会計コンサルタントとは?仕事内容や年収、未経験でもなれるのか解説
2025年11月29日更新
「会計コンサルタントの仕事内容や年収は?」「会計士やFASとの違いは?」と疑問を抱く方も多いでしょう。
M&Aや管理会計、会計システムなど多岐にわたる領域で、企業の経営課題を解決する専門職です。高い専門性が求められる一方で、経営層と近い立場で働けるやりがいの大きい仕事として人気が高まっています。
本記事では、会計コンサルタントの仕事内容、キャリアパスと将来性、未経験から転職を成功させる方法までをわかりやすく解説します。仕組みを理解しないまま転職活動を進めると、ミスマッチやキャリアの停滞につながるおそれがあるため、事前の準備が欠かせません。
著者

横見 大輔
Daisuke Yokomi
神戸大学卒業後、新卒で三菱UFJモルガン・スタンレー証券に入社。4年半リテール営業に従事。富裕層や法人に対して、株式や債券、投資信託をはじめとする金融サービスに加え、保険や遺言信託、ファイナンシングサービスを提供。業績では50人中5位の成績を収め、在籍していた支店は社長賞を受賞。その後同社の財務企画部へ異動となり、全社計画の策定や収益分析などの企画職に従事。求職者様のまだ見ぬ最高の出会いを一緒に探していきたいという思いからMyVisionに参画。
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監修者

北野 雄大
Kitano Yudai
株式会社MyVision取締役
名古屋大学を卒業後、トヨタ自動車、デロイトトーマツコンサルティング、エクサウィザーズを経てコンサルティング業界特化のエージェントに入社。その後、株式会社MyVisionを設立。 大企業~コンサル、スタートアップまでの幅広い経験を活かしたキャリア支援に強みを持つ。
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目次
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会計コンサルタントとは?
会計コンサルタントとは、企業の経営課題を「会計」の専門知識を用いて解決へ導くプロフェッショナルです。単なる計算業務ではなく、経営判断につながる仕組みづくりや改善提案まで担います。
会計コンサルタントの役割や監査法人・財務コンサルタントの違いを理解すれば、自身が目指すキャリアの方向性が明確になるでしょう。 ここでは、実務で求められるスキルや立ち位置の違いについて、以下の3点に焦点をあてて解説します。
- 会計コンサルタントの役割
- 監査法人(会計士)との違い
- 財務コンサルタントとの違い
それぞれの違いを正しく把握し、自身の適性を見極め、ミスマッチのないキャリア選択につなげましょう。
会計コンサルタントの役割
会計コンサルタントの役割は、経営判断の基盤となる「会計の仕組み」を構築し、企業の成長を支援することです。業務領域は多岐にわたり、主な内容は以下の通りです。
- M&A・FAS:財務デューデリジェンスによるリスク分析
- IPO支援:内部統制や開示体制の構築
- 管理会計の整備:経営管理制度の導入・改善
- 会計システム導入:要件定義から選定、運用フォローまでの支援
例えば、会計システム導入では、現場の業務フローを見直して効率化しつつ、同時に経営層が必要とするデータが出せるよう設計・運用までをサポートします。このように、「経営と現場の橋渡し役」として機能する点が、会計コンサルタントの大きな特徴です。
企業ごとの状況や業界特性に応じて最適な改善策を提案し、経理部門の業務効率化や財務基盤の強化につなげることが求められます。
監査法人(会計士)との違い
監査法人の会計士と会計コンサルタントは、どちらも会計の専門家ですが、目的と役割には明確な違いがあります。キャリア選択を考える際は、この違いを理解しておくことが重要です。
以下の表に両者の特徴を整理しました。
| 比較項目 | 監査法人の会計士 | 会計コンサルタント |
|---|---|---|
| 主な目的 | 財務諸表の適正性を第三者の立場で確認 | 経営課題の解決や業務改善を支援 |
| 立場 | 独立した第三者 | クライアント企業の立場 |
| 業務内容 | 財務諸表監査、法定監査、内部統制監査など | M&A支援、IPO準備、会計制度やシステムの導入支援など |
| 求められる能力 | 客観性・公正性・監査基準の理解 | 課題分析力・提案力・経営視点 |
例えば、企業がIPOを目指す場合、監査法人は財務諸表の適正性を確認します。一方、会計コンサルタントはIPO準備に向けた体制構築や内部統制の整備をサポートします。
つまり、会計士は「会計の正しさを保証する専門家」、会計コンサルタントは「会計を正しい状態へ導く専門家」といえるでしょう。
監査法人とコンサルティングファームのより詳細な仕事内容や待遇の違いについては、以下の記事で解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
財務コンサルタントとの違い
財務コンサルタントと会計コンサルタントは、共通点もありますが、専門領域と業務の焦点が異なります。自身の適性が「管理・仕組み化」にあるのか、「資金・投資戦略」にあるのかを見極めるためにも、両者の違いを整理しておきましょう。
両者の違いを整理すると以下の通りです。
| 比較項目 | 財務コンサルタント | 会計コンサルタント |
|---|---|---|
| 主な目的 | 資金調達や投資戦略など、経営判断を支援 | 会計制度や業務プロセスの改善による効率化 |
| 業務内容 | 財務戦略の立案、企業価値評価、M&Aアドバイザリー | 会計システム導入、内部統制、決算体制構築 |
| 関わる領域 | 経営・資金・投資 | 会計・制度・業務フロー |
| 提案の方向性 | 将来の成長や投資リターンの最大化を目的 | 現状の業務改善と制度整備を目的 |
| 求められるスキル | ファイナンス理論・企業分析・戦略立案力 | 会計知識・業務設計力・IT理解(ERPなど) |
例えば、企業が海外進出を検討する場合、財務コンサルタントは資金調達や投資戦略を提案します。
一方、会計コンサルタントはグループ会計システムの統合や連結決算体制の構築を支援します。財務は「お金の流れ」、会計は「記録と報告」に軸を置く領域と理解すると、違いが明確になります。
会計コンサルタントの主な種類と仕事内容
会計コンサルタントの業務は多岐にわたり、専門領域によって扱う案件や求められるスキルが異なります。自分の興味や強みに合った領域を知ることで、キャリアの方向性が見えてくるでしょう。 ここでは、主な5つの専門領域について、具体的な仕事内容や特徴を解説します。
- M&A・FAS系(財務アドバイザリー)
- 財務・経営管理コンサルティング
- 会計システムコンサルティング
- IPO(株式公開)支援
- 事業再生・組織再編支援
それぞれの違いを理解して、自身がどの分野で専門性を発揮したいかイメージしてみましょう。
M&A・FAS系(財務アドバイザリー)
M&A・FAS系は、企業の買収や合併の財務面を専門に扱う仕事です。買収の成否を左右する重要なプロジェクトに関わり、経営層と近い立場で高度な分析を行います。
主な業務内容は以下のとおりです。
| 財務デューデリジェンス | 買収対象企業の財務内容を精査し、簿外債務や収益性の実態、将来のリスクを洗い出す |
| 企業価値評価 | 対象企業の事業計画や資産価値に基づき、適正な買収価格(株式価値)を算定 |
| 買収後の統合支援(PMI) | 買収後に、異なる企業文化や会計システム、業務プロセスを統合し、早期にシナジー効果を生み出す支援を行う |
例えば、企業が競合他社を買収する際には、対象企業の財務諸表を詳細に分析し、簿外債務や将来リスクを洗い出した上で、買収価格の妥当性を検証します。これにより、経営陣の意思決定を財務面から支援します。
M&A案件は数億円から数千億円規模に及ぶことも多く、会計・財務知識に加えて、事業の将来性や市場環境を読み解く力が求められる領域です。
FAS系ファームのなかでも特に主要な「Big4 FAS」各社の特徴やキャリアパスについては、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
財務・経営管理コンサルティング
財務・経営管理コンサルティングは、企業の管理会計や予算管理の仕組みを設計・改善する領域です。主な業務内容は以下のとおりです。
| 予算管理制度の構築 | 経営目標達成に向けた予算策定ルールの策定や、予実(予算と実績)差異の原因分析を行う仕組みの整備 |
| 原価計算の仕組みづくり | 製品ごとの正確なコスト算出により、不採算部門の特定や収益性改善につなげる計算ロジックの構築 |
| 経営ダッシュボード導入 | 経営判断に必要な重要指標(KPI)を可視化し、タイムリーに状況を把握できるモニタリング体制の構築 |
例えば、事業部ごとの採算が見えない企業に対しては、部門別損益管理の体制を整え、経営に必要なデータをタイムリーに把握できるようにします。月次決算の早期化やKPI管理の仕組みづくりを支援するケースも一般的です。
財務・経営管理コンサルタントは、会計数値を経営戦略と結びつけ、企業が適切な意思決定を行える状態をつくる専門家といえます。
会計システムコンサルティング
会計システムコンサルティングは、企業の会計システムやERPの導入・刷新を支援する領域です。主な業務内容は以下のとおりです。
| 現行システムの課題分析 | 現行の業務フローやシステムの問題点を洗い出し、改善すべきポイントの明確化 |
| 新システムの要件定義 | 現場のニーズや経営戦略に基づき、新システムに必要な機能やスペックの定義 |
| パッケージ選定 | コストや機能を比較検討し、クライアント企業に最適なERPや会計ソフトの選定支援 |
| 導入プロジェクト管理 | システム稼働に向けたスケジュール管理、品質管理、データ移行などのプロジェクト推進 |
例えば、複数の会計システムを併用している企業グループに対しては、統一システムの導入を支援し、業務フローの標準化からデータ移行、運用定着までを一貫してサポートします。 クラウドERPやRPA活用のニーズが高まるなか、会計知識に加えてITリテラシーやプロジェクト推進力が求められる領域です。
IPO(株式公開)支援
IPO(株式公開)支援は、企業が上場を目指す際に、審査を通過するために必要な会計基準・内部統制・開示体制を整え、上場に耐えうる財務基盤を構築する領域です。会計コンサルのなかでも専門性の高い分野です。
主な業務内容は以下のとおりです。
| 上場基準への会計処理対応 | 未上場企業の会計処理を、監査基準や上場基準に適合させるための修正・指導 |
| 内部統制制度の構築 | 財務報告の信頼性を確保し、J-SOX(内部統制報告制度)に対応するための業務プロセスの整備 |
| 開示資料の作成支援 | 有価証券届出書(Ⅰの部)など、上場申請や審査に必要な膨大な開示書類の作成サポート |
例えば、ベンチャー企業がIPOを計画する場合、現状の会計処理を上場基準に合わせ、内部統制を構築し、監査を通過できる財務体制を整備します。経理部門の体制見直しや業務フローの再設計を行うケースもあります。
IPOは準備期間が数年に及ぶ長期プロジェクトであり、企業成長の節目に深く関わる仕事です。会計・内部統制・開示の知識を横断的に身につけられるため、専門性と市場価値を高めやすい分野といえます。
事業再生・組織再編支援
事業再生・組織再編支援は、経営不振に陥った企業の立て直しや、グループ再編を通じて財務基盤を強化する領域です。企業の存続に直結する局面に関わるため、高い専門性と判断力が求められます。
主な業務内容は以下のとおりです。
| 財務状況の分析 | 実態貸借対照表の作成などによる、企業の正確な財務実態の可視化 |
| 事業計画の策定 | 収益性の改善やコスト削減に向けた、実現可能性の高い再生計画の策定 |
| 債権者との交渉支援 | 金融機関に対する返済猶予(リスケジュール)や債務免除などの条件変更交渉の支援 |
| 子会社の統廃合 | 不採算事業の切り離し(カーブアウト)やグループ会社の合併など、組織構造の最適化 |
例えば、赤字が続く企業に対しては、採算性の低い事業からの撤退や資産売却による資金確保を提案します。金融機関との条件調整や再生計画の実行支援を行い、安定的な財務状態への回復を目指します。
事業再生は難易度の高い案件が多いものの、経営危機を乗り越えて企業を再建に導くやりがいの大きい分野です。財務分析力やステークホルダー調整力など、汎用性の高いスキルを磨ける点も特徴です。
会計コンサルティングを手がける主要企業
会計コンサルティングを提供する企業は、規模や専門性によって大きく3つのタイプに分かれます。自身の志向性やキャリアプランに合わせ、どの領域に進むか見極めましょう。
ここでは、以下の企業タイプを中心に解説します。
- Big4系コンサルティングファーム
- FAS系・独立系アドバイザリーファーム
- 日系大手・総合系コンサルティング企業
それぞれの特徴を理解して、転職先の選択肢を絞り込んでください。
Big4系コンサルティングファーム
Big4系コンサルティングファームは、世界4大会計事務所を母体とし、会計・財務の専門性を強みに幅広いコンサルティングサービスを提供する大規模組織です。国際案件や大規模プロジェクトに強みを持つ点が特徴です。
各社の特徴は以下のとおりです。
| デロイトトーマツコンサルティング | M&A案件で戦略策定から実行、PMIまで一貫支援する強みを持つ |
| PwCコンサルティング | コンサル・監査・税務・法務・FASの知見を融合させた「統合知」アプローチが特徴 |
| EYストラテジー・アンド・コンサルティング | 統合AIプラットフォーム「EY.ai」を全社的に展開し、アシュアランス業務の知見を活かしたリスク管理支援が特徴 |
| KPMGコンサルティング | サービスを「ビジネストランスフォーメーション(事業変革)」「テクノロジートランスフォーメーション」「リスク&コンプライアンス」の3分野に明確に分類し、各領域で専門性を発揮 |
監査法人として培った会計・財務の専門性を基盤に、戦略立案から業務改善、システム導入まで幅広いサービスを展開しています。
例えば、グローバル企業のM&A案件では、各国の会計基準に精通したメンバーが連携し、買収前後の財務基盤整備を支援します。世界各国のネットワークを活かし、国際的なプロジェクトで大きな強みを発揮します。
Big4各社の詳細な比較や特徴については、以下の記事もあわせてご覧ください。
FAS系・独立系アドバイザリーファーム
FAS(Financial Advisory Services)とは、企業のM&Aや事業再生、企業価値評価(バリュエーション)など、財務面の意思決定を支援するコンサルティングサービスです。買収・合併・再編といった重要な経営イベントにおいて、財務デューデリジェンス(DD)やPMI(買収後統合支援)などを通じて、経営判断をサポートします。
FASには大きく分けて、Big4系ファームと独立系ファームの2つのタイプがあります。 それぞれの特徴は以下のとおりです。
- Big4系ファーム:世界4大会計事務所を母体とするグローバル組織
- 独立系ファーム:専門性と柔軟な体制を持つ中堅〜独立系のアドバイザリー企業
代表的な独立系ファームには以下のような企業があります。
| フロンティア・マネジメント(事業再生・経営改革支援) | 役員・社員として企業に入り込み、意思決定に直接参画する柔軟で実践的なスタイルが特徴 |
| 山田コンサルティンググループ(事業承継・中堅M&A支援) | 不複雑に絡み合った経営課題に対し、ワンストップで実践的な解決策を提供 |
FAS領域は、会計・財務の高度な知識と、経営全体を見渡す洞察力の両方が求められます。監査法人で培った経験を活かしながら、企業の再編や成長を直接支援したい人に向いているキャリアといえます。FASコンサルタントとして働く魅力や、具体的な年収水準、仕事内容の詳細は、以下の記事で徹底解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
日系大手・総合系コンサルティング企業
日系大手・総合系コンサルティング企業は、国内市場に強みを持ち、幅広い業界や業務領域をカバーしています。
代表的な3社の特徴は以下のとおりです。
| 野村総合研究所 | コンサルティングからシステム開発・運用までを一気通貫で提供する「コンソリューション」が強み |
| アビームコンサルティング | 特にSAP(ERP)導入コンサルティングにおいて国内トップクラスの実績を誇る |
| ベイカレント・コンサルティング | 業界やテーマで部門を分けないワンプール制を敷き、柔軟なチーム編成でクライアントの課題解決にあたる |
日系ファームの最大の特徴は、長期的な視点での伴走型支援と、日本企業への深い理解です。特に会計システムの導入や業務プロセス改革において、現場に入り込んで定着まで支援するスタイル(ハンズオン)を得意とします。
例えば、大手製造業の会計システムを刷新する場合、業務要件の整理から導入後の運用定着まで、長期的に伴走します。日系企業ならではの働きやすさや国内案件の豊富さも魅力であり、外資系に比べてワークライフバランスを重視する傾向があります。
会計コンサルタントの平均年収と給与体系
会計コンサルタントの年収は、他の専門職と比べても高い水準にあります。 成果に応じて報酬が決まる実力主義の業界であり、経験や役職によって収入差が大きいのが特徴です。
ここでは、平均年収、職位別の年収レンジ、給与体系の仕組みを順に見ていきましょう。
会計コンサルタントの平均年収
会計コンサルタントの年収は、一般的なビジネスパーソンと比較して非常に高い水準にあります。職種単独の統計はありませんが、主要なコンサルティングファーム(Big4)の職位別年収を見ることで、その水準の高さとキャリアパスごとの昇給幅が分かります。
以下は、Big4各社の役職別年収の目安です。
| 職位 | デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー合同会社 | PwCアドバイザリー合同会社 | EYストラテジー・アンド・コンサルティング(FAS部門含む) | KPMG FAS株式会社 |
|---|---|---|---|---|
| アナリスト/アソシエイト | 500万円〜1,000万円 | 500万円〜700万円 | 600万円〜1,000万円 | 600万円〜1,000万円 |
| シニアアソシエイト | 800万円〜1,000万円 | 700万円〜900万円 | 900万円〜1,200万円 | 800万円〜950万円 |
| マネージャー | 1,000万円〜1,200万円 | 1,000万円〜1,300万円 | 1,200万円〜1,500万円 | 1,000万円〜1,200万円 |
| シニアマネージャー以上 | 1,200万円〜 | 1,300万円〜 | 1,500万円〜 | 1,200万円〜 |
引用:OpenWork
このように、若手の「アナリスト/アソシエイト」クラスでも、一般的な平均年収を上回る水準からスタートします。さらに、「シニアアソシエイト」への昇格で年収800万円〜1,000万円前後、「マネージャー」になれば大台の1,000万円を確実に超えてくるのが業界のスタンダードです。
成果を出せば年齢に関係なく昇進・昇給できるため、市場価値と収入を大きく伸ばせる環境といえるでしょう。
職位別の年収レンジ
会計コンサルタントの年収は、職位(ランク)が上がるにつれて大幅に上昇します。 特に「Big4アドバイザリー」と「FAS(財務アドバイザリー)」では給与水準が高い傾向にありますが、インセンティブの有無などによりレンジが異なります。 以下は、それぞれの職位別年収の目安です。
| 職位 | Big4アドバイザリー | FAS系(財務アドバイザリー) |
|---|---|---|
| パートナー | 2,000万円以上 | 4,000万円以上 |
| ディレクター | 1,500万円以上 | 2,000万円以上 |
| シニアマネージャー | 1,200万〜1,600万円 | 1,600万〜2,000万円 |
| マネージャー | 1,000万〜1,300万円 | 1,300万〜1,600万円 |
| シニアアソシエイト | 800万〜1,100万円 | 1,000万〜1,300万円 |
| アソシエイト/アナリスト | 500万〜900万円 | 600万〜1,000万円 |
実力次第で昇進スピードが変わるため、自らの力でキャリアを切り開きたい人に適した環境といえます。
給与体系の特徴(昇給率・インセンティブ)
会計コンサルタントの給与は、一般的に「基本給+残業代+賞与」で構成され、平均年収は700万〜1,000万円と日本平均の約2倍に達します。大きな特徴は、職位による給与構造の違いと成果主義です。
若手層(アソシエイト等)は残業代が別途支給され、月60時間の残業で年200万円近く加算されることも珍しくありません。一方、マネージャー以上は裁量労働制となり、残業代は基本給に含まれるのが一般的です。
また、賞与は個人の成果やファームの業績がダイレクトに反映されます。特にFAS系では賞与比率が高く、*基本給の30〜50%*に達することもあります。さらに、この業界特有の「プロモーション・ジャンプ」も見逃せません。
毎年の定期昇給は緩やかですが、昇進時には一度に数百万円単位で年収が跳ね上がります。実力次第で短期間に大幅な収入アップが狙える点が、キャリア形成における大きな魅力です。
会計コンサルタントになるには?必要なスキルと有利な資格
会計コンサルタントになるには、会計や財務に関する深い理解だけでなく、課題を整理して改善策へつなげる思考力が求められます。さらに、有利になる資格や会計基準・会計システムの知識を習得しておくと転職でも強みになります。
ここでは、会計コンサルタントに求められるスキルや有利になる資格を紹介します。
求められるスキル
会計コンサルタントに求められるのは、専門知識だけでなく、経営課題を分析し改善策を導く総合的なスキルです。専門性・実務経験・対人力・デジタル対応力の4つが主なスキルとなります。
| スキル領域 | 主な内容 | ポイント |
|---|---|---|
| 専門知識(ハードスキル) | 会計・財務・税務の理解(財務諸表分析、キャッシュフロー管理)・IFRS(国際会計基準)対応・M&A支援(財務DD・企業価値評価・PMI) | 会計制度や規制の変更に柔軟に対応できる専門性が求められる |
| 実務経験 | 事業会社での経理・財務経験・監査法人での監査・アドバイザリー経験・金融機関での資金調達・財務分析経験 | 現場の実務を理解していると、提案内容に説得力が増す |
| デジタル・グローバル対応力 | ERP(SAP・Oracleなど)導入経験・RPA・BIツールの活用・英語力(IFRS原文理解・海外子会社対応) | テクノロジーや国際案件への対応力が市場価値を高める |
これらのスキルを組み合わせることで、会計コンサルタントは「会計の専門家」であるだけでなく、企業の経営改善を実行に移すビジネスパートナーとして活躍できるでしょう。
有利になる資格
会計コンサルタントは資格がなくても働けますが、資格を取得しておくことで専門性と信頼性を高められます。特に、公認会計士やUSCPAのような上位資格は、FAS系ファームや外資系コンサルティングへの転職で大きな武器になります。
資格は大きく「専門性の基盤を築く上位資格」と「スキルの幅を広げる補助資格」に分類でき、それぞれのキャリア段階に応じて選択するのが効果的です。
まず、上位資格としては以下が代表的です。
| 公認会計士(CPA) | 監査、M&A支援、財務DD、IFRS導入 |
| 税理士 | 税務、国際税務、事業承継、組織再編 |
| USCPA(米国公認会計士) | 外資系、グローバル案件、IFRS対応 |
上記の資格を取得していると、FASの主要業務である財務デューデリジェンス(DD)、企業価値評価(バリュエーション)、PMI(買収後統合)にスムーズに対応しやすくなります。また、近年は、会計知識だけでなくITや経営戦略を理解する力も求められるようになりました。
以下の資格を取得しておくと、スキルの幅を広げ、市場価値を高めることができます。
| 日商簿記2級以上 | 財務諸表を読み解く基礎力として、未経験から目指す場合の最低ラインともいえる |
| 中小企業診断士 | 数字の裏付けがある幅広い経営アドバイスが可能になる |
| SAP認定コンサルタント | 会計×ITの領域で即戦力として評価されやすい |
| MBA(経営学修士) | 経営層対等のコミュニケーションや、昇進・キャリアアップに有利 |
| 証券アナリスト | 高度な財務分析やバリュエーションスキルは、特にFAS領域で高評価 |
資格は「専門性の証明」であり、同時に「実務対応力を高めるツール」でもあります。どの分野で強みを発揮したいかを明確にし、自身のキャリアプランに合った資格を戦略的に選ぶと良いでしょう。
資格は必須?資格なしでも転職できる?
会計コンサルタントやFASへの転職で、必ずしも資格が求められるわけではありません。 資格がなくても転職は十分に可能です。ただし、資格は専門性と信頼性を示す「戦略的な武器」として評価されやすく、選択肢を広げる効果があります。
一方で、資格がない場合に求められるのは実務力とビジネススキルです。事業会社の経理・財務部門での経験、監査法人での監査・アドバイザリー業務、IT分野でのシステム導入(特にSAPなどERP)の経験は高い評価につながります。
また、論理的思考力・コミュニケーション能力・問題解決能力といったソフトスキルも重要です。特に若手層では、資格よりも「学習意欲」「論理的思考」「実務理解力」が重視される傾向にあります。
未経験から挑戦する場合は、転職エージェントを活用して、自身に合ったキャリア戦略を立てるのが効果的です。
MyVision(マイビジョン)では、会計・コンサル業界に精通したキャリアアドバイザーが、200社以上のコンサルファームとの強固なコネクションを活かし、非公開求人の紹介から選考対策まで徹底サポートしています。まずは無料相談を通じて、自分に合ったキャリアプランを相談してみましょう。
会計コンサルタントのキャリアパスと将来性
会計コンサルタントは、実績を重ねるほどキャリアの幅が広がる専門職です。ファーム内での昇進にとどまらず、事業会社や金融機関への転職、さらには独立など多様なキャリアパスが広がっています。加えて、DX推進やM&Aの増加を背景に、会計コンサルタントは今後も高い需要が見込まれる職種です。
ここでは、それぞれのキャリアの方向性と会計コンサルタントの将来性について解説します。
ファーム内でのキャリアパス(昇進)
会計コンサルティングファームでは、明確な階層構造のもとで昇進が進み、職位が上がるにつれて、求められる役割は「実務担当者」から「プロジェクト管理者」、そして「経営幹部」へと大きく変化します。
一般的なキャリアステップと主な役割は以下のとおりです。
| アナリスト | 会計・財務データの分析、リサーチ業務、資料作成 |
| シニアアソシエイト | 特定の業務領域を担当し、論点整理や改善提案の一部を遂行 |
| コンサルタント | 仮説構築や現場のタスク管理、後輩メンバーの指導 |
| マネージャー | プロジェクト全体の進捗管理、成果物の品質担保 |
| シニアマネージャー | 複数プロジェクトの統括およびアカウント管理 |
| ディレクター | 経営層レベルのクライアント開拓、大規模案件の獲得 |
最初は目の前の分析業務から始まり、徐々に人を動かすマネジメント能力、最終的には案件を獲得する営業力が問われるようになります。このように、キャリアを重ねるほど視座が高まり、経営者に近いスキルセットへと進化していくのが特徴です。
転職先(ポストコンサル)の選択肢
会計コンサルタントとして経験を積んだ後は、事業会社や金融業界、独立など幅広いキャリアパスが広がります。
まず多いのは事業会社への転職です。コンサルタント時代に培った財務戦略や経営分析のスキルが高く評価され、以下のようなポジションで活躍できます。
- 経営企画/CFO(最高財務責任者)
- IPO準備や資金調達を担う財務責任者
- M&A推進やPMI(買収後統合)担当
- 内部監査部門のマネージャー
また、金融・投資業界への転身も選択肢の一つです。財務デューデリジェンス(DD)や企業価値評価で培ったスキルを活かし、以下のような分野で活躍できます。
- 投資銀行(M&Aアドバイザリー)
- プライベートエクイティファンド(PEファンド)
- ベンチャーキャピタル(VC)
特にFAS出身者は、投資判断や企業再生の専門家として重宝され、高い報酬を得られるケースが多くあります。さらに、独立・フリーランスとしての活動を選ぶ人もいます。
会計事務所やコンサルティング会社を設立し、SAP導入支援やM&A助言などの専門領域に特化すれば、高単価案件の受注や柔軟な働き方が可能です。キャリアを進める中で「自分は何をしたいのか」を見極めることが、最終的な進路を決める鍵となるでしょう。
会計コンサルタントの将来性(需要は高い?)
会計コンサルタントの需要は今後も高い水準で続くと見込まれています。背景には、企業経営の複雑化やDXの加速、国際会計基準(IFRS)対応などの構造的な要因があります。
IDC Japanによると、国内コンサルティングサービス市場は2028年に1兆1,714億円に達すると予測されており、財務・会計領域も年平均成長率6.4%で拡大が続く見通しです。需要を押し上げている主な要因は以下の3つです。
- ERPやクラウド会計など、ITと会計の融合領域の拡大
- M&Aや事業再編の活発化による財務アドバイザリー需要の増加
- IFRS・ESG開示など、法規制対応やガバナンス強化の進展
一方で、定型業務は自動化が進み、今後求められるのは、経営課題を見極めて戦略的な提案を行う「上流型コンサルタント」です。特に、会計とITを両立できるハイブリッド人材は市場価値が高く、報酬水準も上がりやすい傾向があります。
コンサルタントとしてスキルを磨くほど、長期的なキャリアの安定性が期待できる領域といえるでしょう。
会計コンサルタントのやりがいと厳しさ
会計コンサルタントは、企業経営に深く関わる責任ある仕事です。経営課題の解決や財務改善を通じて企業を支えるやりがいがある一方で、専門性の高さや成果主義の環境、長時間労働といった厳しさもあります。
ここでは、会計コンサルタントとして働く魅力と、実際に直面する難しさの両面を紹介します。
会計コンサルタントのやりがい
会計コンサルタントのやりがいは、企業経営に直接貢献できる影響力の大きさにあります。 提案内容が経営改善や業績向上に直結し、自らの成果が企業の成長として可視化される点が大きな魅力です。
特に、CFO(最高財務責任者)や経営陣と協働しながら財務戦略を立案する場面では、企業の意思決定に深く関われます。経営課題の本質を見極め、改善の方向性を導くプロセスは大きな達成感につながります。
また、専門性を発揮できる領域で力を発揮できる点もやりがいの一つです。M&A支援、IFRS導入、ERP(SAPなど)を活用した業務改善など、難度の高い課題に挑戦できるため、プロフェッショナルとしての成長を実感しやすい環境といえます。課題を整理し、解決策を提案して成果が出たときの満足感は大きく、経営層から直接感謝されることも多いです。
さらに、継続的な学習を通じて自己成長できる環境にやりがいを感じる人も多いでしょう。専門性を高めながら経営の変革に携われる点が、会計コンサルタントの大きな魅力です。
会計コンサルタントの厳しさ
会計コンサルタントの厳しさは、長時間労働と高いプレッシャーが常に伴う点にあります。期限内に高品質な成果を求められるため、プロジェクト期間中は深夜までの作業や休日対応が発生することもあります。
特にM&Aのクロージング前や決算期には業務が集中し、睡眠時間が極端に短くなる場合もあります。クライアントの予定に合わせるため、私生活との両立が難しくなる場面も避けられません。
また、提案が企業経営に直結するため、責任の重さと緊張感が常に伴います。財務情報を扱う立場として高い倫理観が求められ、成果主義の中で結果を出し続ける必要があります。さらに、会計基準やIT技術の変化に対応するため、勤務外の学習や情報アップデートも欠かせません。
専門性を磨き続ける姿勢が求められる点は、負担にもなり得ます。近年はリモートワークやフレックス導入など環境改善も進んでいますが、クライアントワークである以上、一定の忙しさと責任の重さは本質的に残る職種といえるでしょう。
未経験から会計コンサルタントへの転職
会計コンサルタントは専門性が高い職種ですが、近年は未経験から挑戦する人も増えています。企業のDX推進やM&Aの活発化により、ポテンシャル採用の機会が拡大しているためです。
ここでは、求められる経験やスキル、転職を成功させるためのポイントまで詳しく解説していきます。
未経験でも会計コンサルになれる?
結論からお伝えすると、未経験からでも会計コンサルタントへの転職は十分に可能です。
コンサルティング業界では、専門知識よりも「今後の成長ポテンシャル」を重視する傾向が強く、特に20代〜30代前半は積極的に採用されています。企業のDX化やM&Aの増加を背景に、ファーム側も多様な人材を求めており、未経験者でも挑戦しやすい環境が整いつつあります。
ただし、完全な未経験で成果を出すのは容易ではありません。一定の「会計知識」や「論理的思考力」は前提となり、日商簿記2級程度の知識やExcel・PowerPointを使った資料作成スキルがあると選考で大きな強みになります。
また、以下のような隣接領域の経験は高く評価されやすいです。
- 経理・財務(決算、管理会計、資金繰りなど)
- 監査法人でのアシスタント業務
- IT領域の経験(ERP導入、RPA、システム要件定義など)
- 金融機関での財務分析・融資審査
特に近年は「IT×会計」のハイブリッド人材が求められており、ITスキルを活かしてコンサルタントになるケースが増えています。経営課題の整理や改善策の提案力は入社後でも磨けるため、まずは基礎知識と論理的思考力を身につけ、挑戦する姿勢を明確に示すことが成功への第一歩です。
未経験者に求められる経験・スキル
未経験採用では、現時点での完成度よりも「コンサルタントとしての素養」が最優先で評価されます。プロとして活躍するためのスキル全般ではなく、採用選考を突破するために「何が重視されるか」という優先順位を押さえましょう。
評価のポイントは、大きく以下の3つに分類されます。
| 分類 | 主なスキル・要素 | 採用での評価ポイント |
|---|---|---|
| ソフトスキル | 論理的思考力• コミュニケーション能力 | クライアントの課題を構造的に捉え、解決策を導き出す基礎能力があるか |
| 基礎知識 | 日商簿記2級程度• Excel / PPTスキル | 入社後のキャッチアップに耐えうる最低限の基礎があるか |
| 差別化要因 | 業務改善の実績• ERP/会計システム使用経験• 英語力(TOEIC800点〜) | 実務経験や語学力は、即戦力に近い要素として加点対象になる |
特に重視されるのはソフトスキルです。専門知識は入社後に習得できますが、論理的に考え、相手に分かりやすく伝える力は、短期間での習得が難しいためです。さらに、受け身ではなく、自ら課題を見つけて行動できる姿勢が評価されます。
資格がなくても「既存の業務フローを変えて効率化した」といった実務での改善実績があれば、コンサルタントの資質があるとして未経験からでも会計コンサルタントへの転職は十分に可能です。
未経験からの転職を成功させるポイント
未経験から会計コンサルタントを目指す場合は、年齢・スキル・戦略の3点を意識することが成功の鍵です。特に20代〜30代前半はポテンシャル採用が多く、成長意欲を示せれば十分にチャンスがあります。
選考では、専門知識よりも論理的思考力や主体性といったソフトスキルが重視されます。過去の経験から「自ら課題を見つけ改善した行動」を具体的に示すと効果的です。
加えて、公認会計士・USCPA・税理士などの資格取得は、未経験でも専門性を客観的に示せる有効な手段といえます。転職エージェントを活用すれば、非公開求人の紹介やケース面接対策など、戦略的な支援を受けられます。
会計コンサルタントへの転職はMyVisionへ
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まとめ
会計コンサルタントは、企業の財務改善や経営課題の解決を支援する専門職です。高い専門性と責任を伴う一方で、経営に直接関われるやりがいのある仕事でもあります。
未経験から挑戦する場合でも、会計の基礎知識や論理的思考力、能動的な姿勢を磨けば十分にチャンスがあります。転職を成功させるには、コンサル業界に特化した支援を受けるのが近道です。
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