大和総研とは?会社概要や特徴、強みを徹底解説
2025年12月29日更新
大和総研は、大和証券グループの中核を担う総合シンクタンクです。シンクタンクとは経済や社会を調べ、企業の意思決定を支える組織であり、大和総研は、経済分析や金融資本市場の調査からシステム開発までを一貫して手掛けています。
しかし「大和総研の年収や評価制度の実態は?」「具体的な業務領域が見えにくい」といった疑問を持つ人も少なくありません。
本記事では、大和総研の企業概要や特徴、歴史・平均年収や福利厚生などを整理しますので、自身のキャリア選択を検討するための材料として活用してください。
著者

長田 快
Osada Kai
慶應大学卒業後、MURC、DTCにて戦略策定・消費財領域を中心に案件組成~デリバリーリードに従事。MyVisionでは、自身の経験・人脈を生かしたポストコンサル・エグゼクティブに対する、コンサルタント個々人が抱く悩みに即した、ファームごとの深い情報提供を軸とした支援に強みを有する
プロフィール詳細を見る
監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
プロフィール詳細を見る
目次
全部見る
大和総研とは
大和総研は、日本を代表する大和証券グループの主要企業です。リサーチ・コンサルティング・システムの3つの機能を合わせ持つ総合シンクタンクであり、幅広い分野の課題を調査し、解決策を提案しています。
ここでは、大和総研の具体的な特徴や強み、扱っている案件の傾向などの全体像を把握し、そのあとの年収や福利厚生に役立ててください。
企業の特徴・強み
大和総研の強みは、リサーチ(調査)・コンサルティング(課題解決)・システム(開発と運用)という3つの専門機能を1社に集約している点です。また、大和総研は提案のみで終わらず、クライアントの実行・定着まで伴走する体制を構築しています。
以下は、大和総研の機能における特徴をまとめたものです。
| 機能 | 特徴 |
|---|---|
| リサーチ | ・マクロ経済、金融資本市場の調査分析 ・国内外の経済予測や政策提言 |
| コンサルティング | ・企業の経営課題解決の支援(経営戦略、人事制度、サステナビリティなど) |
| システム | ・最先端技術を活用したシステム構築 ・金融機関から通信、流通まで幅広い業種に対応 |
提案から実行までをワンストップでできる体制は、自身の市場価値を高めたい人にとっても大きな魅力です。 たとえば、コンサルティング業務を行うなかで、リサーチ部門の高度な分析手法を学んだり、システム部門の技術的知見を吸収したりできます。
特定の領域だけでなく、ビジネスを多角的に捉える視点を養うことができるため、希少性の高い人材へとスキルアップできる環境です。
扱っている案件の特徴
大和総研の扱う案件は、内販(大和証券グループ内に販売)の基幹システム開発や運用が大きな割合を占めます。証券取引の信頼性とリアルタイム性が求められる基幹業務を支えており、金融領域での実績は多いです。
一方外販(大和証券グループ外に販売)では、金融領域以外に公共機関や通信キャリアなど幅広い業界の案件を手掛けています。
大和総研の扱っている案件は具体的には以下のとおりです。
| 領域 | 具体的な案件例 |
|---|---|
| 金融内販(大和証券グループ内に販売) | ・大和証券のオンライントレードシステム ・基幹業務システムの刷新 |
| 金融外販(大和証券グループ外に販売) | ・地方銀行向け共同システム ・保険会社の資産運用システム構築 |
| 公共・産業 | ・官公庁の年金記録管理システム ・大手通信キャリアの顧客管理システム ・AIを活用した需要予測 |
近年ではAIやビッグデータを活用したデジタル領域(DX)案件が増加しており、システム開発に留まらず、顧客のビジネスの変革をリードする役割を担っています。
大和総研の会社概要
大和総研は、従業員数約1,700名、売上高900億円超を誇る大和証券グループの中核企業です。 東京や大阪といった国内主要都市に加え、ニューヨークやロンドンにも拠点を構えており、グローバルに事業を展開していることがわかります。
ここでは、同社の根幹にあたる企業理念や実際の働き方にかかわる社内風土について整理するので、企業理解の参考にしてください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 企業名 | 株式会社大和総研(Daiwa Institute of Research Ltd.) |
| 代表取締役社長 | 望月 篤(2025年12月現在) |
| 創業年 | 1989年(平成元年) |
| 本社所在地 | 東京都江東区冬木15-6 |
| 拠点場所 | 東京・大阪・名古屋・ニューヨーク・ロンドン |
| 従業員数 | 1,669名(2025年3月末現在) |
| 年間収入(売上高) | 955億3,900万円 |
企業理念
大和総研の企業理念は、大和証券グループ共通理念である「信頼の構築」「人材の重視」「社会への貢献」「健全な利益の確保」が基盤です。
そのうえで大和総研は、リサーチ・コンサルティング・システム機能の統合により、新たな価値を創造し、顧客と社会の発展に貢献することを掲げています。
こうした理念のもと、顧客とともに課題に向き合い、単なる受注者ではなくパートナーとして未来を創るという姿勢が、社員一人ひとりに浸透しているのが特徴です。
社内カルチャー
大和総研は、落ち着いた環境で専門性を高めやすい社風です。金融機関を親会社に持つため、コンプライアンス意識や品質へのこだわりが強く、堅実な仕事運びが求められます。
一方でシンクタンク・IT企業としての側面も強く、若手のうちから意見を求められるフラットな雰囲気も共存しており、柔軟なキャリア形成が可能です。個人の成果だけでなく、チーム全体での成果が評価対象になるため、相談しやすい環境といえます。
競争より連携を重んじる大和総研の社内カルチャーは、腰を据えてスキルアップを目指したい人におすすめです。
大和総研の歴史
大和証券の調査部と機械計算部を起源とする大和総研は日本の金融市場の発展とともに、その機能を拡大させてきました。
ここでは、大和総研の成り立ちから現在に至るまでの変遷を、大きく2つのフェーズに分けて解説します。
シンクタンクとITを統合した創業期
大和総研はもともと、大和証券の調査部と機械計算部として、調査分析とシステム運用の役割を担ってきました。
1970年代から1980年代にかけて、「大和コンピューターサービス」「大和証券経済研究所」「大和システムサービス」がグループ内で次々と誕生します。1989年(平成元年)にこれらが統合し、大和総研は国内有数の総合シンクタンクとして設立されました。
上記3社の合併は、情報の価値とITの重要性が高まることを見据えた先見性のある戦略でした。創業当初より、大和証券グループのシステム開発を一手に引き受ける経験が、「リサーチ・コンサルティング・システム」の機能を持つ独自のビジネスモデルにつながっています。
デジタル領域の強化とグローバル展開
大和総研は近年、デジタル領域(DX)の強化に注力しています。高度なデータサイエンス技術を活用し、2017年にAIによる株価予測モデルを開発するなど、金融とデジタル分野での取り組みを進めてきました。
2021年にはクラウドを専門とする専門知識や人材を集約した専門組織であるCCoE(Cloud Center of Excellence)を立ち上げています。AIによる市場の予測や業務効率化の提案ができるようになりました。
また、金融市場のグローバル化にともない、ニューヨークやロンドンをはじめ海外展開も拡大しています。ミャンマー中央銀行のシステム構築やベトナムでの証券市場支援など、海外を含む国のインフラに関わる取り組みも活発です。
近年の主な取り組みは以下のように整理できます。
| 領域 | 取り組み内容 |
|---|---|
| デジタル領域 | ・AIによる株価予測モデルの開発 ・自然言語処理を用いた業務効率化ソリューションの提供 |
| グローバル展開 | ・ニューヨークやロンドンなどの海外拠点を設置 ・現地金融機関のシステム近代化や資本市場育成を支援 |
大和総研は、リサーチ・コンサルティング・システムという強みを、グローバルかつデジタルな舞台で進化させ続けています。
大和総研の平均年収
口コミデータによると、大和総研の平均年収は約725万円とされています。(※1)国税庁による日本の給与所得者の平均年収である約478万円と比較しても高い給与水準といえるでしょう。(※2)
以下は各職位の目安です。
| 役職 | 平均年収 |
|---|---|
| 担当職(役職なし) | 500〜600万円 |
| 主任 | 550〜800万円 |
| 課長代理 | 700〜950万円 |
| 上席課長代理 | 800〜1,200万円 |
| 次長 | 950〜1,300万円 |
| 副部長 | 900万円以上 |
| 部長 | 1,600万円以上 |
参考:OpenWork
順調に昇進すれば上席課長代理で年収1,000万円に到達します。とくに親会社である大和証券グループの業績に連動した賞与が支給されるため、金融業界特有の高い報酬体系を享受できる点も魅力です。
(※1)参考:OpenWork (※2)参考:令和6年分民間給与実態調査
大和総研の年収については、以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
大和総研の制度
大和総研では、社員が長期的なキャリアを描けるよう、公正な評価制度と充実した育成環境が整備されています。
ここでは、大和総研の人事制度における基本的な考え方や、昇進・育成の仕組みについて詳しく確認していきましょう。
基本的な考え方
大和総研の制度設計は、社員の自律的なキャリア形成と高い専門性の発揮を支援することが中心です。伝統的な日本企業の安定感を残しつつも、実力主義の要素を組み合わせたハイブリッドな制度といえます。
大和総研では、以下の3つの柱を中心とした制度を整えており、多様な働き方を認めていることが特徴です。
| 柱 | 取り組み内容 |
|---|---|
| 複線型キャリアパス | マネジメント職だけでなく、高度な専門職を目指す専門職コースを用意し、適性に応じた道を選択可能 |
| 役割等級制度 | 年齢や社歴ではなく、役割と成果に基づいて等級を決定する |
| 多面的な評価 | 定量的な業績評価に加え、プロセスや行動特性を評価する定性評価を重視する |
エンジニアやコンサルタントとしての専門性を極めたい社員にとって、管理職にならずとも給与アップを目指せる複線型キャリアパスは大きなメリットといえるでしょう。
昇進制度
大和総研の昇進制度は、若手期間の安定的な昇格と管理職レベル以降の実力主義を組み合わせた構造です。
入社後約10年目(主任〜課長代理クラス)までは、大きな問題がない限り同期とほぼ横並びで昇格していきます。若いうちは競争に疲弊することなくスキル習得可能です。
年収1,000万円が見えてくる上席課長代理以降の昇格には、以下の2つの要素を満たすことが要件とされています。
| 要素 | 内容 |
|---|---|
| 資格ポイント制度 | 会社が指定する資格(情報処理技術者試験、PMP、証券アナリストなど)を取得し、規定のポイントを積み上げること |
| 多面評価(360度評価) | 上司だけでなく、同僚や部下から評価されるため、プロジェクトの貢献度を積み上げること |
特徴的なのは、昇格要件として資格取得がシステム化されている点です。実務で成果を上げても資格ポイントが不足していれば、昇格は難しいといえるでしょう。
大和総研の昇進制度は、安定的な昇給と実力主義を合わせた仕組みになっており、資格取得や多面的に高評価によって昇格を目指せる構造です。
育成制度
大和総研の育成は、階層や職種に応じた手厚い研修プログラムを通して、社員の成長を支援しています。とくに入社直後の基礎固めと、専門スキル習得を両立させる仕組みが整っているので、コンサル未経験でも必要な知識や経験を習得できるでしょう。
具体的な育成支援制度は、以下のとおりです。
| プログラム | 概要 |
|---|---|
| ITスキル研修 | プログラミングやシステム基礎をゼロから学べる、数ヶ月にわたる集中研修 |
| 資格取得支援 | 受験料の負担や合格報奨金に加え、社内での対策講座 |
| 海外留学制度 | 若手社員を海外拠点や海外大学院へ派遣し、グローバルビジネスの現場で経験を積ませる制度 |
また、大和総研では自らキャリアを切り拓くことも可能です。キャリアチャレンジ制度を利用すれば、リサーチ・コンサルティング・システムなど希望するキャリアへ転身できます。
会社主導の異動だけでなく、社員の意志を尊重するルートが用意されている点は、長期的に働くうえで大きな魅力です。
大和総研の福利厚生
大和総研では従業員が長期的に安心して働けるように、多様な福利厚生制度が導入されています。とくに生活コストを大きく下げる住宅支援やワークライフバランスを保つための休暇制度は、社員の定着率を高める大きな要因です。
ここでは、大和総研の福利厚生のなかでも、注目すべき3つのポイントを詳しく解説します。
ワークライフバランス(有給消化やサービス残業の廃止)
大和総研では、大和証券グループ全体の方針として、長時間労働の是正と休暇取得を推進しています。19時前退社を推奨し、メリハリのある働き方を促しているのが特徴です。
大和総研の有給休暇は、年に17〜23日(初年度15日)あり、以下のような休暇を定め、有給休暇取得を促進しています。
- 結婚準備休暇
- キッズセレモニー休暇
- ファミリー・デイ休暇
- 親の長寿祝い休暇
- 妊婦エスコート休暇
- ボランティア休暇
- 半日年休、1時間単位の年休
口コミデータでは、実際に以下のような意見が見受けられます。(※)
- 定時で帰宅できる日も多く、有給消化を事前に相談すればスムーズに取得可能
- プライベートの予定や家庭の事情に理解を示してくれる上司も多いので、休暇を理由に評価が下がることはありません
- 夏季休暇も取らなければならないルールなので、年1回まとまった休みが取れる
- 入退館の時刻チェックなどもされている
大和総研の働きやすさは、離職率の低さにも直結しており、長期的なキャリア形成を支える重要な要素です。
(※)参考:OpenWork
女性活躍支援や子育て支援
大和総研では、女性活躍推進と子育て支援の整備にも力をいれています。出産や育児といったライフイベントを迎えてもキャリアを諦める必要はなく、男性社員の育児休業取得も珍しくありません。
具体的な施策は以下のとおりです。
| 制度 | 内容 |
|---|---|
| 育児休職 | 子どもが3歳になるまで取得可能 |
| 所定時間外労働の免除 | 育児や介護時間確保やがん治療のために所定時間外労働(残業)が免除される |
| ベビーシッター制度 | 民間のベビーシッター利用時に費用の一部を会社が負担してくれる |
| 家事代行サービス | 子どもの見守りや高齢者のお手伝い、水回りやお部屋の掃除など、ニーズに応じてサービスを割引価格で利用可能 |
参考:大和総研「福利厚生」
これらの制度について、口コミデータでは、以下のような声が見られます。
- 産休育休からの復帰事例も多く、フルタイム勤務を選択する人が多い
- 復帰後は周囲が業務分担を調整してサポートする雰囲気がある
- 男女問わず家庭の事情で勤務時間を調整したり、在宅勤務を活用したりするケースもあり、ライフステージに合わせた柔軟な働き方が可能
- 育休や産休の制度は充実しているうえ、保育施設利用料金補助や在宅勤務制度も整っている
参考:OpenWork
大和総研では、制度を利用しながら働き続けることが定着しています。女性管理職の比率も年々上昇しており、これからキャリアを築く女性にとって魅力的な環境です。
住宅支援制度
大和総研の福利厚生で金銭的メリットが大きいのが、住宅関連の制度です。具体的な支援策として、若手社員向けの独身寮や家賃補助があるため、額面の年収以上に生活水準を得られます。
口コミデータでは、以下のような意見が見受けられました。
- 住宅手当については未婚・既婚によって支給額が異なります。
- 未婚と既婚で住宅手当に4万ほどの差が生じるため、既婚の方が大変お得です。
- 既婚者に住宅補助が手厚く、結婚しても長く働きやすい環境です。
参考:OpenWork
社員の生活基盤を安定させることが、仕事のパフォーマンス向上につながるという考えを色濃く反映しています。
まとめ
大和総研は大和証券グループの中核を担う総合シンクタンクです。「リサーチ」「コンサルティング」「システム」の機能を融合させた独自のビジネスモデルは、強みといえます。
大和総研は専門性を磨きながら、社会インフラなど大きな仕事に携わりたい人にとって、理想的な選択といえるでしょう。一方で知名度が高い企業ゆえに選考倍率は高く、内定獲得には企業理解を深め、自身のスキルを適切にアピールする準備が欠かせません。
大和総研をはじめとするシンクタンクやコンサルティングファームへの転職を目指すなら、ぜひMyVisionをご活用ください。
あなたもコンサルタントとして
働きませんか?
コンサルタントへの転職をお考えの方は、
是非MyVisionにご相談ください。
ファームとのコネクションを活かし、
あなたの理想の転職が実現するよう転職先の紹介から面接対策に至るまで、
徹底的にサポートいたします。



