には高い水準のソフトスキルがあることを具体的に説明できるエピソードや、下記に紹介するメーカー出身者ならではの知見や経験をアピールすることができれば、転職できる可能性は高まります。
コンサル転職するための対策
コンサルティングファームでは、下記のプロセスで選考が進みます。
- 書類選考
- webテスト・適性試験
- 面接(複数回)
書類選考では一般的な転職活動と同様に「履歴書」や「職務経歴書」が必要となります。自身のこれまでの経験がコンサルティングファームでどのように活かせるのか、志望動機などと合わせて一貫性を持たせる必要があります。特に、メーカー出身の方であれば、特定領域における知見・専門性は当然として、コンサルティングファームで活躍するための汎用的な問題解決能力やコミニュケーション能力のアピールも重要となってきます。
webテスト・適性試験とは、受験者の能力や性格を判定し、採用の判断材料にするものです。コンサル転職でもコンサルタントとしての最低限の能力を判断する為に用いられます。
適性試験の内容はコンサルティングファームによってSPIやGAB、GMAT、判断推理など様々な種類のものがあります。そのため自身の希望するファームがどのような適性試験を課してるのか事前に確認し、それぞれの対策を行う必要があります。
面接においては、ケース面接というコンサルティングファーム特有の選考もあり、しっかりと対策することが必要です。コンサルファームに勤務している方、コンサルティングファームに強い転職エージェントに相談に乗ってもらうなどをして、様々な人からの協力を仰ぎ対策することがコンサルティングファームからの内定を得るために重要になります。
コンサル業界の今後と転職市場の見通し
米国では一部ファームで採用タイミングを調整しているところもありますが、日本国内においては継続して積極的な採用が行われています。ビジネス環境の大幅な変化に対応するため、コンサルティングファームに依頼する国内企業は増加しており、各ファームはその需要に応えるために積極的な採用活動を行っています。
IT領域専門の調査・分析を行うグローバル企業であるIDC Japanによると「国内ビジネスコンサルティングサービス市場支出額予測」では、2021年の同市場規模は前年比11.4%増の5,724億円で、2023年以降も全サービスセグメント/産業分野で高成長を維持すると予想されています。
市場自体も拡大している現在は、転職を考えている方にとってはベストなタイミングです。
メーカーからのコンサルティング転職は事前準備など大変なこともある反面、自身のキャリアを飛躍させる大きなチャンスでもあります。昨今はコンサルティング業界が好調ということもあり、正しい準備・フローで進めていけば、誰にでもキャリアを広げるチャンスがあります。
MyVisionでは、コンサル転職に関する情報提供から適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせた幅広い支援を提供しています。
コンサルティングファームへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
メーカーからコンサルティング業界に転職経験のあるエージェントを中心に、キャリアアップをご支援させていただきます。