バリューチェーン分析とは?目的や方法をわかりやすく解説
2026年02月27日更新
「自社の強みがどこにあるのか明確に説明できない」 「コスト削減を進めたいが、どこから手を付けるべきかわからない」
経営戦略や事業改善に取り組む中で、こうした課題に直面することがあります。バリューチェーン分析(価値連鎖分析)は、事業活動を機能ごとに分解し、どの工程で企業の価値が生み出されているかを特定する強力なフレームワークです。
本記事では、バリューチェーン分析の基礎知識から、具体的な分析手順、IKEAやユニクロなどの成功事例までを解説します。さらに、分析精度を高めるための関連フレームワーク(SWOT分析や3C分析など)との組み合わせ方も紹介するので、自社の競争優位性を再定義し、勝てる戦略を立案するためにお役立てください。
著者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
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監修者

山口 翔平
Yamaguchi Shohei
株式会社MyVision代表取締役
早稲田大学を卒業後、JTB、オリックス生命を経てコンサルティング転職に特化した人材紹介会社へ入社。 長年のエージェント経験を基に、より多くの求職者様に対して質の高い転職支援サービスを提供するため、株式会社MyVisionを設立。
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目次
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コンサルタントの求人情報
【MC】製造領域(医療機器 製品開発支援)コンサルタント / Senior Consultant〜Manager
想定年収
630~1,300万円
勤務地
-
業務内容
●業務概要 クライアントプロジェクトの成功請負人として、プロジェクトマネジメント業務に従事していただきます。 また、業界をリードする大手医療機器メーカーを対象に、クライアントが直面する多くの課題を各種調査・分析手法を用いて紐解き、その解決策を提示すると同時に実行支援と定着まで支援します。 ●プロジェクト例 ・プロジェクトマネジメント支援(PMOとして、立ち上げ・実行・終結の各フェーズにおけるマネジメント支援) ・要件定義プロセス検討、要求分析、要件定義支援 ・国際安全規格(IEC 62304、IEC 60601等)対応支援 ・海外での上市に向けた戦略企画から実行支援 ※ITを中心としたテクノロジーに対する理解を重視しております ※マネージャー職の場合、組織運営活動(採用活動や提案活動など)への従事を期待します
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【LC】物流領域コンサルタント(Senior Consultant~Manager)
想定年収
630~1,300万円
勤務地
-
業務内容
●具体的な業務内容 ご経験・ご志向によって以下からいくつかの業務をお任せします。 ・クライアント企業の現状分析および課題の特定 ・必要に応じて、データ分析や財務分析を実施し、レポート作成 ・課題抽出および課題解決のための戦略立案および実行支援 ・業務プロセスの改善提案と新しいワークフローの設計 ・チームやクライアントとの円滑なコミュニケーションを通じたプロジェクト管理および推進 ・WBSの作成および進捗管理 ・アジャイルフレームワークに基づく開発プロセスのリードおよび推進 ・各種プロジェクトドキュメントの作成、更新、保管管理 ・プロジェクトの品質管理、リスク管理、変更管理プロセスを推進 ●期待する役割 ご担当いただく業務によって以下などを期待しています。 ・業界や市場動向を調査し、クライアントのビジネス課題に対する深い理解と解決策の提案 ・クライアントと直接対話し、円滑なプロジェクト推進および意思決定をサポート ・チーム全体に対してリーダーシップを発揮し、他のコンサルタントやアナリストの指導およびプロジェクト全体をリード ・プロジェクトの進行をモニタリングし、問題が発生する前に対処 ・WBSの作成とその進捗を追跡し、タスクが遅れないようにチームを指導 ・プロジェクト成果物の品質管理を主導し、各フェーズのレビューと改善を行う ・チーム全体の効率的な作業をサポートし、アジャイル開発やプロダクト開発の推進 ・プロジェクト成果物の品質向上に貢献し、リリース後のフィードバックを基に継続的な改善を行う ●プロジェクト例 【事例1:大手物流企業向けWMSの統合化プロジェクト】 クライアント :国内大手物流会社 背景 :WMSの統合化による業務の標準化を実現 プロジェクト内容:システム化構想、アーキテクチャ刷新のPoC実施、要件定義~導入・テスト、PMOとして進捗・品質管理 参画フェーズ :構想策定~プロダクト開発・実装 体制・役割 :コンサルタント3名体制、Senior ConsultantはPMと連携しチームをリード 【事例2:大手物流企業向けDX推進部門PMOサポート】 クライアント :国内大手物流会社 背景 :業務プロセスのデジタル化・自動化を実現 プロジェクト内容:個別取引先へのシステム適用(展開)の支援、PMOとして進捗・要員計画・品質管理 参画フェーズ :システム展開~リリース 体制・役割 :コンサルタント2名体制、Managerが担当取締役と連携し計画全体をリード 【事例3:大手物流企業向け配車管理システム再構築プロジェクト】 クライアント :国内大手物流会社 背景 :ホストコンピューターの保守終了伴うオープン化対応 プロジェクト内容:システム要件定義、導入・テスト、アジャイル開発支援。 参画フェーズ :要件定義~導入・テスト、PMOとして進捗・品質管理 体制・役割 :スクラムマスターとしてプロジェクト推進、ユーザー部門との要件調整、開発チームのファシリテーション。
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【TC】SAP・Odoo導入コンサルタント(Consultant~Manager)
想定年収
460~1,300万円
勤務地
-
業務内容
SAP・Odoo導入プロジェクトにおいて、業務部門との要件整理からFit/Gap分析、基本設計、設定、テスト支援、稼働(Go-Live)後の定着までを一貫して担当いただきます。 顧客・社内チーム・海外チームと連携しながら、プロジェクト推進の中核として業務とシステムの橋渡しを担うポジションです。 ●具体的な業務内容 1.ERP(SAP)プロジェクトの要件定義~導入・稼働支援 ∟要件調査、導入方針策定、設計、実装、稼働支援まで一連のフェーズに参画 2.業務部門とのコミュニケーションを通じた業務整理・成果物作成 ∟業務プロセスの整理・可視化 ∟以下のドキュメント作成 ・要件定義書(要求仕様) ・業務フロー図(As-Is/To-Be) ・システム解決方針(Fit to Standard/Fit to Gap) 3.SAPモジュール領域における設計・設定・テスト支援 ∟基本設計(Basic Design) ∟SAP設定(Customizing) ∟テスト計画の策定および支援(UT(単体)/IT(結合)/UAT(受入)) 4.開発チームとの協業(拡張・追加開発支援) ∟機能仕様書(Functional Spec)の作成 ∟追加開発(ABAP/SAP BTP など)に対する要件面・設計面の支援 5.切替・教育・稼働後サポート ∟本番切替(Cutover)計画および実施支援 ∟ユーザートレーニング ∟稼働後の運用定着支援(問い合わせ対応・改善提案 等) 6.ステークホルダー調整・コミュニケーション ∟顧客、社内チーム、海外チームと連携し、円滑な合意形成・推進を実施 ●配属予定部門紹介:テクノロジーコンサルティング部門(TC) テクノロジーコンサルティング部門は、企業の「戦略」と「現場実行」をつなぐ伴走型の支援を強みとし、DX推進、クラウド導入・モダナイゼーション、AI/データ活用、基幹刷新、PMOなど幅広いテーマでクライアントの変革を支援しています。
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オープンポジション(コンサルタント職) Senior Consultant~Manager
想定年収
630~1,300万円
勤務地
東京都 リモートメイン。
業務内容
ご経験を考慮して弊社内の適切なポジションにて選考させて頂きます。 ●具体的な業務内容 ご経験・ご志向によって以下等の業務をお任せします。 ・業務のAs-Is、To-Be可視化 ・課題抽出および解決策の立案、実行支援 ・各種データ分析や財務分析を用いた現状把握および報告書の作成 ・業務分析に基づいた改善提案とワークフロー設計 ・WBS作成、進捗・リスク・課題管理、品質・変更管理の実行 ・会議の設定、ファシリテーション、議事録作成 ・クライアント社内外関係者やベンダーとの連携・調整 ・UATなどのテスト計画、業務移行やリスク対応プランの立案 ・勉強会の企画、資料作成、講師役の実施 ・新規顧客開拓を含む、案件獲得のための営業活動 (交流会や展示会でのアプローチ、パートナー経由やグループSI経由での業界チャネル獲得、キーパーソンへのアプローチにてリード獲得など) ●プロジェクト例 【大手物流会社】 ・WMSの統合化プロジェクト ・DX推進部門PMOサポート ・配車管理システム再構築プロジェクト 【大手医療機器メーカー】 ・プロジェクトマネジメント支援(PMOとして、立ち上げ・実行・終結の各フェーズにおけるマネジメント支援) ・要件定義プロセス検討、要求分析、要件定義支援 ・国際安全規格(IEC 62304、IEC 60601等)対応支援 ・海外での上市に向けた戦略企画から実行支援 【大手生命保険会社】 ・業務効率化のためのソリューション選定・導入 ・基幹システムのクラウド移行 ・投融資パフォーマンスの将来予測のためのデータ分析基盤構築 (データレイク・データウェアハウス構築、AI導入)等 【大手通信会社】 ・IDaaSの導入、販売支援
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戦略コンサルタント
想定年収
-
勤務地
東京都港区
業務内容
「人間中心(Human Centric)」の思想・アプローチを取り入れた、新しい経営アドバイザリーを行う弊社のコンサルタント職として、志の有る日本やアジアの経営リーダーを対象に、グローバル競争力を高めるために必要な支援を幅広く行います。 ENND PARTNERSが手がけるプロジェクトテーマ例 ①経営を動かす「人」と「経営モデル」に関する、複雑な課題に対するコンサルティング ・クリエイティブの世界トップリーダーによるアドバイザリー ・人を中心にした経営の変革アジェンダの設定(顧客中心、従業員中心) ・経営層向け育成プログラム ・グローバル経営会議の設計と運営 ②「デザイン経営」と「ブランド経営」を融合したグローバル成長支援 ・社会課題解決と事業パフォーマンスを両立する事業戦略・経営モデルの構想 ・プロダクト、サービス、エコシステムを含むユーザー体験設計 ・デザイン経営全般に関するコンサルティング ・グローバルのブランドナラティブの設計と制作 ③従業員の創造性・生産性向上の実現 ・事業戦略や従業員体験に基づいたパーパス再設計 ・パーパスに基づき従業員を有機的に活躍させるための変革の構想策定と実行支援 ・ミドルマネジメント向け育成プログラム ・グローバルのカルチャー変革支援 ④経営高度化・収益成長のエンジンとなるテクノロジープラットフォーム ・高度な意思決定のためのユーザーエクスペリエンスとビジュアリゼーション ・AIと人間の協同を前提にしたITアーキテクチャの設計 ・事業成長、生産性向上のための業務改革とPDCAシステム ⑤先端研究としてのアジェンダ例(世界のトップスクールと連携) ・日本とアジアを起点とした長期視点に立脚した新しい資本主義・経営・社会モデル ・Future of Workと事業パフォーマンス ・ポストデザイン思考(‘社会課題解決と事業性を両立するシステミックデザイン) ・AIを前提にしたときの人間の創造性の拡張 ・アートと経済社会、経営の関係性 ・文化と人間性に根ざした将来の都市設計
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バリューチェーン分析とは
バリューチェーン分析とは、マイケル・E・ポーター教授が提唱した、企業の事業活動を「価値(バリュー)の連鎖(チェーン)」として捉えるフレームワークです。
原材料の調達から製品が顧客に届くまでの各工程を機能ごとに分解し、「どこで価値が生まれ、どこにコストがかかっているか」を分析します。
具体的には、以下の4点を明らかにするために用いられます。
- コスト削減の機会特定:コストがかかりすぎている工程を見直す
- 付加価値向上の機会特定:顧客満足度を高める工程を強化する
- 競争優位性の源泉特定:競合他社と比較して優れている点を探る
- 事業再編・再構築の検討:アウトソーシングや資源配分の判断材料にする
これらを可視化することで、自社の強みや弱みを客観的に把握できます。
感覚的な判断ではなく、構造的な理解に基づいた戦略を立案するために不可欠なプロセスです。
バリューチェーン分析の構成要素
バリューチェーンは、企業活動を価値創造の観点から「主活動」と「支援活動」の2つに分類したものです。
主活動は、顧客に直接的な価値を提供する一連のプロセスです。外部から原材料を調達・保管する「購買物流」にはじまり、製品やサービスへ転換する「製造・オペレーション」、完成品を配送する「出荷物流」、市場に魅力を伝えて販売する「マーケティング・販売」、販売後の顧客満足度を維持する「サービス」の5段階で構成されます。
一方の支援活動は、主活動が円滑かつ効率的に遂行されるよう横断的にサポートするプロセスです。戦略や財務などの組織基盤を運営する「全般管理」、従業員の採用や育成を行う「人事・労務管理」、競争力を高める「技術開発」、必要な資源を最適な条件で購入する「調達活動」の4要素から成り立っています。
バリューチェーン分析をおこなう目的
バリューチェーン分析をおこなう主な目的は、以下の3点です。
- 自社の強みを可視化するため
- 無駄なコストを削減し利益拡大するため
- 経営資源の最適な分配方法を考えるため
バリューチェーン分析の第一の目的は、自社の事業活動全体を俯瞰し、強みを可視化することです。
具体的には、製品やサービスが顧客に届くまでの購買物流、製造、出荷物流、販売・マーケティング、サービスといった主活動と、それらを支える人事・労務管理、技術開発、調達活動といった支援活動の連鎖を詳細に分解し、それぞれの活動が最終的な顧客価値の創造にどのように貢献しているかを明らかにします。
このプロセスを通じて、他社と比較してどの活動が優れているのか、独自のノウハウや特殊なスキルがあるのかが明確になります。
第二に、バリューチェーン分析は、無駄なコストを削減し、結果として利益を拡大することが目的です。
事業活動の各段階では必ずコストが発生しており、この分析を通じてコスト構造を詳細に把握することで、非効率な部分や削減可能なコストを具体的に特定できます。
そして第三の目的として、経営資源の最適な分配方法を考えることです。
企業が保有するヒト、モノ、カネ、情報といった経営資源は有限です。
分析結果に基づき競争優位性の強化に繋がる活動や、大きなコスト削減効果が見込まれる活動など投資対効果の高い領域を見極めることで、そこに優先的に資源を配分することが可能になります。
サプライチェーン分析との違い
バリューチェーン分析とサプライチェーン分析は混同されがちですが、焦点となる範囲や目的が異なります。それぞれの違いは以下のとおりです。
| 分析手法 | 目的 | 焦点・範囲 |
|---|---|---|
| バリューチェーン分析 | 「どこで価値を生み出すか」の追求 | 自社内の活動・価値創造プロセス(ミクロ〜マクロ視点) |
| サプライチェーン分析 | 「いかに効率的に届けるか」の追求 | 企業間のモノの流れ(オペレーショナルな視点) |
バリューチェーン分析のやり方
バリューチェーン分析は、現状を可視化し、競合優位性を確立するための重要なプロセスです。
分析は、大きく以下の4つのステップで進めます。
- 自社の事業活動(バリューチェーン)を洗い出す
- 各工程のコストを把握・分析する
- 競合と比較して自社の強み・弱みを特定する
- VRIO分析で競争優位性を評価する
具体的な例を交えながら解説します。
自社の事業活動(バリューチェーン)を洗い出す
最初のステップは、自社の事業活動を工程として細分化し、可視化することです。
事業活動を「主活動」と「支援活動」に分類し、どの活動で付加価値が生まれ、どこにコストが発生しているかを整理します。
スーパーマーケットを例に、具体的な洗い出しイメージを見てみましょう。
【主活動の例】 顧客に商品を届ける直接的なプロセスです。
- 購買物流:顧客ニーズに基づいた商品の選定、仕入れ、在庫管理
- 製造・オペレーション:商品の陳列、レジ業務、店舗維持管理
- 出荷物流:オンライン販売における商品の梱包、配送手配
- 販売・マーケティング:広告、販促キャンペーン、店舗レイアウトの工夫
- サービス:問い合わせ対応、返品受付などのアフターフォロー
【支援活動の例】 主活動を支えるバックオフィス業務です。
- 技術開発:POSシステムの導入、オンラインストアの開発
- 人事・労務管理:店舗スタッフの採用、教育、勤怠管理
- 調達活動:店舗備品や設備の調達
- 全般管理:経営戦略の策定、財務管理、店舗開発
このように細分化することで、漫然と業務を見るのではなく、「どの工程がボトルネックか」「どの工程が顧客満足に貢献しているか」を特定する準備が整います。
各工程のコストを把握・分析する
次に、洗い出した各活動に対し、実際に発生しているコストを割り当てていきます。
事業全体のコスト構造を可視化し、収益性を高めるための重要なフェーズです。
ここでは、コストの金額だけでなく、コストを変動させる主要因(コストドライバー)を特定することがポイントです。
- 製造工程の要因:生産量、機械の稼働時間
- マーケティングの要因:広告の出稿量、制作本数
各活動に投入されているコストと、その活動が生み出す付加価値を比較検討することで、「コストに見合う価値を創造できているか」をシビアに評価できます。
経営資源が過剰に集中している箇所や、逆にリソース不足で機会損失している箇所を明らかにします。
競合と比較して自社の強み・弱みを特定する
自社の分析だけでなく、競合他社との比較を取り入れることで、市場における立ち位置を客観的に評価します。
有価証券報告書やWebサイト、業界レポートなどの公開情報を活用して競合のバリューチェーンを推測して自社と比較検討します。
- 強み(優位性): 競合より高い付加価値を生んでいる領域、コスト競争力で勝っている部分、模倣困難な独自ノウハウがある箇所
- 弱み(課題) :競合に対して劣っている点、コストが過大になっている部分、事業全体の足を引っ張っているボトルネック工程
単なる「良い・悪い」の印象論ではなく、工程レベルでの具体的な勝てるポイントと負けているポイントを浮き彫りにします。
VRIO分析で競争優位性を評価する
最後に、特定した強みが「持続的な競争優位」につながるかを評価するために、「VRIO(ブリオ)分析」をおこないます。
以下の4つの視点で経営資源をチェックし、その強みの質を見極めます。
- Value(経済価値) その資源は、機会の活用や脅威の無力化に役立ち、売上や利益に貢献しているか
- Rarity(希少性) その資源を保有している企業は少数か、競合が容易に入手できないものか
- Imitability(模倣困難性) 競合がそれを真似しようとした際、多大なコストや時間がかかるか
- Organization(組織) その資源を有効活用するための組織体制やフローが整備されているか
バリューチェーン分析で「どこが強いか」を特定し、VRIO分析で「その強さは本物か」を検証することで、精度の高い戦略立案が可能になります。
【MyVision編集部の見解】
教科書的な解説では「各工程のコスト削減」に目がいきがちですが、MyVision編集部が実務やケース面接対策において重視する「本当に見るべきポイント」は、「工程間のつながり」です。
たとえば、「調達コスト」を下げた結果、「製造コスト」や「不良品対応」のコストが跳ね上がっては意味がありません。優秀なコンサルタントは、個別の工程だけでなく「全体最適になっているか」という視点でバリューチェーンを評価します。この「つながりを見る視点」こそが、単なる分析屋とストラテジストを分ける境界線です。
バリューチェーン分析の具体的な事例
バリューチェーン分析を深く理解するために、世界的な企業の成功事例を見ていきましょう。
IKEA、ユニクロ、トヨタ自動車の3社は、それぞれ独自のバリューチェーンを構築し、他社には真似できない競争優位性を確立しています。
IKEA
IKEAのバリューチェーンは、設計・調達・物流を一体で最適化し、低価格を実現している点が最大の特徴です。
主活動の起点は、購入者が組み立てることを前提とした製品設計にあります。
フラットパック構造を採用することで輸送時の容積を圧縮し、物流コストを削減しました。
調達・製造面では世界各国のサプライヤーと連携し、スケールメリットを追求しています。
また、独自の行動規範「IWAY」によって品質や労働環境の基準を統一し、供給体制の安定化を図っているのもポイントです。
店舗運営においては、倉庫型店舗でのセルフサービス方式を導入しました。
徹底した効率化により、デザイン性と低価格を両立する独自の競争優位を築いています。
※参考:IKEA Global「The IKEA value chain」 ※参考:IKEA「Democratic Design」
ユニクロ
ユニクロは、企画から販売までを自社で一貫して管理するSPA(製造小売業)モデルを中核としています。
主活動の起点は、素材メーカーと共同でおこなう商品企画や素材開発です。
ヒートテックに代表される機能性素材を開発することで、他社との明確な差別化を図りました。
製造面では自社工場を持たず、海外の委託工場を活用するファブレス体制をとっています。
一方で、「匠(TAKUMI)チーム」と呼ばれる技術者を現地へ派遣し、品質管理を直接指導することで高いクオリティを維持しています。
販売フェーズでは、需要予測に基づく在庫コントロールにより、安定供給と過剰在庫の抑制を両立させました。
すべての工程を統合的に管理することで、高品質な商品をリーズナブルに提供できる体制を構築しています。
※参考「ユニクロのビジネスモデル」
トヨタ自動車
トヨタ自動車のバリューチェーンは、「トヨタ生産方式(TPS)」を軸とした調達・製造プロセスに強みを持ちます。
購買物流では「ジャスト・イン・タイム(JIT)」を徹底し、必要なものを必要なときに調達する仕組みを構築しました。
在庫コストを削減し、生産効率を最大化しています。
製造工程では、異常発生時にラインを止めて問題を解決する「自働化」が機能しています。
不良品の流出を防ぐとともに、「カイゼン」活動を通じてムダを排除し続けているのが特徴です。
支援活動においては、サプライヤーとの長期的なパートナーシップが基盤です。
環境負荷を低減するグリーン調達や次世代モビリティへの投資も積極的におこない、持続的な競争力を維持しています。
※参考:TOYOTA「ステークホルダーの皆様と共に成長するサイクル」 ※参考:TOYOTA「トヨタ生産方式」
バリューチェーン分析に活用できるフレームワーク
バリューチェーン分析は単独で用いるだけでなく以下のようなほかのフレームワークと組み合わせることで、さらに高い効果が得られます。
- PEST分析
- ファイブフォース分析
- 3C分析
- SWOT分析
- VRIO分析
- コア・コンピタンス分析
- KPI/KGIツリー
詳しく見ていきましょう。
PEST分析
PEST分析は、企業を取り巻くマクロ環境を網羅的に把握し、それが自社の事業活動にどのような影響を与えるのかを予測・評価するためのフレームワークです。
PEST分析は、以下の4つの頭文字を取ったもので、これらの要因が企業経営にどのような影響を与えるかを分析します。
- P:政治的要因(Politics)
- E:経済的要因(Economy)
- S:社会的要因(Society)
- T:技術的要因(Technology)
PEST分析の結果をバリューチェーンの各活動に照らし合わせることで、マクロ環境の変化が自社のどの部分にどのような影響(機会または脅威)をもたらすのかを詳細に検討することができます。
たとえば、技術的要因として新たな自動化技術が登場した場合、バリューチェーンの「製造・オペレーション」活動においてコスト削減や品質向上の機会が生まれるかもしれません。
また、社会的要因として環境意識が高まっている場合、「技術開発」活動において環境配慮型製品の開発が求められるでしょう。
▼PEST分析について詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は、業界の収益性を決定する5つの競争要因を分析し、業界の構造や魅力度を明らかにするためのフレームワークです。
ファイブフォース分析では、以下の5つの競争要因(脅威)に着目します。
- 業界内の競争
- 新規参入の脅威
- 代替品の脅威
- 買い手の交渉力
- 売り手の交渉力
バリューチェーン分析がコスト削減や付加価値向上の機会を探るために「自社内部の活動」に焦点を当てるのに対し、ファイブフォース分析は「自社を取り巻く外部環境」の競争要因を明らかにします。
これらふたつのフレームワークを組み合わせることで、多角的な戦略的洞察を得ることが可能になります。
3C分析
3C分析は、事業戦略やマーケティング戦略を立案する際に用いられる、基本的かつ重要なフレームワークのひとつです。
- 顧客 (Customer):市場や顧客のニーズは何か。
- 競合 (Competitor):競合他社はどのような状況か。
- 自社 (Company):自社の強みや弱みは何か。
これら3つの要素を多角的に分析することで、自社が市場で成功するための戦略を導き出すことができます。
3C分析によって導き出された自社の現状認識、とくにその強みや弱みといった要素は、バリューチェーンのどの活動が中心なのか見ていくことで、より具体的な戦略へと昇華させることができます。
たとえば、3C分析の結果、自社の「高い製品品質」が強みであると認識された場合、バリューチェーン分析を用いることでその品質が研究開発部門の卓越した技術力によるものなのか、あるいは製造工程における厳格な品質管理体制の賜物なのか、または高品質な原材料の調達力に支えられているのか、といった具体的な要因を特定することが可能です。
▼3C分析について詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。
SWOT分析
SWOT分析は、以下の4つの要素の頭文字を取って名付けられた分析手法で、企業や事業の現状を多角的に把握し、今後の戦略立案に役立てることを目的としています。
- Strengths (強み)
- Weaknesses (弱み)
- Opportunities (機会)
- Threats (脅威)
これらの要素を、「内部環境」と「外部環境」、「プラス要因」と「マイナス要因」というふたつの軸で整理します。
バリューチェーン分析を通じて具体化された企業の「強み」と「弱み」は、次にSWOT分析の枠組みの中で、市場の成長機会や競合の動向、技術革新、法規制の変更といった外部環境の「機会」や「脅威」と照らし合わせられます。
このクロスSWOT分析の過程において、バリューチェーンの情報は戦略の具体性を高めるのが特徴です。
たとえば、自社の「強み」である高度な研究開発能力を、成長著しい新規市場という「機会」に結びつけることで、「強みを活かして機会を捉える戦略」として考えることができます。
▼SWOT分析について詳しく知りたい人は、以下の記事もおすすめです。
VRIO分析
VRIO(ブリオ)分析は、企業の持つ経営資源(リソース)が競争優位性を持つかどうかを、4つの視点から体系的に評価するためのフレームワークです。
以下の4つの頭文字を取って評価をおこないます。
- Value(経済価値):その経営資源は、外部環境の機会を活かすか、脅威を無効化することで経済的な価値を生んでいるか
- Rarity(希少性):その経営資源を保有している企業は少数か、入手が困難か
- Imitability(模倣困難性):その経営資源を競合他社が模倣しようとした際、多大なコストや時間がかかるか
- Organization(組織):その経営資源を有効活用するための組織体制やフローが整備されているか
バリューチェーン分析によって洗い出された自社の「強みと思われる活動」をVRIOの視点で精査することが重要です。
これにより、その強みが一時的なものなのか、それとも長期的に利益を生み出し続ける「持続的な競争優位の源泉」なのかを見極められます。
コア・コンピタンス分析
コア・コンピタンス分析は、他社には真似できない、自社の中核となる強み(コア・コンピタンス)を特定するための分析手法です。
単なる「得意分野」ではなく、コア・コンピタンスとして認められるには、以下の3つの条件を満たす必要があります。
- 顧客に何らかの利益をもたらす自社能力であること
- 競合相手に真似されにくいこと
- 複数の市場や製品に応用・展開できること
バリューチェーン分析と組み合わせることで、一連の事業活動の中で「どのプロセス」がコア・コンピタンスを生み出しているかを具体的に特定できます。
特定された活動へ集中的に経営資源を投下することで、他社との差別化をより強固なものにし、市場における優位性を確立する戦略が可能になります。
KPI/KGIツリー
KPI/KGIツリーは、企業の最終的な目標(KGI)を達成するために必要なプロセス指標(KPI)を、ロジックツリーを用いて構造化・可視化するフレームワークです。
目標達成に向けた因果関係を以下のふたつで整理します。
- KGI(Key Goal Indicator):重要目標達成指標。売上高や利益率など、最終的に達成すべきゴール
- KPI(Key Performance Indicator):重要業績評価指標。ゴールにいたるプロセスが順調かを測る中間指標
バリューチェーン分析で可視化した各工程(活動)に対して適切なKPIを設定することで、事業全体の目標達成に向けた進捗管理が容易になります。
どの工程のパフォーマンスが全体の成果(KGI)に貢献しているか、あるいはボトルネックになっているかを数値で把握し、具体的な改善アクションにつなげるために有効です。
【MyVision編集部の見解】
MyVision編集部では、「バリューチェーン分析だけで戦略を完結させること」を推奨しません。
なぜなら、バリューチェーン分析はあくまで「現状の可視化」に過ぎず、それ自体が「競争優位」を保証するものではないからです。
実際に、自社の強みを洗い出しただけで満足し、「それが他社に模倣されにくいか(VRIO)」の検証を怠った結果、すぐに競合に追いつかれてしまうケースは後を絶ちません。「バリューチェーンで強みを見つけ、VRIOでその持続性を確かめる」というセット運用を徹底することが、勝てる戦略立案の鉄則です。
まとめ
バリューチェーン分析は、企業の事業活動を価値(バリュー)の連鎖(チェーン)として捉え、どの工程で付加価値が生み出されているかを分析して競争優位戦略を検討する手法です。
目的は自社の強みの可視化、無駄なコストの削減、経営資源の最適な分配です。
具体的なやり方として、活動の洗い出し、コスト把握、競合比較、VRIO分析などがあります。
PEST分析などほかのフレームワークと組み合わせることで、より効果的な戦略立案に繋がります。
経営の知識のひとつとして、ご参考にいただければ幸いです。
MyVisionは、実務経験豊富なコンサルタントが在籍しており、一人ひとりの志向に合わせたキャリア支援をするのが特徴です。
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2026年3月18日(水) テクノロジーコンサルティング本部 北海道拠点 中途採用説明会・選考会
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2026年3月11日(水) 16:00
スケジュール
2026年3月18日(水) 19:00~
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選考会
3月28日(土) S&C 1day選考会
応募期限
2026年3月18日(水) 16:00
スケジュール
2026年3月28日(土) 10:00~
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