アクセンチュアの特徴と強み
2025年10月10日更新
世界最大級のプロフェッショナルサービス企業であるアクセンチュア。戦略立案からシステム実装、業務運用に至るまでを一気通貫で支援できる体制を強みとし、グローバル・国内の多様な企業から高い支持を得ています。
本記事では、アクセンチュアの「主な特徴」と「他社にはない強み」を整理し、さらに競合ファームとの違いも解説します。転職を検討している方や、コンサルティング業界の動向を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
著者

永井 一聡
Nagai Kazutoshi
横浜国立大学卒業後、みずほ総研(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)やアクセンチュアで人事及びIT領域のコンサルティング業務に従事。自身の経験を生かしたIT/人事コンサル転職を得意とする。またコーチング経験も豊富に積んでおり、長期的なキャリア支援を提供可能。
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監修者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
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目次
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アクセンチュアとは
アクセンチュア(Accenture)は、世界を代表する総合系コンサルティングファームのひとつです。戦略立案や業務改革といった経営課題の上流支援から、ITシステムの導入・運用、さらにデザインやマーケティング領域までをカバーし、企業変革をエンドツーエンドで支援しています。
本社はアイルランドのダブリンにあり、世界 50 か国以上・200 都市以上に拠点を展開。日本法人は 1995 年に設立され、現在では国内でも最大規模のコンサルティングファームとして多くの企業の変革を支えています。
グローバル全体で培った知見を活用しつつ、国内の事業環境やニーズに即したサービスを提供している点が、日本法人の大きな役割です。こうした背景から、アクセンチュアは世界水準のソリューションを日本で実現できる企業として認知されています。
会社概要 | 詳細 |
---|---|
代表者名 | グローバル:ジュリー・スウィート(Julie Sweet)/ 日本オフィス:江川 昌史 |
設立年 | グローバル:1989年 / 日本オフィス設立:1995年 |
従業員数 | グローバル:約79万9,000人 (2024年12月時点) / 日本オフィス:約27,000人(2025年6月1日時点) |
資本金 | 3億5千万円 |
売上高 | グローバル:696.7億USドル(2025年度通期) / 日本オフィス:非公開(9期連続2桁成長を達成) |
株式公開 | ニューヨーク証券取引所 |
公式HP | https://www.accenture.com/jp-ja |
アクセンチュアの特徴
アクセンチュアは、他のコンサルティングファームと比べてもサービスの幅が広く、また実行力に強みを持っています。戦略策定からシステム導入、運用・改善に至るまで一気通貫で支援できることに加え、最新のテクノロジーやグローバルでの知見を活用しながら、日本企業の課題に合わせたソリューションを提供しています。
ここでは、アクセンチュアを語るうえで欠かせない主な4つの特徴を紹介します。
エンドツーエンドの提供力
クライアントに対して戦略策定からシステム構築、業務運用まで一貫して支援できる点が大きな特徴のひとつです。
特に、戦略フェーズで描いた方向性を実装や運用につなげられる“橋渡し力”は、他ファームとの差別化ポイントです。戦略と実行が分断されがちなプロジェクトにおいて、両者を統合して成果へ導ける点は、クライアントから高く評価されています。
さらに、システム導入後も業務プロセス改善や安定運用を支援する体制を整えており、単発的な提案にとどまらず“継続的な変革パートナー”として価値を提供できるのも強みです。
幅広い事業領域
アクセンチュアは、総合系コンサルティングファームとして幅広い事業領域をカバーしています。公式に示されているサービスラインは次の5つです。
- ストラテジー&コンサルティング:経営戦略や業務改革を支援し、データやリサーチに基づいた意思決定をサポート。
- テクノロジー:クラウド移行やシステム導入など、最先端のテクノロジーを活用して課題解決を実現。
- オペレーションズ:デジタルと人材を組み合わせ、業務プロセスの効率化や顧客体験の向上を支援。
- ソング:顧客体験や新規サービス開発、デザイン領域を担う。
- インダストリーX:製造・研究開発・工場オペレーションなどをデジタル化し、持続可能性や生産性向上を実現。
グローバル・デリバリーネットワークとナレッジ活用
世界各国に拠点を持ち、数十万人規模の人材がプロジェクトに携わっています。この強みを活かし、グローバル・デリバリーネットワークを通じて、地域やタイムゾーンを越えて最適な人材を配置できる体制を整えています。
日本法人もこの仕組みを活用し、海外拠点の専門家や開発拠点と連携することで、大規模かつ複雑な案件を効率的に遂行できます。また、世界中の成功事例やノウハウを共有する「ナレッジエクスチェンジ」にアクセスできるため、最新のソリューションや技術を国内プロジェクトに取り入れることが可能です。
こうしたグローバル体制は、単に規模が大きいというだけでなく、クライアントに対して迅速かつ高度なサービスを提供できる競争優位性につながっています。
変化に強い組織体制
アクセンチュアは、常に自らの事業や人材体制を変革し続ける企業文化を持っています。特に近年は、生成AIやクラウドといった新しいテクノロジーの活用を強化し、クライアントの変革を先導しています。
日本法人でも、2023年以降に生成AIやデータ活用を軸としたサービス拡大を進め、2024年にはAI人材育成を強化するために教育事業を展開する企業の買収も実施しました。こうした取り組みにより、企業のデジタル変革を支援するだけでなく、自社の人材育成や体制づくりにも力を入れています。
また、既存社員に対してもリスキリングの機会を積極的に提供しており、クラウド、AI、サイバーセキュリティなど成長分野で専門性を高められる環境を整備しています。変化の激しい市場において、組織全体で新しいスキルを取り込み続ける体制もアクセンチュアの特徴といえます。
アクセンチュアの強み
アクセンチュアの特徴を支えているのは、単なる規模の大きさやサービス範囲の広さだけではありません。テクノロジーを軸にした実行力や、業界に根差した専門性、パートナー企業との連携、そして多様な人材が活躍できるカルチャーが組み合わさることで、独自の強みを形成しています。ここでは、その代表的な強みを紹介します。
テクノロジー実装力とAI活用
アクセンチュアは、クラウド移行や大規模システム導入といったIT実装において豊富な実績を持っています。近年は生成AIやデータ活用を重視し、日本法人でもAI人材の育成や関連サービスの拡大を進めています。戦略を描くだけでなく、実装段階で成果を出せる点が大きな強みです。
多様な業界知見と専門チーム
金融、製造、通信、公共など幅広い業界に特化したチームを持ち、各業界の専門知見を提供できる体制が整っています。さらに、サプライチェーンや人事、マーケティングなど機能別の専門チームも存在し、「業界×機能」の両面から課題を解決できる点が特徴です。
エコシステム連携
アクセンチュアは主要なテクノロジーパートナーと強固な関係を築いています。Microsoft、SAP、AWS、Google Cloudなどとの協業を通じて、最新の技術をクライアントに迅速に届けられる仕組みを構築。パートナーとの共同開発や導入支援を行うことで、より実効性の高いソリューションを提供しています。
多様性を力に変えるカルチャー
アクセンチュアのカルチャーを象徴する言葉が “Think Straight, Talk Straight.” です。立場に関係なく率直に意見を交わすことが奨励されており、フラットで協働的な職場環境が築かれています。加えて、日本法人ではジェンダー、クロスカルチャー、障がい者、LGBTIQ+、ウェルビーイングといった多様性の側面でインクルージョン施策を推進。多様な人材が力を発揮できるカルチャーが、同社の持続的な成長を支えています。
競合他社との違い
コンサルティング業界には、戦略ファームやBIG4、SIer、広告代理店など多様なプレーヤーが存在します。その中でアクセンチュアは、戦略から実装・運用、さらに顧客体験の領域までを一気通貫で担える点で独自のポジションを築いています。ここでは代表的な競合と比較しながら違いを整理します。
戦略ファームとの違い
マッキンゼーやBCGといった戦略ファームは、経営戦略や組織改革など上流領域に強みを持っています。アクセンチュアは戦略立案に加え、システム導入や業務運用までを含めた「実行力」を備えているのが特徴です。戦略と実装を組み合わせることで、構想から成果までを一貫して支援できる点が大きな違いです。
BIG4・SIerとの違い
BIG4系ファームは監査・リスク管理や業務改善の知見に強みを持ち、国内SIerは高度なシステム開発力で知られています。アクセンチュアはこれらの要素に加えて、クラウドやAIを活用した大規模変革、さらには新規事業や顧客体験の領域まで対応できる点が特徴です。幅広い領域を横断的に連携させることで、より包括的なソリューションを提供できるのが魅力です。
広告代理店・デザイン会社との違い
広告代理店やデザインファームはブランド構築やUXデザインに強みを持っています。アクセンチュアは顧客体験を担う「ソング」を中心にこうした領域をカバーしつつ、戦略やテクノロジーと連動させて事業全体の成果につなげられる点が特徴です。クリエイティブとビジネスを切り離さず一体で支援できることが独自性につながっています。
まとめ
アクセンチュアは、戦略からテクノロジー実装、業務運用、顧客体験、さらには製造領域までを一気通貫で支援できる、世界有数の総合コンサルティングファームです。
幅広い事業領域を持ちながらも、それぞれを分断させずに連携させることで大規模な変革を実現できる点が特徴といえます。
特に強みとして挙げられるのは、テクノロジー実装力やAI活用、業界横断の知見、グローバルネットワーク、そして多様な人材が活躍できるカルチャーです。これらが組み合わさることで、単なる戦略提案にとどまらず、実行力を伴った変革支援が可能になっています。
転職を検討している方にとっては、幅広いキャリアパスや成長機会を得られる環境であり、グローバルに通用するスキルを磨くチャンスがあるのも大きな魅力です。 「特徴」や「強み」を理解したうえで、自身のキャリアに合うかどうかを検討してみましょう。