コンサルの役職「プリンシパル」とは?年収やパートナー・ディレクターとの違いを解説
2025年11月28日更新
コンサルティングファームの「プリンシパル」という役職について、「どんな仕事をしているの?」「ディレクターやパートナーとはどのような違いがあるの?」と疑問に思う方も多いでしょう。
プリンシパルは、経営層に近い立場でプロジェクトを統括し、組織の成長を担う上級職です。ディレクターと同等、またはそれに近い階層に位置づけられ、将来的にはパートナーへの昇格を目指すポジションとされています。
本記事では、プリンシパルの定義や役割、仕事内容、年収、昇進までのステップを詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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監修者

北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
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目次
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プリンシパルとは
プリンシパルは、コンサルティングファームのなかでも案件獲得と組織運営の双方に責任を持つ上級職です。
プロジェクトの意思決定に関与し、売上・人材・案件創出にまで責任範囲が広がります。
ここでは、プリンシパルの定義や主な役割、そしてディレクターやパートナーとの違いを通じて、具体的な位置づけを解説します。
定義・役割
プリンシパルとは、コンサルティングファームにおいて経営層に次ぐポジションにあたり、案件獲得とプロジェクト成果の両方に責任を持つ役職です。
コンサルタントやマネージャーの上の立場に位置し、クライアントとの関係構築から提案、契約、チーム運営まで一貫して担います。
多くのファームでは、プリンシパルはパートナー候補としての実績を積む段階とされ、経営的な視点と実行力の双方が求められます。
単にプロジェクトを管理するのではなく、自ら新規案件を獲得し、組織の売上や戦略方針にも影響を与える重要な立場です。
コンサルの役職一覧
コンサルティングファームでは、役職ごとに明確なキャリアステップが設けられています。
下位職ほど実務や分析が中心となり、上位職になるにつれてマネジメント・営業・経営への関与度が高まります。
以下の表で、主な職位名とその役割をまとめています。上位→下位の順で並べています。
ファームによって呼称や職務範囲に多少の違いはありますが、全体像を把握する際の参考にしてください。
| 職位名 | 主な役割 |
|---|---|
| パートナー | 経営層として事業戦略を決定し、ファーム全体の収益責任を持つ |
| プリンシパル | パートナー候補。案件獲得・顧客関係構築・組織運営など、経営に近い立場で成果を創出 |
| ディレクター/シニアマネージャー | プロジェクト全体を統括し、品質・納期・人員管理の責任を負う |
| マネージャー | 複数プロジェクトを管理し、クライアントとの折衝や進捗をリード |
| シニアコンサルタント | 課題整理や提案書作成を行い、チームの中核として実務を主導 |
| コンサルタント | 調査・分析・資料作成など、プロジェクトの実務を担当 |
| アナリスト/アソシエイト | 入門層。データ処理やリサーチを通じてチームを支援 |
次に、以下で主要ファームごとの役職呼称の違いを整理しました。同じ「プリンシパル」でも、ファームによって位置づけが異なります。
各ファームでは職位の段階数が異なるため、ここでは代表的な階層を簡略化して整理しています。
| 階層 | アクセンチュア | マッキンゼーアンドカンパニー | BCG | アビームコンサルティング |
|---|---|---|---|---|
| 上位 | マネジングディレクター | アソシエイト・プリンシパル/ディレクター&プリンシパル | パートナー/シニアパートナー | プリンシパル/ダイレクター |
| 中上位 | プリンシパル・ディレクター | エンゲージメント・マネジャー | プリンシパル | シニアマネージャー/マネージャー |
| 中位 | マネジャー | アソシエイト | プロジェクトリーダー/コンサルタント | シニアコンサルタント |
| 下位 | コンサルタント | ビジネスアナリスト | アソシエイト | コンサルタント/アナリスト |
各役職の詳しい業務内容や年収水準については、以下の記事でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
ディレクターやパートナーとの違い
多くのコンサルティングファームでは、ディレクターとプリンシパルは同等、または非常に近い階層に位置する役職です。
いずれもパートナーの一歩手前にあたり、案件創出や顧客基盤の拡大、組織マネジメントなどに責任を持ちます。
| 役職 | 主な役割 | 特徴 |
|---|---|---|
| パートナー | ファーム経営に参画し、事業戦略・収益計画・人事方針などを決定 | 経営層として最終責任を持つ |
| プリンシパル | 案件獲得や顧客関係の維持を主導し、売上拡大と事業成長を担う | 経営寄りの上級職で、パートナー候補として位置づけられる |
| ディレクター | 部門やチームを統括し、複数プロジェクトを横断的に管理。人材育成や業績管理など、組織運営に比重を置く | マネジメント寄りの上級職。プリンシパルと同格の場合が多い |
ディレクターとプリンシパルは、役割の比重が異なるだけで階層的にはほぼ同格です。前者は組織運営・人員管理の比重が高く、後者は案件創出・収益拡大の比重が高い傾向があります。
そのうえで、プリンシパルはより経営視点を持ち、パートナー昇格を前提とした実績づくりの段階といえます。
プリンシパルの年収
プリンシパルは、コンサルティングファームのなかでも年収2,000万円〜3,000万円前後が目安となる上級職です。
成果に応じて報酬が大きく変動し、売上貢献度や案件獲得力がそのまま年収に反映されます。
ここでは、プリンシパルの平均年収、さらに代表的なファーム別の目安を紹介します。
平均年収の目安
プリンシパルの平均年収は、おおよそ2,000万〜3,000万円程度が一般的です。
ただし、ファームの規模や報酬制度によって差があります。成果連動型の評価が採用されている企業では、3,000万円を超えるケースも見られます。
年収構成は「基本給+ボーナス(業績連動)」が多く、評価は案件獲得やチームの収益貢献度が中心です。そのため、同じ職位でも担当領域やクライアント規模によって報酬に大きな開きが生じます。
コンサルタントやマネージャー層と比べても一段高い傾向があり、経営視点と収益責任を兼ね備えた層にふさわしい報酬水準といえるでしょう。
次の見出しでは、代表的なファームごとのプリンシパル年収を比較し、より具体的な相場を見ていきます。
代表的なファームにおける目安
同じプリンシパル職でも、報酬水準はファームの規模や報酬制度によって大きく異なります。
以下の表では、主要4社におけるプリンシパル(または相当職)の年収目安をまとめました。
| 企業名 | プリンシパル(相当職を含む)の年収目安 |
|---|---|
| アクセンチュア | 2,000万円~3,000万円 |
| マッキンゼーアンドカンパニー | 2,500万円~3,000万円 |
| BCG | 2,500万円~3,000万円 |
| アビームコンサルティング | 2,000万円~ |
引用:OpenWork
外資系のマッキンゼーやBCGでは、パートナー直下として高い成果責任を負う分、報酬も上位層では3,000万円前後に達するケースが多く見られます。
一方で、アクセンチュアやアビームコンサルティングのような総合系・日系ファームでは、安定した固定給をベースに成果に応じたボーナスが支給されるため、収入の安定性と成果報酬の両立が可能な水準といえるでしょう。
プリンシパルの仕事内容
プリンシパルは、コンサルティングファームのなかでも経営層に近い立場で、事業成長と組織運営の両面を担う上級職です。
単にプロジェクトを管理するのではなく、案件獲得や顧客関係の構築、新規事業の推進、人材育成など、経営に直結する幅広い業務を担当します。
ここでは、プリンシパルの主な仕事内容を4つの側面から詳しく見ていきます。
経営層との関係構築・案件獲得のリード
プリンシパルの主要な業務は、クライアント企業の経営層と信頼関係を築き、案件を創出することです。ファームの売上拡大に直結する重要な役割を担い、経営戦略の方向性を踏まえて提案活動を主導します。
提案段階では、課題の整理から提案書作成、プレゼンテーションまでを中心に進めます。契約に向けて提案内容を現実的なスコープへと落とし込むかたわら、新規クライアントや大型案件の獲得にも取り組みます。
このように、プリンシパルは案件の創出と収益拡大を通じて、ファーム全体の成長を牽引する役割を果たします。
プロジェクト全体の統括と品質管理
プリンシパルの業務としてさらに挙げられるのは、複数のプロジェクトを横断的に管理し、成果物の品質と納期を確実に守ることです。マネージャー層を中心にチームを指揮し、リソースの最適配分や進行状況の確認を通じて、全体の生産性を高めます。
進行中のプロジェクトでは、状況に応じて方針を修正し、優先順位を見直す判断が求められます。特に大規模案件では、進捗管理やリスクマネジメント、クライアント報告までを一貫してリードし、円滑な成果を創出します。
こうした取り組みを通じて、プリンシパルはプロジェクトの成功率を高め、ファーム全体の信頼性とブランド価値を維持する役割を担っています。
組織マネジメントと人材育成
チームや部門を統括し、メンバーの能力を最大限に引き出すことも、プリンシパルの仕事です。組織全体の目標達成に向けてリソースを最適化し、マネージャー層を中心に案件の運営や人材の配置をコントロールします。
日常業務では、各メンバーの強みや課題を把握し、成長を促すフィードバックを継続的に行います。また、部門間の連携を強化し、ナレッジ共有や業務改善を推進するのもプリンシパルの仕事です。
これらを通じて、プリンシパルは組織の生産性を高めると同時に、将来のパートナー層を育成する責任を果たします。
新規事業・サービス開発を通じて組織を牽引する
既存領域にとどまらず、新規事業やサービス開発を主導してファームの成長を牽引することも、プリンシパルの重要な仕事です。市場や顧客ニーズの変化を捉え、新たなソリューションやビジネスモデルを構築します。
新しい事業テーマの検討段階では、外部パートナーやクライアント企業と連携し、実現可能性の検証や収益性の見極めを行います。構想から実行までを一貫して推進し、ファーム全体の競争力強化につなげていきます。
こうした取り組みを通じて、プリンシパルは変化に強い組織づくりと長期的な成長基盤の構築を実現します。
プリンシパルになるには?
プリンシパルは、マネージャーやディレクター層のなかでも、限られた人材しか昇格できない上級職です。
担当プロジェクトで確かな成果を上げるだけでなく、ファーム全体の成長に貢献した実績が求められます。
ここでは、プリンシパルに昇進するまでの一般的なキャリアステップや昇進の難易度について解説します。
一般的な昇進ルート
プリンシパルに昇進するには、コンサルタントとして実務経験を重ね、段階的にマネジメント業務へと役割を広げていく必要があります。
キャリアの初期はアナリストやアソシエイトとしてリサーチや分析を担当し、業界知識や課題解決の基礎を身につける段階です。
その後、コンサルタントとしてクライアントへの提案や課題解決を主導し、成果を積み上げていきます。マネージャーに昇格すると、プロジェクト全体を統括し、チームを率いて成果を出す立場となります。
ここで安定的に成果を上げ、クライアントからの信頼を獲得できれば、プリンシパルへの昇進が見えてきます。プリンシパルは、マネージャーとしての実績に加え、案件創出や組織運営にも関与できる段階として位置づけられる役職です。
以下の記事では、戦略コンサルタントに特化して、キャリアパスを解説しています。併せて参考にしてください。
昇進難易度
マネージャー層からさらに上位へ進む人材は限られているため、プリンシパルへの昇進難易度は非常に高い水準です。
昇格するかどうかを判断する段階では、プロジェクトの成功だけではなく、クライアントとの関係構築や案件創出、チームマネジメントなど、複数の観点から総合的に評価されます。そのため、マネージャーとして安定的に成果を上げ続けるだけでなく、ファーム全体への貢献や経営的視点を示せるかどうかが重要な分岐点となります。
また、昇進には一定の年数が必要で、一般的にはマネージャー経験を3〜5年程度積んだ後にプリンシパル候補として選抜されるケースが多いです。成果や貢献度によっては昇進スピードが早まることもありますが、ほとんどのファームで厳格な選抜が行われています。
プリンシパルは単なる昇進の延長ではなく、経営層に近い立場としての資質と継続的な成果が問われる職位といえます。
プリンシパルに求められるスキル
プリンシパルは、経営層に近い立場として案件の創出から組織運営まで幅広く関わるため、求められるスキルも多岐にわたります。個人の実務力だけでなく、チームを導き、組織全体を成長させる視点が必要です。
ここでは、プリンシパルとして成果を上げるために特に重要となる4つのスキルを紹介します。
経営視点での戦略立案力と意思決定力
プリンシパルに求められるのは、クライアントや自社の事業を経営者の視点で捉え、最適な戦略を描く力です。市場や業界の変化を分析し、クライアントの中長期的な成長を見据えた提案を設計します。
戦略を立案する際は、財務・人材・オペレーションなど、複数の要素を統合的に判断する必要があります。短期的な利益だけではなく、組織全体の持続的成長に寄与する意思決定ができるかどうかが重要です。
また、自社においてもプロジェクト選定や投資判断など、ファーム全体の方向性を左右する局面で判断を求められます。
このように、プリンシパルには経営全体を見渡し、リスクを踏まえたうえで最適解を導き出す力が求められます。
クライアントとの信頼関係を築くリーダーシップ
プリンシパルには、クライアント企業の経営層と長期的な信頼関係を築くリーダーシップが求められます。提案だけにとどまらず、課題を共有し、経営の意思決定を共に支える姿勢が重要です。
信頼関係を構築するためには、クライアントの立場に立った課題の理解と、誠実な対応が必要です。特に経営判断に関わる助言を行う場面では、相手の期待に応えるだけではなく、時には厳しい意見を伝える勇気も必要になります。
また、複数のステークホルダーと関係を築きながら調整を進める場面も多く、透明性の高いコミュニケーションが必要です。
プリンシパルには相手の信頼を維持しながら意思決定を支援し、組織を前進させるリーダーシップが求められます。
大規模案件を推進するマネジメント力
大規模案件では関係者が多く、進行管理やリソースの調整が成果を左右するため、プリンシパルには全体の方向性を統一するマネジメント力が求められます。
各マネージャーやコンサルタントの進捗を把握し、課題が発生した際には優先順位を判断して迅速に対応します。また、複数案件を同時に動かすことも多く、リスクを見極めながら品質とスピードの両立を図る必要があります。
さらに、チームの士気を維持しながら、メンバーの能力を最大限に引き出すことも重要です。
プリンシパルには全体で最も良い結果を出すことを優先する「全体最適」の視点でプロジェクトを推進し、確実に成果を上げるためのスキルが求められます。
組織の成長を促す人材育成・知見共有力
プリンシパルには、チームのメンバー一人ひとりの成長を支援し、組織全体の力を底上げするスキルが求められます。
人材を育成しながら、ノウハウや知見を共有することで、ファーム全体の競争力を高めることができるためです。
具体的には、プロジェクトの現場で部下に権限を委ねつつ、成果を出すための思考プロセスを言語化して伝えることが求められます。定期的なフィードバックや1on1面談を通じて、メンバーが自律的に課題を解決できるよう導きます。
また、成功事例や分析ノウハウを体系化してナレッジとして蓄積し、他のプロジェクトや部署で活用できる仕組みを整えることも欠かせません。
このように、プリンシパルには人と知を循環させ、組織の持続的成長を実現する力が必要です。
プリンシパルを含めたコンサルタントに必要なスキルや能力については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ
プリンシパルは、コンサルティングファームのなかでも経営層に近い立場で、案件創出や組織運営を担う上級職です。マネージャーとして確かな実績を積み、戦略立案・人材育成・経営判断といった幅広いスキルを発揮できる人材が選抜されます。
一方で、昇進難易度は高く、ファームごとに評価基準やキャリア設計も異なります。
自分の経験や志向に合った環境を見極めることが、キャリアを長期的に伸ばすうえで欠かせません。
ハイクラス転職エージェントMyVisionでは、コンサル業界に精通したキャリアアドバイザーが、ファームごとの評価基準や昇進の実態を踏まえたキャリア戦略を提案しています。 プリンシパルや上位職を目指す方は、ぜひ一度ご相談ください。





