FAS系コンサルとは? 魅力的なキャリアや年収、仕事内容を徹底解説
2026年02月16日更新
未経験からコンサルティング業界への転職は、ハイクラス人材にとって非常にポピュラーなキャリアパスになっていますが、FAS業界への転職も同様に人気があります。そこで今回はFASに興味のある方向けに、FASの仕事内容や働き方といった基本的な情報から、実際のプロジェクト事例、その後のキャリアパスまで網羅的にご説明したいと思います。
本記事を読んでいただければFASについて全体のイメージをつかんでいただくことができると思います。また、弊社MyVisionは、業界未経験からFAS業界への転職も数多く支援しております。FAS業界に興味のある方はぜひお気軽にご相談ください。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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FASとは何か?
FASは「Financial Advisory Services」の略式名称で、企業の財務・会計に関するコンサルティングサービス、またその業務を提供するコンサルティングファームのことを指します。 具体的には、M&Aや事業売却に携わることが多いです。 近年では後継者不在などの問題によりM&Aが活発になる中で、FASに対する案件も増加しています。
FAS系コンサルファーム 企業一覧(代表例)
FAS系ファームの代表企業としてはデロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー(DTFA)、PwCアドバイザリー、KPMG FAS、EYストラテジー・アンド・コンサルティングがあります。これらは世界4大会計事務所(BIG4)のグループファームという特徴があります。 以下のファームリストは、グローバルで代表的なFASの企業一覧になります。
- デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー (DTFA)
- PwCアドバイザリー
- KPMG FAS
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ
- エスネットワークス
- フーリハン・ローキー(旧GCA)
- プルータス・コンサルティング
FAS(財務アドバイザリー)の求人情報
コンサルティング職(スタッフ)
想定年収
400~800万円
勤務地
東京都港区
業務内容
- 事業再生業務(事業DD、財務DD、再生計画立案、実行支援、金融機関調整等)のコンサルティング ①過剰債務や資金繰り悪化の中堅・中小企業に対し、事業再生コンサルティングを実施。 DDを通じ、対象会社の正常収益力、実態純資産の把握を行い、返済計画含む事業再生計画の立案を実施。 ②その際、コストカットのみでなく、PL改善をどうできるのかを対象会社の社長と検討し、達成可能な計画策定を実施。 ③再生計画立案後は、モニタリング支援を実施し、絵に描いた餅となることのないよう再生計画の実行支援も行う。
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【関西エリア/大阪支社】FASコンサルタント(マネージャー候補)
想定年収
800~1,500万円
勤務地
大阪府大阪市
業務内容
●概要 ①上場親会社による上場子会社の完全子会社化、上場会社のMBOによる非公開化等にかかるFA業務をメインに行っていただきます。 (通常の買収案件に係るFA業務、セルサイド売却支援も行っています)。 ②各種バリュエーション業務(株式価値算定・事業価値算定・各種比率算定等)を行っていただきます。 ●入社後の業務内容 FAの経験を有する方は、主に上場会社に関係するFA業務に関与いただきます。 公開買付けやスクイーズアウトの手続きや、株価算定を行い、短期的にプロジェクトマネージャーを担っていただきます。 一方、未経験者の方は、FAのプロジェクトの一部(プレスや資料の作成、株価算定の一部、相手FAや事業会社とのコミュニケーション等)を担当しながら、徐々に業務範囲を広げて頂きます。 <近年の案件/プロジェクト事例> (1)上場会社のうちには経営の自由度や企業価値の向上を踏まえ、非上場化を企図する上場企業も多くなっております。 そのため、弊社では上場会社のMBOによる非公開化や上場親会社による上場子会社の完全子会社化にかかるアドバイザリー業務が増加しています。 形態としても、企業価値向上や少数株主保護の観点から様々な形での関与(例えば単に対象会社のFAだけでなく、特別委員会のFAやバリュエーター等)を行っており、多様なニーズにお応えしています。 (2)また、昨今ではカーブアウトが一般化していることもあり、バイサイドのみならず、セルサイドでのカーブアウト支援業務(カーブアウト財務諸表・スタンドアロン項目の整理)も増加傾向となっています。 ●変更の範囲:会社の定める業務
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M&Aコンサルタント(IBD領域担当)
想定年収
800~1,200万円
勤務地
東京都千代田区
業務内容
●募集背景 近年多くの国内上場企業グループが、経営効率の改善ひいては中長期的な企業価値の向上を目指し、事業ポートフォリオの変革に積極果敢に取り組み始めた状況です。しかし、グループ会社や事業部門の売却(カーブアウト)は数あるM&Aの類型において、最も難易度の高い手続きとされ、関係当事者を悩ませています。同様に、ダイナミックな事業構造の転換に向け、TOB手続きを通じて大手企業のグループに加わったり、非上場化を実施する上場企業が増えています。このようなTOB案件も、通常のM&Aとは異なり交渉や手続き上に多くの論点が発生し、難易度の高いM&Aの類型とされます。弊社では、こうした国内の上場会社を取り巻くM&A市場の近況を踏まえ、クライアントのニーズに対応し、重要なM&A案件を推進・実行するための支援体制を強化するため、2023年4月に「成長戦略開発センター」を立ち上げました。今回、成長戦略開発センターの体制強化に伴い、M&Aコンサルタントを募集いたします。 業務内容 成長戦略開発センターは各上場会社の経営層に対し、事業部門の切り離し(カーブアウト)、大手グループ又はPEファンド傘下入り、非上場化によるMBO等を通じたダイナミックな事業構造の変革について営業・提案(ソーシング)から実行支援(エグゼキューション)までを主たる業務としています。 また、カーブアウトやTOBによるダイナミックな事業構造変革の必要性・意義を市場に向けて発信するなどのマーケティング活動を行っています。 その結果、特にカーブアウト案件については、ここ3年間で50件以上の案件を受託しており、着実に成果を上げています。 ・ 営業/提案先の選定及びアプローチ ・ 提案書作成及びプレゼンテーション ・ 資本提携候補先の検討(資本提携先のリサーチ、事業シナジー検討、トップ面談アレンジ等) ・ エグゼキューション支援を含むM&A仲介業務またはFA業務
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税務コンサルタント
想定年収
650~1,000万円
勤務地
東京都新宿区
業務内容
【アクリア-意志ある人が輝く社会に-】 アクリアは、「意志ある人が輝く社会に」というVisionのもと、会計から日本企業の変革を目指す会計/税務コンサルティング会社です。監査法人出身者の他、戦略系・会計系コンサルティング会社出身者や資格予備校講師といった多様なメンバーから構成されており、制度会計・管理会計からIPOやFAS領域まで総合的な知見を有しております。 こうした知見を活かして、ベンチャー企業から上場企業まで、お客様に合わせたご支援をさせていただいております。 また、社員一人ひとりの考えを尊重し、働きやすくプライベートとの両立を実現できる環境を大切にしている点も大きな魅力と考えております。 <業務内容> ご希望や経験を考慮し、下記のような業務をお任せします ●税務申告書作成業務: 上場企業、ベンチャー企業、ファンド等に対する巡回監査、税務申告書作成業務 ●税務コンサルティング: 中長期的な視点でのタックスプランニングの立案/検討、IPO支援、グループ通算導入などに係るコンサルティング業務 ●税務アドバイザリー: 国内、国際税務に係るアドバイス、組織再編などに係る検討業務 ●経理支援、決算早期化支援: 月次/年度決算対応、予実管理、経理業務効率化などに係るコンサルティング業務 ●研修事業: 税務研修(税制改正、法人/個人に係る優遇税制)の調査・実施 ※ご経験に応じて10社前後をご担当いただきます ※意欲や成長に応じて、IPO支援業務や経営コンサルティング業務など、将来的に専門性を活かした業務にも活躍の場を広げていただけます 【変更の範囲】 法人が定める業務
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【東京】財産コンサル/相続税申告件数業界トップクラス/年休125日/Web面接可
想定年収
-
勤務地
東京都 中央区
業務内容
■案件数昨対比130%超!今後もニーズが高まる「相続税」専門の税理士法人 ■相続税専門事務所での業務提携先拡大の業務をお任せ。 体制強化による増員募集です。 専門性を高められる&効率重視の働き方:実働7h、平均残業時間20時間 <業務内容> 当社は相続税専門の税理士事務所として年間2300件以上の相続申告件数と業界トップクラスの件数取り扱っています。 その当社にて個人資産家の生前の相続に関するご相談に乗っていただく業務をお任せします。 【具体的には】 個人資産家向けに・相続税の試算・生前対策レポートの作成・贈与シミュレーションが主な業務となります。 相続税/贈与税の申告書作成及び補助業務/相続税対策(保険や資産組み換え)/相続対策(遺言や家族信託)/事業承継対策(株価算定等)の提案/相続対策の提案から派生する形で不動産や生命保険の提案業務等も加わり、資産家向けの総合コンサル経験を積むこともできます。
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FASの業務内容
FASが主に携わる業務がM&Aに関する業務支援です。M&A関連業務は以下のようなプロセスに分かれます。
- M&A戦略
- デューデリジェンス(DD)
- バリュエーション
- PMI
一般的に、これらそれぞれの領域に専門のチームを構えていることがほとんどです。
また、M&A以外のFASの業務としては、以下の3つが代表的なものとしてあげられます。
- 企業再生支援
- フォレンジック
- インフラ/PPP
各領域に対応した組織を持つことで、より専門的なアドバイザリーサービスを提供できることがFASの強みの1つです。
下記の画像は、それぞれの業務内容をまとめたものです。

FASとIBDの違いは?
FASとよく比較されるのが、証券会社の投資銀行部門であるIBD(Investment Banking Divisionの略称)です。 IBDもFASと同様にクライアントへのM&A実行戦略提案から、企業間統合のPMIまで、M&Aの一連の流れをカバーしています。
FASとIBDの違いですが、FASは証券会社と異なりファイナンスの機能がないため、株式や債券の引き受けによる資金調達支援ができません。
その一方で、バイサイド・セルサイドのM&Aアドバイザリー業務を中心とし、加えてM&A後のPMIまで含めてIBDと比較してもより踏み込んだ支援を行うことができるという点がFASの特徴になります。
MyVision編集部では、ブランド名や「Big4かどうか」だけを基準に選ぶことを推奨しません。なぜなら、実際にブランド力を優先して入社したものの、自身の志向と業務内容が合わず早期離職に至るケースもあるからです。
そのため、案件の規模感や関与フェーズ、チームカルチャーまで具体的に確認し、自分がどのM&A工程で価値を出したいのかを明確にした上で選ぶ方が、納得のいく転職になりやすいです。
FASの役職と年収
FASはコンサルティングファームと同様に他の業種と比べて比較的高収入であると言われています。
下記はFASの役職別の一般的な年収となります。

給与の内訳は、ベース給与と賞与(ボーナス)です。ベース給与は役職ごとにある程度固定で決められています。賞与は、おおよそ*固定給の10%〜30%*ほどで、その年の個人のパフォーマンスやファームの業績によって決まります。
FASは昇給スピードが一般的な企業と比べるとかなり早く、早い方は20代のうちに年収1,000万円を超えます。 自身の能力や結果に応じて昇進スピードが決まるため、実力に応じた年収増を目指せる環境となっています。
実際にFASに転職して年収がアップした事例
弊社MyVisionでもFAS転職の支援を行っていますが、転職の結果年収が大幅に上がった事例は多いです。 下記の表で、実際に年収アップを実現させた事例をまとめています。
| 転職前の職種 | 転職前年収 | 転職後年収 |
|---|---|---|
| 会計士 | 700万円 | 900万円 |
| 経理 | 500万円 | 700万円 |
| 人事 | 500万円 | 800万円 |
| 監査 | 600万円 | 800万円 |
| 営業 | 500万円 | 800万円 |
| 法人営業 | 700万円 | 900万円 |
| 会計士 | 600万円 | 1000万円 |
また、より詳しい体験談も以下からご覧いただけます。
──年収も大幅に上がったため反省点は特にないです。非常に満足しています。
MyVision編集部の見解では、提示年収や昇給スピードだけで検討することは失敗しやすいです。その理由は、FASでは評価制度やアサイン案件によって実質的な成長スピードや市場価値の伸び方が大きく異なるからです。
短期的な年収アップだけでなく、3〜5年後にどのポジションへ進みたいのか、そのキャリアから逆算して今のファームを選べているかどうかが、長期的な満足度を左右します。
FASの働き方
改善されつつあるワークライフバランス
FASはクライアントワークであるため繁忙期はありますが、働き方改革の浸透やコンサルタント数の増加により、近年では比較的ワークライフバランスが確保されてきています。加えて、在宅ワークが推奨される場合もあるため、精神的・肉体的な負担も以前と比べると少なくなってきています。
また、FASと同様にM&Aアドバイザリー業務を行う投資銀行と比較しても、FASは1プロジェクトにアサインされる人数が多く、一人当たりの業務や責任範囲は限定的である場合が多いです。このため、IBDと比べても1メンバー当たりの業務負担が軽く、ワークライフバランスが確保されやすい環境です。
プロジェクトの忙しさを左右する要素
ワークライフバランスが改善されつつあるFASではありますが、アサインされるプロジェクトのフェーズや形態、マネージャーやクライアントの志向次第で、実際の働き方は異なってきます。
プロジェクトのフェーズ・規模
担当しているディールのエグゼキューションが佳境の時期や、クロスボーダー案件で時差のある海外オフィスとプロジェクトを行う場合は、労働時間が長くなる傾向があります。また、デューデリジェンス時や、M&Aの売却対象企業をまとめるIM(インフォメーションメモランダム)作成時にも同様にハードワークになる傾向があります。
プロジェクトの規模による忙しさについては、大型案件ではチームメンバーの数が比較的多くなるため、一人当たりの業務や責任範囲は限定的となることに対して、スモール〜ミッドキャップの案件はアサインされるメンバーの数が少ないです。このため、大型案件では相対的にワークライフバランスが確保されやすいと言えます。
プロジェクトマネージャー/チームメンバー
プロジェクトのメンバーの出身によっても、働き方が異なるケースがあります。 特にチームのシニア層に元IBD出身者が揃っているようなプロジェクトでは、IBDさながらのハードワークになる場合があります。一方で銀行出身のシニアが多いチームでは比較的に業務負荷が軽くなる場合もあります。
クライアント
クライアントの志向は実際の働き方に影響を与える要素の1つです。週に1度程度の定例進捗での報告で良しとするクライアントもいれば、細かな報告や丁寧な進め方を好むクライアントもいます。 細かいステップで進捗報告を求めるクライアントの場合、ミーティングの回数や必要な定例資料のアウトプットが増加するため、業務負荷が増える傾向にあります。
コンサルタントの忙しさについては、下記の記事でも解説しています。コンサルタントの働き方に興味がある方は、ぜひご覧ください。
FASコンサルタントに求められるスキル
FASに求められるスキルは職位や専門領域によって様々ですが、全てのFASコンサルタントに共通して必須のスキルとして、論理的思考力(ロジカルシンキング)とコミュニケーション能力が挙げられます。
加えて、FASは戦略コンサルタントや総合コンサルタントといった一般的なコンサルタントと比較すると財務領域やおける知識や経験も重要になってきます。FAS転職では、未経験での採用も行われておりますが、金融のバックグランドが有利に働くことが多いのはこのためです。
本章ではFAS転職で求められる3つのスキルについて解説していきます。
論理的思考力
論理的思考力はFASコンサルタントにとって最も重要なスキルの1つです。複雑で抽象的な問いを整理し、課題を設定・構造化して、問題解決ができるように落とし込んでいく能力は、M&Aの現場では日夜問わず必要となる力です。
論理的思考力については時間をかければある程度習得可能で、それらに関する書籍も多く出版されています。
以下はコンサルタント業界で有名な、論理的思考力の基礎を身に付ける為の書籍です。ぜひ参考にしてみてください。
- 「考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則」バーバラ ミント
- 「新版 問題解決プロフェッショナル―思考と技術」齋藤 嘉則
- 「ロジカル・シンキング (Best solution)」照屋 華子, 岡田 恵子
また、弊社MyVisionでもコンサルティングファーム出身のエージェントを中心に、ケース面接対策を厚くサポートさせていただいておりますので、コンサルティングファームへの転職をご希望の方はお気軽にご相談下さい。
コミュニケーション能力
論理的思考力と同様に重要なスキルがコミュニケーション能力です。現場で働く中で、前提となる情報や認識がクライアントと異なるケースは珍しくありません。クライアントと認識の齟齬をなくし、プロジェクトを正しい方向に進めるためには、相手の視点に立って認識をすり合わせた上で、議論していく能力が非常に重要になります。
また、M&Aという非常にセンシティブな業務に携わるため、クライアントとのコミュニケーションには常に緊張感があります。自分の意見を相手にただ伝えるだけでなく、相手の心のうちを探りながらも、納得感を持って受け取ってもらえるような伝え方を考え、実行する力は非常に重要です。
財務領域における知識・経験
財務領域における知識や経験はFASで活躍するためには必須の素養です。このため転職活動の面接においても、M&Aや財務知識を問うような質問がされる場合もあります。
こちらの方は監査法人の監査部門で働いたのち、会計士としての知識・経験を活かして外資系FASコンサルティングファームに転職しました。
──同僚の中にはBig4にステップアップする方も多く、その時に監査法人ではなくFASに転職する方も一定数いたので以前から関心は持っていました。監査業務ではない仕事に関心があったため、最初からFASの選考を受けるつもりでした。
FAS転職では未経験での採用も行われておりますが、金融業界未経験の場合は転職後に継続的なインプットが求められることになります。転職活動中から書籍やニュース等を通して最低限の知識を身に付けておくことを推奨します。
キャリアパス
ここまでFASについて、働き方やプロジェクト事例、年収など説明してきましたが、次にFASコンサルとして働いた後のキャリアについて説明します。
FASでは、主にM&Aの一連フェーズ(戦略、買収先選定、ディールの実業務など)、企業再生支援、企業/事業の価値評価案件等を経験するため、卒業後のキャリアもこれらのM&A関連の経験が活かせるようなポジションへの転職が多くなります。
ポストFASのキャリアは下記が主要になります。
事業会社に行く場合
FASから事業会社に転職するケースは多いです。具体的には下記のようなFASでのM&Aの経験を活かすことのできる企業に転職する事例がよく見られます。
- 総合商社
- 事業会社の経営企画
- M&A関連の部署
PEファンドやバイアウトファンドに行く場合
日系のPEや政府系バイアウトファンドへ転職する場合もあります。
外資系PEファンドは、どちらかというと投資銀行や戦略コンサル経験者が転職する場合が多いため、FASからの転職は比較的少ない実情があります。
IBDや戦略ファームのM&A部隊に行く場合
M&Aの経験を活かすのことのできるIBDや戦略ファームのM&A部隊への転職も少なくありません。
スタートアップのCFOを目指す方もいますが、FASを退職後すぐにベンチャーCFO等へ転職する方はあまり多くありません。FAS後に上記キャリアを経由して最終的にCFOを目指すキャリアパスが一般的です。
FASのプロジェクト事例
FASのプロジェクトはあまり公に公開されることがないため、具体的にどのようなプロジェクトを実施しているのか、イメージを持ちにくいかもしれません。
そこで今回は、FASが行っているプロジェクト事例をいくつか紹介していきます。 FASのイメージがより具体的になると思いますので是非ご確認下さい。
PwCアドバイザリーの支援事例
あいちフィナンシャルグループ:愛知県No.1の地域金融グループとして地元の期待に応えていく
2022年10月3日に、愛知県最大の地域金融機関である株式会社あいちフィナンシャルグループ(以下「あいちFG」)が誕生した。愛知銀行と中京銀行の経営統合により設立された持株会社で、傘下の2行は2025年1月に合併を予定している。
PwCは、基本合意後の2022年1月から円滑な経営統合に向けて、統合事務局やガバナンス、リスク管理、経理・財務などの各種支援を実施。
2022年1月のサービスインから、5月に最終合意、10月に持株会社を設立という非常にスピード感のあるサポートをPwCにて実施した。
出典:PwC公式サイト
DTFAの支援事例
最高難度のグローバルカーブアウト(※1)M&A支援
クライアントAは過去最大規模のM&Aを契機に自社のグローバルトランスフォーメーションを志向した。規模の大きさに加え、買収クロージングまでに対象事業をグローバルで適正にカーブアウトすること、および対象事業の強みを活かす「リバースインテグレーション」を軸としたPMIプラニングが求められる非常に難易度の高い案件であった。デロイトは日英のコンサルティング、ファイナンシャルアドバイザーの混成チームを組成し、一般的なプロジェクトマネジメントに留まらず、カーブアウト固有課題への対応、将来の統合を見据えての青写真策定、対象会社とのコミュニケーション円滑化等をリードした。
日本チームがPMOとして、クライアントおよび他アドバイザー含め総勢100名以上が関与する巨大プロジェクトの推進をリード。UKチームがクロージングに向けての各種契約(各国再編契約やTSA等)、シナジーやガバナンス設計といった個別領域での支援を実施した。
※1カーブアウト 会社分割の一種で、親会社が戦略的に小会社や自社の事業の一部を切り出し(carve out)、新会社として独立させること。
業界トップランナーの「持続的経営」に向けた全社改革
デロイトではクライアント企業Bのグループ経営体制再編(持株会社体制移行)を契機としたグループ経営改革を推進した。
当初、クライアントは今後の第2-3の柱候補となる特定事業がグループ内で分散しているため、それを集約するグループ内再編を想定していた。
しかし、デロイト内で討議を進める中で特定事業の再編だけでは経営陣が考える課題感、目指すべき姿の実現は困難であると結論付け、トップマネジメントに改革案を提起した。社外取締役・監査役との議論も経て、議論開始から約半年後の取締役会にてグループ経営体制改革の推進を正式承認した。その後、全社改革プロジェクトとしてM&Aユニットが全体統括となり、All デロイト(DTC、監査、税務、法務)で支援を実施した。
まとめ
本記事では、FASのコンサルタントに焦点を当てて「そもそもFASとは」といった基本的な部分からプロジェクト事例やその後のキャリアパスまで解説しました。
MyVisionでは、コンサルティングファームだけでなく、FASについても同様に適切なファームや求人ポジションの紹介、選考対策まで、個々人の事情に合わせて幅広く支援しています。
コンサルティングファーム、FASへの転職を少しでも検討されているようでしたら、まずはお気軽にお問い合わせ下さい。
MyVisionでは、FASやコンサルティングファーム出身者をはじめとする業界理解の深いコンサルタント陣が、キャリアの棚卸しから書類・面接対策まで一貫してサポートしています。
FAS系コンサルに関するよくある質問
Q1. FASに向いている人・向いていない人の特徴はありますか?
FASでは、正解が一つに定まらない状況の中で意思決定を支援する場面が多くあります。そのため、数字や事実をもとに仮説を立て、地道に検証していくプロセスを楽しめる人は向いています。また、クライアントとの折衝や社内外の関係者との調整も多いため、専門性と同時に「他者視点で物事を考えられる力」も重要です。
一方で、明確な指示がないと動きにくい人や、短期的な成果のみを求める人はギャップを感じやすい傾向があります。プロジェクト単位で環境が変わるため、変化耐性や学習意欲も重要な要素です。
Q2. FASに転職するために資格や英語力は必須ですか?
資格や英語力が“必須”というわけではありませんが、キャリアの幅を広げる上で有利に働くケースはあります。たとえば、公認会計士やUSCPAなどの資格は専門性の証明になりますし、英語力はクロスボーダー案件に携わる機会を広げる要素になります。
ただし、実務では資格の有無以上に「財務三表をどう読み解くか」「事業構造をどう理解するか」といった実践的な思考力が問われます。そのため、資格取得だけを目的化するのではなく、自身のキャリア戦略に沿って必要性を判断することが重要です。



