アクセンチュアとは 特徴や年収を徹底解説
2025年08月19日更新
アクセンチュアは、世界中のクライアントに対して戦略策定からシステム構築まで幅広く提供する、世界最大規模の総合系コンサルティングファームで、転職者の中でもトップレベルの人気があります。またファームの規模は世界最大で、世界50ヶ国、200都市以上に事業所を展開しています。 アクセンチュアへの転職にご関心のある方は参考にしてください。
著者

大久保 宏菜
Okubo Hirona
大学卒業後、ソーシャルサービスの企画~開発、運用を経験した後、電通デジタル・アクセンチュアにてマーケティングコンサルに従事。MyVisionでは実務・コンサルティング経験を生かしたコンサル経験者・エグゼクティブに対するマーケ/IT領域の転職支援を得意とする。
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監修者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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アクセンチュアとは
まずはアクセンチュアの企業内容と事業概要について解説します。
アクセンチュア会社概要
| 社名 | アクセンチュア株式会社 (Accenture Japan Ltd) |
|---|---|
| 代表者名 | グローバル:ジュリー・スウィート(Julie Sweet)/ 日本オフィス:江川 昌史 |
| 設立年 | グローバル:1989年 / 日本オフィス設立:1995年 |
| 従業員数 | グローバル:約73万8000人 (2023年3月時点) / 日本オフィス:約1万9000人(2022年12月末) |
| 資本金 | 3億5千万円 |
| 売上高 | グローバル:616億USドル / 日本オフィス:非公開(9期連続2桁成長を達成) |
| 株式公開 | ニューヨーク証券取引所 |
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アクセンチュアのコアバリュー
コア・バリューとは、会社のカルチャーを形作り、会社を特徴づける価値観です。下記にアクセンチュアの6つのコア・バリューを紹介いたします。
クライアントの価値の創造 クライアントのハイパフォーマンスを支援し、「最も信頼されるパートナー」を目指す。共に悩み、汗をかく。ニーズに機敏に対応し、未来をも提示する。真摯で誠実な想いで信頼を醸成し、期待を超えるバリューを生み、永続的な関係を築く。
ワン・グローバル・ネットワーク 地球の裏側の仲間の知恵も借りられる。国境や地域を越えた連帯、協力、情報収集能力を活かし、クライアントの活動を世界のあらゆる場所で支え、成功に導く。
個人の尊重 一人ひとりの価値観、仕事の進め方やキャリア・ライフステージは多様でいい。異なるもの同士が、互いを信じ、それぞれの違いを受け入れ、弱みを補いあう。個の強みや個性を最大限に発揮できる文化・環境を育み、組織の推進力に昇華する。
ベスト・ピープル アクセンチュアは、多様性で勝負する。異なる背景を持つ個人同士が、協力し、切磋琢磨し、支え合い、お互いの成功や成長を喜び合う。社会のあらゆる人々から、「最高の職場」と評価され、人材を惹きつけ続ける。
インテグリティ 堂々と、誠実に振る舞い、信頼を築く。信じることを正確に伝える努力を惜しまず、言行を一致させ、行動に責任を持つ。
スチュワードシップ 私たちは、次世代をも見据えて行動する。一人ひとりが会社へのオーナーシップ意識を持ち、より良くより強いアクセンチュアを育み、人材を育成する。そして何よりも、次世代のために、私たちのミッションである「人々の生き方や世界の仕組みを進化させ、より良い方向へ導く」を実現する。
アクセンチュアのカルチャー
アクセンチュアでは、「Think straight、 talk straight」を行動指針に掲げており、自分の正しいと思った考えを、相手の立場に関わらず、摩擦を恐れずにしっかり語り、伝えていく姿勢を表しています。率直な発言が歓迎されており、社員同士がフラットな関係なのが社風です。
また、グローバルで規模の大きいファームならではの特徴ですが、お互いの社員の強み・スキルで助け合う文化もあります。国内外問わず全世界の最新のプロジェクト事例・ナレッジを参照できる「ナレッジエクスチェンジ」というデータベースがあり、日本では導入例のない最新技術を用いた事例やノウハウを活用することができます。世界中の案件担当者に、チャットやメールで気軽に技術的な相談をすることもできます。
アクセンチュアの特徴とは
案件の特徴
アクセンチュアは、業界・ファンクションでほとんどの領域をカバーしているだけでなく、経営・事業戦略からシステム・業務運用、デザイン領域までエンドツーエンドで支援していることから案件は非常に幅広いです。 そのため、競合も戦略コンサルティングファームからSier、広告代理店・クリエイティブエージェンシーまで及ぶこともあり、自身の希望によっては幅広い経験を積むことができます。
また、アクセンチュアはその中でも、競合のコンサルティングファームと比較して、IT・デジタル分野に強みがあることが大きな特徴です。コンサルタントのみならず、IT実装まで手掛けることの出来るエンジニア、プロジェクトマネジャー、デザイナーなど多様な人材を抱えており、それがクライアントに提供する価値の源泉、競合に対する強みとなっています。
アクセンチュアの事業内容
アクセンチュアは世界50か国200都市以上で様々な分野・産業に対し「ストラテジー & コンサルティング」「ソング」「テクノロジー」「オペレーションズ」「インダストリーX」の5つの領域で幅広いサービスとソリューションを提供しています。総合系コンサルティングファームの最大手で、戦略コンサル部隊からオペレーション実行部隊を保有し、上流から下流まで幅広くサービス提供しています。
ストラテジーアンドコンサルティング 経営戦略や、各業界のエキスパート、企業部門担当者、BI(ビジネスインテリジェンス)のエキスパート、デザイナー、データサイエンティスト、その他様々なスキルを持つ専門家たちが集結し、データや独自のリサーチに基づくインサイトを活用して、顧客企業の戦略立案から実行までを迅速に推進しています。
ソング 顧客企業に寄り添う革新的な事業・製品・サービスを生み出し、クライアントのビジネス成長をサポートする事業です。 具体的には顧客企業がターゲットとするユーザーを対象に、製品・サービスの創出や顧客体験の最適化、さらにこういった新規ビジネスを継続的に実現するための体制の構築支援を図っています。
テクノロジー 幅広い業界知識と、テクノロジー領域への専門性を武器に、顧客企業が適切なテクノロジーを活用して、複雑かつ重大な課題に対応できるようサポートする事業です。 具体的には、クラウドへの迅速な移行や、テクノロジー・プラットフォームの価値の最大化、アプライド・インテリジェンスによるデータの有効活用、セキュリティ対応などを行っています。
オペレーションズ デジタルの力をフルに活用し、テクノロジー、業務プロセス、人材の全てを継続的に変革する事業です。 生産性を飛躍的に高めるだけでなく、データに基づく迅速かつ的確な意思決定や、お客様に対する顧客体験やサービスの向上、今後起こるであろう様々な変化への柔軟で迅速な対応を可能としています。
インダストリーX インダストリーXとは、デジタルエンジニアリングとマニュファクチャリングにおける統合的なアプローチやケイパビリティのことをいいます。 具体的には、さまざまな産業分野において、エンジニアリングや研究開発、工場・プラントオペレーションのデジタル化をはじめとし、ハードウェアからソフトウェア製品への移行の迅速化や、業務の安全性、持続可能性、生産性の向上など、大規模で幅広いサービスをエンドツーエンドで提供しています。
アクセンチュアの昇進と育成制度
アクセンチュアのプロモーションの仕組み
アクセンチュアは下記のレベルで職位が分かれており、数値が小さくなるほど職位が高くなる仕組みとなっています。 Level11:アナリスト Level10:シニアアナリスト Level9:コンサルタント Level8:シニアコンサルタント Level7:マネージャー Level6:シニアマネージャー Level5~1:マネージング・ディレクター
年度毎の人事評価で、職位が上がるか/上がらないかが決定され、毎年6月・12月にプロモーションが実行されます。
アクセンチュアの人事評価制度
アクセンチュアの人事評価は次のプロセスで進みます。
- プロジェクト毎のパフォーマンス評価
- ピープルリードによる年次評価
- 所属組織での年次評価
※ピープルリードとは、プロジェクトの上司ではなく中長期的なキャリアのアドバイス・FBを行うメンター社員
プロジェクト毎のパフォーマンス評価では、プロジェクトの実務で携わった上司からそのプロジェクトの難易度と貢献度合いによって評価が行われます。プロジェクト終了時にはその上司からのフィードバックを受けることができます。 そして、それらの各プロジェクトでのパフォーマンス評価を基に、ピープルリードが年次での評価を決定します。 その後、所属組織におけるマネージャー以上の人事評価会議にてピープルリード同士が担当の評価者に関する議論を行い、該当年度の最終的な評価が決定します。
アクセンチュアの育成制度
アクセンチュアには『人材こそが資産』という信念があり、次世代をリードする人材の育成のための独自の制度やトレーニングが充実しています。
キャリアカウンセリング制度
上司とは別の立場からアドバイスをしてくれる「ピープルリード」と呼ばれるメンター社員が入社時から全社員一人ひとりについて、キャリア構築をサポートする制度です。スキルアップの仕方、キャリアの方向性などについて定期的に相談することができます。社員は自分でピープルリードを選ぶこともできます。
キャリアズ・マーケットプレイス
社員がキャリアチェンジを目指す際、社内で希望する仕事に応募できる"社内転職サイト"があります。世界中のアクセンチュアにおける募集ポジションを自由に検索し、応募ができるようになっています。まずは、興味のある部門の社員にコンタクトし、自身の経験・スキルが希望ポジションにマッチするか、フラットな確認も可能です。2021年度では、日本では約740名の社員が利用し、希望の仕事・ポジションに就いています。
研修・オンライントレーニング
基礎的なスキルから業界別の高度な専門スキルの習得に至るまで、幅広い研修メニューが提供されています。さらに、さらに海外トレーニングや、非公式の勉強会も多数実施されているため、成長できる環境が整っています。 また、実践的なスキルを磨ける、24,000コース以上の豊富なオンライントレーニング・プログラムも用意されています。
アクセンチュアの働きやすさへの取り組み
コンサルティングファームは長時間労働のイメージがありますが、アクセンチュアでは、高いパフォーマンスを発揮しつつ働きやすい環境つくりに会社全体・チームが工夫を凝らしています。 働きやすさへの取り組みとして象徴的なプロジェクトとしては、日本拠点で実施されてきた「Project PRIDE」があります。これは、『アクセンチュアで働くすべての人々が、プロフェッショナルとしてのあり方に、自信と誇りをもてる未来を創造する全社員イノベーション活動』というミッションを掲げた活動です。
Project PRIDE 具体的な取り組み例
- 残業の適用ルール厳格化
- 日短時間勤務制度の導入(※)
- 在宅勤務制度の全社展開(※)
- 全社員と遠隔でもコラボレーション可能になるツールの導入
(※) いずれの制度も、利用にあたっては一定のルール及び満たすべき条件があります。
また、アクセンチュアでの働きやすさを象徴する福利厚生、女性の働きやすさを下記に紹介いたします。
福利厚生について
アクセンチュアには出産・育児・介護関連、休暇、各種手当て、働き方等の観点で、福利厚生は多岐にわたり非常に充実しています。
- 出産・育児・介護関連
- 母体保護休暇
- 配偶者・ライフパートナー出産休暇
- 子の看護休暇
- 育児休憩時間
- ベビーシッター補助
- 介護休暇
- 出産休暇
- 育児休業
- 内閣府ベビーシッター割引券の無料配布
- ベビーシッター法人契約
- 育児コンシェルジェサービス
- 休暇
- 年次有給休暇
- 私傷病休暇
- 結婚・出産・忌引休暇(ライフ・パートナーの場合を含む)
- リフレッシュ休暇
- ボランティア休暇
- 手当
- 時間外勤務手当
- 深夜勤務手当
- 出張手当
- 住宅手当
- 交通費支給
- 働き方
- フレックス制度
- 在宅勤務制度
- 短日短時間勤務制度
- その他
- 確定拠出年金制度(401k)
- 従業員株式購入プラン
- 長期収入所得補償
- 法人会員及び契約施設・ホテル等の割引特典
- ポイント・割引サービス
- 健康サポート
女性の働きやすさについて
アクセンチュアでは女性が働きやすい環境を整えるための各種取組が積極的に推進されており、その効果は各種数値に現れています。 2023年3月時点の数値について
| 目標指標 | 実際の数値 |
|---|---|
| 全社員数に占める女性社員 | 37.4% |
| 全管理職数に占める女性管理職 | 20.7% |
| 女性社員の育児休業取得率 | 100% |
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2006年に発足した「Japan Women’s Initiatives」という取り組みでは、女性の採用強化、継続意欲の維持・向上、そして女性リーダー輩出が促進されています。管理職候補の女性社員にはスポンサーという指導役の先輩社員がつき、成長をサポートするのも特徴です。
その結果、日経DUAL「共働き子育てしやすい企業ランキング」では2021年に第3位、日経WOMAN「女性が活躍する会社Best100」では2021年に総合第1位、管理職登用度第2位に輝くなど、外部からの受賞実績も獲得しています。
アクセンチュアの最近のトピック
AI(人工知能)技術ベンチャーのALBERT買収
2022年9月29日にアクセンチュアは、AI(人工知能)技術ベンチャーのALBERT(アルベルト)に対するTOB(株式公開買い付け)の実施を発表し、同年11月15日にTOBが成立しました。 アクセンチュアが子会社化したアルベルトは、従業員の約8割に相当する約240人(2021年時点)をデータサイエンティストが占めており、トヨタ自動車や東京海上日動火災保険などとの取引実績を持っています。 IT人材の中でも、AI(人工知能)システムを開発したり、高度なデータ分析を実施したりするデータサイエンティストの需要はとりわけ高いです。 多数のデータサイエンティストを擁するALBERTを迎えることで、アクセンチュアはデータおよび人工知能(AI)を活用したお客様の変革支援をさらに加速します。 出典:アクセンチュア公式 ALBERTの買収に向けた公開買付けが成立
1万9000人削減の人員削減計画発表(米本社)
アクセンチュアは2023年3月23日、12億ドルを退職金に投じ、向こう1年半で全従業員の約2.5%に当たる1万9000人を削減すると発表しました。コンサル業界の人員削減では過去最大で、コスト削減に乗り出しました。 一方、日本オフィスは9期連続2桁成長を達成し、グローバルでの成長を牽引する存在となっており、むしろ今後も積極的にビジネスを拡大していく方針です。そのため、引き続き採用を強化していくトレンドが継続することが予想されています。
DX・リスキリングで中小開拓
アクセンチュアの米本社では人員削減に着手しましたが、日本法人では「顧客の数は増えており、当社が提供するサービスの範囲も広がっている」と、土居高廣常務執行役員テクノロジーコンサルティング本部統括本部長は強調しています。また、これまで、顧客として大企業が中心だったが、近年は中堅・中小企業へも裾野が広がっていると語り、その理由としては、DXの普及により「企業規模を問わず問題意識が共通になってきているからだ」と土居常務執行役員は見ています。 実際に、福島県会津若松市の「イノベーションセンター福島」を拠点に、中小向けのデジタルトランスフォーメーション(DX)支援を事業化しています。中小はDXのノウハウをほとんど持たないため、まず従業員教育から引き受けており、これを機に5年で100社のDX支援業務の受注を目指しています。 出典:「全てにおいてナンバー1を目指す」、最大手アクセンチュアのすごみ
