シンクタンクとコンサルの違いとは?仕事内容・年収・適性を徹底比較
2025年09月30日更新
シンクタンクとコンサルは、ともに「知的専門職」として高い人気を集めるキャリアですが、その役割や働き方には大きな違いがあります。
シンクタンクは調査・研究を通じて社会課題や政策の解決を目指すのに対し、コンサルは企業が抱える経営課題に直接向き合い、戦略立案から実行支援までを担います。
本記事では、両者の定義や仕事内容、必要とされるスキル、年収・キャリアパスの違いを徹底比較します。
主要企業の特徴も整理しながら、自分に合うのはシンクタンクかコンサルかを見極められる内容となっていますので、キャリア選択で迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
著者

長田 快
Osada Kai
慶應大学卒業後、MURC、DTCにて戦略策定・消費財領域を中心に案件組成~デリバリーリードに従事。MyVisionでは、自身の経験・人脈を生かしたポストコンサル・エグゼクティブに対する、コンサルタント個々人が抱く悩みに即した、ファームごとの深い情報提供を軸とした支援に強みを有する
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監修者

北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
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目次
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シンクタンクとコンサルの違いとは?
シンクタンクとコンサルは、いずれも高度な知見をもとに課題解決を行う専門組織です。
しかし、その立ち位置や役割には明確な違いがあります。
ここではまず両者の定義を整理し、その後に「社会課題」と「企業課題」という観点から役割の違いを確認していきます。
シンクタンクとは?
シンクタンクは、社会や経済に関する調査・研究を行い、政策提言や制度設計に関与する組織です。
公共性の高いテーマを扱い、中立的な立場から社会全体の課題解決に寄与します。
主に対象とするのは、人口動態や環境問題、経済政策などの社会的テーマです。
成果は短期的な利益に直結するものではなく、中長期的な社会の方向性を示す点が特徴です。
また、政府や自治体、企業など多様な依頼元から調査を受託します。その結果をレポートや政策提言にまとめ、社会に還元する役割を担っています。
コンサルティングとは?
コンサルティングは、企業や組織が抱える経営課題を解決するために専門的な知見を提供するサービスです。
戦略立案から業務改善、DX推進まで幅広い領域をカバーします。
目的は、クライアント企業が持続的に成長し、競争優位を築けるよう支援することです。
単なる助言にとどまらず、実行フェーズまで関与する点が大きな特徴です。
プロジェクトは経営陣と密接に進められるため、論理的思考力に加えて高いコミュニケーション能力が求められます。
実務の現場に入り込み、成果に直結するサポートを行う役割を担っています。
社会課題解決 vs 企業課題解決|それぞれの役割
シンクタンクとコンサルは、いずれも課題解決を担う専門組織ですが、その対象領域は大きく異なります。
シンクタンクは社会や政策全体に視点を置き、コンサルは企業経営に直結する課題を扱います。
シンクタンクの役割は、少子高齢化や環境問題、経済政策といった公共性の高いテーマの解決です。
調査研究を通じて中立的な提言を行い、制度や政策の形成に寄与します。
一方でコンサルは、売上向上やコスト削減、新規事業開発など、企業の競争力強化を目的に活動します。
提言に加えて実行支援まで関与し、成果を出すことに重きを置いています。
このように、社会全体の仕組みを改善するか、企業単位の成長を後押しするかという点が、両者を分ける最大の特徴です。
シンクタンクとコンサルの仕事内容の違い
シンクタンクとコンサルは、ともに高度な知識や分析力を活かして課題解決に取り組む専門職です。
ただし、日々の業務の進め方や関与する領域には大きな違いがあります。
シンクタンクは調査・研究を軸に政策立案や提言を行うのに対し、コンサルは企業の現場に入り込み、戦略策定から実行支援までを担う点が特徴です。
ここではそれぞれの仕事内容を詳しく見ていき、さらに業務フェーズごとの違いも整理します。
シンクタンクの仕事内容(調査・分析・政策立案)
シンクタンクの仕事は、社会や経済に関する幅広いテーマを調査し、分析した結果をもとに政策や提言を行うことです。
公共性の高い業務が多く、国や社会全体の課題解決に直結します。
仕事内容は大きく分けて、情報を収集する「調査」、データを統計的に処理する「分析」、成果を社会へ還元する「政策立案」という3つの領域に整理できます。
以下では、それぞれの仕事内容を詳しく解説していきます。
調査業務と情報収集
調査業務はシンクタンクの出発点であり、仕事全体の質を左右します。
社会や経済の動向を把握するために、統計データや官公庁の資料、業界レポートなど多様な情報を集めるのが役割です。
調査の対象は統計データ、官公庁の公開資料、業界レポート、海外研究機関の情報など多岐にわたります。
時には現場でのヒアリングやアンケート調査を行うこともあります。
こうして集められた情報は、分析や政策立案の前提となる重要な素材です。
信頼性の高い情報を収集できるかどうかが、最終的な提言の質を大きく左右します。
データ分析と検証作業
データ分析と検証作業は、調査で集めた情報を価値ある知見へと変える工程です。
統計解析や数理モデルを駆使し、課題の構造や将来のシナリオを明らかにします。
たとえば、人口動態の変化をもとに社会保障制度の持続可能性をシミュレーションするなど、仮説を立てて検証を重ねるのが特徴です。
こうした分析により、提言の根拠が強化されます。
分析の精度は、政策立案やレポートの信頼性を大きく決定づけます。高度な数値処理能力と論理的思考力が求められる、シンクタンクならではの重要な業務です。
政策立案と提言活動
政策立案と提言活動は、シンクタンクの成果を社会に還元する最終段階です。
分析結果をもとに課題解決の方向性を示し、行政や企業の意思決定に影響を与えます。
具体的には、提言書や調査レポートを作成し、政策の改善案や新しい仕組みを提示します。
国や自治体が実際の施策を設計する際の根拠となることも少なくありません。
この業務では、専門的な知見をわかりやすい形に翻訳する力が欠かせません。
高度な研究成果を社会が活用できる形に整理することが、シンクタンクの存在価値を決定づけています。
コンサルの仕事内容(戦略立案・業務改革・実行支援)
コンサルの仕事は、企業が抱える経営課題を解決に導くことです。
戦略の策定から現場の改革、そして実行支援まで一気通貫で関与する点が特徴です。
取り扱うテーマは、新規事業の立ち上げやグローバル展開、コスト削減、組織再編など多岐にわたります。
いずれも企業の成長や競争力強化に直結する内容です。
以下では、コンサルが実際に担う主な業務を「戦略立案」「業務改革」「実行支援」の3つに分けて解説します。
戦略立案と成長シナリオの策定
戦略立案は、コンサルティングの中核を担う業務です。
企業が将来的にどの方向へ進むべきかを明確にし、成長シナリオを描きます。
具体的には、市場分析や競合調査を通じて事業機会を特定し、利益拡大や新規事業開発の方針を策定します。
経営層と議論を重ねながら、実現性の高い戦略に落とし込む点が特徴です。
戦略が定まることで、企業全体の意思決定がスムーズになり、資源配分や投資判断にも直結します。
将来を方向づける重要な役割を担っているのが、戦略立案の仕事です。
業務改革と組織改善の推進
業務改革と組織改善は、コンサルが現場レベルで企業の生産性を高めるために行う業務です。
戦略で定めた方針を実行に移すための基盤づくりにあたります。
具体的には、業務プロセスの無駄を洗い出し、ITシステムの導入やワークフローの見直しを進めます。
組織体制や人材配置を最適化することも重要な取り組みの一つです。
これにより、コスト削減や業務効率化が実現し、企業の競争力が強化されます。
改革が根付くことで、持続的な成長につながる点が大きな成果といえます。
実行支援と成果創出への関与
実行支援は、コンサルが提案を現場で形にし、実際の成果につなげる重要な業務です。
戦略や改革を机上の空論にせず、実務へ落とし込む役割を果たします。
具体的には、プロジェクトの進捗管理や施策の実行サポート、現場社員へのトレーニングを行います。
必要に応じて外部パートナーと連携し、計画を着実に前進させます。
このプロセスを通じて、企業は数値としての成果を実感できます。
提案から実行までを担うことで、企業の持続的な成長を実現することがコンサルの大きな役割です。
業務フェーズごとの比較(調査→提言→実行支援)
シンクタンクとコンサルは扱うテーマや役割が異なりますが、業務の流れを「調査→提言→実行支援」というフェーズで比べると、その違いがより明確に見えてきます。
シンクタンクは前半の調査・提言に強みを持ち、コンサルは提言に加えて実行まで踏み込む点が特徴です。
ここでは各フェーズに分けて両者を比較します。
調査フェーズにおける違い
調査フェーズでは、シンクタンクとコンサルで対象領域や進め方が大きく異なります。
シンクタンクは社会全体の動向を深く分析し、コンサルは企業の経営課題を明確にすることを重視します。
シンクタンク | コンサル | |
---|---|---|
調査対象 | 社会課題・政策・経済全体 | 企業の経営課題・業界動向 |
情報源 | 統計データ、公的資料、学術研究 | 市場調査、競合分析、経営層ヒアリング |
アプローチ | 長期的・客観的にデータを収集 | 短期間で課題を特定・実務的に検証 |
シンクタンクは中立性と精緻さを重視し、膨大なデータを時間をかけて分析します。
対してコンサルはスピード感を持ち、経営に直結する情報を現場から吸い上げる姿勢が特徴です。
提言フェーズにおける違い
提言フェーズでは、シンクタンクは社会制度や政策の方向性を示し、コンサルは企業の成長戦略や改革プランを提示します。
両者ともに調査・分析を踏まえた結論を出しますが、提言の対象と目的が異なります。
シンクタンク | コンサル | |
---|---|---|
提言対象 | 国や自治体、公共政策 | 企業の経営層・事業責任者 |
提言内容 | 制度設計、政策改善案、社会課題の解決策 | 経営戦略、新規事業計画、業務改善プラン |
ゴール | 社会全体の持続可能性や制度の発展 | 企業の収益向上と競争力強化 |
シンクタンクの提言は、公共性の高い課題に中立的な視点で答えを示す点が特徴です。
コンサルは経営に直結する実務的な方策を提案し、短期的な成果から中長期の成長までを見据えます。
実行支援フェーズにおける違い
実行支援フェーズでは、シンクタンクとコンサルのスタンスが最も大きく分かれます。
シンクタンクは提言段階で役割を終えることが多いのに対し、コンサルは実際の現場に入り込み、施策を実行に移します。
シンクタンク | コンサル | |
---|---|---|
関与範囲 | 提言までで完結するケースが多い | 提案後も現場で実行を支援 |
主な役割 | 調査結果を基に政策や制度の方向性を提示 | プロジェクト管理、施策の導入支援、社員教育 |
成果の形 | 提言書・レポート | 実際の売上向上、コスト削減、新規事業の立ち上げ |
シンクタンクは「知見を提供する立場」に留まりますが、コンサルは「成果を共に創り出す立場」として行動します。
提言を実務に落とし込み、数値として結果を残す点が大きな違いです。
必要なスキル・働き方の違い
シンクタンクとコンサルは、求められるスキルや働き方のスタイルに大きな違いがあります。
どちらを目指すかを考えるうえで、適性を見極める指標となる部分です。
ここでは、それぞれに必要なスキルと働き方の違いを具体的に解説していきます。
シンクタンクに求められるスキル(分析力・統計・文章力など)
シンクタンクの仕事では、社会や経済に関する複雑な情報を整理し、信頼性の高い提言につなげる力が求められます。
そのため、研究型の素養と実務で活かせるスキルの両方が必要です。
以下では、それぞれのスキルを詳しく解説します。
データを正しく読み解く分析力
分析力は、シンクタンクで最も重視されるスキルの一つです。
膨大な情報を整理し、因果関係やトレンドを見抜くことで課題の本質に迫ります。
具体的には、経済指標や社会統計を読み解き、数値の背景にある要因を明確化します。
単なるデータの羅列ではなく、政策や制度設計に活かせる洞察を導き出す点が重要です。
的確な分析ができる人材は、調査結果を実効性のある提言へと結び付けられます。
これはシンクタンクにおける専門性を支える核となる能力です。
調査を支える統計の知識
統計の知識は、シンクタンクの調査活動を成立させる基盤です。
データの収集や分析を正しく行うためには、統計的な手法を理解していることが欠かせません。
回帰分析や相関分析などの手法を用いることで、社会現象の傾向や因果関係を客観的に捉えられます。
適切な手法を選択できるかどうかが、調査結果の信頼性を左右します。
統計に強い人材は、複雑な社会課題を数値で示し、説得力のある提言を可能にします。
調査の精度を高めるうえで不可欠なスキルといえるでしょう。
提言に必要な論理的な文章力
論理的な文章力は、シンクタンクの成果を社会に伝えるために不可欠なスキルです。
どれほど優れた調査や分析でも、わかりやすく表現できなければ価値が半減してしまいます。
調査結果を整理し、結論に至るプロセスを明確に示すことで、提言の説得力が高まります。
読者に応じて専門用語をかみ砕き、誰もが理解できる形にする工夫も重要です。
こうした文章力を備えた人材は、複雑な社会課題を広く共有し、政策形成や意思決定に直接影響を与えることができます。
コンサルに求められるスキル(課題解決力・コミュニケーション力など)
コンサルの仕事では、企業の経営課題を短期間で整理し、実行可能な解決策へ導く力が欠かせません。
そのため、研究型のシンクタンクとは異なる実務的なスキルが求められます。
以下では、コンサルに必要とされるスキルを3つに分けて解説します。
課題の本質を突き止める課題解決力
課題解決力は、コンサルタントにとって最も重要なスキルです。
企業が抱える複雑な問題の表面だけでなく、本質を見抜く力が求められます。
具体的には、経営データや市場環境を分析し、問題の原因を構造的に整理します。
そのうえで、実行可能な解決策へと落とし込むのが役割です。
課題解決力を発揮できる人材は、短期間で経営層の意思決定を支援し、企業の方向性を変える大きな影響力を持ちます。
信頼を築くコミュニケーション力
コミュニケーション力は、コンサルが経営層や現場と協働するうえで欠かせないスキルです。
信頼関係を築けるかどうかが、プロジェクトの成果を大きく左右します。
具体的には、経営層に対しては論理的かつ簡潔に提案を伝え、現場社員に対してはわかりやすく実務へ落とし込む力が必要です。
相手の立場に応じて伝え方を変える柔軟さも重要です。
この力を発揮できるコンサルタントは、クライアントからの支持を得やすく、提案の実行につなげやすくなります。
成果を実現するリーダーシップと実行力
リーダーシップと実行力は、提案を実際の成果へと結び付けるために必要です。
計画を示すだけでなく、現場を動かして変革を実現する役割を担います。
具体的には、プロジェクト全体を管理し、関係者を巻き込みながら施策を前進させます。
障害が発生した際には解決策を提示し、チームを導くことが求められます。
このスキルを備えたコンサルタントは、提言にとどまらず成果創出まで責任を持ち、クライアントの信頼を獲得します。
働き方の違い(長期調査型 vs 短期集中型プロジェクト)
シンクタンクとコンサルは、求められるスキルだけでなく働き方のスタイルにも大きな違いがあります。
特に、業務の進め方や時間の使い方で明確に分かれます。
シンクタンクは長期的な調査研究を中心に据え、腰を据えて社会課題を分析するのが特徴です。
一方、コンサルは短期集中でプロジェクトを進め、成果をスピーディに形にします。
以下では、それぞれの働き方を具体的に解説します。
シンクタンクに多い長期調査型の働き方
シンクタンクの働き方は、長期間にわたる調査研究を軸としています。
数カ月から数年単位でテーマを掘り下げ、継続的にデータを収集・分析する点が特徴です。
調査対象は人口動態や環境政策、産業構造など社会全体に関わるテーマが中心です。
腰を据えて研究に取り組むため、専門性の深化と成果の精度が重視されます。
この働き方は短期的な成果よりも中長期の影響を重んじるため、地道な研究や論理的検証を積み重ねる姿勢が求められます。
コンサルに多い短期集中型プロジェクトの働き方
コンサルの働き方は、短期間で成果を出すプロジェクト型が中心です。
数週間から数カ月で課題を特定し、戦略策定から実行支援までを一気に進めます。
プロジェクトはクライアントごとに異なり、テーマも新規事業開発から業務改善まで幅広く設定されます。
短い期間で成果を出すため、強い集中力とスピード感が欠かせません。
この働き方では常に成果が数値として評価されるため、プレッシャーは大きいものの成長の機会も豊富です。
ダイナミックな環境で実力を試したい人に適しています。
年収・待遇・キャリアパスの違い
シンクタンクとコンサルは、仕事内容や働き方だけでなく、年収やキャリアの広がり方にも大きな差があります。
将来のキャリアを考えるうえで、待遇面の比較は欠かせません。
シンクタンクは安定した待遇と専門領域の深化が特徴で、コンサルは高い報酬とスピード感ある昇進が魅力です。
それぞれに異なる成長機会があり、キャリアの方向性に直結します。
以下では、年収相場やキャリアモデルを整理し、両者の違いを詳しく解説します。
シンクタンクの年収相場とキャリアモデル
シンクタンクの年収は安定性が高く、国内の主要企業ではおおよそ1,000万円前後が目安となります。
なお、シンクタンクの年収相場は統一された公式データが存在しないため、本記事では次章で紹介する主要3社(野村総研・三菱総研・大和総研)の公開データをもとに平均を算出しています。
企業 | 平均年収 |
---|---|
野村総合研究所 | 約1,321万円(引用:2025年3月期(第60期)有価証券報告書) |
三菱総合研究所 | 約1,080万円(引用:2024年9月期(第55期)有価証券報告書) |
大和総研 | 約732万円(引用:OpenWork) |
3社平均 | 約1,044万円 |
キャリアモデルとしては、以下のように段階的に昇進するのが一般的です。
- コンサルタント(準研究員)
- シニアコンサルタント(研究員)
- マネージャー(副主任研究員)
- プリンシパル/ディレクター(主任研究員)
役職が上がるにつれて報酬水準も安定的に伸び、専門性を深めながらキャリアを積み重ねていきます。
また、シンクタンクで経験を積んだ後は、政策分野の専門家として活躍したり、大学や国際機関へ転じたりする道もあります。
安定的な給与に加え、社会的な意義や専門性の深化を重視する人に適したキャリアといえるでしょう。
コンサルの年収相場とキャリアモデル
コンサルの年収は、シンクタンクよりも高水準で推移する傾向があります。
なお、コンサル業界の年収相場も統一的な公式データは存在しないため、本記事では次章で紹介する主要4社(マッキンゼー・BCG・デロイト・PwC)の公開データや調査サイトをもとに平均を算出しました。
その結果、4社の平均は約1,217万円となっており、シンクタンクと比べて高い水準にあるといえます。
キャリアモデルは、以下のように段階的に昇進していくのが一般的です。
- アナリスト
- コンサルタント
- マネージャー
- パートナー
成果次第で昇進のスピードが速く、若手のうちから高収入を得られる可能性もあります。
特にマネージャークラス以上になると年収は1,000万円を超え、パートナーとなれば2,000万円以上に達するケースもあります。
努力や実績が直接待遇に反映されやすい点が、コンサルの大きな魅力です。
年代・役職ごとの年収比較(表・グラフで可視化)
シンクタンクとコンサルは、年代や役職が上がるにつれて年収水準に明確な差が見られます。
本記事では、シンクタンクは野村総研・三菱総研・大和総研の平均年収、コンサルはマッキンゼー・BCG・デロイト・PwCの公開データを参考に、代表的な役職ごとの目安を整理しました。
【シンクタンク(主要3社平均)の役職ごと年収目安】
役職 | 年収目安 | 年代目安 |
---|---|---|
コンサルタント(準研究員) | 500万円〜600万円 | 20代前半 |
シニアコンサルタント(研究員) | 600万円〜700万円 | 20代後半〜30代 |
シニアマネージャー/マネージャー(副主任研究員) | 1,100万円〜1,300万円 | 30代中盤 |
プリンシパル/ディレクター(主任研究員) | 1,300万円〜 | 40代〜 |
引用:OpenWork
【コンサル(外資4社データ参考)の年収目安】
役職 | 年収目安 | 年代目安 |
---|---|---|
アナリスト | 約600万円 | 20代前半 |
コンサルタント | 約1,200万円 | 20代後半〜30代前半 |
マネージャー | 約2,000万円 | 30代〜40代前半 |
パートナー | 3,000万円〜 | 40代〜50代 |
引用:OpenWork
シンクタンクは年功序列的に昇給し、専門性を深めながら安定した収入を得られるのが特徴です。
一方、コンサルは成果連動色が強く、若手のうちから高い報酬を得られる可能性があり、昇格ごとに収入の伸び幅も大きくなります。
そのため、安定と専門性の深化を重視するならシンクタンク、収入やスピード感あるキャリアを求めるならコンサルというように、自分の価値観に合わせた選択が重要です。
将来のキャリアの広がり方の違い
シンクタンクとコンサルは、組織内での昇進後に広がるキャリアパスにも違いがあります。
いずれも専門性を活かせますが、進む方向性に特徴があります。
シンクタンクでは、研究員からシニア研究員や管理職へと昇進し、特定分野の専門家として地位を確立するのが一般的です。
その後は大学や研究機関、国際機関で活躍する道や、政策立案の第一人者として行政に関与する道も開けます。
一方コンサルは、パートナーまで昇進すれば経営層としてファームを牽引する立場に立てます。
また、事業会社の経営企画や新規事業部門へ転じるキャリアや、起業して自身のビジネスを立ち上げる選択肢も豊富です。
このように、シンクタンクは専門性と公共性を深めるキャリア、コンサルは実務経験を軸に多方面へ展開できるキャリアとまとめられます。
将来の姿をどう描くかが、両者を選ぶ際の大きな判断材料となります。
シンクタンクとコンサルの主要企業
シンクタンクとコンサルは、どちらも業界を代表する大手企業が存在し、それぞれに強みや特徴があります。
主要企業を知ることで、仕事内容やキャリアのイメージを具体化しやすくなります。
ここでは、それぞれの主要企業と特徴をまとめ、比較していきます。
国内主要シンクタンク(野村総研・三菱総研・大和総研など)
日本には複数のシンクタンクがありますが、そのなかでも規模や影響力が大きいのが、野村総合研究所、三菱総合研究所、大和総研です。
いずれも社会や産業の課題を調査・分析し、政策立案や企業戦略に活かす役割を担っています。
以下では、それぞれの特徴や強みを具体的に解説します。
野村総研
野村総合研究所(NRI)は、日本を代表するシンクタンクであり、経営コンサルティングとシステム開発を両輪とする点に特徴があります。
社会課題から企業課題まで幅広い領域で調査・分析を行っています。
得意領域は、金融・流通・製造業を中心とした産業構造の分析や、IT戦略立案、デジタル分野の実行支援です。
特にシステム開発やDX支援まで一貫して提供できる点が、他のシンクタンクにはない強みといえます。
また、平均年収は約1,321万円と高水準で、研究員としてのキャリア形成だけでなく、事業会社や行政との共同研究を通じて幅広い経験を積める環境が整っています。
NRIは、社会的な調査研究に加えて企業変革を実行支援できる存在として、シンクタンクとコンサルティングのハイブリッド型機能を果たしています。
三菱総研
三菱総合研究所(MRI)は、政策立案や社会課題の解決に強みを持つシンクタンクです。
官公庁や自治体との連携が多く、公共政策の調査・提言を中心に実績を積み上げています。
得意領域は、環境・エネルギー政策、医療・福祉分野、そしてデジタル社会に向けた制度設計です。
社会的インパクトの大きいテーマを扱うため、公益性の高い研究に携われるのが特徴です。
平均年収は約1,080万円と高水準で、長期的な調査研究を通じて専門性を深められる環境があります。
大学や国際機関へのキャリア展開に進む人材も少なくありません。
MRIは、社会的課題を解決するために学術的な分析と政策実務を結びつけるハブとして、公共性の高い役割を果たしています。
大和総研
大和総研は、大和証券グループを母体とするシンクタンクであり、金融・資本市場分野に特化した調査力が強みです。
証券会社グループとしてのネットワークを活かし、金融業界の動向分析や政策提言を行っています。
得意領域は、金融市場のリサーチ、マクロ経済分析、資本政策に関する提言です。
証券市場に関する深い知見を持ち、金融当局や業界全体に影響を与える研究を数多く発表しています。
平均年収は約732万円と、NRIやMRIに比べると控えめですが、金融市場に特化した専門性を高められる点が特徴です。
金融機関や規制当局にキャリアを広げる人材も多く見られます。
大和総研は、証券ビジネスと学術的な調査研究を結びつけ、金融・資本市場の発展に貢献する役割を担っています。
国内外主要コンサルファーム(マッキンゼー・BCG・デロイト・PwCなど)
コンサル業界では、世界的に影響力を持つ大手ファームが数多く存在します。
なかでもマッキンゼー、BCG、デロイト、PwCは、日本市場でも高い存在感を誇ります。
これらの企業は、戦略立案から業務改革、デジタル活用まで幅広い領域をカバーしています。
グローバル規模の知見と国内市場への適応力を兼ね備えている点が特徴です。
以下では、それぞれのファームの得意領域や特徴を取り上げ、具体的に紹介していきます。
マッキンゼー
マッキンゼーは、世界最大級の戦略コンサルティングファームであり、経営戦略分野における圧倒的な実績を持っています。
グローバルネットワークを駆使し、日本企業の国際競争力強化にも大きく貢献しています。
得意領域は、全社戦略や新規事業開発、M&A戦略など経営の中枢に関わるテーマです。
徹底したデータ分析と仮説検証を基盤とし、経営層の意思決定を支援する点に強みがあります。
平均年収は約1,360万円とされ、若手から高収入を得られる環境です。
昇進スピードも速く、アナリストからパートナーまで成果次第でキャリアを積み上げられます。
マッキンゼーは、戦略立案に特化した専門性と世界的なブランド力を兼ね備えたファームとして、多くのプロフェッショナルを惹きつけています。
BCG
ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)は、マッキンゼーと並ぶ世界的な戦略コンサルファームで、革新的なアプローチと人材育成力に定評があります。
特に日本市場では、新規事業や成長戦略の支援で存在感を示しています。
得意領域は、全社戦略に加えてマーケティングやデジタル変革といった領域です。
グローバル案件も多く、幅広い業界で先端的な知見を活かした提案を行っています。
平均年収は1,500万円以上とされ、成果次第で昇進がスピーディに進む環境です。
成長意欲の高い若手にとっては、早期にリーダーシップを発揮できる機会があります。
BCGは、戦略立案にとどまらず実行支援にも力を入れ、クライアントの変革をリードする存在として高い評価を得ています。
デロイト
デロイトは、世界最大規模のプロフェッショナルファームであり、総合力を強みに幅広いコンサルティングサービスを提供しています。
戦略から実行支援まで一貫して対応できる点が特徴です。
得意領域は、デジタル変革、リスクマネジメント、サステナビリティ、組織・人事改革など多岐にわたります。
特に国内では大企業のDX推進やグローバル展開支援で高い評価を得ています。
平均年収は約950万円程度とされ、役職が上がるごとに報酬も大きく伸びます。
成果主義の評価制度を採用しており、早期に昇進できるチャンスも豊富です。
デロイトは、幅広い専門性を持つ総合ファームとして、クライアントの多様な課題解決をリードする存在です。
PwC
PwCコンサルティングは、世界4大会計事務所の一角であり、監査・税務の知見を活かしたコンサルティングを展開しているのが強みです。
グローバルネットワークを背景に、多様な業界に対してサービスを提供しています。
得意領域は、リスク管理、財務アドバイザリー、サステナビリティ、テクノロジー活用などです。
特に会計・税務の専門性と組み合わせた経営課題の解決に強みを持ちます。
平均年収は約984万円程度とされ、成果に応じて昇進スピードも加速します。
グローバル案件が多く、海外拠点との協働を通じて国際的なキャリアを築きやすい環境です。
PwCは、会計・監査で培った知見とコンサルティングの実行力を融合し、企業変革を多角的に支援するファームとして位置づけられています。
自分に向いているのはどちらか?適性チェック
シンクタンクとコンサルは、仕事内容やキャリアパスだけでなく、向いている人物像にも明確な違いがあります。
自分の適性を把握することで、より納得感のあるキャリア選択が可能になります。
シンクタンクは調査や分析を重視する研究型の仕事、コンサルは実行力と成果を求められる実務型の仕事です。
どちらに適性があるかを見極めることは、将来のキャリアの満足度に直結します。
ここでは、それぞれに向いている人の特徴を整理し、判断の参考になる視点を紹介します。
シンクタンクが向いている人の特徴
シンクタンクは、長期的な調査や分析を通じて社会課題に向き合う職場です。
そのため、研究志向が強く、地道な取り組みを得意とする人に適しています。
向いている人の特徴は以下の通りです。
- データや統計を扱うことに抵抗がなく、分析が得意
- 専門領域を深め、第一人者として知見を高めたい
- 社会的な意義や政策貢献にやりがいを感じる
- 長期的な視点で成果を積み上げることを苦にしない
これらに当てはまる人は、シンクタンクで専門性を高めながら安定したキャリアを築きやすいでしょう。
特定の分野で知識を深めることで、研究員からシニア研究員へと着実に昇進し、やがては政策提言や国際機関との連携といった社会的影響力の大きい仕事に携われます。
短期的な成果よりも持続的な成長や社会貢献を重視する人にとって、シンクタンクは非常に適した環境といえます。
コンサルが向いている人の特徴
コンサルは、企業の経営課題を短期間で解決に導く職場です。
スピード感のある環境で成果を出すことにやりがいを感じる人に適しています。
向いている人の特徴は以下の通りです。
- 複雑な課題を整理し、解決策を考えるのが得意
- 高いコミュニケーション力で周囲を巻き込める
- 成果に対するプレッシャーを前向きに受け止められる
- 新しい知識やスキルを貪欲に吸収し続けられる
- 短期間で成長を遂げたいという意欲が強い
これらに当てはまる人は、コンサルで成果を出しながらキャリアを急速に伸ばしていけます。
若手のうちから経営層と直接関わる機会を得られるため、実務を通じて課題解決力やリーダーシップを磨けます。
また、マネージャーやパートナーといった高収入かつ責任あるポジションへ進む道も開けており、挑戦を重ねるほどに成長と報酬が両立するキャリアを築ける環境です。
まとめ
シンクタンクとコンサルは、仕事内容・必要スキル・年収水準・キャリアの広がり方まで、それぞれに明確な特徴があります。
どちらを選ぶかは、安定性を重視するか、スピード感ある成長を重視するかによって変わります。
シンクタンクは調査や政策提言を通じて社会課題の解決に携わり、コンサルは企業変革の最前線で実行力を発揮するのが強みです。
キャリアの方向性を見極め、自分の価値観に合った選択をすることが重要です。
ただし、自分だけで判断するのは難しいケースも多くあります。
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