コンサル業界とは?今後の将来性や市場規模、仕事内容をプロが徹底解説
2025年10月28日更新
コンサル業界は、企業や行政が抱える経営課題・事業課題を解決へ導く専門職の集団です。経営戦略の立案から業務改革、デジタル化支援まで、あらゆる分野で知見と分析力を活かし、組織の成長や社会の発展に貢献しています。その専門性の高さから、「論理的思考力を活かしたい」「経営に近い立場で働きたい」と考える就活生や転職希望者から高い注目を集めています。
一方で、「コンサルティングファームの種類は?」「外資と日系の違いは?」「どんなキャリアを築けるのか?」といった疑問を持つ方も少なくありません。コンサル業界は一見華やかに見えますが、実際の業務内容や働き方、求められるスキルは多岐にわたります。
本記事では、コンサル業界の構造や仕事内容、種類ごとの特徴、年収やキャリアパスなどを体系的に整理しました。外資・日系の違いや代表的な企業例も交えながら、コンサルタントとしての働き方を具体的にイメージできるように解説します。
著者

大河内 瞳子
Okochi Toko
株式会社MyVision執行役員
名古屋大学卒業後、トヨタ自動車での海外事業部、ファーストリテイリング/EYでのHRBP経験を経てMyVisionに参画。HRBPとして習得した組織設計、採用、評価などの豊富な人事領域経験を生かした支援に強みを持つ。
プロフィール詳細を見る
監修者

岡﨑 健斗
Okazaki Kento
株式会社MyVision代表取締役
東京大学を卒業後、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。主に金融・通信テクノロジー・消費財業界における戦略立案プロジェクトおよびビジネスDDを担当。採用活動にも従事。 BCG卒業後は、IT企業の執行役員、起業・売却を経て、株式会社MyVisionを設立。
プロフィール詳細を見る
目次
全部見る
コンサル業界とは?
コンサル業界とは、企業や行政、団体などのクライアントが抱える課題を分析し、解決策を提案・実行まで支援する専門サービス産業です。経営戦略の策定や業務改善、組織改革、新規事業開発、デジタル化推進など、多様な分野で高度な知見を提供します。ただアドバイスするだけでなく、クライアントと協働しながら成果を実現する点に大きな特徴があります。
コンサルティングの対象は幅広く、大手企業から中小企業、官公庁、地方自治体、さらには国際機関まで多岐にわたります。
扱うテーマも以下のように様々です。
- 経営戦略
- マーケティング
- 人事制度
- ITシステム
- DX支援
- ESG経営
また、コンサル業界の特徴は、課題解決に向けた論理的思考力・分析力・実行力を兼ね備えた専門家集団である点です。クライアントの状況を客観的に分析し、第三者の視点から最適な戦略を設計するため、経営の意思決定を支える役割を果たしています。
このように、コンサル業界は社会・産業の変化を先取りし、課題をチャンスに変える支援を行う専門分野として、今後も幅広い分野での活躍が期待されています。
コンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
コンサル業界の現状と今後の将来性
コンサル業界は、企業や行政が直面する経営課題・社会課題の多様化に伴い、近年ますます存在感を高めています。
ここでは、コンサル業界の市場規模や成長性といった現状を整理するとともに、今後の方向性や変化の動向について詳しく解説します。
業界の市場規模と成長性
コンサルティング業界は、継続的に拡大を続ける成長産業です。『コンサルのあんなこと、こんなこと』によると2023年度の国内市場規模は2兆23億円(前年比9.5%増)と推計され、初めて2兆円を突破しています。
2030年度には市場規模が2兆5,000億〜2兆8,000億円に達すると予測されており、今後もプラス成長が見込まれます。一方で、人材獲得競争の激化やクライアント企業の内製化など、変化の兆しも見られます。
それでも、AI・ESG・M&Aなど新領域の拡大を背景に、コンサル業界は引き続き日本経済を支える「知的インフラ」としての地位を保ち続けると考えられます。
コンサル業界の変化
コンサル業界は、目まぐるしく変わる社会に適応するため、大きく変化しています。
主に以下のような変化がトレンドになっています。
- 戦略立案型から実行支援型へ
- ITコンサルの需要拡大やDX支援の増大
- サステナビリティ経営やESG推進の支援の拡大
コンサル業界は、従来の「戦略立案型」から「実行支援型」へと大きく変化しています。かつては企業の経営戦略の立案や業務改善の方針を示すことが中心でしたが、現在では提案後の実行フェーズまで深く関与し、成果の創出に責任を持つ形へとシフトしています。
また、デジタル技術の発展も業界の構造を大きく変えました。AIやデータサイエンス、クラウドソリューションといった分野の台頭により、IT系コンサルやデジタル変革(DX)支援を専門とするファームが急成長しています。
さらに、社会課題への対応力も重視されるようになっています。環境・エネルギー・医療・地域創生といった分野で、サステナビリティ経営やESG推進を支援する案件が増加しており、コンサルティングが果たす社会的役割は年々拡大しています。
クライアントとともに成果を創出し、社会や産業の変革を牽引する存在として、コンサルの影響力はこれまで以上に強まっているのが現状です。
コンサル業界の種類と仕事内容|代表的な企業一覧
コンサル業界と一口に言っても、その業務領域や専門分野は多岐にわたります。
ここでは、コンサル業界を代表する主要な領域を整理し、それぞれの特徴や代表的な企業を紹介します。
戦略系コンサル
戦略系コンサルファームは、企業の中長期的な成長や競争優位の確立を目的に、経営戦略の策定や新規事業開発、グローバル展開などを支援する専門組織です。経営層に近い立場から意思決定を支援し、企業の方向性を定める上流工程を担います。
主な特徴は以下の通りです。
- 経営戦略の立案支援:企業ビジョンや市場環境を踏まえ、成長戦略・事業ポートフォリオ・M&A戦略などを設計
- 新規事業・イノベーション創出:新市場の探索、事業アイデアの具体化、実行計画の策定を支援
- グローバル展開・海外戦略:海外進出・撤退・アライアンスなど、国際戦略の立案と現地調査を実施
- 経営改革・組織変革の推進:経営体制の再設計やガバナンス強化を通じ、持続的な競争力を確立
- 高い分析力と仮説検証力:データ分析とロジカルシンキングを基盤に、経営課題の本質を見極めるアプローチを採用
代表的な戦略系コンサルティングファームとしては、以下のような企業が挙げられます。
- マッキンゼー・アンド・カンパニー
- ボストン コンサルティング グループ
- ベイン・アンド・カンパニー
- A.T. カーニー
- アーサー・D・リトル
- ローランド・ベルガー
- Strategy&(旧ブーズ・アンド・カンパニー。PwCグループ)
- モニターデロイト
- EYパルテノン
- KPMGコンサルティング (戦略部門)
- アクセンチュア (戦略グループ)
- コーポレイト ディレクション
- ドリームインキュベータ
戦略系コンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
総合系コンサル
総合系コンサルファームは、あらゆる業界・分野のクライアントに対して包括的なコンサルティングサービスを提供する組織です。経営戦略から業務・IT・人材・財務といった複数領域を横断し、課題の発見から実行までを一貫して支援します。
主な特徴は以下の通りです。
- 幅広い支援範囲:経営戦略の立案から、業務改革、IT導入、人事・財務・マーケティング戦略まで、企業全体を俯瞰した総合支援を実施
- 専門領域の統合チーム体制:戦略・業務・IT・人事など、異なる専門家がチームを組み、課題の特定から実行支援までを一貫して推進
- 多様な人材構成:コンサルタントに加え、エンジニア・デザイナー・データサイエンティスト・マーケターなど多様な専門職が参画
- 市場変化への対応力:デジタル変革(DX)やサステナビリティ戦略など、新たな社会課題に即応するサービス領域を拡大
代表的な総合系コンサルティングファームには以下のような企業があります。
- デロイトトーマツコンサルティング
- PwCコンサルティング
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- KPMGコンサルティング
- アクセンチュア
- ベイカレント・コンサルティング
- 日本IBM
- アビームコンサルティング
- フォーティエンスコンサルティング(旧クニエ)
- 日立コンサルティング
- リッジラインズ
総合系コンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
IT系コンサル
IT系コンサルティングファームは、ITに関する高度な専門知識を基盤に、企業の経営課題を上流工程からシステム導入まで一貫して支援する専門組織です。経営戦略とテクノロジーを結びつけ、企業の生産性向上や業務効率化を実現する役割を担っています。近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進役としても注目を集めています。
主な特徴は以下の通りです。
- 幅広い支援範囲:IT戦略の策定から、システム設計・導入、運用体制の構築までを一貫して実施
- 専門的な業務支援:IT戦略策定・IT組織立ち上げ・ITデューデリジェンス、ERP(基幹業務)・SCM(サプライチェーン)・CRM(顧客管理)システムの導入支援、ビッグデータやAIを活用した業務改善提案
- 急速な市場成長:DXニーズの高まりにより、ITコンサルティングの需要が拡大
代表的なIT系コンサルティングファームは以下の通りです。
新興系ファームも多数台頭しており、柔軟でスピード感のある対応力を強みとしています。
ITコンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
財務コンサル
会計・財務系コンサルティングファーム(FAS:Financial Advisory Services)は、企業の財務戦略、M&A(合併・買収)、企業再生などに特化したコンサルティングサービスを提供する専門組織です。企業価値の最大化やリスクマネジメントを支援する役割を担い、会計・財務・法務などの専門知識を活用して経営判断をサポートします。
主な特徴は以下の通りです。
- 専門領域に特化:M&A支援、企業再生、事業再編、バリュエーション(企業価値評価・知的財産評価・会計目的評価)などに特化
- フォレンジック業務:不正調査や係争分析を通じて、ガバナンス強化・リスク回避を支援
- 監査法人系の組織構造:多くが世界4大会計事務所(Big4)のアドバイザリー部門として運営され、会計・監査との連携体制を持つ
- 高い専門性と信頼性:会計士・税理士・弁護士などの専門家が多数在籍し、法的・財務的な観点から企業の意思決定を支援
- クロスボーダー案件にも対応:グローバルネットワークを活かし、海外M&Aや国際税務などの複雑な案件にも強み
代表的な会計・財務系コンサルティングファームは以下の通りです。
- デロイト トーマツ ファイナンシャルアドバイザリー (DTFA)
- PwCアドバイザリー
- KPMG FAS
- EYストラテジー・アンド・コンサルティング
- アドバンスト・ビジネス・ダイレクションズ
- エスネットワークス
- フーリハン・ローキー(旧GCA)
- プルータス・コンサルティング
財務コンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
人事・組織系コンサル
人事・組織系コンサルティングファームは、経営課題のなかでも「人」と「組織」に特化してコンサルティングサービスを提供する専門組織です。組織構造の最適化や人事制度設計、人材戦略の立案などを通じて、企業の成長を「人の側面」から支援します。
主な特徴は以下の通りです。
- 経営戦略に基づく人事戦略立案や組織構造改革を支援
- 評価・報酬制度や人事制度の設計、M&A後の制度統合などを実施
- 人事業務の効率化(BPR)や、組織改革・意識改革を目的としたチェンジマネジメントを推進
- 従業員エンゲージメント向上やリーダーシップ開発など、人材活性化にも強み
代表的なファームは以下の通りです。
- マーサー ジャパン
- タワーズワトソン
- ヘイコンサルティング
- エーオンヒューイットジャパン
- コーチ・エイ(コーチA)
- リンクアンドモチベーション(LMI)
- リクルートマネジメントソリューションズ(RMS)
- グロービス
人事・組織型コンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
企業・事業再生系コンサル
企業・事業再生コンサルファームは、業績の悪化や資金繰りの悪化、組織の機能不全など、経営が厳しい状況にある企業に対して、財務面・業務面の両面から再建を支援するコンサルティングファームです。
主な支援内容は、以下の通りです。
- 財務構造の改善
- コスト削減
- オペレーション効率化
- 収益モデルの再構築
戦略系コンサルティングファームが経営戦略や中長期的な方向性を提案するのに対し、再生コンサルファームは半年から数年単位で企業に常駐し、経営陣や金融機関、株主などのステークホルダーと協力しながら、実行フェーズまで一貫して関与します。
企業・事業再生コンサルに代表される企業は以下の通りです。
- アリックスパートナーズ
- 山田コンサルティンググループ
- 経営共創基盤
- フロンティア・マネジメント
- グラックス・アンド・アソシエイツ
- プロレド・パートナーズ
- ロングブラックパートナーズ
- YCP
- リヴァンプ
医療・ヘルスケア系コンサル
医療・ヘルスケア系コンサルティングファームは、医療・福祉・製薬・ライフサイエンスなどのヘルスケア領域に特化してサービスを提供する専門組織です。病院経営や医療機関の業務効率化、製薬・医療機器メーカーの事業戦略立案などを通じて、医療分野の課題解決と産業発展を支援しています。
主な特徴は以下の通りです。
- 医療機関・製薬企業・医療機器メーカーなどに向け、経営改革・業務改善を支援
- コスト削減や業務プロセス改善、IT戦略立案、組織改革など総合的にコンサルティングを提供
- 医療・ヘルスケアに特化した専門ファームのほか、戦略・総合系ファーム内に医療業界専門ユニットを設置している場合も多い
- 医療制度改革やデジタルヘルス(遠隔医療・医療DX)など、社会的インパクトの大きいテーマを扱う
医療・ヘルスケア特化型ファームに代表される企業は、以下の通りです。
医療インダストリーをもつファームに代表される企業は、以下の通りです。
ヘルスケアコンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
シンクタンク系コンサル
シンクタンク系コンサルティングファームは、もともと経済分析や政策立案・提言を目的として設立された研究機関を母体に持つ組織です。現在では、公共政策の調査・研究に加え、企業の経営戦略策定や実行支援など、幅広い領域でコンサルティングサービスを展開しています。研究と実務の両面から社会課題や企業課題にアプローチできる点が大きな特徴です。
主な特徴は以下の通りです。
- 設立背景:経済・社会政策の調査研究機関として設立され、政策提言を通じて公共性の高い業務を担う
- 業務領域の拡大:政策立案だけでなく、企業戦略や経営改革、デジタル化支援などの実務領域にも進出
- グループシナジー:大手金融機関や企業グループを親会社に持ち、グループネットワークを活かした案件獲得が可能
- クライアントの幅広さ:官公庁・自治体・金融機関・民間企業と多岐にわたるクライアントを持つ
- 組織構成:研究部門とコンサルティング部門に分かれ、データ分析・リサーチから戦略立案までを一貫して実施
代表的なシンクタンク系コンサルティングファームは以下の通りです。
- 野村総合研究所(野村HD)
- 三菱総合研究所
- 三菱UFJ リサーチ&コンサルティング(三菱UFJ)
- NTTデータ経営研究所(NTTデータ)
- 日本総合研究所(三井住友フィナンシャルHD)
- みずほリサーチ&テクノロジーズ(みずほHD)
- 富士通総研
- 大和総研
シンクタンク系コンサルの仕事内容については以下の記事でも解説していますので、ぜひご覧ください。
なお、コンサル業界の種類については以下の記事でより詳しく解説しているので、参考にしてみてください。
外資系コンサルと日系コンサルの違い
コンサル業界には、世界規模で展開する外資系コンサルティングファームと、日本市場を中心に事業を展開する日系コンサルティングファームが存在します。両者は提供するサービスや組織文化、キャリア形成の仕組みなどに明確な違いがあります。
ここでは、キャリアパスやプロジェクトの進め方といった観点から、外資系と日系の違いをより具体的に解説していきます。
キャリアパス
評価制度やキャリアパスは、外資系と日系の文化の違いが最も明確に表れる部分です。外資系は成果重視で昇進スピードが速い一方、日系は安定性を重視し、総合的な評価が行われます。
外資系と日系は、以下の点で異なっています。
| 比較項目 | 外資系コンサル | 日系コンサル |
|---|---|---|
| 評価制度 | 成果主義・Up or Out制度(昇進か退職) | 成果+チーム貢献・安定志向 |
| 昇進スピード | 非常に速い(短期で昇格可能) | 緩やか(長期的な育成) |
| 働き方の特徴 | 個人主義・競争が激しい | 協働型・チームワーク重視 |
| キャリアの安定性 | 高い成果で飛躍可能だが離職率高め | 安定して長く働ける環境 |
| 求められる人物像 | 即戦力・成果志向・論理的思考力 | 継続力・協調性・成長意欲 |
外資は「成果とスピード」、日系は「安定と持続的成長」を重視する傾向があります。どちらの環境が自分に合うかを見極めることが、キャリア選択の重要なポイントです。
プロジェクトの進め方
外資系と日系コンサルの大きな違いのひとつが、プロジェクトの進め方です。外資系ファームは、短期間で成果を出す「短期集中型」のスタイルが一般的です。経営戦略や意思決定の支援といった上流工程に特化し、数週間から数ヶ月単位でプロジェクトを完結させます。
一方、日系コンサルは、クライアントと中長期的に関わる「長期伴走型」のプロジェクトが中心です。システム導入、業務改革、人材育成など、現場レベルに入り込みながら改善を積み重ねていくスタイルが多く見られます。成果の実行支援まで関わるケースも多く、経営層だけでなく現場社員とも長く関係を築く傾向にあります。
どちらが向いているかは、早さを求めるか、着実な成果を重視するかという志向によって異なります。
コンサル業界の役職と仕事内容
コンサル業界では、役職ごとに明確な役割と責任が定められています。業務の範囲は、データ収集や分析を行うアナリストから、戦略立案やチーム統括を担うマネージャー、そして組織運営や案件獲得を行うパートナーまで幅広く、多段階のキャリア構造が形成されています。
ここでは、コンサルタントの代表的な役職を段階ごとに整理し、それぞれの仕事内容や求められるスキルについて解説します。
アナリスト
コンサルタントとしてのキャリアは、まずアナリストから始まります。
プロジェクトチームの基盤を支える存在として、上位職の指導のもとで以下のような業務に従事します。
- データ収集・整理
- 資料作成
- 業界などの定量・定性分析
- 競合調査
この時期は、クライアントの課題理解や仮説検証のプロセスに多く関わることで、論理的思考力とリサーチ力を磨く貴重な期間でもあります。また、複数の業界やテーマに携わる機会が多く、戦略・IT・人事・財務など、幅広い分野に触れながら自身の専門領域を見極める土台を築けます。
一定の成果を上げると、チームの一員としてクライアント対応や小規模プロジェクトの補佐を任されるようになります。分析の正確さやスピード、資料作成の質が評価され、次のステップであるコンサルタントへの昇進につながっていきます。
コンサルタント
コンサルタントは、プロジェクトの中心メンバーとして実務をリードする役割を担います。アナリスト時代に培った分析力や調査力を基盤に、以下のような業務に従事します。
- クライアントの課題整理・解決策の構築
- 提案書の作成やプレゼンテーションの準備
- 実行計画の立案
- クライアントとの打ち合わせや報告会
- 若手メンバーの育成
上位職であるマネージャーのもと、調査結果を踏まえた提案書の作成やプレゼンテーションの準備、実行計画の立案などを主体的に進めます。
この段階では、クライアントとの打ち合わせや報告会など、対外的なコミュニケーションも増えます。クライアント企業の経営層や現場担当者と直接意見を交わしながら、実務的で実現可能な提案を導くことが求められます。
また、プロジェクトの中核として若手メンバーを指導する場面も増え、リーダーシップを発揮する機会が多くなります。コンサルタントとしての経験を重ねることで、戦略立案力や課題解決力を実務のなかで磨き、次のステップであるマネージャーへの昇進につなげていきます。
マネージャー
マネージャーは、プロジェクト全体の統括とチームマネジメントを担う役職です。複数のメンバーを率いて、以下のような業務を遂行します。
- プロジェクトの進捗管理
- クライアントとの調整
- 成果物の品質保証
プロジェクト遂行に関わるすべての責任を負います。コンサルタント時代に培った分析力・提案力を基に、より戦略的な視点から全体を見渡すリーダーシップが求められます。
具体的な業務としては、クライアントの経営層と直接やり取りを行い、経営課題の明確化や方針決定を支援します。また、チーム内ではメンバーの育成や役割分担を行い、限られた期間内で最大の成果を出すためのマネジメントを実施します。
マネージャーは、クライアントにとって「信頼できるパートナー」としての存在感を発揮するポジションでもあります。成果の質とスピード、チーム全体の士気を高めながら、案件を進めていくことが求められます。実績を積むことで、より大規模な案件や複数プロジェクトを統括するプリンシパルへの昇進につながります。
プリンシパル・シニアマネージャー
プリンシパル、またはシニアマネージャーは、複数のプロジェクトを横断的に統括し、クライアントとの関係構築や組織全体の成果責任を担うポジションです。マネージャーがプロジェクト単位での実行責任を負うのに対し、プリンシパルはより経営的な視点から事業全体の方向性をリードします。
主な役割は、大型案件の獲得や提案活動を通じてクライアントとの長期的な信頼関係を構築し、ファームとしての収益拡大に貢献することです。また、若手コンサルタントの指導・育成や、ナレッジ共有を通じた組織力の向上も重要なミッションとなります。
一方で、社内外における影響力も大きく、業界動向を踏まえた新しいコンサルティングサービスの企画や、専門領域の発信活動(講演・寄稿など)を行うケースもあります。組織運営と専門性の両面からリーダーシップを発揮し、次のステップであるパートナーへの昇進を目指す段階です。
パートナー
パートナーは、コンサルティングファームにおける最上位の役職であり、経営層の一員として組織全体を統括する立場にあります。ただのプロジェクト責任者ではなく、ファームの事業戦略の立案や経営方針の決定、収益拡大に直接関与する役割を担います。
主な業務は、新規クライアントの開拓や大型案件の受注、経営層とのリレーション構築など、ビジネスの成長を牽引することです。ファーム全体の収益責任を負う一方で、組織のブランド価値や専門領域の発信にも大きな影響力を持ちます。
また、社内では後進育成にも深く関わり、マネージャーやプリンシパル層の人材開発を通じて、組織全体の成長を支えるリーダーシップが求められます。パートナーは、専門知識と経営感覚の両方を備えた存在として、クライアントとファームの双方にとって中核的な役割を果たしています。
コンサル業界の年収
コンサル業界の年収は、所属するファームの種類や役職、専門分野によって大きく異なります。
ここでは、外資系と日系の違い、領域別の年収傾向、役職ごとの年収水準について整理して解説します。
外資系と日系の年収
コンサルティング業界における年収は、ファームの種類や役職によって大きく異なります。一般的に外資系は成果主義による高い報酬水準が特徴であり、日系は安定性と着実な昇給を重視する傾向があります。
ここでは、日系を代表する野村総合研究所(NRI)と、外資系を代表するマッキンゼー・アンド・カンパニーの年収レンジを比較しています。
日系コンサルの年収例(野村総合研究所)は以下の通りです。
| 役職 | 経験年数(目安) | 年収(目安) |
|---|---|---|
| アナリスト/アソシエイト | 0〜3年 | 約500万円〜 |
| コンサルタント | 0〜6年 | 約1,000〜1,500万円 |
| シニアコンサルタント | 5〜10年 | 約1,300〜2,100万円 |
| シニアマネージャー/プリンシパル | 7〜12年 | 約1,700〜2,500万円 |
野村総合研究所のような日系大手ファームでは、初任給から安定的な年収上昇が見込めます。長期的な雇用と福利厚生の手厚さもあり、安定志向のキャリア形成を志す人に適しています。
参考:OpenWork
外資系コンサルの年収例(マッキンゼー・アンド・カンパニー)
| 職位 | 経験年数(目安) | 年収水準(目安) |
|---|---|---|
| ビジネスアナリスト | 1〜3年目 | 約600〜800万円 |
| アソシエイト | 3〜5年目 | 約1,000〜1,500万円 |
| エンゲージメント・マネジャー | 5〜7年目 | 約1,500〜2,000万円 |
| アソシエイト・パートナー | 8〜10年目 | 約2,500〜3,000万円 |
| パートナー | 10〜20年目 | 約5,000万円〜 |
| シニアパートナー | 20年目〜 | 約1億円〜 |
参考:OpenWork
外資系は「Up or Out(昇進か退職)」の文化が根強く、短期間で成果を上げれば大幅な昇給が可能です。30代前半で年収2,000〜3,000万円に到達するケースも珍しくなく、実力がそのまま報酬に反映されます。一方で競争が激しく、成果を出し続けなければポジションを維持できない厳しさもあります。
外資系が「高収入・実力主義」、日系が「安定・継続的成長」という特徴を持ち、どちらを選ぶかはキャリア志向によって大きく異なります。
種類ごとの年収
コンサルティング業界では、専門領域によって年収水準に大きな差があります。戦略系が最も高水準である一方、IT系や総合系も昇給スピードが速く、若手から高い報酬を得やすい傾向にあります。
以下に、主要な業種ごとの平均年収を業種を代表する企業の平均年収から整理しました。
| 業種 | 平均年収の目安 | 代表的な企業 |
|---|---|---|
| 戦略系コンサル | 約1,450万円 | マッキンゼー、BCG、ベイン |
| 総合系コンサル | 約935万円 | アクセンチュア、PwC、デロイト |
| IT系コンサル | 約919万円 | ガートナー、アバナード、フューチャー |
| 会計・財務系コンサル | 約1,093万円 | DTFA、PwCアドバイザリー、KPMG FAS |
| 人事・組織系コンサル | 約932万円 | マーサージャパン、タワーズワトソン、コーチ・エィ |
| 再生・事業再編系コンサル | 約936万円 | フロンティア・マネジメント、山田コンサルティンググループ、経営共創基盤 |
| 医療・ヘルスケア系コンサル | 約1,292万円 | マッキンゼー、BCG、アクセンチュア |
| シンクタンク系コンサル | 約929万円 | 野村総合研究所、三菱総合研究所、三菱UFJリサーチ&コンサルティング |
参考:OpenWork
戦略系は「高収入・高難度」の象徴的ポジションであり、ハードワークと引き換えに報酬水準が高く設定されています。
一方で、ITや総合系は案件数が豊富で昇給スピードも速く、安定と成長を両立しやすい環境です。
人事・会計・医療・シンクタンクなどの専門系も、それぞれの専門知識を活かしてキャリアを積むことで、長期的に安定した収入を得られる領域といえます。
年収水準だけでなく、どのような働き方や成長を重視するかによって、自分に合ったコンサルティング領域を選ぶことが重要です。
役職(職位)の年収
戦略系・総合系・IT系など、どのコンサルティングファームでも年収の基本的な決まり方は共通しています。
ファームごとに役職階層が定められており、各ポジションに応じて年収レンジが設定されています。その範囲内で、個人の成果や評価によって金額が変動します。
以下は、コンサルティングファームにおける代表的な職位別の役割と年収目安をまとめたものです。
| 役職 | 主な役割 | 年収(戦略ファーム) | 年収(その他ファーム) | 経験年数(目安) |
|---|---|---|---|---|
| パートナー | ファーム経営全般・クライアントへの営業提案 | 5,000万円以上 | 2,500万円以上 | 約10年目〜 |
| プリンシパル(シニアマネージャー) | 複数プロジェクトの統括・クライアント営業 | 3,000〜5,000万円 | 1,400〜2,500万円 | 7〜12年目 |
| マネージャー | プロジェクト管理・チームマネジメント | 2,000〜3,500万円 | 1,000〜1,400万円 | 5〜10年目 |
| コンサルタント | プロジェクト推進の中心・課題解決提案 | 1,200〜2,000万円 | 700〜1,000万円 | 3〜6年目 |
| アナリスト/アソシエイト | 調査・分析・資料作成 | 600〜1,000万円 | 400〜800万円 | 1〜3年目 |
給与体系は「ベース給与+賞与(ボーナス)」で構成され、賞与は通常、固定給の10〜30%前後が支給されます。個人の成果だけでなく、ファーム全体の業績によって変動する点も特徴です。
昇給・昇進については、基本的に成果主義が徹底されています。年齢や勤続年数に関係なく、成果を上げたメンバーが早期昇進できる仕組みであり、各ユニット内でプロモーション枠が設定され、評価を経て昇進者が決定されます。
コンサルタントの年収については、以下の記事でより詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
コンサル業界のプロジェクトの種類
コンサルティングファームで取り扱うプロジェクトは、経営戦略の策定から業務改革、システム導入まで多岐にわたります。
ファームの専門領域によって重点分野は異なりますが、基本的には企業の課題解決に向けて「構想策定」から「実行支援」までを一貫して担う点に特徴があります。
以下に、代表的なプロジェクトの種類とその概要を整理します。
| プロジェクトの種類 | 主な内容 | 特徴・背景 |
|---|---|---|
| 戦略立案 | 全社戦略、事業戦略、新規事業開発、海外進出戦略など | 経営層とともに中長期的な方向性を設計、企業の成長基盤を構築する中核領域 |
| デュー・デリジェンス(DD) | 買収対象企業の価値・シナジー評価、事業性分析 | 戦略コンサルが担当するケースが多く、投資判断を支援、M&A増加に伴い需要拡大 |
| オペレーション改善/戦略実行支援 | 生産性向上、コスト削減、業務効率化、戦略の実行支援 | 戦略策定にとどまらず、実行まで支援する案件が増加。実行力が問われる領域 |
| システム導入 | ERP、CRM、SCMなどのシステム導入支援、DX推進 | ITコンサルや総合系で増加傾向、上流から下流まで一貫支援するケースが多い |
| PMO支援 | プロジェクト全体の進行・管理・調整支援 | システム導入や業務改革の管理支援から発展し、現在は事業全体のPMO支援も増加 |
| IT戦略支援 | IT戦略策定、システム構想立案、デジタル化戦略 | 経営戦略に直結する「超上流」工程、IT×経営の両視点が求められる領域 |
戦略立案やデュー・デリジェンスといった上流工程に加え、オペレーション改善やシステム導入など実行支援型のプロジェクトが増加しています。
特に近年では、クライアント企業内で実行人材が不足していることから、「提案して終わり」ではなく、実行・運用までを支援する長期プロジェクトが主流になりつつあります。
コンサル業界の仕事の流れ
コンサルタントの仕事内容は、担当するプロジェクトのテーマや専門性によって異なります。
しかし、どのコンサルティングファームでも共通して存在するのが、提案フェーズとデリバリーフェーズに分かれるプロジェクトの基本的な進行プロセスです。
各フェーズでの役割や担当業務は、職位ごとに明確に分かれています。
以下は、コンサルティングファームにおける代表的な業務フローと担当役職を整理したものです。
| フェーズ | 主な業務内容 | 主に担当する役職 |
|---|---|---|
| 提案フェーズ | クライアントからの依頼対応、提案書作成、案件受注 | パートナー/マネージャー |
| デリバリーフェーズ:ヒアリング・調査 | クライアントや関係者へのインタビュー、データ分析、課題の特定 | アナリスト/コンサルタント |
| デリバリーフェーズ:仮説立案・企画策定 | 課題整理と仮説構築、改善案や戦略プランの作成 | コンサルタント/マネージャー |
| デリバリーフェーズ:実行支援 | 計画に基づく施策の実行、現場での改善サポート | コンサルタント/マネージャー |
| デリバリーフェーズ:検証・フォローアップ | 効果測定、成果の検証、改善提案の追加 | マネージャー/プリンシパル |
コンサルティングファームのプロジェクトは、クライアントからの依頼やRFP(提案依頼書)によってスタートします。
提案段階では、パートナーやマネージャーが中心となり、課題の初期仮説を立て、解決策や成果物の方向性を提案します。契約成立後、アナリストやコンサルタントがチームに加わり、データ分析や仮説検証を通じて具体的な解決策を形にしていきます。
戦略立案系のプロジェクトでは、最終報告をもって完結することが多い一方、実行支援や運用支援を継続的に行うケースも増えています。戦略立案のプロジェクトが数ヶ月で完結するのに対し、実行支援や運用フェーズは半年から数年に及ぶこともあり、クライアントの現場と長期的に関わるのが特徴です。
このように、コンサルティングの仕事は課題の発見から実行・検証まで、クライアントと共に成果を創出していくプロセスで構成されています。
より詳しいコンサルの仕事内容は、以下の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
コンサル業界に向いている人の特徴
コンサル業界は、高度な課題解決力とビジネススキルが求められる専門職です。
ここでは、コンサルタントとして活躍する人に共通する代表的な特徴を整理して解説します。
論理的思考力と問題解決能力がある
コンサルタントにとって、論理的思考力は業務遂行の基盤となるスキルです。複雑な課題を要素ごとに分解し、それぞれの因果関係を明確に整理したうえで、データや根拠に基づいて結論を導き出す力が求められます。市場分析、組織課題の特定、戦略提言の策定など、あらゆる業務において重要な能力です。
また、論理的思考力と並んで重要なのが問題解決能力です。コンサルタントは、表面的な問題に対処するのではなく、クライアントが抱える課題の根本原因を特定し、最適な解決策を設計・実行する役割を担います。
具体的には、以下のような思考力が求められます。
| フレームワーク | 概要 | 活用目的 |
|---|---|---|
| MECE | 問題を漏れなく、重複なく整理する手法 | 複雑な課題の構造化・整理 |
| 80/20の法則 | 成果の大半は一部の要因によって生まれる | 重要な論点や原因の特定 |
| 仮説思考 | 仮説を立てて検証を重ねながら本質に迫る | 効率的な分析と迅速な意思決定 |
高い問題解決能力とは、クライアントの状況・制約条件・長期的影響を踏まえて、実現可能で最も効果的な解決策を導き出す力を指します。
体力がある
コンサルタントの仕事は、分析・提案・課題解決といった知的業務が中心ですが、その根底を支えるのは「思考体力」と呼ばれる精神的な持久力です。
思考体力とは、困難な状況下でも集中力を保ち、課題に粘り強く向き合い続ける力のことを指します。限られた時間のなかで高い成果を求められる環境では、継続的に思考を深め、生産性を維持することが求められます。
コンサルタントはしばしばプレッシャーの高い場面に直面します。提案の直前や分析が難航する場面などで、集中力を切らさず、冷静に問題に立ち向かう姿勢が必要です。途中で壁にぶつかったとしても、諦めずに学びを得て次に活かす粘り強さが、長期的な成長を支えます。
思考体力を養うためには、日常的な習慣づくりが重要です。タスクの優先順位付けや時間管理といった業務スキルに加え、適度な運動・休息・食事管理など、生活全体でパフォーマンスを支える意識が欠かせません。ストレスをコントロールし、リフレッシュの時間を確保することも、思考の持続力を保つうえで大切です。
成長意欲がある
コンサルタントにとって、変化に対応し続ける「成長意欲」は欠かせない資質です。ビジネス環境の変化が激しい現代では、現状に満足せず、常に新しい知識やスキルを学び続ける姿勢が求められます。クライアントの課題は時代とともに変化するため、自らの知見をアップデートし続けることが、プロフェッショナルとしての価値を維持するうえで必須の力となります。
学びを継続するためには、以下のような方法があります。
- 業界誌や専門書の読解
- セミナーやオンライン講座への参加
- メンターからの指導
また、クライアントや同僚からのフィードバックを積極的に受け入れ、自己分析を行うことで、自身の強みや改善点を把握し、次の成長につなげることができます。
継続的な学習意欲を持つコンサルタントは、最新の知識と実践的なスキルを兼ね備え、クライアントにとってより信頼できる存在となります。
コンサル業界の魅力とやりがい
コンサル業界は、企業や社会の課題解決を通じて大きな影響力を発揮できる職業です。
ここでは、コンサルタントとして働くなかで感じられる代表的な魅力ややりがいを整理して解説します。
若手から経営課題に携われる
コンサル業界は、若手から経営課題に携われることが魅力の一つです。クライアントは日本を代表するような大手企業が中心であり、誰もが知る企業の経営戦略の策定や事業変革、新規事業立ち上げなどに関わる機会があります。
コンサルタントは、経営層と議論しながら課題の本質を見極め、提言を形にしていく立場にあります。自らの分析や提案が企業の意思決定に反映される瞬間は、大きな達成感とやりがいを感じる場面です。特に、M&Aや事業再生、新規事業創出といった案件では、自身の仕事が社会や産業全体に影響を与えることも少なくありません。
また、コンサルティング業界では年功序列ではなく実力主義が基本であるため、若手であっても能力が認められれば重要なポジションを任される環境が整っています。早期から経営層と対等に議論できる環境で働けることが、コンサルタントとしての大きな魅力のひとつと言えるでしょう。
高年収とキャリアアップの実現可能性が高い
コンサルティングファームは、若いうちから高い報酬を得られる業界として知られています。実力主義の評価制度が徹底されており、成果を出せば年齢や勤続年数に関係なく昇進・昇給が可能です。
入社から数年で年収1,000万円を超える人も多く、20代後半でマネージャー層に到達するケースもあります。また、高い報酬水準とともに、キャリアアップのスピードと選択肢の広さがコンサルタントの大きな魅力です。
以下では、コンサルティングファームで経験を積んだ後に描ける代表的なキャリアパスを整理します。
| キャリアパス | 概要 |
|---|---|
| 事業会社への転職 | 経営企画や新規事業開発、DX推進などのポジションで活躍するケースが多く、コンサルで培った課題解決力やマネジメント経験を活かして経営の中核を担うことができる |
| 他ファームへの転職 | 総合系から戦略系、IT系から外資系など、より専門性の高いファームへ転職し、報酬アップやグローバル案件への挑戦を目指すケースが多い |
| 独立・起業 | コンサル経験を基盤にスタートアップを立ち上げたり、フリーコンサルとして独立したりするなど、自由度の高い働き方を選ぶ人も増えている |
このように、コンサルタントは努力が直接キャリアと報酬に反映される環境で働くことができ、実力次第で早期に高収入を得ながら、多様なキャリアパスを描くことが可能です。
顧客の感謝と達成感が得られる
コンサルタントの仕事の大きな魅力の一つは、顧客からの感謝や信頼を直接感じられることです。コンサルティング業務では、クライアントが抱える経営課題を整理し、最適な解決策を導き出すために、長期間にわたって密接に関わります。
プロジェクトの成功が企業の成長や組織改革、業績改善といった具体的な成果につながるため、クライアントから「ありがとう」と感謝される瞬間は、何にも代えがたい達成感を得られます。
また、プロジェクトが完了する頃には、クライアント企業の社員と一体となって課題に取り組んだ経験が、自身の成長実感にもつながります。ただ課題を解決するだけでなく、顧客のビジネスの未来をともに創り上げるパートナーとして信頼を得ることで、コンサルタントとしての責任感と誇りを実感することができます。
このように、コンサルティング業務は厳しさとプレッシャーが伴う一方で、自身の提案や努力がクライアントの成果に直結し、目に見える形で社会に貢献できるという大きなやりがいがあります。
コンサル業界に関するよくある質問
コンサルティング業界は専門性が高く、業務内容や働き方に対してさまざまな疑問を持つ方が多い分野です。
ここでは、転職希望者や就職活動中の方から特によく寄せられる質問を取り上げ、業界の実態やキャリアの展望について分かりやすく解説します。
未経験からでもコンサルに転職できる?
A. はい、現在では未経験からの転職が十分可能です。ポテンシャル採用が主流になっています。
近年のDX化や事業環境の変化により、コンサルティングファームでは未経験者の採用が急増しています。かつては経験者中心でしたが、現在では中途採用者の約8割がコンサル未経験と言われ、ポテンシャル採用が一般的です。
未経験者が求められる主な理由は以下の通りです。
- DX需要の拡大:デジタル化に伴い、ITやデータ関連プロジェクトが急増している
- 専門性の多様化:業界経験者は現場理解が早く、実行力の高い提案ができる
また、転職しやすい層は20代〜30代前半が中心です。20代では成長性や吸収力、30代以降では専門知識や実務経験が重視される傾向にあります。未経験から挑戦する場合は、早めに動き出し、自身の強みを明確にすることが成功のポイントです。
未経験からコンサル業界に転職する方法については、以下の記事で詳しく解説しているので、転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
離職率はどれくらい?
A. コンサル業界の離職率はおよそ20%で、全産業平均よりやや高めです。
コンサルティングファームの離職率はおよそ20%といわれており、全産業平均(約15%)と比べると高い傾向にあります。ただし、この数字にはキャリアアップや新しい挑戦を目的とした前向きな転職も多く含まれています。
そのため、単純に「定着率が低い」と捉えるのではなく、スキルを得て次のステージに進む業界構造として理解するのが適切です。
主な離職理由は以下の通りです。
- ステップアップのための転職:他ファームや事業会社へのキャリアチェンジが一般的
- 専門性のミスマッチ:志向と業務領域のずれにより、方向転換を選ぶケース
- 働き方の厳しさ:長時間労働や高い成果要求による負担
一方で、近年は各社が働き方改革を進めており、リモートワークや勤務時間の柔軟化、メンタルケア体制の強化などによって離職率は徐々に改善しています。
コンサル業界は流動性が高いものの、環境整備が進むことで、今後はより持続的に働きやすい職場へと変化していくと考えられます。
コンサル業界の離職率については、以下の記事で詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
コンサル業界は激務?
A. 忙しい時期はありますが、プロジェクト単位で働くため常に激務というわけではありません。
コンサルティング業界は、確かに業務量が多く、短期間で成果を求められる点でハードな環境です。プロジェクトごとにスケジュールが組まれるため、納期直前には業務が集中し、深夜対応や休日出勤が発生するケースもあります。
一方で、すべてのコンサルティングファームが「激務」というわけではありません。
外資系や戦略系ファームは短期集中型のプロジェクトが多く、スピードと精度を重視するため業務負荷が高い傾向にあります。日系や総合系ファームでは、長期的な支援を行う案件も多く、スケジュールを調整しながら働くことが比較的可能です。
コンサル業界は依然として高い成果を求められる環境ではあるものの、働き方の柔軟性やワークライフバランスの改善が少しずつ進んでいるのが現状です。
まとめ
コンサルティング業界は、企業や社会が抱える課題を解決するために幅広い領域で活躍する専門性の高い業界です。論理的思考力や問題解決力、コミュニケーション力などを磨くことで、若手のうちから経営課題に関わり、社会的な影響力を持つ仕事に携わることができます。
また、ファームで得た経験は事業会社やスタートアップ、官公庁、金融機関など、さまざまな分野で応用可能であり、キャリアの選択肢も豊富です。業界全体としてもDXやグローバル化の進展により需要が拡大しており、今後も高い成長が見込まれます。
転職を検討する際には、自身の強みや志向に合ったファームを見極めることが重要です。
その際、MyVisionのようなコンサル特化型エージェントを活用することで、非公開求人の紹介や選考対策、キャリア相談などのサポートを受けながら、より効率的に理想のキャリアを実現できるでしょう。
















